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東京保険医協会「ジェネリックについての緊急アンケート・詳細版」も読んでみる遊び。

今回は、「お待たせしました」という触れ込みで発表された、【詳細版】を読んでみます。

暫定版と詳細版があるのなら、

詳細版は、暫定版の内容をほぼ全て含みつつ、細かいデータや、さらなる踏み込んだ分析を行うものであると、

筆者は勝手に思っていましたが、

東京保険医協会さんの中の人の場合は、どうも、そうではなかったようです。

一言でいうと、

「詳細版のほうが、暫定版よりも、分析があっさり」。

分析というよりも、数値を読みあげているだけの記述が目立ち、添えられているコメントも、当たり障りのない感じに変更です。文章表現を、大幅にかえてきました。

暫定版における、このブログでツッコミを入れたあたりを中心に、編集でカットを入れまくったかのような報告書になっています。

詳細版の日付は2012年5月30日ですから、筆者が暫定版に関する感想etcを公開した日(同日)には、すでに、つっこまれどころに気が付いていたということでしょうか??? あまりにも見事にツッコミ部分が削除されていたり、ツッコミに対しての返答かと勘違いしてしまいそうな言葉が追加されていたりして、東京保険医協会には未来予知(ブログ記事限定)の超能力者でもいるのかと、ドキドキです。

もう「暫定版」は消えてしまいましたので、5月25日から6月1日までの短い命で訴えられた内容も一緒にさよーならー♪(このブログに、「暫定版」の引用文が残されていますので、内容をじっくり比較したい方は、そちらの記事もご覧ください)

暫定版への指摘とのシンクロ対応未来予測っぷりが面白かったので、そちら中心に、少し確認してみます。

  ☆

まずは、目的を確認しましょう。

【暫定版】でも【詳細版】でも、東京保険医協会さんの作成したポスターの関連情報として位置づけられているはずなのですが、なんのためのアンケートなのかという説明は、以下の通りでした。

【詳細版】

 【アンケートの目的】
 協会が作成した「ジェネリックは医師に相談して」ポスターに対して、ジェネリックの学会やNPO団体が患者に誤解を与えるなど非難を行っている。また、ジェネリック製薬メーカーの団体からは懇談を求められた(2012年5月11日「日本ジェネリック製薬協会」役員との懇談を実施)。さらには日経新聞が論説でこのポスターを問題視しているこれらはジェネリック使用を拡大しようとする一連の動きである。
 ジェネリックは本当に問題なく診療に取り入れられているのか。保険医協会会員はどのように考えているのか。ジェネリックの課題は何か。一般名処方の賛否はどうか。これらを解明すべく、調査を実施した。

ふむふむ。

この項目で言いたいのは、

1.(ジェネリック推進そのものには反対していないはずの)東京保険医協会のポスターを非難することは、ジェネリック使用拡大の動きである。

2.ジェネリックが東京保険医協会の会員による診療に取り入れられるにあたって、問題があれば明らかにしたい。

3.一般名処方の賛否が、東京保険医協会の会員のジェネリック推進にどう影響しているのかを明らかにしたい。

といったあたりでしょうか。

1.は、目的をあやふやにする要素がてんこもりなので、もう少し整理か必要です。

いえ、東京保険医協会さんが、「私たちの協会は、全てのジェネリックに大反対」という立場なら、「ジェネリック使用を拡大しようとする一連の動き」には反対するのが普通ですけれど、東京保険医協会さんは、そういう立場をとっていませんから。

【品質の良いジェネリックは賛成。ぜひ推進しましょう】という立場ですよね、確か。

非難している側との大きな違いは、その「品質の良い」という基準に対する考え方です。

ですから、非難の動きに対して「ジェネリックの使用を拡大しようとする一連の動き」などという陰謀説的な書き方をするのではダメです。東京保険医協会さんも、「ジェネリックの使用を拡大する」という点においては、同じ立場にあるのですから

「ジェネリックの品質に関して、現状の審査でよいとする立場」や「より品質の良いジェネリックを選択する能力があるという東京保険医協会の主張を疑問視する立場」からの意見がありましたよね…という話です。

これに対して、東京保険医協会さんは、「ジェネリックの品質に関しては、現状の審査基準ではダメだ。もっと厳しくすべきだ」と回答したわけですが、もう一点の「より品質の良いジェネリックを選択する能力があるという東京保険医協会の主張を疑問視する立場」への回答はしていません。

