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エパデールOTC:議事録と反対理由の稚拙さとネット販売検討と。

日本医師会の鈴木さんが「十分な審議が行われていないうえに非公開だからダメだ」と難癖つけていた審議会の議事録がでました。

厚労省のいつもの癖で、あれこれ改竄されている可能性もありますが、政権が変わったことで、そのあたり、改善されているといいなぁと、期待しつつ、該当部分を読んでみましょう。

とりあえず、引用。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xdr5.html

  ☆

それでは審議事項議題3「医薬品エパデールT、エパアルテの製造販売承認の可否について」の審議に入りますが、参考人の東京慈恵会医科大学附属柏病院総合診療部部長であり、日本動脈硬化学会の理事でもある多田先生にも加わっていただきたいと思います。
── 多田参考人入室 ──
○望月部会長 どうぞよろしくお願いいたします。まず、審査管理課から説明をお願いいたします。

○事務局 審査管理課より説明させていただきます。エパデールT、エパアルテについての説明をさせていただきます。本品目の概要として、有効成分がイコサペント酸エチル、効能・効果が、健康診断等で指摘された境界領域の中性脂肪異常値の改善であるスイッチOTCであり、服用対象者は健康診断等で中性脂肪値が境界領域の範囲150mg/dL以上、300mg/dL未満であることとされています。また本剤は海外での承認はありませんが、DHAとEPAを有効成分とした高トリグリセリド血症等を効能とした一般用医薬品が、イギリス、ドイツ、フランスで販売されております。承認条件としては、通常課せられる3年の安全性に関する製造販売後調査に加え、市販後の薬剤師の関わりが特に重要となるため、一定数の症例データが蓄積されるまでの間は使用実態に関する調査を実施して、的確な服用対象が選択されているか、適切な受診勧奨が行われているかなどを調査することとしております。本申請は、平成22年11月24日と、平成23年2月24日の2回、本部会で御審議いただいており、これまでの御指摘を踏まえた対応策を事務局において検討することとされておりました。本日は前回までの審議資料に加え、当日配付資料4とした事務局で取りまとめた、エパデールT、エパアルテの審議に係る一般用医薬品部会での御指摘と対応、新たに改訂した添付文書、セルフチェックシートを配付しております。
 エパデールT、エパアルテの審議に係る一般用医薬品部会での御指摘と対応を、御覧ください。本部会において、これまでの審議におきまして本資料の四角で囲まれている3点の御指摘をいただいております。それぞれにつきまして御指摘の内容と対応を説明させていただきます。
 1点目ですが、本剤の対象である中性脂肪が高値の患者は、糖尿病等の疾病が隠れている場合があり、医療機関を受診せず、本剤を服用することは早期発見を妨げる可能性があるのではないかとの御指摘です。これにつきましては、お手元の添付文書の裏側の効能欄を御覧ください。効能欄の四角囲みに、「狭心症、心筋梗塞、脳卒中と診断されたことがある人、高脂血症、糖尿病、高血圧症で治療中の人や医師の治療を勧められた人は、この薬を服用しないでください」を追加することによって、注意を促すことといたしました。
 添付文書の表側を御覧ください。従前より添付文書に記載しているものですが、「してはいけないこと」の欄の「1.次の人は服用しないでください」にある、「高脂血症、糖尿病又は高血圧症と診断され現在医師の治療を受けている人、あるいは健康診断等で医師の治療を勧められた人」、その下の「相談すること」の欄の、「1.次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談してください」とする項目にある、「(1)医師の治療を受けている人又は他の医薬品を服用している人」については、引き続き記載し注意喚起しております。
 また、お手元の「エパデールT購入時のセルフチェックシート」を御覧ください。このチェックシートは、本剤の購入時に薬剤師が服用の可否を購入者とともに確認するもので、初回の購入時のみならず、2回目以降についてもそのたびに確認をすることとしています。2.欄の6番目のチェックボックスに記載のとおり、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧症についても具体的な検査値を示して該当するかどうかを確認し、異常値がある場合には医師の診断を勧めることとしています。このチェックシートの裏側は購入2回目以降のものですが、こちらの方も同様に記載して、異常値がある場合には医師の診断を勧めることとしております。
 2点目ですが、中性脂肪が高値の場合、まずは食事管理や運動を勧めることが重要であり、薬の服用を安易に勧めるのは不適切ではないかとの御指摘です。これにつきましては、これまでも販売店用及び購入者用の情報提供資料に、食事管理や運動の実施についても情報を掲載していましたが、セルフチェックシートでの確認時にも指導できるように、セルフチェックシートを改訂しています。再度、「エパデールT購入時のセルフチェックシート」を御覧ください。セルフチェックシートの見開きのページに、食事や運動などの生活習慣の改善の重要性やそのポイントを簡潔に示し、購入時ごとに生活習慣の改善の指導と改善の意志の確認を行うことといたしました。
 3点目ですが、採血の前に食事摂取などによって血中の中性脂肪値は変化することから、健康診断の検査結果で服薬を判断するべきではないのではないかとの御指摘です。これにつきましては「エパデールT購入時のセルフチェックシート」を御覧いただき、1.欄に中性脂肪が境界領域の範囲にあることに加え、新たに該当検査が、検査前の飲食と飲酒の制限を行った健康診断等の血液検査値であることを確認することといたしました。なお、これまで購入前の健康診断等の結果が、2回連続で境界領域となったものを対象としておりましたが、検査時の飲食と飲酒の制限を購入前に確認することにより、直近3か月以内の検査結果のみで確認することとしております。事務局からの説明は以上です。
 続きまして、本日、御欠席されている生出委員より、エパデールの審議について事前にコメントをいただいておりますので、読み上げさせていただきます。
 イコサペント酸エチルを一般用医薬品として承認する件についてです。イコサペント酸エチルを一般用医薬品として承認する件については、妥当と考えます。以前、イコサペント酸エチルのスイッチOTC化が審議されたときには、漫然使用や医師への受診歴なしでの使用が問題とされましたが、こうした不適切な使用は薬剤師が使用に際して患者からの聞き取りや確認、また使用中の相談応需等のモニタリングを行うことにより十分防げると考えます。現に第一類医薬品として販売されている腟カンジダ用薬などでも同様に、漫然使用や医師への受診歴なしでの使用への注意喚起がなされておりますが、薬剤師が販売することにより適切な使用がなされております。
 一方、今回のイコサペント酸エチルについては、薬剤師への研修実施が必須となるなど、これまでの第一類医薬品以上に十分な販売体制が構築されます。さらに承認条件ではPMSのほか、一定数の症例データが蓄積されるまでの間、適正使用調査を実施となっており、販売後の一定期間については販売店の限定、使用者の行動調査などの適正使用調査が付与されており、発売後の調査についても十分に担保がなされています。こういったイコサペント酸エチルのような生活習慣病に対する成分のスイッチOTC化は慎重な議論が必要となりますが、今後のセルフメディケーション推進等を考えると、本部会においても積極的に取り組む必要があると考えます。生出委員からのコメントは以上です。

