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東京保険医協会のアンケート結果の暫定版分析を読む遊び

日本経済新聞の回答がエレガントではなかったので、どーでもいい感じになっていたのですが、東京保険医協会さんが面白すぎるアンケートをとっていたのが公開されましたので、みてみます。

図表はこちらの本文でご確認ください。http://www.hokeni.org/introduction/activity/activity2012/120525genericquestionnaire.html

  ☆

ジェネリック緊急アンケート
開業医会員1229人が回答――94%が「情報の不足」を指摘

 協会は5月1日、FAXで「ジェネリック医薬品(以下、後発品)に関する緊急アンケート」を実施した。この調査は協会の開業医会員4,296人を対象に16日まで連休を挟んだ期間に実施し、1,229人(28.6%)から回答が寄せられた。

 回答者の病診別や年齢構成の分布は会員全体の構成と概ね一致していることから、回答は全体の傾向を示していると考えられる。

「85%」が後発品を使用

 後発品を一部使用も含め使用している割合は、85%に及ぶ。2003年に保団連が実施したアンケートでは68.1%(東京の会員だけの集計)であった。実に16.9%増加している。

 逆に「ほとんど、または全く使用(処方)していない」は、28.8%から14.1%に半減した。東京でも後発品が浸透している  使用しない理由では、「薬効に信頼が持てない」、「副作用の発現」、「先発品で足りる」、「名前に違和感」が多い

 また、未使用者の76.1%が今後も使用しないとしている。全体に対しての率は10.9%である。

 後発品は専ら経済的な理由で使われている。「患者負担を軽減するため」、「患者から求められる」、「日本の医療費を抑えたい」という回答が上位で、「効能、効果が先発品と同等」は2割を切り、「安全で信頼できる」は2.3%しかない

 記入された意見では、「安全で信頼できる後発品を選んで使用」、「薬剤情報が入ってくる後発品を使用」、「高点数で指導の対象にされたくない」、「一般名処方加算ができた」、「在庫負担を軽くしたい」、などであった。また、「国や保険者等による誘導」をあげる意見も多かった。

45.8%が「薬効が劣るものがある」と回答

 実際に後発品を使用した感触は、「先発品と変わりがない」は19.3%で、「薬効が劣るものがある」45.8%、「副作用の頻度が高いものがある」11.4%、「心理的に不安」42.9%、「薬効や副作用の面以外の不満」31.1%である。何らかの不満を訴える回答が多い

 また、「先発品と比較して薬効が異なる経験をした」は、38.1%、「先発品と異なる副作用や、副作用の頻度の高い経験をした」は、14.8%であった。

1159人(94%)が「情報の不足」を指摘

 薬効や副作用以外の不満では、「情報提供の不足」、「薬の名前」、「MRの訪問が少ない」が多い。情報の不足は、「MRの訪問」、「研究会の開催が不十分」も含めるとのべ1159人(回答者の94.3%)が挙げている。よく知らない薬を処方することへの強い抵抗が示された。 また、「分割するときれいに割れず粉々になってしまう」、「点眼しにくい瓶に入っている点眼薬」、「錠径が大きい」といった細かな工夫を欠いているという指摘も寄せられた。

6割近くが「一般名処方に反対」

 4月から始まった「一般名処方」では、「賛成」が18.9%、「反対」は58.2%である。「薬局から調剤した医薬品の報告が多くてカルテに記載するのが大変」という意見もあった。事実上、処方権を手放すことに対し賛成が少ないことはうなづける

後発品への疑問、やはり払拭できない

 患者の経済的な事情からも後発品を選択せざるを得ず後発品の使用が進んでいるが、今回のアンケートからは、「効きが劣ることがある」「副作用の発現が多い(アレルギーのある患者には処方しない)」「情報が得にくい」「供給が不安定など」、後発品の問題点が明らかになった。これら問題の改善は、後発品が信頼されるためには絶対に必要である。

