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分科会テーマと趣旨と講演者から想像する「趣旨到達予想達成度」。

日薬学術大会in浜松の、分科会テーマと、その演者のみなさんが(先月)発表されました。

日薬雑誌八月号をご覧ください。えーと、59ページあたりです。

で、学会ホームページに、これらの分科会の趣旨が書いてありますので、演者のみなさんの講演タイトルと名前だけから判断して、各分科会の趣旨が達成されそうかどうかを妄想してみる遊びをしてみます。(注:この記事は八月はじめに書いたものを放置していたものです。日薬雑誌九月号の最新情報とは異なる部分があるかもしれません。ご了承くださいませ…)

ほら、趣旨に描いてある目的が達成されそうにない人を呼んだり、目的達成の参考にならないようなタイトルの話をしてもらったりすると、分科会が終わっても「結局、どういう結論になったんだろ?」と首をひねっておしまいですから。

首をひねるリスクを減らすためには、前もって、「この分科会って、期待度がこのくらいだから、見に行かなくてもいいよね」といった検討をして、覚悟を決めておくのが肝要です。期待度にあっていれば、内容がなくても、楽しく面白く有意義な時間を過ごせます。

実際のところ、ほぼすべての学会参加者が、抄録集などを読んで、なにかの自分基準で「ここに参加しようかな」と検討する場合に脳内でやることを、文章でやってみるだけのことなんですけれどね。自分基準だから、「あのメーカーはランチョンセミナーに高額の弁当を使うから、内容には全く興味がないけれど、あのメーカーの主催するランチョンセミナーに参加して美味しいお弁当を食べよう」と考えるとか、「薬剤師倫理規定擬人化プロジェクトの発表は、どうせオチャラケで、まじめにふまじめなことをやるだけだろうから、倫理関係の話は、松田純御大の講演に行くのがよさそう♪」と考えるようなものです。

なお、講演する人をみて達成度を加減していますけれど、それは「この人ダメダメ」といった個人攻撃的な話ではなく、「この趣旨には合わないのでは?」といった視点でみます。趣旨によってデッキの内容を変えるのは、カードゲームの基本ですよね。高速ビートダウンデッキなのに、すべての高レベルモンスターの攻撃をロックする強力な罠カードと、特殊召還を封じるモンスター【フォッシル ダイナ パキケファロ】を三枚積みしてしまうようなデッキは、目的達成度が低いというお話です。

  ☆

分科会1. 災害時医療と薬剤師 ~明日おこるかもしれない大規模災害に備えて~

10月7日(日) 15:00~17:30/メイン会場(アクトシティ浜松1F 大ホール)

未曾有の大災害である東日本大震災が発生して1年半が経過した。阪神大震災、東日本大震災をはじめとする大規模災害発生時において薬剤師は様々な活動を精力的に行い、その経験が新たな発災時に活かされてきた経緯がある。今回、改めて東日本大震災を振り返り、当時発生した様々な課題に対し、どのような対策が行われてきたか、今後新たに発生する災害に備え薬剤師としていかに取り組んでいくべきかを考える。

 この分科会は、実質的に、特別講演の「石巻医療圏における東日本大震災への対応」とセットです。石井正さんの特別講演が基調講演になっているわけですね。逆に、特別講演がなかったとしたら、非常にバランスが悪い分科会です。

 当時の対応から始まり、その後の様子と、それを受けての体制づくりに、行政のスタンスまでが語られますから、趣旨にはバッチリはまっています。

 強いて言えば、災害活用お薬手帳(防災型お薬手帳)の話については、その作成の細かい苦労話や実際の印刷にかかる値段、水にぬれない紙とは具体的には何なのかなどの情報がでてくるかどうかで、趣旨に合うかどうかが変化しそうです。「こういう経緯で、作りました、内容はこういうものです」という話だけだった場合は、聞かなくてもよさそうです。

※防災型お薬手帳の内容は、こちらで全部読めます。
 http://www.shizuyaku.or.jp/techo.html

 総合すると、予想達成度【90%】です。

  ☆

分科会2. 薬学教育は新たなステージへ ~医療人として求められる薬剤師の基本的資質~

10月7日(日) 15:00~17:30/第2会場(アクトシティ浜松 コングレスセンター3F 31会議室)