○望月部会長 ありがとうございます。次に多田先生から、申請品目のスイッチOTC化について御意見を伺います。

○多田参考人 慈恵医大の多田でございます。本日、お呼びいただきまして大変光栄に思っております。私の発言により、ここでいい形で物事が進んでいくことを願っています。私のスタンスですが、日本動脈硬化学会の医療・保険関連の担当理事でもありますし、また、こういったセルフメディケーションをどんどん進めていく立場にあります。御案内のように脂質代謝異常症というのはどうしても御自分の生活様式を変えていくということ、こういったものをしっかり進めていかないと根絶できないと思っていますし、そのための食事療法、運動療法といったものを基本として、その上に薬をオンしていくという立場で、これまで様々な方策を考えてきていました。
 本日、初めて部会資料を見させていただきましたが、ここに出ているそれぞれの審議、3つの項目に関して、非常に疑問に思っていることに関しては私も妥当だと思います。そういう中で、中性脂肪に対してどうやってアプローチしていくかということに関しては、ユーザーの意識向上というのが非常に大事になってくると思います。こういった過程を行うことによって、また患者さんの掘下げができて、本当に必要な患者さんが医療の中に入ってくる。受診勧奨も含めて広がりができるのではないかということも、一方では期待しているわけです。
 そういうことも含めてエパデールTですが、この薬を販売していくことに関して私はよろしいと思いますけれども、あくまでも基本として、薬効のチェックがしっかりされて有効性が担保されていることと、副作用のチェックをしっかりできるかどうか、この二つが必要です。そういうことで、今、お話いただいたような販売体制をしっかり構築していくための一つの試金石として、この薬そのものは最近JAMAにもメタアナリシスの結果が報告されましたけれども、使っている人と使っていない人で総死亡率は全く変わらないことが出ている一方、冠動脈疾患死に対する有効性は有意差をもってあるということで、こういった比較的副作用の少ない薬をうまく使いこなしていくという体制づくりが大切です。個人が使いこなしていければいいのですが、問題点を持っている患者さんの前面に立って薬剤師、栄養士といった職域がユーザーをサポートする体制作りも大切です。今回は薬で薬剤師が中心ですけれども、こういったところで患者さんの生活様式が変わっていき、またうまく薬を使って病態に陥らないように予防ができる。未病の段階で患者さんを対処できるシステムを、今回のように次々と構築していくことを前提として賛成です。
 ただ、その中でもう一つ強調させていただきたいのは、自分のデータを知る、どこでも分かるというシステム作りを推進していっていただきたいということです。例えば現在、糖尿病の患者さんのSMPG、Self Sugar Measurementのシステムがありますが、こういったものと同じように、比較的簡単なところで例えば中性脂肪などを測れるようなシステムです。こうした技術はドライケミなどを使い、Point of Care Testingということで一方では進んでいるわけですが、こういったものをより進めていくことを前提に、スイッチOTC化されるということに対して私は賛成です。

○望月部会長 ありがとうございました。続きまして循環器を専門とされております廣江委員から、御意見をいただけますでしょうか。

○廣江委員 多田先生、ありがとうございました。私、循環器の現場においてエパデールというのは重要な薬だと思っています。大体、最近は900mg、朝晩2回で1,800mgを投与することによって患者さんのQOL改善があがっています。そこで、これをOTC化するに当たって二つの点が大事だと思います。第1点は、使用する方の層別化、すなわちハイリスク群をいかにブロックするかということです。今、御説明がありました本日の参考資料4でクエスチョン例がかなり出ていて、初めての方のチェックポイントがありますね。もし使用する方がこれだけ理解なさって、これが全部ないとなればかなりの層別化、すなわち軽症であると判断すると、未病状態で、このエパデールを使える可能性があることが言えると思います。
 次に第2点、これが一番大事なのですが、今までは医師が全部患者さんに説明したのですが、今度は薬剤師の先生方が現場において、このエパデールというものの性格をよく知って、かつ生活習慣病、Cardiovascular Disease等々を理解していただき、院外薬局のレベルにおいて使用する方に、薬や病気について説明する義務が出ます。それがどのくらい可能か。その2点をクリアできれば、私はむしろ積極的に使っていただいて、できるだけ我々の外来に来なくていいような状態にしたいと思いますので、その2点をクリアできれば私は賛成です。以上です。

○望月部会長 ありがとうございます。ほかの委員の先生方、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 今のような御意見は、私は医療へのアクセスがよくないイギリスとか、あるいは医療費が高く、その意味でアクセスが非常に困難なアメリカのような国では、やむを得ずセルフメディケーションということで、医療費抑制のためもあって推奨されているわけですが、そもそもスイッチOTCの定義はあるのですか。どうですか。

