« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »

2012年4月

ネット&テレビ電話販売のパブコメ結果を読んでみる遊び。

「インターネット販売&テレビ電話」に関するパブコメがひっそりと公開されてだいぶたちました。

内容については、『薬局のオモテとウラ』くま☆さんの平成23年2月17日付記事を参照~☆

いろいろな意見があって面白いです。

読んだ感想を書いてみます。(という出だしで書き始めてから、書きあがるまでに一か月以上かかったうえ、震災以降ほったらかしにしていたので、気が付いたら、仕分けの結果がでてたり、もう忘却の彼方だったりして…。マジメに読むと時間がかかるんですね、パブコメって。審議会の委員の人たちは、ちゃんと読んでいるんだとしたら、時間超人ばりのアクセラレーション能力者だと思う次第…←と書いてから更に一年ほどほったらかしにしてました。というわけで、これ、大半は一年以上前に書いてます)

  ☆

なお、今回は、シリアス系の題材を扱うので、「18禁」「エロ」視点をテーマにして書きます(おい)。エロスです。おふざけです。シリアスに物事をとらえる方は、ここで御退場ください。

今回のネタの大半は平成23年2月に書いたので、いろいろ決着がついているコトもあります。ご了承ください~。

  ☆

さて。

筆者は「今は、不便な部分をひとつひとつ改善することを考えようよー。あわてても、ろくなことないよー」という『今は、反対』の立場です。ここ、『今は』が大事ですからね。一方で、経過措置延長については、さっさと「延長する」って決めればいいのにな~、と思っています。(※延長されました)

このパブコメは、『(今後あれこれ条件が満たされるだろうから、それを信じて、すぐに)賛成』の立場の方たちの、前向きな意見が、参考になります。『反対反対ーっ』と叫ぶだけではもったいないので、強く反対する方は、「条件付き賛成」の意見欄を、一度は読んでみてくださいね。

  ☆

単純な『反対』『賛成』で分けると、なんだか殺伐としてしまいます。

ぽわんぽわん♪とした分け方を考えましょう。

ちょっと、違った見方をしてみて…。

A:「(今は)反対」:今解禁したら、条件を整えないだろうなー(性悪説)

B:「(条件が満たされれば)賛成」:すぐに条件を整えるはず(性善説)

C:「少しでも入手に困っている人がいるなら、賛成」

D:「かなり入手に困っている人がいるから、賛成」

E:「入手で困っている部分は提供側がなんとかする。反対」

F:「入手で困っていても知ったことか。反対」

G:「自己責任じゃん」

H:「その他」

…といったニュアンスに分かれているんじゃないかな、と。

あ、性悪説とか性善説とかいう部分は、別に18禁とは関係ないです。最初からニヤリとされても困ります。反応はやすぎです。

これ、本当は、複合型もたくさんあるのですが、最も強く主張している部分はここなんじゃないかな~と主観的に推測した結果で分類しました。(条件となっている理由が異なるので、パブコメの質問自体を三つくらいに分けたほうが、わかりやすかったのになぁ…。)

では、各項目について。

  ☆

H:「その他」は、いろいろ。賛成反対を越えた部分での主張だと、筆者が勝手にとらえました。面白い意見もあれば、送り先を間違えているんじゃないかと思える意見というか人生相談とかも…。まあ、いろいろ。

Gの自己責任論薬事法は「自己責任」では済まない仕様になっています「薬事法の趣旨を180度曲げて欲しい」という意見でしょうか。そこまで考えている意見なら、国家の薬事行政の根本からの再考という話として、なかなかカッコイイ姿勢です。自己責任論と、薬事法を大きく改正しようという主張がセットなら、わかりやすい主張です。

 薬事法の大改正(目的を変えてしまうこと)を前提にしていないのに自己責任論で話をすすめる場合は、薬事法の趣旨(第1条(目的)この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医療品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする)に則り、自己責任で済む範囲が著しく狭くなります。【自己責任が認められると国が認める範囲の薬(たとえば、資格者がいないコンビニで買える薬)】以外は一般薬として認めない方向に進み、処方せんなしでは大半の薬が手に入らない(ほぼ、OTC薬がなくなる)…という状況もアリエルです。

