医療

J-PALS:水曜夜に、どうでせう。

あけましておめデパス!(ぱくり)

放置しすぎて、もう春ですが、気にしないですよー。

『ちびまる向ちゃん』が完売というニュースに対して、倫理規定擬人化本は在庫ありですから、興味がある方は通販どーぞー。

放置のあいだブログを全く見ていなかったのですが、「24時間開局」とか「消費税」あたりの検索だと数年前の記事に到達してしまうので、ちょっと申し訳ない感じです。

今回はつれづれに。

   ☆

診療・調剤報酬etc改定については、もう終わったことなのでスルーしたい気持ちでいっぱいですが、

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000036577.pdf

のよーにパブコメ結果が出ています。薬剤師40人くらいが意見を出しているようです。

・・・が、中医協で三浦委員がとりあげて議論になったのかどうかは不明(おそらく議論になっていないと予想)。ジャイアンの「おれのものはおれのもの、おまえのものはおれのもの」理論に対抗するひみつ道具はなさそうですし。

精神科領域の意見がいろいろありますが、薬局の「24時間」関係については「大手じゃなきゃ無理」という意見がひとつあるだけのようで。

ひとつの薬局に保険薬剤師がどれくらいいれば24時間開局できるのか」という問題は、そのまま「ネット販売の24時間開局は、ひとつの薬局に薬剤師が何人いれば可能なのか」という問題の解答になってしまいますので、うかつに少ない人数で可能だとしてしまうと、ドツボにはまりそうです。世の中には、「2人いれば24時間365日できる」と言い切れる脳味噌を持った愉快な方がそれなりにいそうですので、くれぐれも、そういう方の妄想を基準にした解答にはしないことをお勧めします。

「ひとつの薬局に薬剤師が大勢いても維持できる」≒「お給金が極端に少ない」「処方箋枚数が4000枚(とか2500枚とか)を超える」「一日5件以上の在宅訪問あり」「労働基準法違反が常態」といった想像が浮かびますが、処方箋枚数と在宅訪問に関しては今回改定でキャップがかかりましたし、基本料や基準調剤のマイナスにもひっかかるわけで、ほかの業種(製造業とか施設運営とか)もやっていてスケールメリットでどうにかできてしまうのでもなければ、24時間には手を出さないのが賢い感じ。

テロリスト「こんなの労働基準法違反だ。大統領の恩赦をもってこい!」

ジャック・バウアー「死にたくなければ言うとおりにしろ!」

テロリスト「言うとおりにしたら社会的に死ぬだろーがーっ」

ジャック・バウアー「本当にすまないと思っている。だが、唯一の手ががりなんだ」

テロリスト「お前が言う『唯一』が正しかったためしがないし、どう見てもすまないと思っていないだろがー」

議事録まだかなー。

  ☆

あ、「薬剤師法施行規則の一部改正(案)に関するご意見の募集について」のようなパブコメ募集も3/14までやってます。

在宅訪問先で残薬を見つけたら、そのときの処方箋の内容からその場で疑義照会して(薬局に戻らなくても)減らせるよん、という改正です。以前、日薬の安部さんが審議会に資料を出していたような。

Facebookで「いいね」にぽちっとする感覚で、パブコメに意見を送ってみてはどーでしょうか。「件名:薬剤師法施行規則の一部改正(案)に関するご意見の募集について」「本文:いいね!」とかで構わないようですから。

  ☆

今回の本題。

日薬の生涯学習委員会の放送があるそうですよー。

http://www.nichiyaku.or.jp/yakuzaishi.php?global_menu=日本薬剤師会の取り組み&side_menu=JPALS

日薬HPから引用。

3月12日(水)20:00~21:30、下記URLにてLIVE配信します。
どなたでも、無料でご視聴いただけます。
番組では、JPALSの利用者が出演し、生涯学習の必要性やJPALSの目的、これまでの日本薬剤師会に寄せられた質問などから現状の問題点などを議論していきます。JPALSの利用者の方、今後利用を検討されている方、今年卒業の薬学生の方、是非ご覧ください。
日時 : 2014年3月12日(水) 20:00~21:30
URL : http://www.pharmastream.net/pslive.html
ログインパスワード : utv706028
番組名 : 「JPALSの実施と問題点」(提供:ファーマストリーム)

以上。

注:筆者はJ-PALSに1万円払って非会員登録して1本ちょいポートフォリオ登録して、あとはほったらかしです。ものすごく使いにくいので。もう、何が使いにくかったのか思い出せないくらいに。

番組を提供している「ファーマストリーム」のほうは、(企画担当の皆様の行動力的に)面白そう。

http://www.pharmastream.net/phs-wbt5/about/abou_commission.html

日薬運営のJ-PALS本体と、薬剤師研修センター運営のeラーニングとを分離するのは正しい選択。

薬剤師倫理規定を中心としたこのブログ的にも、ファーマストリームには倫理のプログラムがあるので、気になるところ。

講義名  薬剤師の倫理
講師 富田基郎先生
(社)日本薬剤師会常任理事
講義時間>45分
取得単位 >0.5単位

この0.5単位を受けるためだけに入会金込みで6000円を出すかどうか、悩みます。

6000円…プロレスのリングサイドチケットと同額…。

(※悩んだ結果、6000円は、プロレスのリングサイドチケットになりました)

これ、会員なら誰でもアップロードできる仕組みにしてもいいんじゃないかと思ったり。要審査で、審査に通ったら単位化。聴講回数などに応じて報酬が出る仕組みで。(どこかで聞いたようなビジネスモデル)

そういう仕組みなら、「頼まれたらどこにでも行って講演します」という方たちが、自由にアップロードしてくれるんじゃないかと思うんですよ。たぶん、きっと。

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薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂案の、直してほしいところ。

薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂作業。

議事録によると「休日返上」で頑張っているそうなので、頑張りついでに考えてほしいことを書いておきます。

  ☆

薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂案
(2013 年2 月7 日暫定版)

A 基本事項

A2 薬剤師に求められる倫理観

GIO 倫理的問題に配慮して主体的に行動するために、生命・医療に係る倫理について
学び、医療の担い手としての感性を養う。

(2) 医療倫理

2. 薬剤師が遵守すべき倫理規範(薬剤師綱領、薬剤師倫理規定等)について説明できる。

 ☆

これを、以下のように変えてほしいな~。

 ☆

薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂案
(2013 年2 月7 日暫定版)

A 基本事項

A2 薬剤師に求められる倫理観

GIO 倫理的問題に配慮して主体的に行動するために、生命・医療に係る倫理について
学び、医療の担い手としての感性を養う。

(2) 医療倫理

2. 薬剤師が遵守すべき倫理規範(薬剤師綱領、薬剤師倫理規定等)に基づいて行動できる。

  ☆

 要するに、「基本的資質」で抜けていることを、こちらで補完してもらいたいということです。

 『資質』は、説明できるだけじゃ駄目でしょ。

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パブコメ:「延長」するなら「前提」を守ろう♪

「薬事法施行規則の一部を改正する省令案について」のパブコメをやっているとアポネットさんで知りましたので、ちょっと見てみて…なんだかおかしいと思ったので、パブコメを送ってみました。「てにをは」が抜けているのは脱字ですが、もう4月16日に送っちゃったので、そのまんま載せます。

  ☆

〔意見]該当箇所:「概要」

意見内容

「新たなルールが策定されるまで」という改正理由との整合性をとるために、「現在郵便等販売を行う権利が確認された二社(ケンコーコム社等)について、新たなルールが策定されるまで、郵便等販売を控えることの確認すること」を、省令案改正の前提とすることを求めます。

理由

平成25年1 月17日付事務連絡、厚生労働省医薬食品局総務課による「医薬品のインターネット販売訴訟(最高裁判決)を受けた対応について」において、問4の回答に『このため、郵便等販売については、新たなルールを作る必要があると考えており、制度を整備する上では、新たなルールが決まるまでの間は、現行の省令を何らかの形で改めることは難しく、そのままにしておかざるを得ないと考える。』とあり、省令が撤回されていない点が確認されました。また、問7の回答4に『しかしながら、厚生労働省としては、郵便等販売に関する新たなルールが決まるまでの間は、関係者には慎重な対応をお願いしている。具体的には、第1類・第2類医薬品については、新しい販売のルールが出来るまでの間、郵便等販売による販売を控えていただくようお願いするものである。』との具体例が示されています。「新しい販売のルールが出来るまでの間、郵便等販売による販売は控える」ことが守られていることを前提として、今回の解説の骨子である「ルールが策定されるまでの当面の処置としての期間の延長」がありうるのであって、「販売を控える」ことが守られなくても良い場合、期間延長の必要がありません(販売を控えなくてもいいのですから、すでに無効な項目とみなされます)。少なくとも、『郵便等販売の権利を確認された二社は、今回の処置を肯定するのならば販売を控える』べきで、その前提が確認できない状態で、現状の処置の延長を行うことは、妥当でないと考えます。

「自由に販売できるはずの薬を「特別な人・地域に販売できる」と定義するルールを定めるためには、「自由に販売できない薬である」という前提が必要なはずですが、それが確認されていないので、目に見える形で確認できるようにしてほしい」ということです。

  ☆

 電車の特定路線にローカルルールがあったとして。

 【全車両禁煙だけど、喫煙車両だけはOK】という特例ルールの期限を「平成25年五月まで」としていたのを、「車両内の新しい喫煙ルールについては、現在策定中につき、特例ルールを平成25年12月まで延長したいです。」と言えるのは、【全車両禁煙】という前提が変わっていない場合だけ。

 「平成25年1月に【全車両で喫煙する権利が、特定のふたりに認められた】」ことで、前提となっていた【全車両禁煙】というルールがなくなったとみなせます。

 前提となるルールが変わったのなら、【喫煙車両だけOK】というルールは『延長』する必要がありません。延長しなくても、全車両喫煙OKなんですから、喫煙車両も喫煙OKに決まっています。喫煙車両を決める必要がないのです。

 もし「延長する必要がある」のなら、前提となるルールが変わっていないのですから、【全車両禁煙】のルールは生きていることになります。従って、【権利を認められたふたりは、新ルールが決まるまで、今まで通り、喫煙車両以外では喫煙できない】ことが証明されなければなりません。

 「前提となるルールが変わったのかどうか」が、問題なんですね。

 前提が変わったのなら、延長の必要なし。

 前提が変わっていないのなら、延長しなければならない。

  ☆

 郵便等販売の件に関しては、

 いわゆる「原告側」は、すでに郵便等販売を再開していますから、前提が変わったという立場をとっているようです。

 厚労省は、省令を撤回していませんし、郵便等販売はルール策定まで控えるようにとの文書を出していますから、前提が変わっていないという立場のようです。

 今回の「省令改正案」は、厚労省の「前提は変わっていない」という立場から発想されていますから、「延長の必要がある」となるわけですね。

 「変わった」という立場の「原告側」は、この案に対して、「延長の必要はない」と言わなければ、自らのとっている行動(販売を控えろと厚労省に言われているのに販売を再開したこと)を説明できません。

 延長しないことになれば、「厚労省の主張する」ルール通りに省令を守る多くの薬局は、特例による郵便等販売を六月以降打ち切るしかありません。厚労省が考える適切な流通とは、そういうもののようなんですが、それって、「利便性」を徹底追及するはずの「原告側」のフライング行動によって、利便性を損なう人が多く出るということなのでは???