ポスターの作成前に会員アンケートをとった結果として「より品質の良いジェネリックを選択する能力があると、東京保険医協会の会員の多くが回答した」という事実があれば、「なるほど、それなら、ポスターの文言も、少なくとも何の根拠もなく書いてあるわけではなく、自らの自信の表れをキャッチコピーにしただけで、特に問題にならないよね」といった解釈もできそうなんですが、今回のアンケートの項目は、「特に会員に訊くこともなく、できると言っちゃったんだけれど、実際問題として、みんな、できるよね?」という調査になっています。

ポスターの件とからめたときの目的としては、【「ポスターに書いちゃったことの裏付け」が実際にあるのかどうか】の調査をしていることになるかと。

目的はそこですから、

調査結果にて「裏付けがある」となれば、胸を張ればいいし、

調査結果にて「裏付けがない」となれば、ポスターについては謝ればいいし。

執行部と一般会員の感覚のすり合わせができればそれでいいというアンケートなのだと思いますので、結果に従って、粛々と主張内容を見直せば解決です。

  ☆

青:【暫定版】

 協会は5月1日、FAXで「ジェネリック医薬品(以下、後発品)に関する緊急アンケート」を実施した。この調査は協会の開業医会員4,296人を対象に16日まで連休を挟んだ期間に実施し、1,229人(28.6%)から回答が寄せられた。

 回答者の病診別や年齢構成の分布は会員全体の構成と概ね一致していることから、回答は全体の傾向を示していると考えられる。

茶:【暫定版へのツッコミ】

 回収率は、特にツッコミません。この回収率でも十分に意見を反映しているということを認めたうえで、話をすすめます。

緑:【詳細版】

【調査方法、回収数】 今回の調査は、東京保険医協会の開業医会員でファクシミリを送付可能な4296人を対象に実施した。5月1日、アンケートを送付。5月23日までに1237人から回答が寄せられた。回収率は28.8%である。いくつかの設問では「その他」を選択した方に記載を求めた。また、薬効差がある、副作用があるなどの具体例も挙げていただいた。さらに、欄外に記載されたご意見も多数寄せられた。報告にはこれらもできる限り反映させている。 この種のアンケートとしては異例の高回答率であり、会員のこの問題に対する関心の高さをうかがわせる

 回答者の院所の形態別の構成は当会の開業医会員の院所の形態別の構成とほぼ一致している。 開業医会員全体の率は、無床診92.7%、有床診3.9%、病院3.4%である。回答者の年齢分布は、40代が3.6%多く、70歳以上が3.5%少ないのを除くと開業医会員の年齢分布と概ね一致している。 これらのことから回答は全体の傾向を示していると考えられる。

【ここのポイント】

 「異例の」とまで書く必要があるのかな、という気もします。医師のアンケート回収率が著しく低いのは、国のアンケートであっても低回答率だった「特定看護師(仮称)」関連の看護WGでも露呈しています。でも、そんなことは、一般の方には理解してもらえそうにありませんから、「異例の高回答率」というコメントは、親切な解説と考えてよさそうです。

 それだけ強調しているのですから、このアンケートの結果は、会員の総意にかなり近いという認識で、会務に取り入れていくのだと期待しちゃいます。

 また、暫定版と比較して、増加人数は「8人」です。

 ここ、大事なので、おさえてください。

 このあとのどんな結果も、暫定版と比較して「8票」以上は増えようがありません。

  ☆

>現在後発品をお使いですか?

青:【暫定版】 

 後発品を一部使用も含め使用している割合は、85%に及ぶ。2003年に保団連が実施したアンケートでは68.1%(東京の会員だけの集計)であった。実に16.9%増加している。

 逆に「ほとんど、または全く使用(処方)していない」は、28.8%から14.1%に半減した。東京でも後発品が浸透している

茶:【暫定版へのツッコミ】

 「実に」と言うほどの結果ではないので、気持ちを込めすぎな分析です。

緑:【詳細版】

 一部使用も含めると、後発品を使用している割合は85.2%に及ぶ。2003 年に保団連が実施した同じアンケートの東京の会員の回答では、68.1%であった。17.1%増加した。東京でも普及が進んでいる。反対に「ほとんど、または全く使用しない」は28.8%から14%に半減した。

【ここのポイント】

 淡々と、「17.1%増加した」という記述に。

 「実に」の16.9%から、更に0.2%増えたのに「実に」は抜けています。

 「2003年に実施された」という全国保険医団体連合会の「同じアンケート」を探したのですが、全国保険医団体連合会のホームページには掲載されていないようです。わざわざ「同じアンケート」という記載が増えたのですが、当時も一般名処方についての設問などがあったのなら、【詳細版】では、それら2003年の結果との比較もしてほしかったところです。