 また、後発品が登場しても先発品の薬価は高く据え置かれている。薬剤費を下げるには高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要だ。

(※アンケート結果の全体は近日中にホームページ上に公開予定)

  ☆

最後に書いてあるように、全体は近日中に公開とのことです。

とりあえずの分析として、「重要な部分」をピックアップしたということでしょうか。

先行して発表する部分が核心ではない…なんて、映画の予告編のようなことをする必要はないでしょうから、今回の部分が重要なのだという前提で読みます。

回答の回収率が28.6%。1000人をこえています。大規模アンケートといわれるレベルです。下地は十分。回収率は、特にツッコミません。この回収率でも十分に意見を反映しているということを認めたうえで、話をすすめます。

アンケートの質問は、表示されている図表から、おおむね、項目選択式のアンケートであることがわかります。

こういう場合、項目の選択肢が大事です。

  ☆

1)【質問】「現在、後発医薬品をお使いですか」

  【回答】

  先発品が主体だが、後発品も使用(処方)している 59.7%
  先発品と後発品をほぼ同等に使用(処方)している 18.1%
  後発品を主体に使用(処方)している         7.2%
  ほとんど、または全く使用していない         14.1%
  無回答                           0.9%

はい、図表から文字にしてみました。

「使用(処方)」って書くくらいなら、質問自体を「現在、処方せんへの先発品以外不可の記載はどの程度の割合で行っていますか」とすればいいのですが、なぜか、そう質問していないのが、この質問のポイント。

このアンケートは、平成24年5月1日~16日に行ったとのことですから、今回の診療報酬改定によって「一般名処方で院外に出しているから、先発なのか後発なのかは意識していない」という項目があってしかるべきなのですが、それもありません。前回改定を踏まえるなら「処方せんには先発品名を書くけれど、別に変更禁止のハンコは押してない」という流れからの「処方せんに先発品名を書いて、変更不可の印はつけていない」という項目がありそうなのですが、それもありません。

1.項目に、現在とりうる主な行動が書いていない

2.質問の意図が不明確。一般名処方の扱いが抜けている。

また、質問自体に、「後発品が存在する先発品について」という範囲設定がありませんから、「後発品が存在しない先発品」については、「先発品を使用している」としかいいようがありません。

3.範囲設定がない

4.カルテ上の「処方」なのか、処方せんの段階の確定「処方」なのかがわからない(医師がカルテに先発品を書いても、事務処理された結果として一般名処方や後発品処方に薬品名が変換されて院外に出される可能性があります)

で、こういった質問&回答について、東京保険医協会さんは、以下のようにコメントしたわけですね。

「85%」が後発品を使用

 後発品を一部使用も含め使用している割合は、85%に及ぶ。2003年に保団連が実施したアンケートでは68.1%(東京の会員だけの集計)であった。実に16.9%増加している。

 逆に「ほとんど、または全く使用(処方)していない」は、28.8%から14.1%に半減した。東京でも後発品が浸透している

 使用しない理由では、「薬効に信頼が持てない」、「副作用の発現」、「先発品で足りる」、「名前に違和感」が多い

 また、未使用者の76.1%が今後も使用しないとしている。全体に対しての率は10.9%である。

だいたい10年前に68.1%、つまり七割近くの医師が後発品を使っていて、残り三割の医師が使っていない状態。その残り三割のうち半分が後発品を使うようになったことを「実に16.9%増加している」と評しているのですが、10年たっていて、これです。ここ10年のこれでもかと繰り広げられた後発品推進政策でも、まだ、15%の医師が、後発品を全く使わない派(人物完全固定ではなく、入れ替わりはあると思いますが…)を形成しています。「実に」と言うほどの結果ではないので、気持ちを込めすぎな分析です。「医師は後発品推進に非協力的なわけではないんです!」ということを強調したかったのかな~、とも考えましたが、むしろ逆効果。「医師が選んだ安心な後発品を」というポスターの主張にも賛同しない医師が15%(14.1%ですが切り上げ表記します)ほどいることが明確化したわけです。この15%の方たち(そのなかでも特に「今後も使わない」とする76.1%、全体の10.9%の方たち)は、「後発品は医師に相談してね☆」というポスターを貼るように言われても、絶対に貼らないわけで、それはそれで、処方せんも変更不可のチェックで埋まっていて、潔いというか、筋が通っている方たちだと思います。(「保険医」としてどうなのかという話は棚上げします)