 これで利便性を損なうのは、これまで特例でもらっていた方たちですから、判決以降の新規顧客と違って、『その利便性がないと立ち行かない』方々です。

 「延長しない」ってことは、そういう方々から利便性を奪うことになります。

 「自分の顧客以外はどーでもいいや」という考え方なら、「原告側」は、【自らは販売を控えない。かつ、延長には反対する】という行動をとりそうです。

 そういった行動は、『適切な流通』を考えたことがあるなら、変な感じ。

 薬剤師法第一条:『薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする』を実践するなら、国民全体への医薬品供給を考える会合の席で、「うちの客以外はどーでもいいです」という意見が薬剤師の口からでるとは思えませんが…。

 オンラインドラックストア協会が自分で決めた「一般用医薬品のインターネット販売に関するガイドライン」 http://www.online-drug.jp/files/20130111final.pdf の「責務」には、「適切な流通」に関する文言がありませんし、「原告側」が、そういう考え方をしても、「原告側」が自分で決めたガイドライン上は、問題ありません。

第1条(責務)
1 薬局又は店舗は、薬剤師又は登録販売者による必要な情報提供及び販売を通して、購入者が主体となった病気の予防及び治療に寄与し、もって購入者の健康な生活の実現に努めることとします。
2 薬局又は店舗は、改正薬事法の趣旨(一般用医薬品の販売に関しリスクの程度に応じて薬剤師又は登録販売者が関与し適切な情報提供等がなされる実効性のある制度を国民にわかりやすく構築することを目的としたもの)を踏まえ、必要な責務を全うしていくこととします。

 で、今回のパブコメは、「お互い、それでいいんですか?」と、確認するための意見です。 

 「延長しない」場合

  延長前提は「現時点では省令は無効であり」「原告二社は郵便等販売を行う」。

  なので、「現在特例を受けている方々への、原告二社(および、勝手に追随しているタダ乗り企業さんたち)以外からの供給がストップされる」

  あるいは「全ての薬局・薬店は、省令が無効であることから、郵便等販売をルール無しで行っても良い」という新ルールが今すぐ確定される(←無理)。

 「延長する」場合

  延長前提は「現時点では省令は有効であり」「原告二社は郵便販売等を控える」。

  なので、「現在特例を受けている方々への、特例供給はストップされない」

 といったパターン。

 「省令が無効なのに延長する」のは、矛盾します。

 新ルール策定中なのに「ルール無用で販売していい」というルールは出せません。

 「新ルールができるまでは省令が有効なら、原告二社が郵便販売等を控えないのはおかしい」です。

 で、今回の「延長したいんだけれど、どうよ」という提案に対するパブコメは、

 『延長したいんだったら、前提条件を整えなさい』

 というものにしました。

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高齢者に対する適切な医療提供の指針。正式版も欠陥品。

日本老年医学会が「高齢者に対する適切な医療提供の指針」を発表しましたので、感想。

http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/proposal/pdf/geriatric_care_GL.pdf

パブコメの結果も踏まえたのだそうです。

ふーん。

  ☆

【意見】

「基本的な要件のみを示した」とありますが、基本的要件である『誰が』『どの行動を』『どんな責任範囲で』行うのかについては、指針に全く記載がありません。これは、重大な欠陥です。

 自明とは思いますが、「医療従事者」という表現は、行動指針の主語にはなり得ません。「教育従事者」「研究施設従事者」といった言葉と同じです。校長が行うべきことを、代用教員や理事、清掃業者が行ってもいいかのように錯覚できる文章など、意味がありませんし、後付けで「いや、それはやっちゃいけないのは当然だろう」などとルールが増える「指針」もありえません。

 なにがよくて何が悪いのか、それを誰が行うのか…といった基本的要件を最初にわかりやすく定義しておくのが「指針」です。

 「誰なのか明確でない誰かが、○○をすることは、(引用した文献の主張によると)重要である」という文章を並べても、何の指針にもなりません。

 『誰が』『どの行動を』『どんな責任範囲で』行うのか。それを明確にして、指針を全面的に書き直してください。

以上。

  ☆

てなパブコメを送りましたけど。

「(案)」のときと、ほぼおんなじものを、正式版として出してきました。

なので、感想を書こうにも、「(案)」の感想とおんなじです。以前の記事参照。

はいはい、三月までに出さないと研究費が出ないからですよね。

もう、正直、適切な高齢者医療なんて、どうでもいいんでしょ? 適切さより、目先のカネなんでしょ?

「現場で使いものにならない、誰が責任をとるのかわからないような欠陥ガイドラインを出してくるなよ」って話なんですが、そーゆー「使い物にならない」ガイドラインが最高なんだと、策定した方々は考えたんでしょう。

これで、しばらくの間、「高齢者は、適切な医療を受けられない」ことが確定しました。

あ、いえ、これが適切な医療だと定義されたので、「適切な医療と言う名前のトンデモ医療を行わないと、国から注意されちゃう」ことになりました、と言ったほうがいいのかも。

こうしたアホ答申にありがちな、「パブコメはとるけれど、パブコメを公開せず、パブコメを踏まえた議論の議事録も公開せず、てにをはだけ直してお茶を濁す」というパターンを、そのまんまやってます。不誠実ってやつですね。

不誠実に作成された欠陥指針を誠実に守れって言われちゃうわけですか。

困ったものです。

まあ、老年医学会など、この指針作成の協力団体に所属する方々は全員、この指針を守るんでしょう。指針を策定した方々は、もう、ガチガチに守るんでしょう。でも、迷惑だから、自分以外の人たちに、「守らんのはけしからん」とか、言わないでくださいね。

これ、順守率調査をやって、どの程度守っているのかを、覆面調査して、統計資料にしてもらいたいものです。ほら、老人医療ではチームミーティングに患者本人か家族を入れて行うって書いてありますから、入れてもらえなかったらダメだって分かりますよね。

私以外のパブコメがどんなものなのか、どの程度の数があったのか、とても興味があったのですが、それらも非公開。

残念です。

  ☆

【追記】

>「多剤併用(特に6剤以上)に伴って予期せぬ相互作用や薬物有害事象の危険性は高くなるため、可能な限り多剤併用は避ける。」

 前に読んだときにツッコミ忘れましたが、いまどきこんなおおざっぱな判断基準を書いて守らせようなんて、ちょっと驚き。「6剤」っていう数が問題なのではなく、それぞれの薬の構造・作用機序・代謝・吸収といったあたりの関係性から予測していく場合に【複雑に絡まってしまって予測不能。だから問題化する可能性が高い】かどうかを判断するのがイマドキの医療では? 数だけでいえば、OTCの感冒薬ひとつで6剤くらい入ってますしね。

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薬剤師として求められる基本的な資質(案)は、薬剤師倫理規定の劣化版。

文部科学省が発表している「薬剤師として求められる基本的な資質(案)」をみてみましょう。

  ☆

豊かな人間性と医療人としての高い使命感を有し、生命の尊さを深く認識し、生涯にわたって薬の専門家としての責任を持ち、人の命と健康な生活を守ることを通して社会に貢献する。
6年卒業時に必要とされている資質は以下の通りである。

(薬剤師としての心構え)
薬の専門家として、豊かな人間性と生命の尊厳について深い認識をもち、薬剤師の義務及び法令を遵守するとともに、人の命と健康な生活を守る使命感、責任感及び倫理観を有する。

(患者・生活者本位の視点) 
患者の人権を尊重し、患者及びその家族の秘密を守り、常に患者・生活者の立場に立って、これらの人々の安全と利益を最優先する。

(コミュニケーション能力)
患者・生活者、他職種から情報を適切に収集し、これらの人々に有益な情報を提供するためのコミュニケーション能力を有する。

(チーム医療への参画)
医療機関や地域における医療チームに積極的に参画し、相互の尊重のもとに薬剤師に求められる行動を適切にとる。

(基礎的な科学力)
生体及び環境に対する医薬品・化学物質等の影響を理解するために必要な科学に関する基本的知識・技能・態度を有する。

(薬物療法における実践的能力) 
薬物療法を総合的に評価し、安全で有効な医薬品の使用を推進するために、医薬品を供給し、調剤、服薬指導、処方設計の提案等の薬学的管理を実践する能力を有する。

(地域の保健・医療における実践的能力)
地域の保健、医療、福祉、介護及び行政等に参画・連携して、地域における人々の健康増進、公衆衛生の向上に貢献する能力を有する。

(研究能力)
薬学・医療の進歩と改善に資するために、研究を遂行する意欲と問題発見・解決能力を有する。

(自己研鑽)
薬学・医療の進歩に対応するために、医療と医薬品を巡る社会的動向を把握し、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する。

(教育能力)
次世代を担う人材を育成する意欲と態度を有する

  ☆

 はい、薬剤師倫理規定のパクリなのに、第二条と第十条が抜けているぶん、専門家として決定的にダメな人材を作るための案になっています。

【大事な点】

 「良心と自律」が法の順守よりも前になければならない。自律のない専門職など不要。(←通達や算定要件など、法を基にしているとは思えないアホなものができるまえに、それおかしいでしょと言える資質のために)

 「品位と信用」がない人材など無用。約束を破る人ってことですよね。

 この案、少し読めば、薬剤師倫理規定の各条文をパクって切り貼りしていることがわかると思います。もし全く分からないのだとしたら、それは薬剤師倫理規定について知らないということで、つまりはJ-PALSでいうとレベル1相当の基本的知識すらない人ってことです。(断言)このブログを隅々まで読んで、お勉強してみてください。

 「基本的資質」なんだから、はじめから、『薬剤師倫理規定』をベースにすればいいのにね。

 薬剤師として求められる基本的な資質は、「薬剤師倫理規定に沿って活動する」ことで、いいじゃないですか。超シンプル。

 薬剤師倫理規定を制定した、日本薬剤師会が、胸を張って「うちの倫理規定でいきましょう」と主張しない不思議。

 「行動倫理を実践できる」ことほど、資質を明確に判定できることはないと思いますけど。

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ネット販売のシンプルなルールを提案する遊び。

ネット販売について。

ルールを提案したいと思います。

過去記事のパブコメ関連なども参照してくださいませ。

  ☆

『過去記事の引用』

筆者は「今は、不便な部分をひとつひとつ改善することを考えようよー。あわてても、ろくなことないよー」という『今は、反対』の立場です。ここ、『今は』が大事ですからね。一方で、経過措置延長については、さっさと「延長する」って決めればいいのにな~、と思っています。(※延長されました)

「今解禁したら、条件を整えないんだろうなー(性悪説)」

  ☆

ある日、ちびっこと母親が、食事のことで言い争いました。

子「高級レストランでフカヒレのすてーきが食べたいー」

母「あんたにははやいからダメ」

子「国民の権利として、食事をする権利があるはずだ」

母「なに言ってんの。あんたどうせマナー違反するでしょ」

祖父「食事する権利はあるぞ。ただし、ちゃんとマナーを守ること」

子「はいはい、マナーを守りますー」

母「仕方ないわねー。じゃあ、ちゃんとマナーが守れるところをみせてくれたら、食べさせてあげる。相談しましょう」

子「ん? もぐもぐ(もう食べている)。マナー? なんのこと? ぼくがどんな食べ方しようが、それはぼくが食事を食べる権利のうちなんだから、関係ないよ。ぼくのマナーはぼくが決めるんだ」

母「マナー守るって約束は?」

子「知ったことか。ばーかばーか」

母「おじいちゃん、あんなことやってますよ」

祖父「ううむ…ワシ、なにも言えん」

  ☆

 案の定、厚労省が「適正な販売方法について決めるまでは売るな」と文書化したのに、「省令なんか守らないもん」と、無視を決め込んで、判決が出た瞬間に売り始めて、株価高騰。

 「売る権利を認めた」けれど、「省令の効力は撤回しない」という判決なんだから、粛々とルールを作った後に、ルールに沿って売り始めるのが商道徳ってものです。

 真っ先に、ルール無用で薬の販売を(厚労省の制止にもかかわらず)解禁しておきながら、ルール作りの場にでてきて「ぼくら悪いこと何にもしてないもん」と言えちゃう。和平会議の席を設けようと言われてOKしたら、和平会議までの数日の間に、都市を占領しまくっちゃうレベルの「信頼感」。

 ルールづくりねぇ。

 どうせ、守らないんでしょ?(と、思われても仕方のないことをしていますよね)

 自分たちは、どんなルールがつくられようが守る気ゼロでも、相手には、既存のルールを守れと言い放つ。で、既存のルールのおかしさを認められない人たちは、追い込まれる一方。

 既存のルール、たとえば「100%、文書で説明」なんて、おかしいルールです。添付文書、入っていますしね。文書を用いた説明がなければ理解できないのは、お役人さんだけでしょうから、「相手の職業をきいて、お役人さんだったら、文書を用いて説明すること」とでもルールを変更すればいいのに。(←これはこれでおかしなルールですけど)

 既存のルールで「最もおかしいこと」を、適正化すれば、最小の労力で、ネット販売の道が拓けます。しかも、ルールを守らない業者も、駆逐できます。

 「対面販売」なんか、テーマにしてちゃ、ダメです。

 大事なのは、「実存店舗と同じ規制をかけ、それを守らせる」ことです。

 実存店舗では、「薬剤師が実店舗に不在の時間帯、薬局は、閉局しなければならない」となっています。

 要は、ある店舗における医薬品の安全管理者が不在ならば、その店舗は営業できないという決まりです。

 これを、徹底しましょう。

1.薬剤師が必要な第一類を販売するネット販売業者においては、まず実店舗が必要で、薬剤師が実店舗に不在の場合は、営業できない。ネット販売業者は、薬剤師が実店舗に営業時間内常に存在していることを証明する。

2.登録販売者が必要な第二類を販売し、第一類を取り扱わないネット販売業者においては、まず実店舗が必要で、登録販売者が実店舗に不在の場合は、営業できない。ネット販売業者は、登録販売者が実店舗に営業時間内常に存在していることを証明する。

3.ネット販売業は、24時間体制であることを前提とする。薬剤師・登録販売者は、労働基準法に基づいた、適切な24時間体制を組まなければならない。

4.実店舗は、複数の名称・看板をもっていてはならない。従って、複数の販売サイトをひとつの実店舗で管理することは、許されない。

 んーと、この四つ。

 実店舗と同じ条件にするだけですから、ルールづくりは簡単です。

 「必ず専門家が介在する」のが、キモです。これは、薬事法の趣旨にも合致します。

 ひとりが週に40時間勤務として、24時間体制なら168時間をカバーしなければなりません。第一類を扱うなら、薬剤師が少なくとも5人必要です。もちろん、これは「存在している」という事項を満たすためだけの話ですから、多くの注文に対応するためには、相応の人員配置が必要でしょう。

 最大手と言ってもいいケンコーコムさんの薬剤師は、日経DIのインタビューによると、7人なのだそうです。

 7人いれば、シフトを組んで、24時間常駐体制にすることで営業するのも、できそうですよね。時間帯あたりの勤務薬剤師数は1~2人です。仮に第一類の注文が殺到しても、順番に対応するのだとは思います。ここをルール無用で「専門家が介在しない」状況にさせないことが大事。

 悪質な業者は、薬剤師5人以上の確保という段階で躓きますから、ルールを守る業者が残ります。ルールを守り、専門家が介在するのですから、ニセ薬の心配も、ほとんどありません。

 実店舗と同じルールを適用するのですから、実店舗でも、ルールを守れば、ネット販売が可能です。電話やメールのやりとりが心配なら、実費をかけて、現地まで行く薬局があってもいいはずです。

 「専門家が介在する」ということは、薬を「売らない」という結末もあるということです

 その結末が担保されていないのなら、ダメ。

 至ってシンプル。

 それなのに、「対面」「対面」だの「医療は営利じゃない」だの、議論にもならないことしか言わないヒトたちばかり。

 日本の成長戦略の目玉だと言うのですから、日本は「世界一安全な売り方を担保しているネット販売のシステム」を目指せばいい。それは「現時点で実店舗に行っている規制をそのまま適用すれば可能」なのです。

 実店舗に厳しいのに、ネットだと甘いなんてこと、誰も望んでいないのでしょう?