○事務局 スイッチOTCについては、きちんとした定義というより、医療用で使われている医薬品を一般用医薬品として転用するというのが、一般的な考え方です。

○鈴木委員 スイッチOTC化の対象になるものの定義というのがあるのかと思ったのですが、特にないということですか。今すぐお答えにならなくてもいいのですが、ただ、今までの議論の中で先ほどのお話の中にも一部出てきましたけれども、スイッチOTC化の適用となる薬というのは、自覚症状があって、比較的短期間の服用でそれが改善することが分かって、自分で中止することを判断できるものに限定すべきだと思います。今までの議論もそういう議論で、長期の服用というのはあまり前提にした話ではなかったと思います。今回の生活習慣病薬は、自覚症状がないという特徴があります。自覚症状がないままに長期間にわたって服用を必要とする場合も多く、これはデータの管理が中性脂肪なら中性脂肪のみ、あるいは単に中性脂肪の数値を下げればいいということでなく、その背景にある全身管理が必要なものです。したがって、これは、かかりつけ医を中心とした医師の管理下で服用することが大前提であると思います。我が国の公的国民皆保険制度は、幸いにも気軽にプライマリ・ケアにアクセスできるという、国民にとって極めて優れた制度になっていますので、アクセスの悪い国のような形を取る必要はなく、生活習慣病薬をスイッチOTC化する必要、必然性はないと考えています。

○望月部会長 ありがとうございました。ほかの御意見はいかがでしょうか。多田先生、お願いします。

○多田参考人 OTC薬というものに関しては、2006年6月、改正薬事法の中で謳われていて、「一般の方が薬剤師から提供された適切な情報に基づいて、自らの判断で購入し、自らの責任で使用する医薬品である。軽度な疾病に伴う症状の改善、生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防、生活の質の改善・向上、健康状態の自己検査、健康の維持・増進、その他保健衛生を目的とするもの」と、OTC化の薬を国としては定義しているようです。正しく生活習慣病に対して、医者がトータルに患者さんを診てチェックしていくことは非常に大事です。ただ、うまい具合に我が国の場合は特定健診という制度が進行しています。私どもがいる柏市で私もこれまで医師会理事として市行政、国保運営を手助けしようと特定健診指導分科会の一員として活動してきましたが、特定健診の受診率は39%ぐらいの受診率しかないです。しかし、トータルにみて皆が受診してくれると、原則的には毎年1回は値が出てきます。そして中性脂肪150mg/dL~300mg/dLの値の間にある人は受診勧奨せずに、「動機づけ支援」「積極的支援」といった様々な栄養指導や運動指導の中で、御自分で徴候を改善してくれということが制度としてありますから、こういう中に入ってくると、鈴木先生のおっしゃることは私も医師として分かるのですが、ある程度担保できるのではないかという気がしています。ただ、年に1回というのは私も不安なので、これを更にうまく御自分で測れるようなシステムで測定機会をたくさん作っていただきたいと思っています。以上です。

○望月部会長 ありがとうございます。藤原委員、どうぞ。

○藤原委員 先ほど廣江先生が言われましたように、薬剤師が現場でこういう生活習慣病薬を使うということは、責任と義務が非常に高くなると思います。そういう意味で今までのスイッチOTC薬と違い、メーカーも含めてしっかり研修制度を作った上で、是非進めていっていただきたいと思っています。私どもは受診勧奨や特定検診や人間ドックといったものを指導していくという立場で、もし支援させていただければ責任を持ってやらせていただきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

○望月部会長 ありがとうございます。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 多田先生は動脈硬化学会の理事だそうですが、動脈硬化学会の2012年版のガイドラインがあります。これを拝見すると、「生活習慣の改善は動脈硬化性疾患予防の根幹であり、安易な薬物療法は厳に慎むべきである」と書いてあるのですが、これについて先生はどのように思われますか。

○多田参考人 おっしゃるとおりです。このエパデールだけでなく、ほかの脂質治療薬もこのOTC化の俎上に上がっているのですが、それに関してはさて置き、エパデールに関して、薬物は薬物ですけれども、多価不飽和脂肪酸ということで我々が日常生活で食している物質です。その生活習慣で奨める食物との間を埋めるような薬物ということも含めて、また安全性も比較的担保できるということで、先ほども申し上げたように一つの試金石として、先生も御心配されているような安全性確保の中で、このOTCシステムを今後うまく進めていけるよう体制構築するのに適切な薬の一つではないかと思っています。この薬に関しては、先生のおっしゃるとおりです。

○鈴木委員 要するにエパデールは効かないから、いいのではないかということでしょうか。

○多田参考人 現にこれは、御案内のようにTGの値を約14%前後下げている。ただ、総死亡率に対して有意な有効性は認められていません。しかし、総死亡率に対して有効性が認められていない薬はインシュリンもそうですし、御案内のとおり幾つかの降圧剤もそうです。ですからそれは意味がないというわけではないので、いずれの薬物も疾病に対してきちんと治療対応が可能な薬です。

○鈴木委員 そうすると具体的に、例えば150mg/dL以上の方が来られたら、先生が薬局におられたら当然薬を出すわけですね。エパデールを出せるわけですから。条件にセルフチェックシートなるものがあってですがね。