6年制実務実習が3年目を迎える中、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂や学習成果基盤型学習の導入など、薬学教育の改革が進行している。薬学教育の流れを把握し、実務実習を通して理想とする薬剤師を養成するために、本シンポジウムでは実務実習教育に関わる識者や学生の意見を聞きながら、それぞれの立場での理想とする薬剤師を育てるための実務実習のあり方とその将来像を考える。

 基調講演の演者と主題が、趣旨と合っていません。

 「理想とする薬剤師像」を、薬剤師自らが提示することなく、外部から提示させることを「基調」とするのは、間違っています。たたき台として「薬剤師会はこう思っていて、だから、これまではこうしてきた。これからは、こうだと思う」と提示するのが基調では?

 また、実務実習がメインテーマなのに、「薬学教育は新たなステージへ」なんていうタイトルなのも、趣旨とあっていません。「実務実習、見直しの時。日薬のどこが間違っていたのかを検証する」くらいのタイトルでちょうどいいと筆者は思いますが、もう少しやんわりしたタイトルでもいいので、「実務実習の話」だと分かるようにしないと、査読にひっかかっちゃいますよ(あ、分科会には査読なんてないんでしたっけ?)

 コアカリの改訂については、現時点で全然まとまっていないことを踏まえると、10月のアタマの段階で言えることはほとんどないでしょう。

 学習成果基盤型教育については、このあたりの文書を読んでいただくとして、

モデル・コアカリキュラムへの意見
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/47/siryo/__icsFiles/afieldfile/2011/12/26/1314072_2.pdf

 学習成果基盤型教育というのは「目標に対して必要な前提条件をデザインしていく」という、あったりまえの話で、なによりもまず、「なにを目標にするの?」ということが決まっていないとダメです。たとえば、このブログでは「卒業時に管理薬剤師を任せられる能力を持っているように教育するのが六年制」とか「実務実習で習得するのは想像力と多様性認識と時間感覚でいいじゃん」といった目標だてを希望しますが、日薬に任せちゃうと、「実践能力の高い薬剤師」のようなものを「目標」にもってきちゃいます。かなりいいかげんな筆者の目標設定よりも、もっとアバウトって、ダメじゃん。しかも「実践能力」という単語に対する解釈はバラバラですから、「問題解決能力ゼロでもピッキング作業がカンペキなら実践能力が高い」という解釈だってありえてしまうわけで。

 タイゾー先生が、いきなり明確な目標をドンと置いたりできれば面白そうですが、これはコアカリと密接に関係していますので、現在のコアカリ議論(審議会の議論については文科省ホームページを見てください~)で明確な目標がでてきていないなら、無理筋です。今のところ出てきていませんが、二か月の間にでるんでしょうか???

 そんなわけで、シンポジウムの前半は全部、今のところビチッとしたことを言えない状態。後半は、実践報告編ですから、役に立つかもしれませんが、タイトルからでは内容が推測できません。

 最後の演者である薬学生さんが、「実務実習を通して感じたこと」というタイトルで話しますので、その際に、爆弾発言をあれこれとしてくれないかな~と、期待…するだけ無駄でしょうね。タイトルが、【実務実習に際して、後輩たちがこれをやるのかと思うとふびんで仕方がないことを20挙げる】とかなら、期待しますけど。

 学生実務実習関連の感想などは、ここ二年間でのワークショップ活動などを通じていくつかレポートがでています。そこに記載された意見をまとめた程度の話だとしたら、ワークショップでせっかく意見を聞いても何の進展もしていなかったと分かるだけなので、薬学生さんにとってはかなり過酷な発表になるのではないでしょうか。だって、感じたことを話したら、『その感想は一年前にも出てた』と言われるんですからね。薬剤師会で新人さんが「これっておかしいよ」と言ったら「それは20年前から新人がみんな言うんだよね」とのコメントをもらうくらいの衝撃。その間、オトナはなにやってたんですか、と。

 総合すると、予想達成度【5%】です。

  ☆

分科会3. 地域医療連携、さらなる展開を考える

10月7日(日) 15:00~17:30/第3会場(アクトシティ浜松 コングレスセンター4F 41会議室)