 ネット販売業者さんからは「公平」を求められているのですから、本当に公平にすればいいのです。それで文句を言ってくるようなネット販売業者さんは、公平という言葉の定義が狂っている方たちですから、信用に値しない、安全性を見いだせないと、切り捨てれば良いかと。

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OTC:エパデール問題は「CDTM」でカンタン円満解決。

 さてさて、まずは、前回のおさらい。

  ☆

 生活習慣病のOTC薬について、

1.医師は、自己申告は信用ならんと言っている。

  だったら、セルフチェックシート制をやめて、

  自己申告ではない制度にすべき。

3.医師は、受診と検査が前提だと言っている。

  それなら、医師が、有効期限を明記した受診証明書を出せば良い。

4.医師は、食事療法と運動療法の実施が前提だと言っている。

  それなら、医師が、実施期間を明記した完了証明書を出せば良い。

  ☆

 日本医師会の、生活習慣病OTC薬に関する主張をきっちりと、真面目に取り入れたなら、これが「正しい姿」です。

 「OTC薬のために、お金にならない受診証明書をどうして書かなきゃならないの?」みたいなことを真顔で言う医師はいないと思いますが、万が一、日本医師会のエライ人の中にそういう方がいるならば、答はふたつ。

答A 【じゃあ、フィーをつけてもらえばいいじゃん】

答B 【バイアグラの指示書、なんで書いてるの?】

 つまり、「第一類OTC薬(=要薬剤師薬)の購入を指示した、自費処方せんと同様の様式を持った指示書」を書く仕事の報酬に、「保険」を使えるようにすればいいんじゃないですか? という話。バイアグラでできるのですから、エパデールでできないはずがありません。ほら、さっさと中医協でやること。

 混合診療にはなりませんし、有効期限を含めた様式もある程度整っていますし、レセコンで証明書を印刷できますし、カルテが残りますし、医師会的にも、病院経営的にも、医師の仕事を大幅に減らせて、かつ、定期的に受診してくれることが明確ですし、検査も受けてくれるのですから、安心安全、間違いなし。

 学者さんが大好きな「海外」では、OTC薬を書いた処方せん・指示書なんて、あったりまえだのくらっかー。混合診療バンザイな国では、保険も自費もひっくるめて書いちゃってますし、そうでない国では、保険処方せんと指示書を別にすれば済んでる話。

 薬剤師側としても、【医師の診断を前提として、医師が提示したプロトコルに基づいて、共同実務契約として】OTC薬を(手続きを踏んで)販売するのですから、これは【CDTM】における『補助的処方権』を行使していることになります。

 あ、補助的処方権の定義が、【医師の診断を前提として、共同実務契約によって生じる処方権】なんですよ。「補助的」ってついているだけで、処方権とは全然違うものですから、そこんとこ、勘違いしないでくださいね。

 勘違いしそうな空気がすぐに漂うんですが、本気で勘違いしている方は、勉強してください。「補助輪」と聴いて「主輪を侵害するものだ!」なんてこと言う方、いませんよね?

 CDTMのいわゆる「共同処方」は、現状、病院内や診療所内の医師と薬剤師の関係でしか日常的には作れませんが、このOTCエパデールにおいて医師会が求めてきた「診察に基づく」という主張を実践することは、OTCエパデール販売についてのきっちりとしたプロトコルを作成している点からも、第一類医薬品販売店における「CDTM」実践であると言っていいでしょう。プロトコル実例は、海外にはすでに多くありますから、その日本版を蓄積していくことで、より多くの範囲でのCDTM実践が可能になります。

 医師会からの「診断しなきゃヤダ」という主張は、渡りに船。

 より高度なOTC薬販売を実践するチャンス。

 なので、この問題を論じるとき、著名な薬剤師の方々には、「(すでにあちこちで行われている)CDTM実践の全国規模化の突破口」であるという意識で書いてもらえると、面白くなると思っています。せっかくの薬ですから、みんなで「育て」ればいいんです。

 日薬の児玉会長みたいに、ビジョンもなしに「話し合う」しか言えないようなのが、一番ダメです。なにを話し合うつもりなのか、全然わかりませんよね。

 ちなみに、「薬剤師の将来ビジョン(暫定版)」には、こんなことが書いてあります。

4.疾病の予防やセルフメディケーションに貢献
①疾病の予防やセルフメディケーションに対する考え方が国民の間に浸透し、薬局は健康に関してファーストアクセスする地域の「健康ステーション」、薬剤師は薬と健康の良き「アドバイザー」として認識されている。また、相談の内容や症状から受診が必要と判断される場合には適宜・適切に医師への受診を勧める等、セルフメディケーションにおいても、医師とのスムーズな連携が進んでいる。
②スイッチOTC薬の上市や薬局製剤の新規処方が進み、セルフメディケーションに寄与している。

9.薬剤師業務がさらに進展
⑥チーム医療の進展に伴い、一定の資格を有した薬剤師(認定薬剤師・専門薬剤師等)が、高度な薬物治療の知識や技能を活用し、CDTM業務を実施している。

 正直どうでもいい「一定の資格」とやらを有していなくても、街角の薬局でCDTM業務を実践するチャンスなんです。OTC薬だって、チーム医療なんですよ。

  ☆

【おまけ】

 生活習慣病用OTC薬を、要診断証明書薬であるとするならば、電子処方せんが実現するまでは、ネット販売は不可能ですね。そこまでのセキュリティetcの構築ができてはじめて「便利だし、いい感じ」という流れでしょう。(筆者は以前のネット販売のパブコメに「今は、不便な部分をひとつひとつ改善することを考えようよー。あわてても、ろくなことないよー」という『今は、反対』の立場を表明しています。http://tensis.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-3fd8.html あれからだいぶたちましたけれど、あんまり環境状況は変わってないですね。こーゆーのは、推進してる人の考え方が、反映されるんですけれどね。株価が高い間に、せっせと地道に設備投資してほしいなぁ)

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高齢者に対する適切な医療提供の指針。パブコメ出してみました。

前回、とりあえず読んでみたので、パブコメも書いて、送ってみることにしました。

本文はメールのみの指定のため、拡大文字強調は使用していません。

前回が長かったので、今回はシンプルに。

  ☆

「高齢者に対する適切な医療提供の指針」パブコメ

【意見】

 「基本的な要件のみを示した」とありますが、基本的要件である『誰が』『どの行動を』『どんな責任範囲で』行うのかについては、指針に全く記載がありません。これは、重大な欠陥です。

 自明とは思いますが、「医療従事者」という表現は、行動指針の主語にはなり得ません。「教育従事者」「研究施設従事者」といった言葉と同じです。校長が行うべきことを、代用教員や理事、清掃業者が行ってもいいかのように錯覚できる文章など、意味がありませんし、後付けで「いや、それはやっちゃいけないのは当然だろう」などとルールが増える「指針」もありえません。

 なにがよくて何が悪いのか、それを誰が行うのか…といった基本的要件を最初にわかりやすく定義しておくのが「指針」です。

 「誰なのか明確でない誰かが、○○をすることは、(引用した文献の主張によると)重要である」という文章を並べても、何の指針にもなりません。

 『誰が』『どの行動を』『どんな責任範囲で』行うのか。それを明確にして、指針を全面的に書き直してください。

  ☆

※「指針とはどんなものであるか」なんて話は小学生でもわかりそうだし、「主語がおかしい」ことくらい、東大教授がわからないはずもないので、削ろうかなぁ…と何度も思いましたが、結局残しました。

※意見送付時の注意事項に「なお、ご意見に対しての個別の回答はいたしかねますこともご了承ください」とありますが、パブコメを送りましたと書いておかないと、個別ではない回答すらしないんじゃないかとドキドキしましたので、一応、意見の全文を置いておきます。

※応募要項に、タイトルの指定がなかったのが不思議です。パブコメ専用アドレスなんでしょうか?

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パブコメ募集:高齢者に対する適切な医療提供の指針。まずは読んでみる。

日本老年医学会の指針がパブコメを要求しています。(というネタをアポネットさんで読んだので、面白そうだから指針を読んでみることにしました)

指針とパブコメ募集要項はこちら。

http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/member/kaikai/jgs_pcm_geriatric_care_GL.pdf

意見公募のあて先が@umin.netなので、大学病院医療情報ネットワークさんが協力しているんでしょう。

で、パブコメと書きましたが、これは「厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)」の研究班のまとめた研究指針ですから、「近所の賢いおねーさんたちが、国というパトロンのお金で、あちこちの論文の内容をつぎはぎしてまとめただけ」の指針だと思っていればよさそうです。民間研究機関の研究班がつくったマニュアルに、意見を出すというパブコメ。「近所の定食屋さんが【新しいメニューを考えたんだけど、ちょっと意見を聞かせてよ】と訊いてきたので、軽い気分で【うまい】とか【まずい】とか答える」ようなものです。もっと軽く書くなら、薬剤師倫理規定擬人化研究の同人誌の内容について「どう?」と訊くようなものです。内容がどうであれ、民間研究の提示する指針だとか研究成果だとかに、その内容を活用すべき現場が、素直に従うはずもなく。

本文が実質4ページで、参考文献の羅列が7ページ。この「指針」の立ち位置が、なんとなく透けて見えるよーな。というか、「つぎはぎ」という表現で問題なさそうですね。(この記事内で引用した内容のうち1)のような数字は、参考文献番号です。111もあります)

そのわりに、唐突にでてくる言葉についての説明や定義は、ほとんどありません。

たとえば、「予備力」「非定型的」。

予備力ってなんですか?

 →「その人が持っている体力・生理機能の最大の能力と、通常使用時の能力の差」

非定型的ってなんですか?

 →「典型的ではない」あるいは「高度な知的判断を必要とするような」

これであってますか?

こういう部分も丁寧に解説するなり言いかえるなりしておけばいいのに。

日本老年医学会のホームページにある「立場表明」みたいに、用語の定義を羅列してから書いてくれると親切なのに…。

立場表明
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tachiba/jgs-tachiba2012.pdf

あ、そうそう、この指針に「具体例」はありません。指針だからと、そのあたりは無視です。あるいは、具体例を出せないような、変な指針なのかもしれません。

では、読んでいきましょう。

  ☆

はじめに
「指針の必要性」

高齢者、特に75 歳以上の後期高齢者の増加1) に伴い、高齢者医療への需要はますます高まってきている。しかし、高齢者に対する医療提供は医療従事者にとって難しいものになっている。その原因としては、加齢に伴う生理的な変化によって疾患の表れ方も治療に対する反応も若年者とは異なること、複数の慢性疾患を持っていること2)-4)、それに伴い薬剤数が増え相互作用や薬物有害事象が起こりやすいこと5)-8)、高齢者を対象とした診療ガイドラインが十分に確立されていないこと9)、さらに若年者に対する診療ガイドラインの適用により必ずしも良好な結果が得られないこと10)-12) 等が挙げられる。

この指針は医療従事者が高齢患者に対して過少でも過剰でもない適切な医療提供13) を行えるよう支援することを目的として作成されたものである。

  ☆

 はい、質問です。

 「高齢者医療」の定義は、なんですか?