○多田参考人 まず運動療法と食事療法をやってからです

○鈴木委員 やってからですと言っても、薬局ではいきなり薬を出すわけですね。

○多田参考人 それは、してはいけないということが書かれているのではないですか。いきなり一類OTC薬の出ることのないシステム作りが大切です。

○鈴木委員 では最初の日は、食事療法と運動療法をしてくださいと言って帰すわけですか。

○岩月委員 薬局に御質問がありましたので、先ほどのゲンタシンの軟膏もそうだったのですが、役割が違うということと、もう一つは対象になる利用者が違うのです。ゲンタシンの例で言うと、私が先ほど学校の罹患証明と治癒証明の話のときに少し口を挟ませていただいたのは、親の気持として、とびひになったかもしれないと思ったら、とびひだということを医師に確認してもらう方にインセンティブが働くのです。しかも10割個人負担で薬局に出かけてわざわざお薬を買い、子どもがそうかもしれないと、3日も臨床判断を待っている親は多分いないはずです。
 今回のエパデールに関して言うと、今、多田先生から御案内があったように、どういう間口の人を切り取って、その方たちがこれで駄目だったら受診勧奨ですとか、あるいは運動することによって良くなればお薬を使わなくていいわけですから、正にセルフメディケーションのための窓口として、切り口が違うのだということだけ私は申し上げておきたいと思います。薬局の店頭に来たら売り付けるとか売るということでなく、まずこういった御相談にお見えになる方は、少しきつい言い方をすれば医師にかかれば3割負担で済むのです。それをわざわざモチベーションを持って薬局に行って相談し、こういったもので自分の健康管理をしようという方の意志は、私はむやみに潰すべきでないと思います。

○望月部会長 ありがとうございます。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 薬局としては、とにかくこれは数年越しの願望のようですから、こういうセルフチェックシートなるものを作ってこられたわけです。これはものすごく完璧のように見えますが、これだけのものを理解される方だったら、このチェックシートの説明を受ける間に医療機関を受診したほうが、むしろ手っ取り早いのではないでしょうか。我が国の医療制度は非常にアクセスがよく、世界に冠たる制度ですので、遠慮なくかかりつけの先生を受診していただいて御相談いただくのが、よろしいかと思います。
 それと、先ほど薬局の方々が、きちんと研修をしますとか、あるいは販売するお店を限定しますとか盛んにおっしゃっていますが、そもそも
平成22年度一般用医薬品販売制度定着状況調査というのがあって、その結果では、第一類医薬品の購入の際に適切な説明があった方は、わずか31.5%しかないのです。このような杜撰な現場でありながら、そういうことだけやりますといくらおっしゃっても、現場は実際にやっていないのです。そういう状況の中で、いくらシートが立派だからといって認めるわけにいかないと思います。

○望月部会長 廣江委員、どうぞ。

○廣江委員 もう少しポジティブに考えてほしいと思います。今、薬学も6年制になりました。病院での実習も盛んになっています。多分先生がおっしゃったところだと思いますが、今まで欠除していた部分も2年の実習が増えて来年から卒業生が出ますので、更に薬剤師さんと先生方の力が強くなる。両方があって初めて医療というのは成り立つわけですから、医師ばかりが偉そうな感じでいるのでなく両方が協力する。さらにもう一つ、日本人は自己責任をとらない民族です。患者さん自身が病気になる前に、自分のことをきちんと考えていく。そういうことをもっと声を大きくして教えるためにも、こういうシステムをまず試金石として導入していく。そういう意味で私は優れた第一歩だと思っています。以上です。

○望月部会長 ありがとうございます。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 医師が偉いと言っているのではなくて、私は業務上の役割分担だと思います。6年制になったので病棟配置も中央社会保険医療協議会で決まり、是非、御活躍いただきたいと思いますが、それは少し先の話だろうと思います。まず現場の足元の改善から始めていただいて、それからこういったものを検討していくことが必要ではないでしょうか。
 我が国の医療制度は、外国の制度について何回も訪問調査した上で言っているのですが、非常に優れたものであると私は思っています。私たちの生命にかかわる病気に発展しかねない生活習慣病の治療というのは、私はその平等性を担保するためにも、非営利を原則とする医療の管理下に置くべきだと考えています。営利企業の方は売りたくてしようがないのでしょうけれども、そこはきちんと役割分担して、スイッチOTC化というのは最初に申し上げたように、自覚症状により比較的短期間の服用で改善して、中止を判断できるものに限定すべきだと思います。そういう議論で今までは議論してきたのだと思います。私もむやみやたらに反対しているわけではありませんが、ここはきちんと一線を画する必要があるところだと思っています。

○望月部会長 廣江委員が御指摘くださいましたが、薬剤師の能力というのが非常に大きくここに関わってきていると思います。6年制の薬剤師はこの4月に第1期生が出ています。そういう人が活躍すると、6年制薬剤師だけでなく周りにいる従来の薬剤師の能力もすごい勢いで能力アップしてくると思います。生活習慣病にも薬剤師が関わるのだ、薬局全体で関わるのだという意識だけでも、今、非常に強く出ています。それに沿って薬剤師の研修努力というのは素晴らしいものがあると、私自身は思っていますので、鈴木委員に申し上げたいのは、是非、薬剤師を信頼していただきたい。ただ営利企業だけでなく、患者さんを見つめる医療チームの一員として見ていただきたいと私は思います。

○鈴木委員 それはおっしゃるとおりだと思いますので、是非、まず第一線の現場の説明をきちんとしていただく。覆面調査での結果が出るような状況にしていただきたい。優秀な薬剤師が、早くそういった現場に出ていただいて底上げを是非図っていただきたい。今日の話はそれからだと思います。

○望月部会長 西澤委員、お願いします。

○西澤委員 私、実際に糖尿病診療をやっている立場から言わせていただきたいと思います。この未病に対する対応というのは非常に大事ですし、セルフメディケーションも、これからの方向性ということで非常に大切な方向性だろうと思います。エパデールに関しても、これは効かない薬ということは決してなく、かなり強力な薬剤と私自身は思っています。実際に出血の作用というのはかなりあるわけなので、薬理作用は十分あるのではないかと思っています。
 実は糖尿病に関しても、日本では約半数の患者さんが診療機関にかかっていないのです。それが一つです。もう一つは、実際に診療していても食事療法、運動療法を厳守できる方々のパーセントは非常に低い。これは医療機関の努力にもよるのですが、かなりそういった面が現実に存在しているということを踏まえ、先ほど対象が全く違うというお話がありましたが、その辺りとの整合性というか、本当に治療が必要な人たちがマスクされないようなシステムを明確にしていただきたいと思います。これはもちろんチェックシートで、自己責任ということになってしまうのでしょうけれども、単にそういったものだけで本当に層別できるのか疑問に感じます。