2)【質問】「後発品を使用しない理由は」(複数回答)
  回答者:163人

 薬効に信頼がもてない   117票  71.8%
 副作用の発現、安全性に対する危惧がある 103票 63.2%
 先発品を使用していて不自由がないから 61票 37.4%
 名前に違和感がある、名前を覚えられないから 45票 27.6%
 使用したことがなく、よく分からない 31票 19%
 院外処方だから 24票 14.7%
 患者に不安を与えるから 20票 12.3%
 なんとなく抵抗がある 12票 7.4%
 面倒だから 12票 7.4%
 その他 25票 15.3%

二つ目の質問は、選択肢を全て見渡したとき、「後発品を使用しない説得力のある回答」が、並んでいないのですけれど…。

自由記入ではないんですよね? これ?

「薬効」、「副作用」、「使用したことがない」までは、まあ、許容範囲(でもありませんが、無理やりにでもそう考えないと進まない気が)。

それ以外の選択肢は、

「そんな理由で後発品を選択しない理由として通ると思えるとは…」と、厳しい生存競争を生き残ってきた新入社員の方々に唖然とされるような理由です。

三割七分の方たちが、「先発品を使用していて不自由がないから」と述べていますので、明日からでも先発品を使用していると不自由になるような政策をとられるかもしれませんね。

今回の改定で、処方せんに後発品のある先発品を書くときに先発品しか認めないのならいちいちチェックが必要になりました。「面倒だから」という方は、チェックをつけるような面倒なことをしないだけで、自動的に後発品を使用できますけど…。

名前の違和感については、もう、なんでこんな選択肢があるのか、さっぱりわかりません。

クラリスは美少女っぽいから好きだけれどクラリスロマイシンは怖い家庭教師っぽいから違和感があるとか、そういう話ですかね?

あれだけ細かいことに目くじら立てて「添加物が違ったらダメなんじゃー!」という主張をしている東京保険医協会のアンケートに協力的な会員さん(の、ごく一部)が、「え、おいらが後発品を使わないのは、フィーリングだよ」と答えているわけですね。選択肢を用意するほうもアレですが、わざわざその選択肢に丸をつけちゃう回答側も、なかなかのつわものです。

3)【質問】「後発品を使用している理由は」(複数回答)
  回答者:981人

 患者の負担が軽減される 744 75.8%
 患者さんから要望があった 617 62.9%
 日本の医療費を抑えたい 281 28.6%
 効能、効果が先発品と同等と思う 190 19.4%
 メーカー品は薬価差がなくなったので 46 4.7%
 
安全で信頼できるから 23 2.3%
 その他 85 8.7%

三つ目の質問は、使用者側に。

 後発品は専ら経済的な理由で使われている。「患者負担を軽減するため」、「患者から求められる」、「日本の医療費を抑えたい」という回答が上位で、「効能、効果が先発品と同等」は2割を切り、「安全で信頼できる」は2.3%しかない

【「日本の医療費を抑えたい」という回答が上位で】なんて書いてありますが、それ、29%です。後発品を使用している医師のうち70%は、日本の医療費の抑制と後発品は無関係だと考えているのか、医療費抑制に興味がないのか、まあ、回答した方々に関しては、そんな様子との結果。