 なんだかわからないものの需要がますます高まっていると言われても、わかりません。

 たとえば「超人、特に超人年齢25歳以上のベテラン超人の増加に伴い、ドクターボンベ医療への需要はますます高まってきている」と書いたとして、納得してもらえるでしょうか。

 ドクターボンベ医療って、なんじゃそりゃーっ! と、思いますよね。

 バッファローマンの角からキン肉マンの左腕の骨をつくっちゃうとか、ウォーズマンに超人心臓をつくっちゃうとか、プリンセス・カメハメの若返りとか、そういう医療です。

 …と、説明されたって、なんじゃそりゃー! ですよね。

 説明されなかったら、どうしましょう。

 幸いにして、「高齢者に対する医療提供」のことなんじゃないかなー、と思えるように、文が続きます。

 ということは、「指針の必要性」を簡単にまとめると、

 【高齢者に対する医療提供の需要に応えられる体制は基本的にない。需要と供給のバランス点を決めて、それを適切であると言い切りたい。だから、示す】

 といったあたりでしょう。

 よーするに、(少なくとも医師の仕事の)供給量を増やす気はないので、需要があっても叩き切る、という宣言を、とっても回りくどく、まるで「需要に応えているかのように」書いたのが、「はじめに」の文章。供給量を増やそうとしたら、医療関係者がダウンしてしまいますから、供給量を増やさない点をしっかり書いておくのは大事だと思います。

 ここ、大事ですよ。

 この指針は、「需要を仕分けする」ためのものだと、はっきり言っているのですから。

 仕分けするための基準が示されているかどうか。そこが「目的にとって、大事」です。示されていないのなら、ここから先の「指針」の文章は、全部、無意味です。基準。「ここまでやればOK」「これ以上は、もうやらなくていい」という話。それらを、「医療関係者」なんていう大枠ではなく、職能別に考えた結果。

 職能別に考えていかないと、最終的に「チーム医療」とか「地域」とかいった言葉を並べることで、ありもしない余剰労働力をあてにするという展開になります。ええ、『キン肉マンには、火事場のクソ力があるから大丈夫!』みたいに言ってるのと変わりません。『スイーツは、ベツバラ』とか『本当の窮地には、諸葛亮の秘策が』とか言ってるよーな感覚。よーするに、神頼みに限りなく近いことを『指針』だと宣言することになっちゃいます。指針って、余裕・自然体でできることじゃなきゃダメなんじゃないのかな?

(必要以上に「大事」と書くと、全て大事じゃなくなるトリック)

  ☆

「指針の使い方」

本指針は、医療従事者が高齢患者に対して医療提供を行う際に考慮すべき事柄を整理し、基本的な要件を示したものである。従って、この指針は個々の疾患に対する診療ガイドラインに置き換わるものでは無いが、実際に治療する際に考慮するべき項目を示している。診療ガイドラインが高齢患者を対象としていない場合、またはガイドラインが相互に矛盾する内容を含む場合などには、本指針に示された基本的な考え方を準用して治療方針決定の一助とすることが推奨される。

  ☆

 使い方を真に受けると、「高齢者向けのガイドラインが存在しないなら、現行の疾患治療ガイドラインよりも、この指針を優先しなさい」ということです。

 「基本的な要件」とあるので、基本をこえた提案はないと考えて良いのでしょう。

 さて、「基本」は、どのあたりですか?

 基本と書く以上は、おおよそ、どの医師であっても理解している内容か、あるいは、他の医療従事者の職能を挙げての「これら専門職なら基本である」内容であるはずです。前提は、チーム医療なんです。

 これは、「医師単体では供給量を増やせない」という「はじめに」の宣言と合致します。他の職種が(お給料据え置きで)供給量をふやせばいいのよ、ということですね。研究班のメンバーは施設の経営部門か医師だけで構成されているようですから、彼らにとっては、非常に都合の良い結論です。もっとも、この研究の協力団体であるところの日本医師会さん理論だと、チーム医療の話をしているのに、他の職能からの参加者がいないような研究は、無効だと言い張れそうですね。

 この指針の仕様者として「医療従事者」と書いてありますから、医師限定ではない行動指針だと読みとれます。にもかかわらず、医師以外の医療関係者を協力団体としていないのですから、この指針、医師以外の医療関係者は守る必要がないということでよろしいでしょうか。

 では、各論も読んでいきましょう。

  ☆

1.「高齢者の多病と多様性」

・高齢者の病態と生活機能、生活環境をすべて把握する。

1.1. 老化の進行速度には大きな個人差があり、その上、老化の身体的・精神的・社会的な機能面に対する影響の大きさは個人によりそれぞれ異なっている14)。また、生活習慣病を初めとする多くの疾患は高齢になるにつれて有病率が高まるため、高齢者は複数の疾患に罹患していることが多い2)-4)。従って、高齢者に対する医療提供にあたっては、かかりつけ医としての役割を意識し、全ての病態を把握した包括的な管理を目指すことが望ましい。

1.2. 身体的・精神的・社会的な機能の多様性から高齢者では個人差が非常に大きく、症状や所見も非定型的である事が多い14)-16)。こうした多様性を念頭に置き、高齢者総合的機能評価を用いて身体的・精神的・社会的な機能を個別に評価することが重要である17)-20)。また、高齢者では疾患の経過が医学的要因のみならず、環境要因の影響を強く受けるため、居住環境や生活習慣、経済状態、家族関係、社会関係を把握し、それらを医療に反映することが重要である21)-25)。

1.3. 高齢者では多病のため、複数の医療機関から断片的かつ重複した医療提供を受ける可能性が高い10)26)-28)。一方で年齢や身体的、精神的、社会的な機能の低下などを理由に、受け入れや処置などの医療提供が制限され過少医療に陥る危険性がある29)-33)。 高齢者においても有効性が確立された医療行為が存在することを念頭に置き、ベネフィット・リスクバランスを考慮した医療提供を心がける34)35)。

  ☆

 のっけから「すべて」把握するなんていう過剰医療を宣言しているようです。

 それ、「はじめに」で、難しい=できないって書いてたじゃん。

 いくら「重要」という言葉を重ねられても、最初に「できません」と言ったことは、できないわけです。「重要だけど、できません」という話を繰り返ししているのが、この項目。なのに、まるで、「できる」かのような書きっぷり。評論家の言う「○○が重要です」というセリフ、そのまんま。あれは、「重要だと自信たっぷりに言っておけば、重要でなくても実現不可能でも、その場の議論を切り抜けられる。むしろ重要だと述べたことが実現不可能であるほど、実行しないことに対して【重要だと言ったのに実行しないほうが悪い】と自分の責任を棚上げできる」という、詐欺師のテクニックなんですけれどね。

 過少医療の定義も、わけわかんない。社会的な機能の低下って、たとえば都心には住みたくないから湖畔に住んだら、ドクターヘリを使わなければ大きな病院に搬送できないなんて話も含みそうなんですが、それって過少医療ですかね? 受入や処置って、やれる範囲のことは、みなさんやっているはずで、精一杯やってもダメなものを「過少医療」などと言われてしまうのでは、驚くしかないでしょう。

 過剰も過少も、振れ幅がおかしすぎて驚くばかりの「指針」を示しておいて、「バランスを考慮した医療提供を心掛ける」なんて言葉で締められるとは、ほんとにびっくりです。

 指針を提示している側に、バランス感覚が皆無。従ったらバランスがよくなるとは、とうてい思えないような提言を確定させようとしている様子。これは「指針」じゃなくて、「妄言」です。だって、どこにも「基準」がないじゃないですか。

 トータルで「できないだろうけど、できるふりして、てきとーにうまくやっといてね」くらいのことしか書いていないのに、それを指針だのと言い切れるのが、本当に不思議です。

 まあ、これだけ、いろんな情報が大事で、全て把握しろと言っている以上、研究した方々のカルテには経済状態に家族歴から家の間取り、住まい周辺の様子、趣味に嗜好に友人関係といったことくらいは「全て」書いてあるのでしょうし、それらの情報を用いた治療についても記載があるのでしょうから、サンプル例として、ぜひ公開してほしいものです。(それが、ひとつの基準になりますから)

  ☆

2.「QOL 維持・向上を目指したケア」

・生活機能の保持、症状緩和などによりQOL の維持・向上を目指す。

2.1. 高齢者は若年者に比べて予備力に乏しく、若年者であれば一過性に終わるような疾病、例えば腰痛や肺炎であってもそれを契機として日常生活機能低下などによりQOL 低下を生じやすい36)-38)。一度日常生活機能低下を来すと完全な回復を期待することは難しいため39)40)、転倒予防41)42) やワクチン接種43)-47) などを行いその契機となる疾病を予防すること、また疾病に罹患した場合でも早期離床を図るとともに機能回復のためのリハビリテーションを早期から行い、日常生活機能の保持をはかることが重要である48)49)。

2.2. 老年症候群と呼ばれる高齢者に頻繁に見られる諸症状(認知症、せん妄、うつ、虚弱、廃用症候群、低栄養、嚥下障害、転倒、尿失禁、便秘、褥瘡、脱水など)50) もQOL 低下や日常生活機能低下を来すことが多い51)-53)。これらの老年症候群を予防し、また発症の際には早期発見、治療するため、包括的なスクリーニング、評価が必要である。特に認知症については、専門医療機関での鑑別診断を含めて早期の対応が重要である。

2.3. 高齢者の疾患は、その多くが治癒を期待できない慢性疾患である3)。このような慢性疾患に対しては症状緩和がより重要である。保健・医療・福祉の一体的な取り組みによって療養環境の整備、メンタルケアや栄養管理を含めたヘルスケア、緩和ケア等を行い、QOL を低下させる症状の緩和と共にQOL の維持・向上に努める。

  ☆

 んー?

 これって、まず、個々の患者さんの「もともとの日常生活機能」の状態を知ってないと、できないですよね。「この人は、このくらいで、いいんじゃないの」と言えなくちゃ、ダメみたいなので。それ、通院前から頻繁に会ってないと、分からないと思いますけど。病院に通院してくる時点で「最初の契機」は終わっていますから高齢者の現在進行形の疾患についてはおおむね治療不可能であるという前提でいいんでしょうか。

 で、「一度病気にかかったら、回復しない。治療できない」と主張して、「緩和医療」へのシフトを求めているようです。【治療はできないけどQOLは維持するからいいでしょ?】という姿勢ですね。いいんじゃないでしょうか。そのように、はっきりと言ってもらえたほうがいいです。それならセルフメディケーションで貼り薬と痛み止めを薬局で買い続ければ済む人も増えますし。

 「治療ができない」とはっきり言わずに「緩和医療」を治療と錯覚させているわけですが、更に、治療以前に問題があると述べるために「予防」が大事だという話も持ってきています。病気にならなきゃ治療しなくてもいいじゃん、というシンプルな展開。ここまでをまとめると、「絶対に『治療』には問題など起こらない」というスタンスを守るためなら、なんでも他のせいにして、責任回避する姿勢のようです。「学校のせいではありません、それ以前に親のしつけが悪い、学校の外の誘惑が悪い、ネットが悪い、ゲームが悪い…」とか釈明する教育関係者に似た論調。

 でも、不思議ですね。

 すでに予防医学という概念がでてきて20年以上はたっているのにも関わらず、いまだに「高齢者に頻繁に見られる」ような症状が、どうして「予防」できると言えちゃうんでしょう。逆ですよね、「まず予防は不可能であるから、いまだに高齢者に頻繁に見られるのは当然」と言い切ったほうが、話が早いのでは?

 しかも、そういった症状=疾患の多くは「治癒を期待できない慢性疾患」だと認めているので、慢性疾患は、高齢者においては、早期発見が治療に結び…つかない場合が多いということも、わかっているはず。(この項目は予防、予防と唱えているわりに、日本予防医学会の協力は受けなかった模様)

 この項目は、「高齢者の急性疾患は予防できそうだし治療もできることがあるけれど、高齢者の慢性疾患は予防できないし治療もできない」という前提で、「だったら、(急性疾患には)予防、(慢性疾患には)緩和医療だ」と、言っているんですよね。それを、ごっちゃにして書いてあるので、まるで、急性でも慢性でも予防できるかのような文章になるわけです。

 あ、「高齢者の慢性疾患」って、「高齢者の時点で発見された」のか「高齢者になってから発症した」のか、よくわからないですね。予防も、「高齢者に予防させる」のか「高齢者になる前の年齢から予防させる」のかで、だいぶ違うような。とことん、あいまいな指針です。「基準をつくったように見せかけて、何の基準も示さない」ための「指針」なら、あいまいなのも当然ですが。

 項目の最後には、療養環境の整備、メンタルケアや栄養管理を含めたヘルスケア、緩和ケアという領域に期待をつないでいるのですが、要するに、【治療できないから、病気治療以外の要素を充実させて、治療していることにしてよ】という結論。これって、もう、医師の継続的な関与をやめて、完全に専門家(宗教家やオーグメンテーテョン科学者も含む)に任せたほうがいいんじゃないかという段階ですね。それでも何らかの関与がしたい…という気持ちをぐっと我慢して、適切なところに持って行こうという話のようですが、まだまだ「医療関係者」の中だけで終わっています。

 そう、ここでも、最後はチーム医療。なのに、どの段階で医師(や、それぞれの「医療関係者」)が手を引くべきかという基準が示されていません。これでは、指針として機能しません。医療で解決しないことがあっても、「そっちには渡さないぞ」という意識では、QOLの実現を目的としているようにはみえません。

  ☆

3.「生活の場に則した医療提供」

・患者のQOL 維持に生活の場の問題は重要であり、適切な医療提供の場を選択する

医療提供の場を変更する際に生じる問題を理解し、予防に努める

3.1. 患者本人が生活の場として快適である場所、QOL を最も高く維持できる場所で可能な限り長く過ごせるように医療、看護、介護、福祉による地域包括ケアを含めた総合的なケアを提供する54)。入院治療が必要となった場合も、生活の場に早く戻る事を目標に早期から退院支援を十分に行っていく。

医療提供の場を選択並びに変更する場合には、患者本人・家族と積極的に情報を交換してどのような場がふさわしいかを決定する支援を行う55)56)。

3.2. 医療提供の場を変更する際、医療提供者間のコミュニケーション不足から不適切な医療が行われることがある57)58)。また、医療提供の場が変わることに伴い、せん妄などの精神症状59) や廃用症候群36)-38) を生じやすい。したがってこうしたリスクを理解し、予防に努めると共に円滑な医療連携を実践するべきである60)。

3.3. 医療提供の場として入院医療や外来医療に加えて訪問看護ステーションや認知症サポート医などの地域における医療資源を活用した在宅医療や施設における医療を考慮する。

  ☆

 入院治療の目標が「早く家に戻す」でいいのかなー、と疑問。

 家族との情報交換を前提にするなら、家族が「家に帰されても困る」ときに、どうするのかも考えないと。「(本人と家族が)決定する支援を(医療関係者が)行う」と書いてありますので、医師が「退院してください」と言っても、患者本人や家族が「嫌です」と決めたら『医療提供の場』が決まってしまうように読めます。まさか、「退院支援」という言葉の意味は「退院しろと強硬にすすめて長期入院を減らしてベッドをあける」という意味? まさかね…。

 『入院し続けることが「生活の場」として最適である』場合は、想定できませんかね?