○望月部会長 ありがとうございます。これに関して事務局から何か御意見はございますか。よろしいですか。

○審査管理課長 折角このチェックシートというものがありますし、これまでスイッチOTC化について、こういった詳細なチェックシートまで作ったことはありません。多分第一類の医薬品にした場合にも、一通りの説明のようなものは作っているのですが、それを単に現場で渡すかどうか、そして二度目に来た方には、前に御説明しましたねということで説明を省略するといった意味で、恐らく実際に覆面のアンケート調査をすると、あまり高くない数字になっているのだと思います。今回はこういった明確なチェックシートがありますので、そういったチェックシートも活用し、さらに流通する側からチェックシートの活用状況について、製造販売業者からも初期の段階で調べることができないかどうか、申請者の方にそういったところも指導させていただきたいと思います。

○西澤委員 もちろん、この未病に関してやることに私は全然抵抗は感じていないのですが、先ほど言いましたように糖尿病患者の半分がまだ受診していなくて、それがマスクされることを恐れているのです

○望月部会長 望月委員、どうぞ。

○望月(眞)委員 先ほどから試金石という言葉が何回か出ましたが、薬剤師の人たちが、こうした生活習慣病の未病の段階の薬物治療に本当に貢献できるかどうか、という意味での試金石なのだろうと私も感じます。一番御懸念があるのが、きちんと薬剤師が使っていくべきなのかどうかというところの判断、それから生活指導の食事や運動のところの確認等がきちんとできるのかというところが、一番の御懸念かと思います。先ほど藤原委員からもありましたが、日本薬学会が幾つかのスイッチOTC化の成分の提案を出されたときに、薬剤師に研修が必要だという提案があったものが、既にOTC薬として承認されたものの中にもあると思いますけれども、本当に研修をされたのかどうか私は確認できておらず、今回の場合は、きちんと研修を受けたことを確認する手続を取っていただくことが必要だと私は思います。医師の方の御指導も仰ぎながら、きちんとした研修プログラムを組み立て、どのようにしていくのが消費者の方にとって一番いい形なのか、組み立てていただけたらと思います。それを条件に承認していくことが必要かと思います。

○望月部会長 ありがとうございます。ただ今のような研修プログラムを作った上で研修したことを確認し、それでこのチェックシートを使うことについて、事務局の方として御意見はいかがですか。

○事務局 研修につきましては市販後、会社が研修を実施することになっていますし、承認条件として安全性に関する3年間の市販後調査のほかに、先ほどのチェックをきちんとしているか、適切に振分けをしているかといったことについて、使用実態調査も、PMS3年間の安全性調査のほかにやることになっていますので、そこについては市販後調査でも確認できる体制になっています。

○鈴木委員 もう何かやるような前提で話が進んでいますが、そうでなくて、日本の医療制度の良い点を是非、私は活かしていただきたいと思います。そういう意味では薬局の方の仕組みが非常に遅れているのです。ですから今後、6年制の薬剤師が現場に出て来て、きちんとそういうことに取り組む、あるいは実績が出てくればまた話は違うかもしれませんが、現状は、そういうことがすぐにできるとはとても思えませんので、アンケート調査をやりますからというのは条件にならないと私は思います。それと、覆面調査が現場の実態を物語っていると思います。まずここを改善していただくことが大前提だと思います。それがない限り、いくら立派なことをおっしゃっても、いくら立派にチェックシートをお作りになっても、意味がないと思います。もっと現場の底上げをしてから、そういう話をしていただきたいと思います。

○望月部会長 福島委員、どうぞ。

○福島委員 鈴木先生のおっしゃることもよく分かりますし、日本の医療制度というのは素晴らしいと思っています。ただ、今の財政やいろいろなことを考えると、これはある程度変わっていくのだろうと予想ができるわけです。やはり教育体制を変えていかないといけないし、一般の国民に対する消費者教育というところも、小さいころからやっていかなければいけないとも思います。これから変わっていく中で、今は絶対できないということではなく、一つずつ広げていかないと急にできるものではありません。先ほど望月先生が言われたように研修制度をきちんとやることを含めて、第一歩を踏み出していくということも大事ではないか思います。今、それこそ3か月分とか何十日分など、長い投与期間の処方せんが出たときに、医療機関には行かないで継続してそのままお薬を飲み続けていることも心配な部分があり、薬局などで確認している所もあります。これは医師と協働しながら進めていかなければできないことだと思います。みんながその方向に向かって動き出さないと、他の国に誇れる医療制度も潰れてしまうのではないかという気がしてなりません。ここは話を進めて、みんなで頑張るしかないと思います。

○望月部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。岩月委員、お願いします。

○岩月委員 今、薬局がだらしないと御指摘をいただいて、私も薬局の一員でありますので、そのことについては深く反省する部分もあると思っています。ただ、31.5%の数字について、これは現場の感覚ですのでそのようにお聞きいただきたいのですが、例えば私の知り合いの薬局は第一類医薬品を販売していないので、覆面でお見えになった方に説明の仕様がないのです。そしたら説明がなかったという報告があって、後日、県の薬務課から指導が入り、置いてないことが分かったという例があったのです。すべてがそうだとは申し上げませんが、第1回目の調査でそういう齟齬もいろいろあったのだろうと思います。数字自体がインチキだとか怪しいと申し上げるつもりはありませんけれども、現実にはそういったことも起きています。私は今、日本薬剤師会の役員でも何でもないので、本来は藤原先生がお答えになることだと思いますが、仮に80%だとしても努力していく話だと思いますし、我々は勉強していかなければいけないと思っています。その上で、一つ付け加えさせていただきたいのは、医薬分業が始まって処方せん調剤を始めてからかなり時間が経っています。その間、我々も添付文書を読むだけでなく、相互作用や疾病との関係ということは、口幅ったい言い方で大変失礼かもしれませんが、勉強させていただいていると思っています。実際に相互作用を見つけたり、処方元の医師にそういった連絡を取ることも徐々に増えてきていますので、そういったことも含めて、駄目だということでなく、今、福島先生もおっしゃいましたけれども、第一歩だというところは是非お認めをいただきたいと感じています。