  ☆

【暫定版】

 使用しない理由では、「薬効に信頼が持てない」、「副作用の発現」、「先発品で足りる」、「名前に違和感」が多い

 また、未使用者の76.1%が今後も使用しないとしている。全体に対しての率は10.9%である。

【暫定版へのツッコミ】

 「医師が選んだ安心な後発品を」というポスターの主張にも賛同しない医師が15%(14.1%ですが切り上げ表記します)ほどいることが明確化したわけです。

【詳細版】

 問7で現在後発品を「ほとんど、または全く使用(処方)していない」と回答した方に対して、後発品を使用しない理由を尋ねた。

 「薬効に信頼がもてない」、「副作用の発現、安全性に対する危惧がある」が群を抜いて多く、次いで「先発品を使用していて不自由がない」が続く。「名前に違和感がある、名前を覚えられない」もあった。

 問7で現在後発品を「ほとんど、または全く使用(処方)していない」と回答した方のうち、「今後も使用しない」というコアな回答が75.1%ある。「使用する予定」は2.3%に留まっている。

 後発品をほとんど・全く使用しない会員にとって、後発品は信頼できないという思いが強いことがうかがえる。

【ここのポイント】

 『ポスターに賛同していない医師の「今後も使用しない」という意見は、「コアな回答」である』という分析です。

 この場合の「コアな回答」って、どーゆー意味なんだかわかりません。一般的な使い方を探してググってみましたが、意味合いが様々だったので、発言者次第で意味が変わる言葉ということで。

 「こいつらは、我々執行部とは違う種類だから」と言いたいのか、「この方たちは、まさしく我々執行部が思っている核心的な意見を代表しているのだ」と言いたいのか、どっちなんでしょう。

 「品質の良いジェネリックなら推進したい」という東京保険医協会さんの主張からすると、「品質が良いジェネリックがあろうが関係なく推進したくない」という主張を、今後どう取り扱っていくのかを明らかにできると、説得力が増すのですが…。

  ☆

【暫定版】

 後発品は専ら経済的な理由で使われている。「患者負担を軽減するため」、「患者から求められる」、「日本の医療費を抑えたい」という回答が上位で、「効能、効果が先発品と同等」は2割を切り「安全で信頼できる」は2.3%しかない

【暫定版へのツッコミ】

 【「日本の医療費を抑えたい」という回答が上位で】なんて書いてありますが、それ、29%です。後発品を使用している医師のうち70%は、日本の医療費の抑制と後発品は無関係だと考えているのか、医療費抑制に興味がないのか。

 ものすごく好意的に考えても、【後発品の相談をした場合、89%の確率で、安全で信頼できる処方を書いてもらえないらしい】という結論

【詳細版】

 問7で後発品を処方していると回答した方に対して、使用理由を尋ねた。 「患者の薬剤負担が軽減される」「患者さんから要望があった」が多数を占め後発品は経済的な理由から使われている事が明瞭になった。医療機関も患者の負担を配慮して後発品を使い、患者からも負担が安くなるとの思いから求められる。「日本の医療費を抑えたい」という回答もあった。一方、「効能、効果が先発品と同等と思う」は、2割を切っている。

【ここのポイント】

 詳細版は、まず、「後発品は経済的な理由から使われている事が明瞭になった」と結論付けています。ここで「経済的な理由」とまとめられていることには、違和感があります。想定される「経済的な理由」は、『国家経済』『医療機関の経営』『患者の支払い能力』といったものがありますが、アンケートで多数を占めたという項目からは、それらのうちで『患者の支払い能力』が理由であると判断できそうです。詳細版では、【暫定版】にあった「日本の医療費を抑えたいという回答が上位」という文言が抜けていて、「患者の負担軽減」という点が、より強調されています。

 「患者の負担軽減のためならば、安全性に信頼がおけなくても、後発品を処方している」という点が強調されたわけですが、これでは東京保険医協会さんが主張する「私たちは、安全で信頼できる後発品を選びます」というのとは話が違うわけで…。

 安全で信頼できることを最優先にしているからこそ、患者から何を言われようが後発品は処方しない・後発okの処方せんもださない…という、筋の通った活動をして「いない」のが実態なら、『安くなりますよ』としか説明しないよーな薬剤師と、後発品へのスタンスは、似たりよったりなわけで…。ごにょごにょ。