 緩和ケアって、そういう話も含みますよね?(医師が常に関与する施設に医師の指示で居続ける状態を、入院と呼びますよね? ホスピスや老健だって「入院」の一形態ですよね? そういうところを誤魔化す「指針」は良くないと思います)

 指針の示すとおりにやったら、おかしくなりませんか? 

 で、また、ここでも「予防」って言ってます。

 『医療提供者間のコミュニケーション不足』の予防って、それ、どうやってやるのか、全くわかりません。今できてないものが、指針で書かれただけで出来るようになるはずもなく。項目1で指針が書いているような「全ての情報を収集する」ことができているのなら、それを地域で共有して、申し送り・ディスカッションが可能な状況をつくるのが、コミュニケーションの構築。こうした指針をつくった方々が、情報の地域共有に励んでくれるというのなら有難いことですが、もし「俺のやり方を説明するから、おまえら集まれ」みたいなやり方を「コミュニケーション」と呼んでいるのなら、それを「円滑」だと思い込んでしまった時点で、「患者の生活の場に即した」医療ではなく、「医師の都合にあわせた」医療だといえそうです。さて、この指針では定義されていませんが、「医療提供者間のコミュニケーション」って、いったい、なんなんでしょう?

 「地域における医療資源の活用」は、危惧していた「火事場のクソ力」です。考慮も何も、最初から関与しているのが当たり前。『医師があれこれやった後で、最終的に患者を押し付ける場所』としての位置付けは、ダメでしょうね。「あれこれやってもダメだったから、あなたにあげる」と言われた側が、そんな重いものを扱える余裕などないのですから。存在しない、無限の労働力・余力・金銭を「医療資源」などと呼んでいるわけですが、それはどこかの政党が「埋蔵金」と呼んでいるものに似ていますね。「いやいや介護は成長産業だから、これから人手が増えるんですよ」なんてことを言って誤魔化すんでしょうか。甘い見積もりで「資源」の量や質を計算していませんか? 簡単に増える人手は、簡単にいなくなります。バブルです。バブルだの、存在しない労働力だのに期待を込めるような指針を推進しなければならないとしたら、現場は泣くだけです。即刻、こういった『存在しないものに頼る記述』を全て削除することをお勧めします。

  ☆

4.「高齢者に対する薬物療法の基本的な考え方」

有害作用や服薬管理、優先順位に配慮した薬物療法を理解し、実践する。

4.1. 高齢者では有害事象が起こりやすい61)62)。薬物動態や薬力学の加齢変化63)64) を理解し、原則的に少量から薬物を開始し、薬物に対する反応・副作用をモニターしながら漸増する65)66)。多剤併用(特に6 剤以上)に伴って予期せぬ相互作用や薬物有害事象の危険性は高くなるため6)67)-72)、可能な限り多剤併用は避ける。また、高齢者にとって有害事象を起こしやすい薬剤が知られており73)74)、それらの薬に関しては特に慎重に適用を考慮する75)。

4.2. 認知機能の低下、巧緻運動障害、嚥下障害、薬局までのアクセス不良、経済的事情、多剤併用など薬剤療法に対するアドヒアランスを低下させる要因は多岐に渡る76)。服薬アドヒアランスについて、本人だけでなく家族や介護者からも定期的に情報を収集し、アドヒアランスを低下させる要因を同定し、予防・改善に努める77)78)。また、合剤の使用や一包化、剤形の変更など服用が簡便になるよう工夫する79)。

4.3. 高齢者は慢性疾患や老年症候群を複数有していることが多いが、高齢者対象の診療ガイドラインは十分に確立されておらず9)、若年者対象の診療ガイドラインの適用により必ずしも良好な結果が得られないため、疾患や症状毎に薬物療法を行う考え方は必ずしも適切でない10)-12)。個々の患者の疾患や重症度、臓器機能、身体機能・認知機能・日常生活機能、家庭環境を総合的に考慮し、患者と家族の目指す治療目標に応じて薬物の適用と優先順位を判断し、必要な薬物を選択し80)、優先度が低い薬剤は中止を考慮する62)81)82)。

4.4 代替手段が存在する限り薬物療法は避け、まず非薬物療法を試みるべきである65)66)。全ての薬剤(ビタミンや漢方薬、OTC なども含む)をお薬手帳などを用いて把握し83)84)、併用薬が不明な場合、原則的に新たな処方は避ける。薬物動態や薬力学の加齢変化、生活環境の変化63)64) によって、薬物が不要になる場合がある事を理解し、定期的に必要性を見直すべきである62)85)-88)。

  ☆

 えーと、この項目は、おおむね、薬剤師がやれますし、すでにやってます。薬物動態も加齢変化も。「できるだけ少量」なんていう曖昧な話ではなく、「検査値がこのくらいで年齢がこのくらいで、過去の薬の効き方がこうだったので代謝で気をつけるのはこれとこれ。だから、このくらいの量で、この間隔で十分」という判断を(危なっかしい薬・副作用が出やすい薬に対しては)しています。断言してしまっていいものか少し悩みましたが、しています、たぶん。

 アドヒアランスの低下要因。いろいろ挙げていますが、唐突に、「薬局までのアクセス不良」とか言ってます。でも、「病院・診療所までのアクセス」という難関をすでにクリアしている方々だという点も考慮してほしいところ。山の上にあるから行くのが大変、とか、検査ばっかりされるからいきたくない、とか、年下の医者に毎回ねちねち怒られるのが嫌、とかね。アクセス不良があっても、「あの先生は腕が良いから信頼しているので行きたい」といった要素で、マイナス面をカバーできるのですから、アドヒアランスの向上要因についても羅列したほうが良さそうです。薬局の薬剤師が嫌な奴である…といった要素は、フリーアクセスを堅持している限りは、他の薬局に行けばいいので、どうでもいい要素ではありますが。医師会はフリーアクセス堅持ですよね? それとも、薬局までのアクセスが問題だから、アクセス向上のために、フリーアクセスなんかやめて、全ての薬局を病院・診療所の中に置きたいんでしょうか(当然ながら、薬剤師が常駐するわけですから、調剤は薬剤師の完全専権事項になります。医師の例外的調剤は不可です)。あるいは、既存の薬局の隣にしか病院・診療所をつくらない方向ですか? 薬局が遠いのが悪いから、お前らがうちの近所に来い…なんてことを「改善」とは、言いませんよね?

 あ、必ずしも「合剤の使用」やら「一包化」やらが良い(適切)というわけでもないってことは、書いておかないと、ダメだと思います。合剤を処方してさえいればアドヒアランスに配慮していることになるような単純化がおこっちゃいますよ。ふたつあった薬がひとつになったから薬の数が減って良かったね…みたいなアホな話で、薬剤の中止だと錯覚させる流れ。ここまでの項目で「ひとりひとりの患者に合わせた治療」を推奨しているのに、いきなり画一的に「合剤が良い」「一包化が良い」なんてことを決めるのって、変ですよね。「服用が簡便になる」ことが素晴らしいとも限りません。簡便だと思って一包化したら、自分の呑んでいる薬の把握ができなくなって、まとめた薬を二包も三包も一気に飲んでしまう人だっているわけで。「簡単には服用できない」ことだって、ときには大事なんですよ。ハードルを低くすることばかり考えるのでは、多様な相手に配慮しているとは思えません。

 そうそう、全ての薬剤を把握するためには、注射や点滴の内容もお薬手帳に書いていただかないとね。この指針を決めた方々は、当然、すでに、書いてくださっているものと思いますが。(筆者は、病院・診療所が点滴内容まで記載しているお薬手帳を見たことがありませんし、検索しても事例を見つけられませんでした)

 「(高齢者の)全ての薬剤を把握する」という文言を提唱し、それが「過剰でも過少でもない状態」だと主張するのなら、それを必ず実現できるような「指針」にすべき。他の医師が処置した薬については無頓着な時点で、「指針」のいう「全ての」という言葉の定義が危なくなってきました。全ての情報、全ての薬。はいはい、全てですか。どんな範囲を指して「全て」なんでしょうね。海賊王ゴールド・ロジャーが「この世の全てを手に入れた男」と呼ばれる程度の「全て」でしょうか。「すべては患者様のために」の「全て」でしょうか。

 範囲を決めずに「全て」と言ってのける「指針」なんて、ありえません。

 もひとつおまけに。

 この項目、チーム医療について全く言及がありませんが、「薬物治療」って、医師と薬剤師と患者のチーム医療じゃないんですかね?

 他の項目も同様ですが、果たして、これらの項目の主語となっているであろう「医療従事者」って、それぞれ、どこからどこまでの範囲を示しているのでしょうか。

 「誰が」考慮するのかを書かずに「考慮する」と言ってのける「指針」なんて、ありえません。

 考慮する「誰か」が書いてないということは、定義されていない「医療従事者」だと自分を定義した方が行っても良いという解釈が成り立ちます。それだと、項目2に書いてある「ワクチン投与」を、医療事務さんや作業療法士さんが自分で判断して行ってもいい(もちろん法的にはダメ。この指針がやってもいいかのように推奨モードで書いてあることで、間違える人がいたら、この指針の責任は大きいはず)ってことになっちゃいます。この指針を考えた方々は、それでいいのでしょうか?

 ちゃんと範囲を決めてください。

   ☆

5.「患者の意思決定を支援」

・意思決定支援の重要性を理解し、医療提供の方針に関して合意形成に努める。

5.1. 高齢者医療では想定される優先目標が立場や価値観の違いによって異なってくる。例えば、高齢者医療の優先順位に関する意識調査において、高齢者が医療に対して望むことは「病気の効果的治療」であったが、医師が優先することは「QOL(生活の質)の改善」と異なっていた89)。従って治療に関するエビデンス、予後に関する情報を提供することによって意思決定を支援し、患者本人と家族の価値観を尊重しつつ目標に関して合意形成を行う事が重要である90)。

5.2. 合意形成において最も重視するべきことは患者本人の意思・価値観である。認知機能障害等により患者本人から意思、価値観を確認することができない場合であっても、患者本人の価値観を家族や医療チームが想定し、合意形成を目指す。

  ☆

 他の項目で「治せない」って言っているのが裏付けられているわけですが…。

 「治せない」のがはっきりしているのに、「合意形成」って、どういうことなんでしょう???

 意思決定支援も何も、「治してほしい(患者)」と「治せませんから緩和医療で(医療従事者)」の合意形成点って、「緩和医療で」以外の選択肢は「医者にかからない」ことだけかと思うんですが。

 そんな状態で、『合意形成』を目指す? 

 ゴールは決まってるのに?

 「ボク、仮面ライダーウィザードのDXベルトが欲しい!」と言っている子供に「仮面ライダーウィザードのミニプラベルトで十分よ」と、出資者・親の権力丸出しで「買えない」とは言わずに説き伏せる、どこかで見たことのある光景。子供は、なにもしてもらえなくなることのほうが損だし、次の機会も消失するから、渋々従っているだけ。それを『合意形成』だとか意思決定支援だなんて思える人って、けっこう、怖い。

 逆でしょ。

 「できないものはできないんだ」という、医療従事者にとっては悔しいかもしれないけれど実際にそうなんだからどうしようもない事実を、まず、最初に提示するのが筋でしょう?