しかも「安全で信頼できる後発品を医師に選んでもらおう」という東京保険医協会の主張とは逆に、「安全で信頼できる(後発品を医師が選択して使用している)」と回答した医師が「2.3%しかない」。ポスターに書かれた「医師に選んでもらう」という行為を実際にやったとして、明確に安全で信頼できる後発品を処方できる医師は、なんと23人しかいないということが分かったのです。仮に、東京保険医協会さんが書いている「回答者の病診別や年齢構成の分布は会員全体の構成と概ね一致していることから、回答は全体の傾向を示していると考えられる。」という話にあわせるとしたら、ほぼ30%の回答で23人ですから、東京保険医協会会員を全部集めても、81人しか、ポスターの主張する行為を行える医師がいないという話になります。4296人のうち81人ですから、確率としては1.9%程です。えーと、つまり、50人の医師に相談して、1人だけが、安全で信頼できる後発品を処方してくれるということです。98%の確率で、安全で信頼できる処方を書いてもらえないらしいと東京保険医協会さんが自ら宣言したことになりますので、この件はここいらでお開きにしたほうがよさそうです。

それとも、あれですかね、以下のような分析をしているということは…

 記入された意見では、「安全で信頼できる後発品を選んで使用」、「薬剤情報が入ってくる後発品を使用」、「高点数で指導の対象にされたくない」、「一般名処方加算ができた」、「在庫負担を軽くしたい」、などであった。また、「国や保険者等による誘導」をあげる意見も多かった。

東京保険医協会さんの中では、

【自分が選んで処方している後発品について、「安全で信頼できる」と述べること】と、

【自分が選んで処方している後発品について、「安全で信頼できる後発品を選んで使用」と述べること】とは、

別の意見なんですかね?

この質問って、

「他の誰でもない、あなたが、後発品を処方しているわけですが、その際に、どうして【その、特定の】後発品を処方しているのか、理由を書いてください」

 OR

「他の誰でもない、あなたが、後発品を処方しているわけですが、その際に、どうして【特定の指定をすることなく】後発品を処方しているのか、理由を書いてください」

の、どちらかの意味ですから、うけとりようによって、「その他」に書いちゃう可能性はあります。

「記入された意見」とは、「その他」のことだとすると、「その他」の85人の全員が、「他の誰でもない、あなたが、後発品を処方しているわけですが、その際に、どうして【特定の指定をすることなく】後発品を処方しているのか、理由を書いてください」のほうの質問だとうけとって、「その他」に、「安全で信頼できる後発品を選んで使用と書いた可能性もあります。もちろん、そうだとしたら、「いえいえ、わたしは、【その、特定の】後発品を処方しています」という回答です。それが約9%ですから、さきほどの2%に加えて考えると、最終的には、ものすごく好意的に考えても、【後発品の相談をした場合、89%の確率で、安全で信頼できる処方を書いてもらえないらしい】という結論が…。あれれれ???

  ☆

続いての質問は・・・

4)【質問】「実際に後発品を使用した感触は」(複数回答)
  回答者:981人

 有効性について先発品に比べて劣っているものがある 449 45.8%
 なんとなく心理的不安がぬぐいきれない 421 42.9%
 製剤としては先発品と同じと思うが、
 その他の面で不満がある 305 31.1%
 先発品と変わりがない 189 19.3%
 先発品に比べて副作用の頻度が高いものがある 112 11.4%

45.8%が「薬効が劣るものがある」と回答

 実際に後発品を使用した感触は、「先発品と変わりがない」は19.3%で、「薬効が劣るものがある」45.8%、「副作用の頻度が高いものがある」11.4%、「心理的に不安」42.9%、「薬効や副作用の面以外の不満」31.1%である。何らかの不満を訴える回答が多い 

 また、「先発品と比較して薬効が異なる経験をした」は、38.1%、「先発品と異なる副作用や、副作用の頻度の高い経験をした」は、14.8%であった。

???

・・・ええと、すみません。

「先発品と比較して薬効が異なる経験をした」は、38.1%

とやらの選択肢は、どこに書いてあるのでしょうか???