 抜けといえば。

 もうひとつ抜けているのが、「安全で信頼できる、は2.3%しかない」という文言です。「安全で信頼できる」の数字は、東京保険医協会さんの主張を補完する、とてもとても大事な数字なのですが、すっかり分析から抜け落ちてしまっています。この回答の数値がとっても高かったら、東京保険医協会さんの主張する「医師は安全で信頼できる後発品を使用する能力がある」という話に対して、所属する会員さんたちも同様に考えているということで理解できるのですけれど。

 数値がとっても低いということは、所属会員の考えと会の主張が大きく乖離しているということで、主張の最も大事な部分の担保ができないわけですが……だからといって、分析においてスルーするのでは、アンケートの目的に反しませんか? まさしく、この部分を明らかにするために行ったアンケートだと思うのですが。

 また、【詳細版】には、「その他」の回答がずらりとならんでいるのですが、『保険者から目をつけられるのが恐ろしいから』のように、医療機関側の経営運営上の問題について書いている方もいる一方、東京保険医協会さんが主張するような、後発品の特徴をうまく使いこなしている方もいます。

 「いやいやながら使っている」医師と、「上手く使いこなしている」医師と。

 東京保険医協会さんの目指す「会員」は、「上手く使いこなす」会員ですよね?

 それなら、「その他」の回答内に、「問題の解決策」はあります。

 使いこなしている会員の智慧を、吸収することです。

(※この部分の「その他」の回答を眺めていると、とても面白いのですが、医師側が処方せんの書き方を理解していないことに起因する薬局への文句は、さっさと誤解をといておいたほうがよさそうです…)

  ☆

【暫定版】

 実際に後発品を使用した感触は、「先発品と変わりがない」は19.3%で、「薬効が劣るものがある」45.8%、「副作用の頻度が高いものがある」11.4%、「心理的に不安」42.9%、「薬効や副作用の面以外の不満」31.1%である。何らかの不満を訴える回答が多い

【暫定版へのツッコミ】

 何らかの不満を訴える回答が多いという結論は、ひどすぎです。

 もともと、何らかの不満を訴える選択肢しか用意されていません

 最大級のプラス評価が「先発品とかわりない」レベル。

【詳細版】

 実際に後発品を使用した感触では、「先発品と変わりがない」は19.4%で、他は不満を示す回答である。「薬効が劣るものがある」「副作用の頻度が高いものがある」「心理的に不安」「薬効や副作用の面以外の不満」である。

 経済的理由から使用しているが、満足できているわけではないという実情が見て取れる。

【ここのポイント】

 この設問だけでは、「経済的理由」との関連は、全くわからないはずですから、【詳細版】の追加コメントは、前段の結論である『後発品は経済的な理由から使われている事が明瞭になった』をベースにしているコメントのようです。

 「患者の負担軽減のためならば、安全性に信頼がおけなくても、後発品を処方している」という点を、さらに強調したことになります。

  ☆

【暫定版】

 薬効や副作用以外の不満では、「情報提供の不足」、「薬の名前」、「MRの訪問が少ない」が多い。情報の不足は、「MRの訪問」、「研究会の開催が不十分」も含めるとのべ1159人(回答者の94.3%)が挙げている。よく知らない薬を処方することへの強い抵抗が示された。

 また、「分割するときれいに割れず粉々になってしまう」、「点眼しにくい瓶に入っている点眼薬」、「錠径が大きい」といった細かな工夫を欠いているという指摘も寄せられた。

【暫定版へのツッコミ】

 複数回答の質問に対して、のべ数で話をすすめるというのも、あほらしい

 「勝手な分割の防止」「過剰点眼防止」「紛失防止」といった用途に使える製剤があってよかったな~と思えば不満になるはずもない

【詳細版】

 「情報提供の不足」、「薬の名前」、「MRの訪問が少ない」、が多い。情報の不足はMRの訪問、研究会の開催が不十分も含めるとのべ1240 人が挙げている。よく知らない薬を処方することへの強い抵抗が示された。

【ここのポイント】

 暫定版では項目タイトルにまで書いていた「1159人(94%)」の文字が消滅。

 「のべ1240人」という数字に変わっています。

 1237人のアンケートで、1240人を「のべ」人数なのに%表記したら、「100%をこえる」ことに気付いたのでしょうか? 堂々と、【1240人(100.24%)が「情報の不足」を指摘】と書いてあったら、数字に疎い担当者にアンケート分析を押し付けるなという声が聞こえてきたかもしれませんので、まずは、めでたし。