 この項目のようなノリで『合意形成』を目標にしちゃうのって、要するに、『医療従事者が「できない」とは言わずに済む方法』のすすめであって、意志決定支援なんていうのは
もちろん、嘘っぱち。

 急に引用が少なくなって、この項目はたったのふたつ。その一方で「ニーズは合わない」ことが証明されていて、もう一方が「人工的水分・栄養補給の導入を中心として」意志決定プロセスに関するガイドライン。治療全般の話ではなく、栄養補給分野に偏ったネタです。治療全般に対して「合意形成」をどうするのかについての引用は、全くないんですよ。

 エビデンス重視に見せている文章で、急にエビデンスがない項目がでてきたわけです。

 この項目、馬鹿馬鹿しいし、恥ずかしいから、ぜんぶ削ったらどうですかね?

  ☆

6.「家族などの介護者もケアの対象に」

・家族を初めとした介護者の負担を理解し、早期に適切な介入を行う。

6.1. 介護者は心身に大きな負担がかかり、QOL 低下やうつ病などの危険性が高まることが報告されている91)-94)。従って医療提供に際しては介護サービスなどの社会資源を得られるよう積極的に情報を提供し、レスパイトケアなどの介護者の負担を軽減する方策を考えることが必要である25)95)-98)。介護者の心身への負担が強い場合には医療機関への受診を勧める。

6.2. 本邦においては少子高齢化や核家族化の影響から、「独居高齢者」、高齢者が高齢者を介護するいわゆる「老老介護」、認知症患者が認知症患者を介護するいわゆる「認認介護」が社会問題化している99)。そうした介護状況には格別の注意が必要であり、早期に家族等と相談の上、介護保険サービスなどを導入し介護者の負担も考慮したうえで、在宅療養維持のための介入を行うことが望ましい。

  ☆

 この指針って、「高齢者に対する適切な医療提供の指針」だったはず。

 この項目は、「過剰医療」をこえて、「指針の範囲拡大」では?

 介護者が大変にならないような、「高齢者に対する適切な医療提供」とは何かを考えるのが、この「指針」の役割で、「介護者にはこういうケアをすればいい」なんて話は、きっちりと高齢者に対する適切な医療提供をしたにもかかわらず、介護者の心身に大きな負担がかかった場合に考えればいいこと。つまり、この指針が「介護者の心身の負担を軽くするような高齢者に対する適切な医療」の提供に失敗した場合の話です。

 どうすれば「介護者の負担が減る、高齢者に対する適切な医療」を提供できるのかを論じるべきで、そこを放棄しておいて、本題とは関係のない事項を扱い、介護分野に丸投げすることで「なにか対策をとりました」みたいな顔をするのは、ダメだと思います。

 この項目、全部削って、「介護者の負担が減る、高齢者に対する適切な医療」を提供するための指針について書いてください。

  ☆

7.「患者本人の視点に立ったチーム医療」

・患者もチームの一員であることを理解し、患者本人の視点に立った多職種協働によるチーム医療を行う。

7.1. チーム医療とは「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」100) と定義される。高齢者に対するチーム医療の適切な導入は医療の質・安全性の向上、医療スタッフの負担軽減に有効である101)-108)。医療提供者は医療、看護、介護、福祉に携わる各職種の専門性をお互いに理解、尊重し、多職種協働によるチーム医療を行う109)。

7.2. チーム医療においては、患者本人の視点に立つことが重要である109)。相談と説明を行うだけでなく、患者本人及び家族のチームミーティングへの参加を促す。患者本人及び家族が能動的に医療提供に関わることで、医療の質の向上110)、機能低下や入院の予防55)56)111) が期待できる。

  ☆

 チーム医療。はい、定義の引用がきました。

 目的と情報の共有。

 業務分担。

 連携・補完。

 …と、書くのは構いませんが、ここまでの項目で、目的は「合意形成(医師主導)」でつくると明記し、情報共有を「全て」やれと言いつつカルテ開示をやれと書かず、「誰が分担するのかわからない」「どこまでやればいいのかわからない」のを放置したり、連携補完イコール介護分野への「丸投げ」で済ませたりしているのが、この「指針」です。

 とっても、うそくさい。(結論)

  ☆

さいごに

超高齢社会を迎えるにあたって高齢者医療はますます重要性を増すが、課題は多い。医療費の膨張に伴い医療制度の崩壊も危惧されており、持続可能な高齢者医療制度を確立するために医療現場からの提言は重要性を増すであろう。また、高齢者医療にはエビデンスが乏しく、有効性と安全性の両面からエビデンスとなるべき臨床研究の充実が必要である。

高齢者医療の実践面においては、多病と多様性を抱えた高齢患者を多様なケアの場において患者側の価値観にも配慮しつつ多職種協働で医療提供を行うという高度な医療スキルが必要となっている。

従って専門知識を備え、経験を積んだ老年病専門医が高齢者医療にあたるべきであるが、増加し続ける高齢者医療のニーズを満たせる程老年病専門医は充足していない。今後、老年病専門医の育成が必要であると共に、かかりつけ医に高齢者医療の知識とスキルを啓発する体制を作ることが喫緊の課題である。

また、高齢者自身が適切な医療を選択できるように、患者および一般住民に対して支援、啓発していく取り組みが必要である。そのために、また高齢者を支える生活環境の構築のためにも、地域社会や地域行政と連携した仕組み作りが求められる。

  ☆

 誰でも分からなければならない「指針」に、何言ってるのか分からない文章を書いて、恥ずかしくないんでしょうかね。

 こういう、何言ってるのかわからない文章は、おおむね、冷静に考えたらおかしなことを言ってますから、ちょっと考えてみましょう。

1.『医療費の膨張に対して「持続可能な高齢者医療制度」を確立する』のは、制度問題であり、この指針とは無関係。この指針は、制度変更に対する「医療現場からの提言」とは全く言えない。従って、この「さいごに」で記載する必要性がない。

2.「高齢者医療にはエビデンスが乏しく」は、その通り。事実。従って、この「指針」においても高齢者医療のエビデンスが乏しく、この指針における「こういうことが良かった、悪かった」というエビデンスが確立されていない可能性があり、「こうしたほうがいいのではないか」「これが大事である」という提案が、必ずしも正しいとは限らないことを追認している。

3.多病と多様性を抱えた高齢患者を多様なケアの場において患者側の価値観にも配慮しつつ多職種協働で医療提供を行うことが高度な医療スキルである=『平均的な医療従事者には望めない、「過剰」な医療である』ことを認めている。高度なスキルを持つと定義されている「老年病専門医」の数が少ない(注:日本老年医学会の検索では、日本全国の老年病専門医を合計しても平成24年12月の時点で1535人ほどしかいません。なお、平成22年7月時点の老年病専門医の数は1475人だったようですから、二年半で60人の増加です。専門医の育成が必要という話が書いてありますが、育成が難しい高度なスキルの持ち主であるから人数が伸びないわけで、少ないのは当たり前です。今後も少ないままでしょう)ことを認めている。統計局ホームページによると、この指針で扱っている75歳以上の人口は1422万人(総人口の11.2%)であるから、老年病専門医ひとりが一万人を担当する計算。これは医療資源である老年病専門医さんを過労に追い込む担当範囲の広さ。つまり、レアな医療資源を奪い合う「過剰な医療の提供」になる。この指針の目的である「過剰でも過少でもない医療」に反する。

4.「高齢者自身が適切な医療を選択できるように、患者および一般住民に対して支援、啓発していく取り組み」「地域社会や地域行政と連携した仕組み作り」といった点は、まさしく「高齢者に対する適切な医療の提供」という、この指針のテーマに関することであり、この点をどうするのか。『仕組みづくりが求められている』のなら、仕組みづくりの指針も求められているはず。にもかかわらず、この指針には仕組みづくりの指針を全く書かないというのは、おかしい。仮に、そういった議論をしていないというのなら、この指針自体が中途半端な代物であると、自ら証言していることになる。完全パッケージとしての「指針」ではなく、β版。パブコメにかける以前の段階。

5.『個人の「高度な医療スキル」が必要にならないように、スペシャリストが集まることで、実質的に高度な医療スキルを実現する』のが、チーム医療を推進する理由であるはずで、かかりつけ医のスキルアップの提言などは、そのごく一部にすぎないはず。視界が狭い。

 とりあえず5つほど考えてみました。

 これで、「さいごに」の項目で言っていることが、なんとなく、わかりますか? 

 要らないことを削って、整理します。

A.老年病専門医は、高度なスキルを持つが、数が少ない。

B.他職種協働なのだから、全ての患者に専門医があたる必要はない。

 えーと、これだけですね。

 て、ことは、『基本的にはチーム医療であたる。ひとりの高度なスキルが絶対必要な方については、そちらにお任せする』という分担でよさそうです。なぜか、そのように書いてませんけど。どういう分担なのか、どうバトンタッチするのか、最後まで読んでもわかりません。

  ☆

 あー、長かった。

 ひととおり読んでみましたが、これ、指針じゃないです(断言)。

 よくまあ、こんな未完成どころか骨格すらないような代物にパブコメを出してねと言えたものです。これをなんとなく公費の「研究」として認めちゃっている厚労省のお役人さん的には、120%お役所の作文でできている指針というだけで「み…見たこともないほど美しい指針だ。素晴らしい」とか言ってるのかもしれませんが、フツーにみれば、現場を混乱に陥れるだけの「駄文」でしょう。

 内容を一言で言うと、「老年医学会が認定している老年病専門医制度や老年病の講習会の参加者数を増やしたいという思惑と研究班の思惑がなんとなく一致したので、お墨付きとしての『厚生労働省の出資した研究』としての価値がある立派な指針を目指したけれど、結局『多様性』と『慢性疾患の治療が見込めない』という壁が大きすぎて、挫折。様々な問題点に対する指針を示せないのに、研究成果を出さなければならないという状況に陥り、【慢性疾患は治療できません】と正直に書きつつも明記はせず、『医師以外の職種を巻き込む』と書くことで指針を示しているかのように作文をして、お茶を濁して面子を保った」という内容。

 もう一度書きますが、

目的は「合意形成(医師主導)」でつくると明記し、情報共有を「全て」やれと言いつつカルテ開示をやれと書かず、「誰が分担するのかわからない」「どこまでやればいいのかわからない」のを放置したり、連携補完イコール介護分野への「丸投げ」で済ませたりしているのが、この「指針」です。

 需要の仕分けのための指針…かと思ったら、仕分けができない仕様。

 需要を満たせないけれど仕分けもできない、じゃあ、高齢者はどうすればいいの?

 この指針によって、今までよりよくなることって、何?

 さあ、どんなパブコメを書けばいいんでしょうか。

 少なくとも、この指針を手放しで「良い」などと書くのは、ありえないわけですが、「半分以上おかしいから、全面的に直せ」っ書いて、まともに相手する気、あるんですかね?(たぶん、ない)

  ☆

【おまけ】

●今回はかなり偏った視点で指針を読んでいます。

 好意的に読めば、いいことを言っている部分は多いです。ただ、それらの行為を担保するものがないに等しいだけで。本気でやるというのなら、面白い試みです。分担と範囲をきっちり決めて、すぐさま実行してほしいことばかりです。

●日本老年医学会は、過去のOTC薬関連の評価において主張してきた様々な話の根幹になってきた『必ず専門医に見せるべきだ』『少しでも有害事象のある薬は医師が管理する』という点を、この指針によって、日本老年医学会自身で否定したと考えられます。ほら、『分担』や『範囲』の定義がない指針ですからね、これ。

 で、緩和医療に言及するなら、当然入ってくるべきセルフメディケーションとスイッチOTC薬認可の話には、この指針は、一切触れていません。

 薬事日報さんの記事を引用するなら、

老年医学会は、「合併症と併用薬に配慮し、効果と安全性に留意しながら、常に少量・少数の薬剤で治療に当たることが高齢者薬物療法の原則」と高齢者のセルフメディケーションに慎重な立場を表明した。「少しでも有害事象の危険性のある薬剤は医師の管理のもとで処方されるべき」とも指摘した。

 と言ってるのが、この指針の協力団体の、日本老年医学会さん。

●指針について、 「いやいや、あの文章は、これこれこういうことを示しているのであって…」だとか「それは基本的要件ではありませんので…」なんていうことを後付けでおっしゃる方がいるかもしれませんが、「だったら、そう書けばいいじゃん」でオシマイ。そう書かなかったんだから、欠陥でしょ? 「責任回避以外は、何も決めていないに等しい指針」なんて、欠陥商品以外のなんなんでしょうね。

 全面的な書き直しが必要だと思います。

 必要ない項目を削り、範囲・分担の明記をし、都合が悪いからわざと入れなかっただろう重要項目の検討をして、分かりやすい言葉で書くだけです。

 ここで「厚労省の研究だから年度末の締めきりが…」なんてことを真顔で言うような研究班だったら…。高齢者医療の根幹の仕上げよりも、役所の締め切りと予算の返却のほうが優先だなんて。ああ、こわいこわい。部活の予算獲得のために友人を売るようなマネを、いい歳したオトナがしているなんて…。そーゆーのは、フィクションの世界だけであってほしいものです。

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東京保険医協会「ジェネリックについての緊急アンケート・詳細版」も読んでみる遊び。