なんかわかりにくいので、もう一回。

国は、「有効性と安全性の確保のために必要な規制を行う」ので、『なにか不適切に使ったら安全性が損なわれる』ものに関しては「専門家を介することで不適切な流通と使用を防ぎ、かつ、専門家の指示に従ったにもかかわらず安全が損なわれた場合は国が損害賠償に応じる」という行動をとります。「専門家を介させること」が国の責任の前提です。それを「いらない。自己責任でいい」というのなら、今の法律が存在し続ける以上、国としては、一般流通を止めるしか、専門家を介在させる方法がありません。

「薬店の薬の大半が、流通しない」状況にしたいんじゃ~~~と望んで「自己責任」と言う人は滅多にいないと思いますが、どうも、【法律はそのままでも自己責任論が通用して今まで通り一般薬が買える】…と考えている方が、ちらほらと…。

  ☆

CDEFは、「薬の入手で困っている人が可哀想だから」という優しい視点を、どう考えるかの差ですね。ほら、「困っている」といっても、ピンキリですから。

世間ではDの「かなり困っている」から助けよう、との考え方が落とし所じゃないかな~と思うのですが、Eのような考え方の、『積極的に「法律を守りつつ」困っている人を支援してくれるという人たち』が多くなれば、Dの意見にある問題点解消の願いは満たされ、「かなり」困っている人は減りそうです。Dの意見に対する答として、「現在の経過措置を継続することに賛成かどうか」という設問も設けて欲しかったところ(※のちにパブコメ化。→「薬事法施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見の募集について。/別々に訊いて、どこまで分析できたのかは不明)

EはAの意見に近いのですが、将来的なインターネット販売も反対というニュアンス。そのぶん、ネット販売以外の方法で、同等の利便性を確保するという、なかなかチャレンジ精神溢れる宣言です。

  ☆

【「通販を禁止されたら入手に困るから、どうにかしたい」という例】

 「月刊薬事」(業界本)は「近所の本屋では扱っていない」ので、オリオン書房ノルテ店のようなマニアックな本が買えるところまで行くか、通販で購入しないとダメなんだよね~、と考えていたところに、通販規制開始!

 「通販が規制された! 絶望した! 通販再開求む!」

 という以前に、出版社と取次さんが「近所の本屋」からの注文を受けたら、しっかり配本すればいいのに。顧客への直送ができるのですから、顧客の近隣の本屋さんへ送ることもできるのでは? なぜできないんでしょう。(謎) エロ本だからですか?(関係ない)

  ☆

CとFは、なんだか、溝がありますよね・・・。

Cが【ネット物販企業の考え方よりも更に「利便性」重視】で、

Fが【日薬の考え方よりも更に「安全性」重視】じゃないかな~という分類です。

ここだけ殺伐としている空気。

「1m以内に全部なくちゃダメ!な利便性」対「安全確実絶対領域は対面だけなの!」という、どちらも、極端な主張

いくら利便性が大事と言ったって、「学校の隣に住んでいるが、俺の家の前に校門が無いから遅刻する。校門を作れ」という要求は、断っていいだろうし。コンドームの自販機を100mに一台設置しろ、特に学校の前には10台設置しろ、といった要求も断っていいだろうし。

いくら安全性が大事と言ったって、「学校の校門が鉄製だから、ぶつかったら怪我するだろう。校門に、校門専門の安全係を24時間常置するか、校門を撤去しろ」という要求は、断っていいだろうし。穴のあいちゃったコンドームの避妊能力を100%にしろという要求も断っていいだろうし。

どこまでやればいいの?という部分を、お互いに納得していかないと解決しないのに、お互いに、相手の領域のことをリスペクトしていないから、泥沼化進行中。

おおむね、この部分だけがとりあげられて、ニュースになっています。

うーん。

「エロ本が通販で買えなくなったら不便じゃん」と真顔で言われても、「そこを99%の勇気で補って秋葉原、八王子、中野、立川、池袋(乙女)、日本橋、寺町などのエロ本屋に堂々と入るのが真の漢(おとこ)! 交通費の痛みは漢の勲章! ケンカ傷と同じだ!」と返してしまいたくなるし、

「エロ本が通販で買えるなんてとんでもない」と真顔で言われても、「諸般の事情(察してください)で、エロ本がどうしても必要なのに、一歩も外出できないひきこもりの人にとっては、食料や洋服の通販と同じくらいエロ本通販が必要!」と返してしまいたくなるしと、