 で、ここで挙げられた項目で「情報の不足」というカテゴリに入るのは、解説によれば「情報提供の不足」「MRの訪問」「研究会の開催」の三つということでよろしいでしょうか。

 三つですよね。

 詳細版の数値を足してみます。

 情報提供:635

 MRの訪問:377

 研究会:228

 635+377+228=1240。ぴったりです。

 うん、三つで、いいようです。

 暫定版は、「のべ1159人」と書いてありました。

 三つを足すと、594+351+214=1159。

 全体が1229で、そのうち1159なので、94.3%。

 これも、間違いなさそうです。

 暫定版から、詳細版までの間に、回答者は「8人」増加しました。

 暫定版1229、詳細版1237。

 三つの項目すべてに「8人」が投票した場合、のべ24人ぶん、増えます。

 1240-1159=81 > 24

 これ、どういうことなんでしょうか???

【検証】

 暫定版時の三つの項目の数値

  594 351 214

 詳細版時の三つの項目の数値

  635 377 228

 その差

   41  26  14

 いずれも、今回増加した回答者数を上回っています

 「その他」の項目の該当するものを持ってきたのかと考えて、暫定版時と詳細版時の「その他」を比較してみます。(それでも、重複する可能性があるから、ダメじゃん、という話ではありますが)

 暫定版:64

 詳細版:75

  11、増えてました。

 8人しか増えていないはずなんですが、「11人いる!」。

 これらって、どーゆーことなんでしょうか。

 もしかして、年増じゃなくて、水増(略)

  ☆

【暫定版】

 4月から始まった「一般名処方」では、「賛成」が18.9%、「反対」は58.2%である。「薬局から調剤した医薬品の報告が多くてカルテに記載するのが大変」という意見もあった。事実上、処方権を手放すことに対し賛成が少ないことはうなづける 

【暫定版へのツッコミ】

「事実上、処方権を手放すことに対し賛成が少ないことはうなづける」との分析が成り立つためには、東京保険医協会さんの会員医師の6割が、「反対だから、筋を通すために、一般名処方は一切行っていない」という実態であることを裏付けるなにかが必要なんじゃないか 

【詳細版】

 4月から始まった一般名処方、「賛成」は18.4%に留まる。

【ここのポイント】

 コメント、完全削除。

 なお、「薬局から調剤した医薬品の報告が多くてカルテに記載するのが大変」という意見ですが、一般名処方は報告の必要がなかったのに、あえて報告する制度にするようにと無茶な話を言ってきたのは…すくなくとも、薬剤師側では、ないですよ…。

 あと、一般名を「短くしろ」というコメントには、ある種の新規性を感じました。

  ☆

【暫定版】

後発品への疑問、やはり払拭できない

 患者の経済的な事情からも後発品を選択せざるを得ず後発品の使用が進んでいるが、今回のアンケートからは、「効きが劣ることがある」「副作用の発現が多い(アレルギーのある患者には処方しない)」「情報が得にくい」「供給が不安定など」、後発品の問題点が明らかになった。これら問題の改善は、後発品が信頼されるためには絶対に必要である。

 また、後発品が登場しても先発品の薬価は高く据え置かれている。薬剤費を下げるには高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要だ。 

【暫定版へのツッコミ】

 そういうところまでカンペキにクリアできることが「薬が信頼されるためには絶対に必要」と言い切られちゃうと、信頼される薬って、どこにあるのかな

 高すぎる先発品薬価の引き下げについては、「先発品メーカーが傘下の後発品メーカーに全く同じ薬をつくらせて、先発品として販売し続ける一方で、傘下の後発品メーカーが後発品としても製造販売する」という方式があります

【詳細版】

 後発品の使用が進んでいるが、決して信頼されているわけではない事が明らかになった。今回のアンケートから、効きが劣ることがある、副作用の発現が多い(アレルギーのある患者には処方しない)、情報が得にくい、供給が不安定など、後発品の問題点が浮き彫りになった。後発品が信頼され広く活用されるためにはこれら問題の改善が絶対に必要である。

 また、今回のアンケートでは十分検討が出来なかったが、後発品が登場しても先発品の薬価が高く据え置かれている問題もある。薬剤費を下げるには高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要だ。