近年では薬薬連携をさらに発展させ病診連携も取り込み、患者の診療・服薬情報を病院・診療所・保険薬局で共有して、患者ケアを向上させる地域医療連携ネットワークが各地で構築されつつある。情報共有の手段としてIT化を利用しているネットワークもあるが、その一方でIT化に依存しないネットワークを構築して成果をあげている地域もある。その両者を紹介しながら、地域医療連携のあり方や将来像について考える。

 基調講演がITネットワークで、ネットワークの実例が並んで、アナログ対応も補完する…という構成。連携とはITによる情報共有と活用であるというスタンス。

 これは、趣旨にあっています。

 もう一歩踏み込んで、法整備までいければ良い感じ。総務省のお役人さんがいるといいなぁ。

 総合すると、予想達成度【99%】です。

  ☆

分科会4. ジェネリック医薬品の更なる普及のために~最適なジェネリック医薬品の選択、そして医療費節減へ~

10月7日(日) 13:30~16:00/第4会場(アクトシティ浜松 コングレスセンター4F 43+44会議室)

平成19年に出された「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」では、平成24年度までに後発品の数量シェアを30%にすることを目標としている。これまで院外処方せん様式の変更、含量違いおよび別剤形の後発医薬品への変更認可、後発医薬品調剤体制加算の見直し等の方策により平成22年度にはジェネリック医薬品のシェアが数量ベースで23%と確実な伸びを見せている。ジェネリック医薬品のさらなる普及、最適なジェネリック医薬品の選択による患者のメリット享受、医療費節減への薬剤師の貢献について様々な角度から検討する。

 観る価値なし。単なるジェネリック推進派閥の決起集会の予感しかしません。

 いえ、シンポジウムで、東京保険医協会からの論客と、増原さんたちとの、「最適なジェネリック医薬品の選択」をテーマにしたディベートバトルでもやってくれれば、とても勉強になると思いますが。

 タイトルに「最適なジェネリック医薬品の選択」なんて言葉を掲げた時点で、期待度ゼロ。

 趣旨には「様々な角度から検討する」なんて書いてありますが、様々な角度とはいえそうにありません。なんとゆーか、アイドルを褒め称える会主催の「現在最高の十組を選択する会」・・・ですらなさそう・・・。

 総合すると、「最適なGE医薬品を選択する」ということが趣旨なら、予想達成度【0%】ですし、「さらなるGE医薬品普及のためにもりあがる」ということが趣旨なら、予想達成度【100%】です。

  ☆

分科会5. セルフメディケーションと薬剤師の役割

10月7日(日) 13:30~16:00/第6会場(アクトシティ浜松 研修交流センター2F 音楽工房ホール)

国民の健康への意識の高まりに医療費節減の流れが加わり、セルフメディケーションが進行している。セルフメディケーションの受け皿である薬剤師は、その推進のために専門性を発揮し、国民の健康増進に貢献する責務がある。その一方で、一般用医薬品定着状況調査では第一類医薬品に対する情報提供が不十分という実態もある。そこで、セルフメディケーションを取り巻く環境や推進に成果をあげている事例を紹介し、セルフメディケーションとその推進に取り組む薬剤師の将来について討議する。

 一般用医薬品定着状況調査がベースで山本史さんが基調講演っていう時点で、セルフメディケーションに貢献している薬剤師にとっては地獄のような、「まじめにやっているのに信用されずに説教されるコーナー」の開催です。

 これ、順序が逆でしょ。

 基調講演で、職能団体である日薬が考える「現状・将来、薬剤師の役割」を述べて、実際にそのように動いている実例をシンポジウムで報告してもらい、消費者からの感想もとりいれ、それらを受けて、山本史さんが「よくやっていますので素晴らしいと思います」でも「それでも足りない。なぜならあんたたち、こういう視点が欠けてるから」でも、存分に説教してくれればいいんじゃないかと。

 「ここまでやってます。足りないところがあるなら言ってください」という流れにせずに、真っ先に、何の説明もない状態から、「説教だけして、反論を受け付けずに帰る」人の言うことを「基調」だなんて定義する…。

 お役人さんたちにつくってもらったレールの上をぴったりと歩いているかどうかにばかりビクビクと反応するやり方で、「セルフメディケーション推進に取り組む薬剤師の将来」について討議なんかできるんですかね?