かなり天邪鬼モードでみちゃいます。買いたい、買わせたくない、どっちの主張も、なんか、ピンとこないんですよね。なんだろ。正面からぶつかっていない感覚。

って、たとえるものが大幅に間違っている気がしてはいるのですが、今回のテーマは18禁なので。

  ☆

本屋でエロ本を買う「安全性」「利便性」。

ネット通販でエロ本を買う「安全性」「利便性」。

これらを使い分けられる世の中が素敵だなと思う反面、

『まともなエロ本だと思って買ってみたら、県の条例で単純所持禁止な例のアレをつかまされちまった! やっぱり店頭で立ち見確認しておきべきだったか…』と後悔するような独立系劇薬本の存在が、話をややこしくするので、ちょっと話を切り分けて欲しかったりして。

ほら、エロ本を買ったことが無い人の定義する「エロ本」って、第一種から第三種まで、幅広いし。いまはなきヤングサンデーの表紙にグラビアアイドルが水着でポーズをとっている写真をみつけて『うわっ、エロ本か! 俺に渡そうとするなっ』と真剣に嫌がる人だって、世の中には、いるはずですし。

「少年マンガ雑誌のグラビアやBombみたいなアイドル雑誌が第三類で、ヤングチャンピオン烈や週刊プレイボーイや週刊大衆あたりが第二類、隔離してコンビニ売りされているエロマンガや写真雑誌が指定第二類で、普通の本屋で暖簾の向こうに隔離された部屋に置いてあるあたりが第一類、それより過激だったりマイナーエロだったりするものは専門店のみの販売で一般流通しないモノですよ♪ 隔離されたコーナーに向かうとか、隔離された場所に入るという通過儀礼となんとなく同じようなものが、専門家による販売っていうものなんですよ♪」・・・という不確かでエロスな喩えで、納得して欲しいんですが。

「通過儀礼を通過したくない。けど、通過した先に行きたい」というフリーダムすぎる思考の方には『ドレスコード』とか『会員証』とか『入場料』とか『カバーチャージ』とか『行列に並ぶ』といった概念も通用しないかと思いますので・・・、えーと、困りましたねー。(棚上げ)

  ☆

AとBの意見は、「困っているかどうか」は関係なく、現在のインターネット物販会社の「医薬品販売姿勢」をどう見ているかの差で分けてみました。

ルール無用の放置プレイだった世界に、ルール(条件)を導入するにあたって、その世界の住人代表だと自称する人たちの言葉を、どうとらえているのか、という話。

大相撲の野球賭博問題や八百長問題に対して、

今後しっかりしたルールを作るなら、すぐに本場所再開してもいいよという人と、

先にしっかりしたルールを作ってね。その後なら、本場所開催してもいいよという人とがいたわけですが・・・。

野球賭博問題のときは前者の対応をして、結局「しっかりしたルール」はつくられずじまい。八百長問題では後者の対応になる予定ですが、しっかりしたルールがいつでてくるのかは未定。大相撲はひとつの組織内の問題ですが、たくさんあるインターネット物販会社が「しっかりしたルール」をつくれるのかどうか。いわゆる大手だけが「ボクたち、ルールつくったもん」と言うだけではダメなわけで…。(どーせまとまらないってわかっているから、法律・通知の出番になって、現状に落ち着いた、という見方もできたりして…)

えーと、ほら、「数多く存在するプロレス団体が、ガチンコ統一ルールを作る」って真顔で言われたら、「嘘つけ」と返したくなる気持ちと同じです。そんな宣言をビンス・マクマホンが言ったら実現しかねませんが、IWGPベルトをつくったアントニオ猪木や、IMGPベルトとスローモーションをつくったマッスル坂井が言ったとしたら、『どの口がそれを…』というツッコミの嵐でニコニコ動画の画面が埋まりそうです。

  ☆

で、なんとなく、メールフォームで送られた意見526件を眺めてみて、A~Hの数を出してみたら、こうなりました。

A:37

B:86

C:119

D:71

E:11

F:146

G:29

H:18

今、試しに足してみたら、517しかないんですが、まあ、そのくらいテキトーで主観的な調査ごっこです。コピペ投稿や、間違って三回ほど送信しちゃった意見らしきものも数えていた厚労省の調査結果とどっこいどっこい。「だいたいこんなもん」あるいはもう少し厳しい目で、「検討に値しない」数字だと言いきってもらってもいい感じ。

一応、A~Hがどういう意見なのかを再掲します。

A:37 「(今は)反対」:今解禁したら、条件を整えないだろうなー(性悪説)