【ここのポイント】

 詳細版の小項目ではあれほど強調していた「患者の経済的事情」を、まとめでは割愛。

 「医師から信用されていない」という点が強調され、後発品の問題点の改善は「医師の信頼を得るため」の手段だと定義されました。

 先発品の薬価引き下げ論については、「今回のアンケートでは十分検討が出来なかったが」という注釈がはいりました。

 では、この部分についての唯一の検討設問であり、【暫定版】では公開されていなかった設問でもある「現在の先発品の薬価に対する印象は?」という項目の結果をみてみます。

  ☆

Q6:現在の先発品の薬価に対する印象は

 高い:563 (45.5%)

 妥当だと思う:581 (47.0%)

 低い:34 (2.7%)

 N/A:59 (4.8%)

【詳細版】

 協会では「高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要」と主張しているが、先発品薬価が妥当という意見が47.0%でトップであった。その理由までは、今回調査していない。

【ここのポイント】

 会員の意見は、「まあ、妥当じゃん。すくなくとも高すぎると言い切れるほどではないよ」といったあたりに収まりそうです。

 でも、「まとめ」では、【薬剤費を下げるには高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要だ。】と言いきっちゃってます。

 「いろいろな先発品があるけれど、その中で、後発品が存在する先発品のうち、妥当ではない価格のものに関しては、引き下げるべきだ」ということを言いたいのか、それとも、「とにかく後発品が存在する先発品は全部高すぎるから引き下げるべきだ」なのか、それとも「後発品が存在しなくても、先発品は全部高すぎるから引き下げるべきだ」なのか…。

  ☆

暫定版との比較は、以上です。

シンクロしているようにみえますでしょうか。偶然ってスゴイ。

あとは、詳細版のみの項目の続きをみてみます。

  ☆

問13:過去5年間に先発品と比較して薬効が異なる(効きが弱い、効きすぎる)経験をしましたか

問14:過去5年間に先発品と異なる副作用や、先発品と比較して副作用の頻度が高い経験をしましたか

 このふたつの設問には、「ある」の場合の続きがあります。

→「ある」の方へ。メーカーあるいは代理店へ連絡しましたか

問13の「ある 410 → はい 63 いいえ 304」

問14の「ある 159 → はい 32 いいえ 108」

暫定版へのツッコミで

 「先発品と比較して薬効が異なる経験をした」は、38.1%
 とやらの選択肢は、どこに書いてあるのでしょうか???

と書いた設問は、ここにありました。

気になる経験を、きちんとメーカーに伝える医師が二割もいます。素晴らしいことです。

  ☆

さて、質問項目には、他にも、

問1:病院の形態

問2:先生の年齢

問3:先生の開業歴

問4:主たる診療科

問5:医薬分業は(注:おそらくは、院外処方せん発行の有無を聞いている質問だと思います)

問12:どのような領域の薬を使用していますか

といったものがありますが、これらの使いどころは、今回の分析では、「会員の構成分布と一致するか」だけなんですよね~。

ちょっとでいいから、クロス集計してほしいんですが。(暫定版でグラフ化していたことから、すでに集計内容は表計算ソフトなどに入力済みだと思いますので…)

問5で「院外処方せんの発行をしている/していない」と回答した方が、他の問ではどう答えているのか…とか。

問4での「主な診療科」が、他の問の回答に影響していないのか、とか。

問10で「後発品は安全で信頼できる」と回答した方の年齢や開業歴や診療科には、特徴があるのかどうか…とか。

せっかく「この種のアンケートとしては異例の高回答率」のデータを手に入れたのですから、もっと活用しないと損です。

  ☆

【まとめ】

 アンケートの当初の目的であったと考えられる「会員の意見が協会の主張と合致していることの証明」できなかったわけですが、今後の方針を考える上で、傾向を分析し、どの年齢層・どの診療科に対して、どのような対話をしていくと良いのかを知ると、きめ細やかな対応が実現していきそう。いまこそマーケティングです。詳細版に続く【分析版】や、結果を受けた【主張の適正化】など、このアンケートを踏まえた「続き」が楽しみです。

 「その他」の回答には、いろいろと参考になる意見があります。それらをみて、「誤解がひどいな~」という部分、「どんなふうにやっているのか知りたいな~」という部分などを丁寧に拾い上げて、適切に対応し、情報提供をしていく…ようなことを、東京保険医協会さんに求めるのは申し訳ありませんので、東京都薬剤師会あたりに丸投げしていただくと、ジェネリック推進派として知られる都薬会長のノブさんが、あれこれと検討してくれるかもしれません。御一考を。(検討しないかもしれませんが…)

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