 討議って言ってるのに、本当に分かってほしい相手は、基調講演だけしてサヨーナラ。

 総合すると、予想達成度は【15%】です。

  ☆

分科会6. 薬剤師の生涯学習元年―更なる自己研鑚へ JPALS

10月7日(日) 15:00~17:30/第8会場(オークラアクトシティホテル浜松3F チェルシー1)

平成24年4月より日本薬剤師会は薬剤師の生涯学習を支援する一環としてインターネットを用いた自己学習支援システム(JPALS)の運用を開始した。JPALSでは、薬剤師が生涯にわたり自己研鑚を続けるためのツールとして、研修記録(ポートフォリオ)を中心に据え、薬剤師としてのプロフェッショナルスタンダードを指標としながら、その自己学習の成果をクリニカルラダーの段階で評価している。薬剤師の生涯学習の重要性を再確認するとともに、より多くの薬剤師にJPALSを活用してもらうためにこのシステムの内容や活用法を紹介する。

 お役人さんの基調講演はいらない。おつきあいで呼ぶのはヨクナイ。前回やって懲りたんじゃないんですかね?

 で、趣旨が、現在のJPALSの内容と活用法の紹介であるにもかかわらず、タイトルに並ぶ言葉の「未来感」の強さといったら、驚きの強さです。

 だって、「薬剤師に関係する学会等の認定制度の現状と連携について」とか「JPALS/CL6ジェネラリストに期待すること 知識・技能の継承に向けて」とか、内容次第では、せっかくの職位認定の場が、崩壊しかねないことを言ってますし。

 いやね、職位認定のJPALSが他の学会の認定について、たとえば日本薬剤師研修センターの認定シールについて、なにか言うことでもあるのかなー、とか、知識技能の継承なんてものがCL6っていうなら、大学教授や実務実習指導薬剤師はCL6相当以上の認定が必要だとか言いだしませんかね、とか。

 ほぼ、「言ったもん勝ち」なことを言うだけの会であって、「活用の方法」については、そんなに考えてないんだろうな~、と、第六感が告げていますけれど、どないでしょ?

 総合すると、予想達成度は【20%】です。

  ☆

分科会7. 広がる学校薬剤師の職能

10月7日(日) 15:00~17:30/第9会場(オークラアクトシティホテル浜松3F チェルシー2)

学校保健安全法が平成21年に施行され、学校薬剤師は学校環境衛生の維持管理に加え、健康相談保健指導への参画が求められており、学校と地域医療機関との連携の要と位置付けられた。また、平成24年度の学習指導要領改訂により中学校では「くすり教育」が義務化され、薬剤師がゲストティーチャーとして養護教員等とくすり教育を行うチーム・ティーチングが期待されている。さらに、大規模災害や原発事故に対する学校薬剤師の対応も課題となっている。そこで、各分野での取り組みを通して拡大した学校薬剤師の職能について考える。

 ちょ・・・盛り込み過ぎでしょう!

 趣旨が「学校薬剤師の職能」ってなってますが…。

 学校薬剤師会が自前で学術大会を開いたら、これらは全部、個別に分科会扱いだと思います。

 「笑点」的に、山田くーん、放射線指導の基調講演と、シンポジウムの環境放射線と災害対策は、分科会1にもってってくださいなー、てな感じ。

 混ぜるな危険。

 強引に学校薬剤師会を混ぜちゃった結果が、これ?

 中学校の薬教育だけで、おなかいっぱいじゃないですかね?

 うーん・・・総合すると、予想達成度は【30%】です。

  ☆

分科会8. 医療と福祉の橋渡し役としての薬局

10月7日(日) 13:30~16:00/第16会場(ホテルクラウンパレス浜松3F 松の間A+B)

地域に根ざした薬局は調剤や一般用医薬品の販売業務だけでなく、健康や介護に関する相談を気軽に受けられる街のキーステーションでもあるので、ヘルスケアに関する諸問題に近隣医療機関と連携しながら対応する能力が期待されている。そこで、うつによる自殺防止をめざした薬局のゲートキーパー化、禁煙のサポート、薬物乱用防止への教育活動、在宅患者の介護支援など、地域社会の橋渡し役として貢献する薬局の機能を検証する。