図表の中に、ないんですが。

まあ、それは、ケンシロウの指が六本あっても問題ないの法則で済ませるとしても、

何らかの不満を訴える回答が多いという結論は、ひどすぎです。

もともと、何らかの不満を訴える選択肢しか用意されていません。

最大級のプラス評価が「先発品とかわりない」レベル。

「先発品よりも高評価」という選択肢も「その他」の選択肢もない時点で、「なんらかの不満を訴える回答しか受け付けない」という姿勢なのは明らかですから、この分析はダメダメです。

次。

5)【質問】「薬効、副作用の他に不満があるものは」(複数回答)
  回答者:981人

 情報提供 594 60.6%
 薬の名前 428 43.6%
 訪問が不十分 351 35.8%
 供給体制(流通経路) 237 24.2%
 研究会の開催が不十分 214 21.8%
 包装や色、外見等の商品性 116 11/8%
 味 70 7.1%
 小包装がない 48 4.9%
 その他 64 6.5%

1159人(94%)が「情報の不足」を指摘

 薬効や副作用以外の不満では、「情報提供の不足」、「薬の名前」、「MRの訪問が少ない」が多い。情報の不足は、「MRの訪問」、「研究会の開催が不十分」も含めるとのべ1159人(回答者の94.3%)が挙げている。よく知らない薬を処方することへの強い抵抗が示された。 また、「分割するときれいに割れず粉々になってしまう」、「点眼しにくい瓶に入っている点眼薬」、「錠径が大きい」といった細かな工夫を欠いているという指摘も寄せられた。

複数回答の質問に対して、のべ数で話をすすめるというのも、あほらしい話なんですが。

えーと、「四人いて、似たような選択肢abcdがある質問に、たったひとりだけが、abcdの全てに丸をつけました。残りの三人は、別の選択肢を選んだので、誰もabcdには丸をつけませんでした」という状況で、abcdの延べ人数は4です。これを、【4人(100%)が指摘】と書くのは、詐欺です。どんなに多く見積もっても、情報提供の不足が不満だとする意見は最大で60.6%です。

よく知らない薬を処方することへの強い抵抗が示された。」とはご冗談を。全ての後発品にあてはめてしまうのは、ダメですよ。質問2を思い出してみましょうか。使用したことがなく、よく分からない 31票/163人中 19%で、全体の1229人でいうと2.5%ほどの方だけが、「よく知らない薬は使わない」派です。他の方は、なんだかんだで、よく知らなくても、使っています。・・・と言いきっちゃうのもよくないので、「質問3~5の回答を前提にすると、よく知らなくても使っている様子が伺えませんかね~」、くらいの表現にしましょう。

味が不満とか、小包装がないのが不満とか、そういう、とても大事な部分を指摘できる医師がいることが、希望の光です。アレグラODは味が不満。きちっと言える医師&薬剤師が少ないと、いつまでたっても改善されませんよね。薬剤師は味見してなんぼだと、テレビでも言ってましたからね。

分析後半の指摘は全部、先発品の不満点でもあるところで、それらを改善した後発品がいっぱいありますので、「あとから出したくせに改悪になっている」という不満はあってもいいと思いますが、同時期に別のメーカーからいろいろと選択肢がでているのなら、「勝手な分割の防止」「過剰点眼防止」「紛失防止」といった用途に使える製剤があってよかったな~と思えば不満になるはずもないあたりです。

製剤の情報開示はされているはずなんですが、それでもMRの訪問が必要な理由がよくわかりません。先発品が存在するのですから、症例に対する薬品成分選択については後発品側が研究会を行う必要は全くありませんし、東京保険医協会さんの主張は「後発品は製品の情報量がもともと足りないので、各種試験を行え」くらいの勢いですから、そんな貧弱な情報しか用意できないうえに全部開示している状態であるにもかかわらず、それ以上の情報を出してよとMRさんに面と向かって言ったところで、製剤に関する情報は何も出てきません。