○望月部会長 藤原委員、お願いします。

○藤原委員 今は日本薬剤師会の一員の代表ということで、日本薬剤師会役員の立場で発言はしなかったのですが、実際に数字を追うと、実態調査というのは本当にいい加減で、例えば高知県ではたった3軒しか行っていないのです。非常に古い薬局に3軒行って、そのうち1軒しかできなかったということです。これは改正薬事法をまだ十分理解していなかった部分もあったので、それを指導した中で、実際に高知県では第三者機関として新聞社がもう1回実施しています。それは去年の6月、7月に第一類を販売している全薬局を対象にやりました。もちろん知らせずにやったわけですが、そこでは9割ができていたという結果も出ました。ですから数字を追ってどうこう言われるのは、甚だ私も寂しい思いがします。いずれにせよ私たちの使命は、販売、販売と言いますけど、現実の販売額というのは生活できるような販売額ではないのです。そこは全く考えていなくて、医療連携というか、医療提供施設として少しでも医師との連携が取れて、より良い国民の健康づくりができればいいという気持で、社会的な使命で行っているということは、是非、理解していただきたいと思います。もし販売だけを追うのであれば、多分医薬品以外のものにして販売体系もスーパーのような形にしていけばいいと思っていますが、そうではないものを薬剤師の使命と考えていますので、その辺は御理解いただきたいと思っています。

○鈴木委員 薬剤師の方を中心に、美しいお話をたくさん聞かせていただいて非常に私も期待したいと思いますので、是非、そういう覆面調査にも耐えられるような実績をまず上げていただきたいと思います。これまで私が何度も述べさせていただいたような状況について、外国は参考になりません。外国はアクセスの悪い国、医療費の高い国等いろいろあります。ただ、我が国では世界一高齢化が進んでいるにも拘わらず、これだけ低い医療費で済んでいるわけで、この仕組みを私は大事にしたいと思います。薬剤師の皆さんにも是非頑張っていただきたいと思いますが、生活習慣病というのは全身管理ですので、これは医師にしかできない。医師を中心としてやるべきものだろうと思いますので、私はエパデールのスイッチOTC化には明確に反対させていただきます。

○望月部会長 村島委員、どうぞ。

○村島委員 私も内科医の立場で、鈴木先生のおっしゃることはすごくよく分かって、以前、そのような発言もさせていただいたのですが、これはとにかく適用を冷静に見た場合に、150mg/dL~300mg/dLは保険適用にない範囲だということで、このOTC化をきっかけに薬剤師ないし製薬会社のプロモーションによって、国民に生活習慣病に関する関心とか、あと300mg/dL以上になったら受診して、きちんと医師にかかりましょうというような動きになれば、両者にとって一番いいことだという感想を述べさせていただきます。

○望月部会長 ありがとうございます。小澤委員は何か御意見はございますか。特にないですか。いろいろな御意見が出まして、鈴木委員は御反対というのは分かりました。これまで3度審議して先生方の意見もいただいたのですが、一応、部会としての総意というのを示すことが必要で、それを示す段階だと私は考えます。鈴木委員がおっしゃるように、確かにこれから薬剤師がよりよく育つべきであり、今はまだかもしれないということはあります。しかしながら、これからよりよく育つ途中で、こういうチェックシートを使って自分たちで育つ体制を作り、業者もそれを助けるような情報提供資料を更に詳しくすることを考えていただくことを前提に、この段階で結論を出したいと考えますが、いかがでしょうか。

○鈴木委員 私は時期尚早だと思いますので、本日結論を出すべきではないと思います。もう少し議論をした上ですべきだと思います。

○望月部会長 ほかの先生方は特にございませんか。一応、全会一致ということで今まできましたけれども、ある程度結論というか、部会としての総意を出さざるを得ないと私は考えます。ここで鈴木委員は御反対ということを理解した上で、この部会としては条件付きでこれを承認したいと考えますが、ほかの委員の先生方、よろしいでしょうか。
 
それでは本部会として、議題3の医薬品エパデールT、エパアルテについて、条件付きで承認して差し支えない。ただし本部会の議論を必ずお伝え願って、必要な措置を全部取っていただくということが前提です。ありがとうございました。
 それでは、これらにつきましては、薬事分科会にその旨を報告させていただきます。ありがとうございました。また多田先生におかれましては、お忙しいところを御出席いただき誠にありがとうございました。

  ☆

 長いですねー。

 まず、お医者さんの意見を見てみましょう。

 多田参考人は、賛成の前提に

 「薬剤師、栄養士といった職域がユーザーをサポートする体制作り」

 「未病の段階で患者さんを対処できるシステムを、今回のように次々と構築していくこと」

 「自分のデータを知る、どこでも分かるというシステム作りを推進」

 という指摘をしましたが、それはこの会議の段階で提案されている内容で担保できる(あとは、実際にやってみて、どうか)という論旨のようです。

 従って、反対する理由はなく、当然、賛成。

 廣江委員は、賛成の前提に

 「ハイリスク群のブロック」

 「院外薬局のレベルにおいて使用する方に、薬や病気について説明する義務」

 の二点を挙げました。

 エパデールに関して、薬剤師は、「診断」しません。医師の専権ですから。「未病」の群に対して用いるのですから、「病気(狭義の、病名がつく疾患という意味)」について説明する義務はありません。医師が今までやっていたことを全部やる、というのは、「未病の段階で医師の診察を受けた方たち」に対してやっていたことを全部やる、という主張だと考えればよさそうです。