 んーとねー、えーとねー、趣旨と、講演者とは、ガッチリ合ってると思います。話芸もあって場馴れもしている講演者ラインナップということで、安定感もあります。

 「橋渡し」っていう分野を、本業、本筋っぽく言われているのが、気になりますが。

 ほんとは、『専門職権限による患者職場への人事介入による環境改善』とか『完全禁煙しなくても済む、薬物投与設計』とか『薬物乱用に関する当局への実効的な情報提供』といった方策のほうが薬剤師っぽいんじゃないかなー…と。

 「右から左に橋渡し」じゃなくて、一旦薬剤師の前を通るのなら、薬剤師なりの評価や行動を行ってから、より専門的なところに渡すのが、薬剤師的な「橋渡しによる貢献」なんじゃないのかなー。

 薬剤師という専門家の評価や行動が入らなくてもいいという流れって、よーするに「代理店機能」だけを求められているってことで、それは薬局でなくても専門家がいなくても、できるよねって話。

 患者さん・お客さんのために何かするっていうスタンスが、なんとなーく、橋渡し先の営業代行をしているだけっていうスタンスにすり変わっていないか、気をつけないとね。

 総合すると、予想到達度は【100%】です。

 けど、正直、全然、このネタに魅力を感じません。

  ☆

分科会9. 専門性を兼ね備えた薬剤師をめざす

10月7日(日) 13:30~16:00/第17会場(ホテルクラウンパレス浜松3F 松の間C)

病院薬剤師の領域では学会など様々な認定機関より専門薬剤師が誕生している。現状の制度では薬局薬剤師の取得は困難であるが、専門薬剤師を目指す希望者は多くいる。薬局薬剤師が専門薬剤師という新たなるステージへ進むために、専門薬剤師の業務内容や資格取得方法を各専門薬剤師に紹介してもらい、専門薬剤師の必要性や専門薬剤師となるための方策を議論する。

 はあ・・・。

 趣旨の半分、「専門薬剤師の紹介」については、なんとなく網羅しているようですが、「専門薬剤師となるための方策」のほうは、どこへ行ったんでしょうね・・・。

 てゆーか、なるための方策って、「薬局」を運営している企業が、どの程度専門薬剤師の取得に対して寛容であり、十分な環境を作っているのかってあたりに集約されると思うんですが。

 そうなると、「経営者を説き伏せる方法教えます」とか「薬剤師会がバックアップして取得のために現場を離れている間の人員確保を約束します」とか、そーゆーのが必要だと思いますが…。

 この分科会に参加すると、「うわー、専門薬剤師って素敵ーっ。私もなりたーい。でもどうやったらいいのか、現状の環境ではわかんなーい。誰もたすけてくれなーい。じゃあ諦めようーっ」といったテンションの上下感を味わえそうです。

 総合すると、予想達成度は【50%】です。

  ☆

分科会10. 社会の期待に応える薬剤師の将来像

10月8日(月・祝) 10:30~13:00/メイン会場(アクトシティ浜松1F 大ホール)

日本薬剤師会では、アンケート調査などをもとに薬剤師の将来ビジョンを策定しつつある。薬剤師は薬局、病院・診療所、製薬企業、卸販売業、薬事行政など異なる領域で日々国民の健康増進や薬物治療に尽力している。各領域で活動する薬剤師が国民の負託に応えるためには、「オール薬剤師」として一体感を持って協力・連携し、相乗的な成果を出して社会に貢献することが望まれている。そこで、活動している領域別に薬剤師の将来像を発表してもらい、オール薬剤師としての将来ビジョンを考察する。

 (※日薬雑誌は分科会11になっているのですが、学会ホームページをそのまま引用しています)

 薬剤師の将来ビジョン(暫定版)を読んで「うおー、これすごいーっ、すんばらしぃぃぃいっっ!」的な評価をしている人がどの程度いるのかは知りませんが、「職能の将来ビジョン」を「いろいろな職域をあわせた将来ビジョン」に変換して出してきて、それに「オール薬剤師としての将来ビジョン」なんてくくりをくっつけてきた時点で驚きの代物。

 しかも「考察」するんですと。

 うーん…。

 せっかくだから、演者をずらしたら、いいんじゃないですかね。

 基調講演を木俣さん、薬局薬剤師を稲垣さん、病院薬剤師を児玉さん、製薬企業を生出さん、卸薬剤師を清水さん。そういうラインナップで「考察」するなら、きっと、面白いと思います。