今回は、「お待たせしました」という触れ込みで発表された、【詳細版】を読んでみます。

暫定版と詳細版があるのなら、

詳細版は、暫定版の内容をほぼ全て含みつつ、細かいデータや、さらなる踏み込んだ分析を行うものであると、

筆者は勝手に思っていましたが、

東京保険医協会さんの中の人の場合は、どうも、そうではなかったようです。

一言でいうと、

「詳細版のほうが、暫定版よりも、分析があっさり」。

分析というよりも、数値を読みあげているだけの記述が目立ち、添えられているコメントも、当たり障りのない感じに変更です。文章表現を、大幅にかえてきました。

暫定版における、このブログでツッコミを入れたあたりを中心に、編集でカットを入れまくったかのような報告書になっています。

詳細版の日付は2012年5月30日ですから、筆者が暫定版に関する感想etcを公開した日(同日)には、すでに、つっこまれどころに気が付いていたということでしょうか??? あまりにも見事にツッコミ部分が削除されていたり、ツッコミに対しての返答かと勘違いしてしまいそうな言葉が追加されていたりして、東京保険医協会には未来予知(ブログ記事限定)の超能力者でもいるのかと、ドキドキです。

もう「暫定版」は消えてしまいましたので、5月25日から6月1日までの短い命で訴えられた内容も一緒にさよーならー♪(このブログに、「暫定版」の引用文が残されていますので、内容をじっくり比較したい方は、そちらの記事もご覧ください)

暫定版への指摘とのシンクロ対応未来予測っぷりが面白かったので、そちら中心に、少し確認してみます。

  ☆

まずは、目的を確認しましょう。

【暫定版】でも【詳細版】でも、東京保険医協会さんの作成したポスターの関連情報として位置づけられているはずなのですが、なんのためのアンケートなのかという説明は、以下の通りでした。

【詳細版】

 【アンケートの目的】
 協会が作成した「ジェネリックは医師に相談して」ポスターに対して、ジェネリックの学会やNPO団体が患者に誤解を与えるなど非難を行っている。また、ジェネリック製薬メーカーの団体からは懇談を求められた(2012年5月11日「日本ジェネリック製薬協会」役員との懇談を実施)。さらには日経新聞が論説でこのポスターを問題視しているこれらはジェネリック使用を拡大しようとする一連の動きである。
 ジェネリックは本当に問題なく診療に取り入れられているのか。保険医協会会員はどのように考えているのか。ジェネリックの課題は何か。一般名処方の賛否はどうか。これらを解明すべく、調査を実施した。

ふむふむ。

この項目で言いたいのは、

1.(ジェネリック推進そのものには反対していないはずの)東京保険医協会のポスターを非難することは、ジェネリック使用拡大の動きである。

2.ジェネリックが東京保険医協会の会員による診療に取り入れられるにあたって、問題があれば明らかにしたい。

3.一般名処方の賛否が、東京保険医協会の会員のジェネリック推進にどう影響しているのかを明らかにしたい。

といったあたりでしょうか。

1.は、目的をあやふやにする要素がてんこもりなので、もう少し整理か必要です。

いえ、東京保険医協会さんが、「私たちの協会は、全てのジェネリックに大反対」という立場なら、「ジェネリック使用を拡大しようとする一連の動き」には反対するのが普通ですけれど、東京保険医協会さんは、そういう立場をとっていませんから。

【品質の良いジェネリックは賛成。ぜひ推進しましょう】という立場ですよね、確か。

非難している側との大きな違いは、その「品質の良い」という基準に対する考え方です。

ですから、非難の動きに対して「ジェネリックの使用を拡大しようとする一連の動き」などという陰謀説的な書き方をするのではダメです。東京保険医協会さんも、「ジェネリックの使用を拡大する」という点においては、同じ立場にあるのですから

「ジェネリックの品質に関して、現状の審査でよいとする立場」や「より品質の良いジェネリックを選択する能力があるという東京保険医協会の主張を疑問視する立場」からの意見がありましたよね…という話です。

これに対して、東京保険医協会さんは、「ジェネリックの品質に関しては、現状の審査基準ではダメだ。もっと厳しくすべきだ」と回答したわけですが、もう一点の「より品質の良いジェネリックを選択する能力があるという東京保険医協会の主張を疑問視する立場」への回答はしていません。

ポスターの作成前に会員アンケートをとった結果として「より品質の良いジェネリックを選択する能力があると、東京保険医協会の会員の多くが回答した」という事実があれば、「なるほど、それなら、ポスターの文言も、少なくとも何の根拠もなく書いてあるわけではなく、自らの自信の表れをキャッチコピーにしただけで、特に問題にならないよね」といった解釈もできそうなんですが、今回のアンケートの項目は、「特に会員に訊くこともなく、できると言っちゃったんだけれど、実際問題として、みんな、できるよね?」という調査になっています。

ポスターの件とからめたときの目的としては、【「ポスターに書いちゃったことの裏付け」が実際にあるのかどうか】の調査をしていることになるかと。

目的はそこですから、

調査結果にて「裏付けがある」となれば、胸を張ればいいし、

調査結果にて「裏付けがない」となれば、ポスターについては謝ればいいし。

執行部と一般会員の感覚のすり合わせができればそれでいいというアンケートなのだと思いますので、結果に従って、粛々と主張内容を見直せば解決です。

  ☆

青:【暫定版】

 協会は5月1日、FAXで「ジェネリック医薬品(以下、後発品)に関する緊急アンケート」を実施した。この調査は協会の開業医会員4,296人を対象に16日まで連休を挟んだ期間に実施し、1,229人(28.6%)から回答が寄せられた。

 回答者の病診別や年齢構成の分布は会員全体の構成と概ね一致していることから、回答は全体の傾向を示していると考えられる。

茶:【暫定版へのツッコミ】

 回収率は、特にツッコミません。この回収率でも十分に意見を反映しているということを認めたうえで、話をすすめます。

緑:【詳細版】

【調査方法、回収数】 今回の調査は、東京保険医協会の開業医会員でファクシミリを送付可能な4296人を対象に実施した。5月1日、アンケートを送付。5月23日までに1237人から回答が寄せられた。回収率は28.8%である。いくつかの設問では「その他」を選択した方に記載を求めた。また、薬効差がある、副作用があるなどの具体例も挙げていただいた。さらに、欄外に記載されたご意見も多数寄せられた。報告にはこれらもできる限り反映させている。 この種のアンケートとしては異例の高回答率であり、会員のこの問題に対する関心の高さをうかがわせる

 回答者の院所の形態別の構成は当会の開業医会員の院所の形態別の構成とほぼ一致している。 開業医会員全体の率は、無床診92.7%、有床診3.9%、病院3.4%である。回答者の年齢分布は、40代が3.6%多く、70歳以上が3.5%少ないのを除くと開業医会員の年齢分布と概ね一致している。 これらのことから回答は全体の傾向を示していると考えられる。

【ここのポイント】

 「異例の」とまで書く必要があるのかな、という気もします。医師のアンケート回収率が著しく低いのは、国のアンケートであっても低回答率だった「特定看護師(仮称)」関連の看護WGでも露呈しています。でも、そんなことは、一般の方には理解してもらえそうにありませんから、「異例の高回答率」というコメントは、親切な解説と考えてよさそうです。

 それだけ強調しているのですから、このアンケートの結果は、会員の総意にかなり近いという認識で、会務に取り入れていくのだと期待しちゃいます。

 また、暫定版と比較して、増加人数は「8人」です。

 ここ、大事なので、おさえてください。

 このあとのどんな結果も、暫定版と比較して「8票」以上は増えようがありません。

  ☆

>現在後発品をお使いですか?

青:【暫定版】 

 後発品を一部使用も含め使用している割合は、85%に及ぶ。2003年に保団連が実施したアンケートでは68.1%(東京の会員だけの集計)であった。実に16.9%増加している。

 逆に「ほとんど、または全く使用(処方)していない」は、28.8%から14.1%に半減した。東京でも後発品が浸透している

茶:【暫定版へのツッコミ】

 「実に」と言うほどの結果ではないので、気持ちを込めすぎな分析です。

緑:【詳細版】

 一部使用も含めると、後発品を使用している割合は85.2%に及ぶ。2003 年に保団連が実施した同じアンケートの東京の会員の回答では、68.1%であった。17.1%増加した。東京でも普及が進んでいる。反対に「ほとんど、または全く使用しない」は28.8%から14%に半減した。

【ここのポイント】

 淡々と、「17.1%増加した」という記述に。

 「実に」の16.9%から、更に0.2%増えたのに「実に」は抜けています。

 「2003年に実施された」という全国保険医団体連合会の「同じアンケート」を探したのですが、全国保険医団体連合会のホームページには掲載されていないようです。わざわざ「同じアンケート」という記載が増えたのですが、当時も一般名処方についての設問などがあったのなら、【詳細版】では、それら2003年の結果との比較もしてほしかったところです。

  ☆

【暫定版】

 使用しない理由では、「薬効に信頼が持てない」、「副作用の発現」、「先発品で足りる」、「名前に違和感」が多い

 また、未使用者の76.1%が今後も使用しないとしている。全体に対しての率は10.9%である。

【暫定版へのツッコミ】

 「医師が選んだ安心な後発品を」というポスターの主張にも賛同しない医師が15%(14.1%ですが切り上げ表記します)ほどいることが明確化したわけです。

【詳細版】

 問7で現在後発品を「ほとんど、または全く使用(処方)していない」と回答した方に対して、後発品を使用しない理由を尋ねた。

 「薬効に信頼がもてない」、「副作用の発現、安全性に対する危惧がある」が群を抜いて多く、次いで「先発品を使用していて不自由がない」が続く。「名前に違和感がある、名前を覚えられない」もあった。

 問7で現在後発品を「ほとんど、または全く使用(処方)していない」と回答した方のうち、「今後も使用しない」というコアな回答が75.1%ある。「使用する予定」は2.3%に留まっている。

 後発品をほとんど・全く使用しない会員にとって、後発品は信頼できないという思いが強いことがうかがえる。

【ここのポイント】

 『ポスターに賛同していない医師の「今後も使用しない」という意見は、「コアな回答」である』という分析です。

 この場合の「コアな回答」って、どーゆー意味なんだかわかりません。一般的な使い方を探してググってみましたが、意味合いが様々だったので、発言者次第で意味が変わる言葉ということで。

 「こいつらは、我々執行部とは違う種類だから」と言いたいのか、「この方たちは、まさしく我々執行部が思っている核心的な意見を代表しているのだ」と言いたいのか、どっちなんでしょう。

 「品質の良いジェネリックなら推進したい」という東京保険医協会さんの主張からすると、「品質が良いジェネリックがあろうが関係なく推進したくない」という主張を、今後どう取り扱っていくのかを明らかにできると、説得力が増すのですが…。

  ☆

【暫定版】

 後発品は専ら経済的な理由で使われている。「患者負担を軽減するため」、「患者から求められる」、「日本の医療費を抑えたい」という回答が上位で、「効能、効果が先発品と同等」は2割を切り「安全で信頼できる」は2.3%しかない

【暫定版へのツッコミ】

 【「日本の医療費を抑えたい」という回答が上位で】なんて書いてありますが、それ、29%です。後発品を使用している医師のうち70%は、日本の医療費の抑制と後発品は無関係だと考えているのか、医療費抑制に興味がないのか。

 ものすごく好意的に考えても、【後発品の相談をした場合、89%の確率で、安全で信頼できる処方を書いてもらえないらしい】という結論

【詳細版】

 問7で後発品を処方していると回答した方に対して、使用理由を尋ねた。 「患者の薬剤負担が軽減される」「患者さんから要望があった」が多数を占め後発品は経済的な理由から使われている事が明瞭になった。医療機関も患者の負担を配慮して後発品を使い、患者からも負担が安くなるとの思いから求められる。「日本の医療費を抑えたい」という回答もあった。一方、「効能、効果が先発品と同等と思う」は、2割を切っている。

【ここのポイント】

 詳細版は、まず、「後発品は経済的な理由から使われている事が明瞭になった」と結論付けています。ここで「経済的な理由」とまとめられていることには、違和感があります。想定される「経済的な理由」は、『国家経済』『医療機関の経営』『患者の支払い能力』といったものがありますが、アンケートで多数を占めたという項目からは、それらのうちで『患者の支払い能力』が理由であると判断できそうです。詳細版では、【暫定版】にあった「日本の医療費を抑えたいという回答が上位」という文言が抜けていて、「患者の負担軽減」という点が、より強調されています。

 「患者の負担軽減のためならば、安全性に信頼がおけなくても、後発品を処方している」という点が強調されたわけですが、これでは東京保険医協会さんが主張する「私たちは、安全で信頼できる後発品を選びます」というのとは話が違うわけで…。

 安全で信頼できることを最優先にしているからこそ、患者から何を言われようが後発品は処方しない・後発okの処方せんもださない…という、筋の通った活動をして「いない」のが実態なら、『安くなりますよ』としか説明しないよーな薬剤師と、後発品へのスタンスは、似たりよったりなわけで…。ごにょごにょ。

 抜けといえば。

 もうひとつ抜けているのが、「安全で信頼できる、は2.3%しかない」という文言です。「安全で信頼できる」の数字は、東京保険医協会さんの主張を補完する、とてもとても大事な数字なのですが、すっかり分析から抜け落ちてしまっています。この回答の数値がとっても高かったら、東京保険医協会さんの主張する「医師は安全で信頼できる後発品を使用する能力がある」という話に対して、所属する会員さんたちも同様に考えているということで理解できるのですけれど。

 数値がとっても低いということは、所属会員の考えと会の主張が大きく乖離しているということで、主張の最も大事な部分の担保ができないわけですが……だからといって、分析においてスルーするのでは、アンケートの目的に反しませんか? まさしく、この部分を明らかにするために行ったアンケートだと思うのですが。

 また、【詳細版】には、「その他」の回答がずらりとならんでいるのですが、『保険者から目をつけられるのが恐ろしいから』のように、医療機関側の経営運営上の問題について書いている方もいる一方、東京保険医協会さんが主張するような、後発品の特徴をうまく使いこなしている方もいます。

 「いやいやながら使っている」医師と、「上手く使いこなしている」医師と。

 東京保険医協会さんの目指す「会員」は、「上手く使いこなす」会員ですよね?