それを踏まえて、広義の「病気」については説明する仕組みが、この会議に提案されている内容で担保できる、という考え方のようです。

 多田参考人と廣江委員が賛成。

 残るは、鈴木委員。

 その反対理由(?)として挙げたのは、

1.スイッチOTCの定義が分からない

2.全身管理が必要な薬は、かかりつけ医を中心とした医師の管理下で服用することが大前提

3.「安易な薬物療法は慎むべき」の原則に反する

4.完璧のように見えるチェックシートを理解される方は、このチェックシートの説明を受ける間に医療機関を受診したほうが、むしろ手っ取り早い。

5.生活習慣病の治療は、その平等性を担保するために、非営利を原則とする医療の管理下に置くべき

6.薬局の仕組みが遅れている

7.「文書で説明」の覆面調査に耐えられない薬剤師なんか信用できない

 といったところですよね。

 で、それらに対して「現状こうですよ。問題ないですよ」という説明が、他の委員からされていますから、本来なら「反対する理由はなくなって」いるはずです。

1には、多田参考人が改正薬事法の中で謳われていて、「一般の方が薬剤師から提供された適切な情報に基づいて、自らの判断で購入し、自らの責任で使用する医薬品である。軽度な疾病に伴う症状の改善、生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防、生活の質の改善・向上、健康状態の自己検査、健康の維持・増進、その他保健衛生を目的とするもの」と、OTC化の薬を国としては定義しているようです」と返答しています。定義がないのだと勝手に思い込んで議論を進めようとしたのは、鈴木委員のほうです。

3には、指名された多田参考人が「まず運動療法と食事療法をやってからです」と即答しています。鈴木委員が「やってからですと言っても、薬局ではいきなり薬を出すわけですね」なんていう質問をしても、多田参考人は「それは、してはいけないということが書かれているのではないですかと即答。書いてあることを、読んでないようなんですよ、鈴木委員は。

 まともな議論になるわけがありません。

 鈴木委員はさらに、「最初の日は、食事療法と運動療法をしてくださいと言って帰すわけですか」と訊いてますが、「ええ、そのとおりです」としか言いようがありません。むしろ、運動療法と食事療法を「やった」という証明を誰が出すのかを考えてもらいたいものです。これは2への返答にもなっていて、鈴木委員の言ってることは「運動療法・食事療法も含めての」全身管理のようですから、医師(あるいは医師の管理下にある専門家)が証明書を書くのが筋です。証明書を出すと、御自分で提案してもらいたいです。「全身管理をする医師が運動療法も食事療法もやってみたけれどダメで、でも通院させるほどではない」という方のための薬なんですから。

 従って、4のような意見はナンセンスで、「まず受診して、運動療法と食事療法をやったけれどダメだった。でも通院させるほどではない」という判断を医師がした、さらにチェックシートを書かなければ買えない薬だということを、鈴木委員は完全に忘れているようです。順番が逆なんですよ。先に薬屋に行ってエパデールをくれと言っても、買えないんです。専門家は、売らないんです。

 これは根本的な専門家関与の話で、鈴木委員が繰り返す「文書で説明」なんていう低いレベルの話ではありません。「売れないものは売らない」という姿勢は、薬屋の商道徳の大原則で、薬剤師法第一条の「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」に合致します。国民の健康を確保できないような医薬品の供給は、やってはならないのです

 また、「平等性の担保」という視点で考えても、「一度医師の診察を受けて、【あなたは運動療法と食事療法でいいと思ったけどダメだった。でも通院の必要はない」という診察を受けていることが前提なのですから、「平等性」は十分すぎるほど担保されています

 どうも鈴木委員は、「薬局に行けば、すぐに買える薬」だと、大きく大きく勘違いしているようです。議論の大前提も知らず、資料も読まず、勘違いを指摘されても理解できない…という姿。

 6で薬局の仕組みが遅れていると主張されているのですが、これだけ細かい規制のかかった商品の販売は、薬局としても、はじめてやることです。はじめてやること「そのもの」ができるかどうかなんて話をされてもね。世の中の「はじめて」は、失敗しても問題なさそうなあたりからはじめていくものです。だから、エパデール。健康被害を最小限に抑え、被害が出る前に医師に受診させるシステムも含めて数値も決めて、前回エパデールがOTC薬化の俎上にのぼった際の問題点も解決して、「じゃ、やろっか」と言う段階になっているのを、まだ「仕組みが遅れている」と言えるなんて。驚きです。

 前回の議論を踏まえて、きちんと改善策を出して、今回の議論があります。

 問題点を解決する議論は、終わっているんですよね。

 日本医師会は、声明でなんて言ってたか、思いだしてみましょう。

4.一般用医薬品部会は、委員15 名のうち薬系委員が10 名を占め偏りがある上、非公開である。10 月17 日の一般用医薬品部会では、OTC 薬化に慎重な委員の意見に十分な説明もないまま、採決に至っており、遺憾である。国民の健康と命に係わる医薬品行政の審議においては、十分に議論を尽くしたうえで納得のいく結論を出すべきである。

 ・・・おいおい。

 十分に説明してあげているじゃないですか。少なくとも、議事録上は。(議事録は今回公開されましたし、委員の偏りについて他の委員会・審議会を是正していないことに医師会が文句を言ったりもしていませんよね? 「この審議会、医師が7割もいるぞ! こんなの偏りだ!」と、医師会は言いましたか? 声明の反対理由は全部潰されましたよ)