 自分の職域の将来ビジョンを自分で評価するより、他の職域の人から見てどうなのかを赤裸々に話してもらったほうがいいでしょう。

 もっと言えば、日薬の理事さんたちは自分たちが作ったものの「解説」に走っちゃいますから、外部の薬剤師がやったほうがいいでしょう。「あなたたちは、わたしたちに、こういう将来像を提示しましたが、ここは素晴らしいと思います。ここはもうやってますのでもっと未来志向で書いてください。ここはもっとつっこんで書いてください。ここは要検証です。ここは総括がおかしいです」・・・という指摘をしてもらったほうが、日薬だって嬉しいでしょうに。

 各領域で活動する薬剤師が国民の負託に応えるためには、「オール薬剤師」として一体感を持って協力・連携し、相乗的な成果を出して社会に貢献することが望まれている。 との一文には、「国民がどんな期待をしているんでしょうね」とか「誰か望んだ人がいましたっけ?」とか野次が飛びそうです。

 日薬は「個人を基本にする職能組織」を目指すのだとことあるごとに(心にもないことを)書いている癖に、実態として「組織企業を基本にする職域連合組織」を目指していることが、この分科会の趣旨からもうかがえます。

 たぶん、終着駅は、全ての職域の会を併合することなんでしょう。ソビエト連邦チックなカタチで巨大化。あいかわらず、「薬舗主を盟主とした、病院や卸や製薬企業や学校薬剤師などを支配下におきたい人たちの会」でござるね。

 総合して、予想達成度は【100%】です。だって、「考察」って、読みあげるだけって意味でしょ?

 聞く価値があるかっていうと、全くないと思いますけど。

 役員のみなさん、特に会長は、こんなところで喋るよりも、ポスター発表を全部見て全部に質問するくらいの芸当をみせてほしいものです。

  ☆

分科会11. 在宅医療に取り組む薬局 ~患家がもう一つの仕事場~

10月8日(月・祝) 10:30~13:00/第1会場(アクトシティ浜松B1F 中ホール)

介護保険制度の浸透、国の医療政策と相俟って在宅医療が進行し、薬剤師のより積極的な参画が求められている。在宅医療では患者とその家族を支えるために、医療・介護・福祉等の各分野の専門職が関わり、多職種間で情報を共有することで各職能を最大限に発揮できる。多職種と連携し、患者・家族を支える在宅医療を通して、これからの薬局のあるべき姿を考える。

 「これからの薬局のあるべき姿」なんてことを書いちゃう・・・。

 「いろいろな業務のひとつとしての在宅」だから、できる薬局と出来ない薬局があるのが当たり前、というスタンスがまずあって、そのうえで、できる薬局はこんなことしているから参考してね、できない薬局も、できる薬局を支えるためにこんなことだったらできそうですから、ためしてみてね・・・という流れなら、とてもわかりやすい分科会になりそうなんですが、「あるべき姿」と言われちゃうと、近寄りたくないデスヨ。

 講演タイトルなどから推測するに、「あるべき姿」というのは趣旨側の先走りにしか見えませんが、趣旨との合致度という視点で考えると、まあ、結論部分は、合致してないですよね。

 総合すると、予想達成度は【80%】です。

  ☆

分科会12. より安全で安心ながん医療への貢献 ~病院薬剤師、薬局薬剤師それぞれの役割~

10月8日(月・祝) 9:00~11:30/第2会場(アクトシティ浜松 コングレスセンター3F 31会議室)

近年がん医療はチーム医療の代名詞と言われるほど多職種の関わりが求められている。それは病院の中にとどまらず、地域医療連携による薬局薬剤師の関与も各地で進められている。がん患者の病名やレジメンなどの診療情報の共有、告知の問題、副作用情報の提供等、薬薬連携が抱える課題をどのように乗り越えて安全でかつ患者が安心して受けることができるがん医療を提供していくかについて様々な事例を通して学び考える。

 「安全で安心な」という言葉を昨年からやたらと聞くようになりました。

 誰にとっても安全で安心なものなど存在するのでしょうか。

 「安全」には必ず「基準」があります。そこに想定された危険に対しての、基準です。100%絶対安全ということはありえません。想定されない危険に関しては安全とはいっていませんし、想定される危険に関しての安全度もまた、「想定」の範囲内です。