 それなら、「その他」の回答内に、「問題の解決策」はあります。

 使いこなしている会員の智慧を、吸収することです。

(※この部分の「その他」の回答を眺めていると、とても面白いのですが、医師側が処方せんの書き方を理解していないことに起因する薬局への文句は、さっさと誤解をといておいたほうがよさそうです…)

  ☆

【暫定版】

 実際に後発品を使用した感触は、「先発品と変わりがない」は19.3%で、「薬効が劣るものがある」45.8%、「副作用の頻度が高いものがある」11.4%、「心理的に不安」42.9%、「薬効や副作用の面以外の不満」31.1%である。何らかの不満を訴える回答が多い

【暫定版へのツッコミ】

 何らかの不満を訴える回答が多いという結論は、ひどすぎです。

 もともと、何らかの不満を訴える選択肢しか用意されていません

 最大級のプラス評価が「先発品とかわりない」レベル。

【詳細版】

 実際に後発品を使用した感触では、「先発品と変わりがない」は19.4%で、他は不満を示す回答である。「薬効が劣るものがある」「副作用の頻度が高いものがある」「心理的に不安」「薬効や副作用の面以外の不満」である。

 経済的理由から使用しているが、満足できているわけではないという実情が見て取れる。

【ここのポイント】

 この設問だけでは、「経済的理由」との関連は、全くわからないはずですから、【詳細版】の追加コメントは、前段の結論である『後発品は経済的な理由から使われている事が明瞭になった』をベースにしているコメントのようです。

 「患者の負担軽減のためならば、安全性に信頼がおけなくても、後発品を処方している」という点を、さらに強調したことになります。

  ☆

【暫定版】

 薬効や副作用以外の不満では、「情報提供の不足」、「薬の名前」、「MRの訪問が少ない」が多い。情報の不足は、「MRの訪問」、「研究会の開催が不十分」も含めるとのべ1159人(回答者の94.3%)が挙げている。よく知らない薬を処方することへの強い抵抗が示された。

 また、「分割するときれいに割れず粉々になってしまう」、「点眼しにくい瓶に入っている点眼薬」、「錠径が大きい」といった細かな工夫を欠いているという指摘も寄せられた。

【暫定版へのツッコミ】

 複数回答の質問に対して、のべ数で話をすすめるというのも、あほらしい

 「勝手な分割の防止」「過剰点眼防止」「紛失防止」といった用途に使える製剤があってよかったな~と思えば不満になるはずもない

【詳細版】

 「情報提供の不足」、「薬の名前」、「MRの訪問が少ない」、が多い。情報の不足はMRの訪問、研究会の開催が不十分も含めるとのべ1240 人が挙げている。よく知らない薬を処方することへの強い抵抗が示された。

【ここのポイント】

 暫定版では項目タイトルにまで書いていた「1159人(94%)」の文字が消滅。

 「のべ1240人」という数字に変わっています。

 1237人のアンケートで、1240人を「のべ」人数なのに%表記したら、「100%をこえる」ことに気付いたのでしょうか? 堂々と、【1240人(100.24%)が「情報の不足」を指摘】と書いてあったら、数字に疎い担当者にアンケート分析を押し付けるなという声が聞こえてきたかもしれませんので、まずは、めでたし。

 で、ここで挙げられた項目で「情報の不足」というカテゴリに入るのは、解説によれば「情報提供の不足」「MRの訪問」「研究会の開催」の三つということでよろしいでしょうか。

 三つですよね。

 詳細版の数値を足してみます。

 情報提供:635

 MRの訪問:377

 研究会:228

 635+377+228=1240。ぴったりです。

 うん、三つで、いいようです。

 暫定版は、「のべ1159人」と書いてありました。

 三つを足すと、594+351+214=1159。

 全体が1229で、そのうち1159なので、94.3%。

 これも、間違いなさそうです。

 暫定版から、詳細版までの間に、回答者は「8人」増加しました。

 暫定版1229、詳細版1237。

 三つの項目すべてに「8人」が投票した場合、のべ24人ぶん、増えます。

 1240-1159=81 > 24

 これ、どういうことなんでしょうか???

【検証】

 暫定版時の三つの項目の数値

  594 351 214

 詳細版時の三つの項目の数値

  635 377 228

 その差

   41  26  14

 いずれも、今回増加した回答者数を上回っています

 「その他」の項目の該当するものを持ってきたのかと考えて、暫定版時と詳細版時の「その他」を比較してみます。(それでも、重複する可能性があるから、ダメじゃん、という話ではありますが)

 暫定版:64

 詳細版:75

  11、増えてました。

 8人しか増えていないはずなんですが、「11人いる!」。

 これらって、どーゆーことなんでしょうか。

 もしかして、年増じゃなくて、水増(略)

  ☆

【暫定版】

 4月から始まった「一般名処方」では、「賛成」が18.9%、「反対」は58.2%である。「薬局から調剤した医薬品の報告が多くてカルテに記載するのが大変」という意見もあった。事実上、処方権を手放すことに対し賛成が少ないことはうなづける 

【暫定版へのツッコミ】

「事実上、処方権を手放すことに対し賛成が少ないことはうなづける」との分析が成り立つためには、東京保険医協会さんの会員医師の6割が、「反対だから、筋を通すために、一般名処方は一切行っていない」という実態であることを裏付けるなにかが必要なんじゃないか 

【詳細版】

 4月から始まった一般名処方、「賛成」は18.4%に留まる。

【ここのポイント】

 コメント、完全削除。

 なお、「薬局から調剤した医薬品の報告が多くてカルテに記載するのが大変」という意見ですが、一般名処方は報告の必要がなかったのに、あえて報告する制度にするようにと無茶な話を言ってきたのは…すくなくとも、薬剤師側では、ないですよ…。

 あと、一般名を「短くしろ」というコメントには、ある種の新規性を感じました。

  ☆

【暫定版】

後発品への疑問、やはり払拭できない

 患者の経済的な事情からも後発品を選択せざるを得ず後発品の使用が進んでいるが、今回のアンケートからは、「効きが劣ることがある」「副作用の発現が多い(アレルギーのある患者には処方しない)」「情報が得にくい」「供給が不安定など」、後発品の問題点が明らかになった。これら問題の改善は、後発品が信頼されるためには絶対に必要である。

 また、後発品が登場しても先発品の薬価は高く据え置かれている。薬剤費を下げるには高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要だ。 

【暫定版へのツッコミ】

 そういうところまでカンペキにクリアできることが「薬が信頼されるためには絶対に必要」と言い切られちゃうと、信頼される薬って、どこにあるのかな

 高すぎる先発品薬価の引き下げについては、「先発品メーカーが傘下の後発品メーカーに全く同じ薬をつくらせて、先発品として販売し続ける一方で、傘下の後発品メーカーが後発品としても製造販売する」という方式があります

【詳細版】

 後発品の使用が進んでいるが、決して信頼されているわけではない事が明らかになった。今回のアンケートから、効きが劣ることがある、副作用の発現が多い(アレルギーのある患者には処方しない)、情報が得にくい、供給が不安定など、後発品の問題点が浮き彫りになった。後発品が信頼され広く活用されるためにはこれら問題の改善が絶対に必要である。

 また、今回のアンケートでは十分検討が出来なかったが、後発品が登場しても先発品の薬価が高く据え置かれている問題もある。薬剤費を下げるには高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要だ。

【ここのポイント】

 詳細版の小項目ではあれほど強調していた「患者の経済的事情」を、まとめでは割愛。

 「医師から信用されていない」という点が強調され、後発品の問題点の改善は「医師の信頼を得るため」の手段だと定義されました。

 先発品の薬価引き下げ論については、「今回のアンケートでは十分検討が出来なかったが」という注釈がはいりました。

 では、この部分についての唯一の検討設問であり、【暫定版】では公開されていなかった設問でもある「現在の先発品の薬価に対する印象は?」という項目の結果をみてみます。

  ☆

Q6:現在の先発品の薬価に対する印象は

 高い:563 (45.5%)

 妥当だと思う:581 (47.0%)

 低い:34 (2.7%)

 N/A:59 (4.8%)

【詳細版】

 協会では「高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要」と主張しているが、先発品薬価が妥当という意見が47.0%でトップであった。その理由までは、今回調査していない。

【ここのポイント】

 会員の意見は、「まあ、妥当じゃん。すくなくとも高すぎると言い切れるほどではないよ」といったあたりに収まりそうです。

 でも、「まとめ」では、【薬剤費を下げるには高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要だ。】と言いきっちゃってます。

 「いろいろな先発品があるけれど、その中で、後発品が存在する先発品のうち、妥当ではない価格のものに関しては、引き下げるべきだ」ということを言いたいのか、それとも、「とにかく後発品が存在する先発品は全部高すぎるから引き下げるべきだ」なのか、それとも「後発品が存在しなくても、先発品は全部高すぎるから引き下げるべきだ」なのか…。

  ☆

暫定版との比較は、以上です。

シンクロしているようにみえますでしょうか。偶然ってスゴイ。

あとは、詳細版のみの項目の続きをみてみます。

  ☆

問13:過去5年間に先発品と比較して薬効が異なる(効きが弱い、効きすぎる)経験をしましたか

問14:過去5年間に先発品と異なる副作用や、先発品と比較して副作用の頻度が高い経験をしましたか

 このふたつの設問には、「ある」の場合の続きがあります。

→「ある」の方へ。メーカーあるいは代理店へ連絡しましたか

問13の「ある 410 → はい 63 いいえ 304」

問14の「ある 159 → はい 32 いいえ 108」

暫定版へのツッコミで

 「先発品と比較して薬効が異なる経験をした」は、38.1%
 とやらの選択肢は、どこに書いてあるのでしょうか???

と書いた設問は、ここにありました。

気になる経験を、きちんとメーカーに伝える医師が二割もいます。素晴らしいことです。

  ☆

さて、質問項目には、他にも、

問1:病院の形態

問2:先生の年齢

問3:先生の開業歴

問4:主たる診療科

問5:医薬分業は(注:おそらくは、院外処方せん発行の有無を聞いている質問だと思います)

問12:どのような領域の薬を使用していますか

といったものがありますが、これらの使いどころは、今回の分析では、「会員の構成分布と一致するか」だけなんですよね~。

ちょっとでいいから、クロス集計してほしいんですが。(暫定版でグラフ化していたことから、すでに集計内容は表計算ソフトなどに入力済みだと思いますので…)

問5で「院外処方せんの発行をしている/していない」と回答した方が、他の問ではどう答えているのか…とか。

問4での「主な診療科」が、他の問の回答に影響していないのか、とか。

問10で「後発品は安全で信頼できる」と回答した方の年齢や開業歴や診療科には、特徴があるのかどうか…とか。

せっかく「この種のアンケートとしては異例の高回答率」のデータを手に入れたのですから、もっと活用しないと損です。

  ☆

【まとめ】

 アンケートの当初の目的であったと考えられる「会員の意見が協会の主張と合致していることの証明」できなかったわけですが、今後の方針を考える上で、傾向を分析し、どの年齢層・どの診療科に対して、どのような対話をしていくと良いのかを知ると、きめ細やかな対応が実現していきそう。いまこそマーケティングです。詳細版に続く【分析版】や、結果を受けた【主張の適正化】など、このアンケートを踏まえた「続き」が楽しみです。

 「その他」の回答には、いろいろと参考になる意見があります。それらをみて、「誤解がひどいな~」という部分、「どんなふうにやっているのか知りたいな~」という部分などを丁寧に拾い上げて、適切に対応し、情報提供をしていく…ようなことを、東京保険医協会さんに求めるのは申し訳ありませんので、東京都薬剤師会あたりに丸投げしていただくと、ジェネリック推進派として知られる都薬会長のノブさんが、あれこれと検討してくれるかもしれません。御一考を。(検討しないかもしれませんが…)

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