 議事録が公開されてみると、日本医師会にとっては、とんだ恥さらしですね。

 鈴木委員が持ち帰った報告を鵜呑みにして、声明まで出して、議事録がでてみれば、結局、「説明されているのに理解できない鈴木委員」がそこにいたわけですから。

 「国民の健康と命」を大事にしているのかと思ったら、そうじゃないんですね。

 日本医師会は、「国民の健康と命」を旗印にして、鈴木委員の「反対する理由がなくなっても反対」という姿勢を支持しちゃったわけですよ。

 うーん。

 ここは素直に、「ごめんなさい、説明をきちんと受けていたのに、私が理解できなかったので、団体にまで迷惑をかけました」と、声明における言い過ぎについては謝っておいて、そのうえで、この審議会の中でみなさんが一致しているように、「協力して」いけたらいいんじゃないですかね。

  ☆

 おっと、忘れていました。

 反対理由の「7」、議論中に鈴木委員が反論することがなくなってしまって三度も繰り返していた、平成22年度の「覆面調査」の件。

 議論中でも岩月委員や藤原委員が語っています。

 これは、覆面調査自体の信頼性が揺らいだと考えるべきでしょう。

 結果は、こちらに公開。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000205gu.html

 藤原委員曰く、「高知県では三軒しか行っていない」のに、資料の「回収結果」は23件になっています。日薬の調査がザルなのか、それとも驚きの「20件水増し」ですか???

 これ、詳細な結果を見ずに、「厚労省の調査で○○だったんだから、おまえらダメだ」とは、いえないことが、よくわかる話ですよね。

 鈴木委員は、「厚労省という権力に、間違いは絶対にない」みたいなことを言っているだけです。同じ医療職の仲間である薬剤師のことは全然信用できなくても、お役人さんだと、そんなに信用できるんですか? 

 三度も繰り返しましたけれど、結局、この調査以外、薬剤師の信用を疑う資料は一つも出てきていません。

 これしか、ツッコミどころがないんですよ。

 信用性の薄い調査しか材料がないのに、よくまあ、それを基にして「お前ら信用できん」と言えたものです。

 この審議会の中でも、厚労省の担当者自身が、厚労省の調査結果の「微妙さ」を発言しているじゃないですか。藤原委員や岩月委員が嘘を言っているのなら、そういうリアクションにはならないはずなんです。

 件の「覆面調査」を、「実在店舗の薬局と薬剤師がダメな証拠」であるかのように思いこんでいる方々が、多すぎます。

 あの調査、上から目線で非難する根拠になるほどの価値はないんですよ。むしろ、その調査だけを御旗にして文句を言っている方々って、情報リテラシーが弱い方とか、変な組織洗脳を受けている方とか、統計情報を適切に扱わないことを得意とする方とか、そういう【人種】ってことになりそうです。そういう人種が考える「適切」って、怖くないですか?

 なんか面白そうなので、この際、厚労省には、覆面調査の【本当の】結果も検証して、公開してくださることを期待します。まあ、二年以上前のことですし、自分が仕事をしていなかったことを自分から白状する覆面検査員がいるとは思えませんけれどね。自分から覆面をとっちゃう二代目タイガーマスクみたいなことにはならないでしょうし。

 御旗を出されると口ごもっちゃう方々も、データを実際に見てみたら、反論できるようになるかもしれません。

【調査時に第1類医薬品を販売していた店舗のうち、調査員が第1類医薬品について相談を行った際に「適切な説明があった」のは、75.2%であった。】という結果を考えれば、四軒に三軒は適切ってことです。この結果に、さらに研修を受けることがつけ加わるのですから、鈴木委員が何を心配しているのか全くわかりませんよね。

 少なくとも、審議会の議論においては、情報は力、無知は罪、そして「議論を理解しないコドモ」は不要です。

  ☆

 そういえば、この図式、ネット販売の検討会も同様な感じ(っていうか、もっと酷い)です。

 ネット販売のほうでは、エパデールの話における鈴木委員のような「覆面調査結果原理主義者(覆面調査結果以外の根拠で実店舗を批判できず、実店舗と同様の規制を【実店舗を持っているはずの】ネット販売に対してかけることに反対するような不思議な人たち)」が推進派に多いようですが、それって、「実在店舗」の批判をしているようでいて、実際は「薬剤師」を批判しているわけですから、ネット販売に関わる薬剤師も信用ならんという議論にもなっているんですよね。

 「薬剤師」の信用性については実店舗に勤務していようがネット販売の実店舗に勤務していようが変わりませんから、それって、ブーメランになってしまいます。

 「じゃあ結局薬剤師は信用ならんのだから、国民の安全のためにも、ネット販売は無理ですね。専門家である薬剤師にすら無理なら、登録販売者や素人は絶対無理。はい、ネット販売は、日本においては不可能」って結論に持って行きたいのでもない限り、ネット販売推進側が「覆面調査」の結果をもとにして実店舗批判をするのって、すごくアホらしいことなんです。

 みなさん(推進派も反対派も)、もう少しアタマ冷やしたらいいと思いますよ。(一緒に自腹でディズニーランドにでも行って、荒んだ心をリフレッシュしてみては?)

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コメント

そもそも,薬剤師は専門家と認められていないのでは?.ネット販売擁護者だけでなく,医師からもOTC使用者からも.
ネット販売擁護者は,薬剤師は役立たずだけど,法で使用することが決まっているからまあ仕方なく使ってやろう,OTC使用の責任は使用者にあるのだから,薬剤師にとやかく云われる筋合いはそもそも無い,という認識であり,「専門家である薬剤師にすら無理なら、登録販売者や素人は絶対無理」という認識をしていないのでは?.
どんな専門家でも,それに見合った責任をもっているものであり,薬剤師はそれを持っていないため専門家でない,という認識が一般的なのでは?
薬剤師に専門家としての高い地位があると思っているのは,薬剤師だけなのでは?

投稿: じじ | 2013年11月10日 (日) 23:10

拝見しました。
このまとめ、じじさんの主観が入りすぎていませんか?
最初の「定義はあるのか」という質問は、定義が明確でないならこうあるべきだと言い出すための呼び水のための発言でしかないですし。

投稿: 通りすがり | 2014年11月 1日 (土) 18:40

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