 「安心」にも、基準がありそうですが、その基準は明文化されることはありません。個々の心の中にあって、確定することのない基準なのですから、「こんな基準だったら安心でしょ?」と言われたときに、誰もが安心だと思える基準であり続けられるかどうかと問われれば、そこまでの自信はないのが普通。

 その点、この分科会のタイトルは「より」という言葉がつくことで、今よりほんの少しでも安全で安心ならOK、という設定で始まります。うまい。

 総合すると、予想達成度は【90%】です。

  ☆

分科会13. 慢性疾患患者へのファーマシューティカル・ケアを考える

10月8日(月・祝) 10:30~13:00/第4会場(アクトシティ浜松 コングレスセンター4F 43+44会議室)

徐々に病状が進行する慢性疾患では、アドヒアランスの確保や副作用の早期発見など、薬局薬剤師の役割は非常に大きい。慢性疾患患者へのファーマシューティカル・ケアを行う上での留意点や問題点を討議する。

 趣旨に「討議する」と書いてあるのにディベートではないようです。

 テーマが「慢性疾患」という広い範囲なので、それらに共通する点を示し合うのかなー…と思いながら講演タイトルをみていくと、個別疾患ごとの事例報告の様子。

 趣旨も、かなりアバウトです。アバウトなので、全体像をフォローできないほど。

 基調講演が個別疾患についてで、シンポジウムも個別疾患について

 これは、テーマづくりに失敗している気がしますが、趣旨自体が留意点の確認くらいの意味にもとれる書き方。

 うーん…。方向性の異なる歌手が「ストリートライブ出身」といったキーワードだけで集められたイベントのような感覚です。それはそれで、コブクロとDoAsInfinityと植村花菜とゆずが集まって夢の豪華共演状態になって嬉しいかもしれませんが、コラボは一切なしだとすると物足りないわけで…。

 総合すると、予想達成度は【30%】です。

  ☆

分科会14. リスクマネジメント ~医療安全のための新たなステージ~

10月8日(月・祝) 9:00~11:30/第6会場(アクトシティ浜松 研修交流センター2F 音楽工房ホール)

薬剤師業務におけるリスクマネジメントは、これまで薬品の取り違い、患者間違いなど従来業務に関わるヒヤリ・ハットについて数多くの事例が収集され、その対応策についても十分協議がなされてきた。一方で薬剤師は、より能動的に患者に安全で適切な医療を提供するリスクマネジメント能力が求められている。各施設での安全対策の取り組みを知るとともに、医師への適切なアドバイス、ハイリスク薬剤投与患者への服薬指導管理、薬物治療モニタリングなど、薬剤師が関わるリスクマネジメントの新たな方向性を探る。

 基調講演で「新たなリスクマネジメント能力」(内容は不明。ジョジョの奇妙な冒険でいうところの「トト神」のスタンドみたいな能力ではないかと想像。ほら、漫画で予言するというリスクマネジメントに最適なアレですよ)を述べるようなのに、その後の講演の内容が、「ちょっと古い」気がします。ハイリスク薬とか臨床思考プロセスとかPK/PDとかって、新しくないですよね

 趣旨は「施設での今の取り組みを踏まえた、新しいこと」ですから、「新しくない」ことしか述べないのなら、趣旨にあっていないことになります。

 シンポジウム部分が新しいかどうかは、講演タイトルからではわかりません。新しいことも言うかもしれないし、新しいことは言わずじまいかもしれませんし。

 総合すると、予想達成度は【60%】です。 

  ☆

 以上、分科会の内容を勝手に推測し、勝手に趣旨に対する予想達成度を書いてきたわけですが、まだ実際の分科会まで、一カ月ほど余裕があります。

 「ちくしょー、吾輩の高尚な講演の内容を聞いてもいないのにタイトルだけで評価しやがって、許せーん!」と感じた演者のかたがいらっしゃいましたら、その怒りのパワーを実際の講演の成功のために用いていただければ、みんなのため、職能の向上のためになります。いい加減な評価をしたおばかな筆者としては、実際の講演が素晴らしいものであった場合を想定して、今から謝っておきます。「達成度が低いんじゃないかとか予想してしまって、ごめんなさい」

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