名前が不満だなんて話は、なにかのネタかユーモアとして選択肢に入れたのでしょうか。医師だって、息子や娘から「こんな名前つけられて不満!」とかキレられても困るでしょうに。芸名が好きなのだから本名で呼ばれるのは不満!というセレスティア・ルーベンベルクさん(本名:安弘多恵子)的な中二病設定かと思いました。実務上は、芸名を処方せんに書いて後発可能状態にしておけば解決するハナシですから、不満と回答した医師は、そのあたり分かっていてあえてギャグにつきあってあげた心の広い方たちだと考えたほうがよさそうです。

6)【質問】「一般名処方について、どう思いますか?」

  回答者:たぶん1229人-無回答者103人

 反対 58.2% おそらく715人
 賛成 18.9% おそらく232人
 その他 14.6% おそらく179人
 無回答 8.2% おそらく103人

 無回答者を覗いて%を集計すると、

 回答者1126人

 反対  63.4% 
 賛成  20.6% 
 その他 15.9%

理由がわからないので、これを分析するというのは無理だと思いますが…

6割近くが「一般名処方に反対」

 4月から始まった「一般名処方」では、「賛成」が18.9%、「反対」は58.2%である。「薬局から調剤した医薬品の報告が多くてカルテに記載するのが大変」という意見もあった。事実上、処方権を手放すことに対し賛成が少ないことはうなづける

・・・とのこと。

薬局からの報告うんぬんは、制度の話ですから、報告制度をごり押しした方たちと調整していただければ嬉しい限りですけれど。

事実上、処方権を手放すことに対し賛成が少ないことはうなづける

との分析が成り立つためには、東京保険医協会さんの会員医師の6割が、「反対だから、筋を通すために、一般名処方は一切行っていない」という実態であることを裏付けるなにかが必要なんじゃないかと思いますが。「反対だけれど一般名処方は出している」という行動って、東京保険医協会さんの倫理規範的に、ありなんでしょうか、なしなんでしょうか。

  ☆

では、最後に、まとめの部分を読みましょう。

後発品への疑問、やはり払拭できない

 患者の経済的な事情からも後発品を選択せざるを得ず後発品の使用が進んでいるが、今回のアンケートからは、「効きが劣ることがある」「副作用の発現が多い(アレルギーのある患者には処方しない)」「情報が得にくい」「供給が不安定など」、後発品の問題点が明らかになった。これら問題の改善は、後発品が信頼されるためには絶対に必要である。

 また、後発品が登場しても先発品の薬価は高く据え置かれている。薬剤費を下げるには高すぎる先発品の薬価の引き下げが必要だ。

なんか、後発品の信頼ハードルをあげるのに夢中で、先発品の信頼ハードルも、おもいっきりあげているのに気付いてますでしょうか?

「(患者の身体特性等によって)効きが劣ることがある」「(もともと)副作用の発現が多い(アレルギーのある患者には処方しないようにしても出るときは出る)」「(比較検証するための)情報が得にくい」「(原料生産の中止などで)供給が不安定など」は、先発品でも普通にありますから、そういうところまでカンペキにクリアできることが「薬が信頼されるためには絶対に必要」と言い切られちゃうと、信頼される薬って、どこにあるのかなー、てな感じですよ。

高すぎる先発品薬価の引き下げについては、「先発品メーカーが傘下の後発品メーカーに全く同じ薬をつくらせて、先発品として販売し続ける一方で、傘下の後発品メーカーが後発品としても製造販売する」という方式がありますけど。「正式な後継者」を、道を切り拓いた英雄自らが指名して子飼いの者から継承。やや後出しで認可すると、薬価も最安値が見込めます。そのぶん、他のメーカーは、製剤工夫におもいっきり頑張ることになりますから、患者サイドとしても医師サイドとしても、良い選択肢が増えて、めでたしめでたし。

あんまり喧嘩せずに済む方法なんて、いっぱいあるのにね。

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