B:86 「(条件が満たされれば)賛成」:すぐに条件を整えるはず(性善説)

C:119 「少しでも入手に困っている人がいるなら、賛成」

D:71 「かなり入手に困っている人がいるから、賛成」

E:11 「入手で困っている部分は提供側がなんとかする。反対」

F:146 「入手で困っていても知ったことか。反対」

G:29 「自己責任じゃん」

H:18 「その他」

キーワードは、「条件」と「とてもとても困っているing」。

A+B+D=194ということで、『とりあえず【本当に困っている人に対する追加対策】を早急に行ったうえで、【条件が満たされた段階で、適切なネット販売を許可する】にあたっての条件を、継続して検討する』といった玉虫色的な弱者救済入り判決だったら、支持者が多いうえにCやFの立場の人からも(とてつもなく困っている人を助けるための例外事項すぐ作る、という話以外は今と変わらないので)強硬な文句は出ないだろーなー、と妄想します。

「伝統薬と漢方と離島と高齢者」への対策があれば、それで文句の大半はなくなりそうですし…。

なんだか、「後期高齢者医療制度」の議論における、最初から、『欠陥商品でバグだらけだったが、それなりにパッチをあてて前政権が修正しちゃったあとなので、実は、下手に今いじらないで、じっくり腰を据えて次の方向を議論したほうがいい』という状態だったのを、無理矢理直そうとしていた…とゆー風景が、そのあたりで亡霊のように浮かんで見えます(まずい。妖怪病院に行かなきゃ)。

欠陥商品といえば、「魔法少女アイ3」とか「ひしょ×ひしょ」とか、エロゲーでも欠陥品はあるようです(←このへんが18禁)。「エロゲーなのにエロ絵がでない」という欠陥。「薬事法なのに薬事の専門家が関わらなくても(名義貸しで、ずっと自宅にいたとしても)全て販売できてしまう欠陥」と同じくらいの大きな欠陥です。

「AKB48出演映画!」なのに「AKB48の登場シーンは全部暗転黒バックのみ」だったら?

「超美麗な美少女達の痛快SFアクション劇場用アニメ!」を観に行ったら「すみません、時間が無くて色が塗れませんでした。線画ですがご覧ください! 続きはDVDで!」と言われたら?

地上波では謎の白い光だった部分が、セルDVDでもそのまま謎の白い光だったら?

モザイクを外したら、その下からもっと粗いモザイクが出てきたら?

ものすごい欠陥があった法律(薬事法)に、前回大幅なパッチをあててたわけですが、パッチのせいで新たなバグ(困る人は、とても困る、というバグ。『特定の声優の声が再生できなくなる』とか『男性の声だけOFFにする機能が使えなくなった』とか、エロゲー的にバグとして指摘されにくそうなバグ)がでた部分にも、ささっと小さなパッチをあてたいところ。

法律の趣旨すらも無視するほどの大きなパッチを短期間の納期で無理矢理つけるのは、取り返しのつかない致命的バグの元。うかつに大きなパッチをあてたら、画面暗転は直ったのにテキストが一切表示されないとか、立ち絵の人物が別人になるとか、特定の男優の声以外は再生できなくなるとか、全ての女性キャラに目線が入るとか、ゲームの趣旨から遠く離れた仕様になりかねません。

今こそ、「小さなパッチ」の出番です!

  ☆

ひととおり読んでみても、

「本当に困っている人を助けるんだ! そのために、そんなに困っていない自分は、十年くらいなら、我慢して、待つよ」

という意見は、パブコメにはありませんでした。こういった「譲る心」は、きっと、あると思うんですが。「言うまでもない」ということなんでしょうか。

『とても困っている人がいるから、規制緩和してね』という意見のうち、

とても困っている人を助けてあげてください、もちろん、私も多少困っていますから今すぐ助けてください」という気持ちよりも、

私も多少困ってはいますが、私たちのことは後回しでいいから、とても困っている人を先に助けてあげてください」という気持ちのほうが、圧倒的に多いといいのになぁ…。

  ☆

以下、おまけ:【全体的な感想。超主観的。】

  

「『団体・会社』はFAX回答する傾向がある?」

 日常的にネットを使っている人は、メールで送信しますよね。

 FAX回答をした方たち(個人)は、「自分自身がネット経由で薬を買う」ことは想定していないけれど、「自分の身内や、知り合いや、見知らぬ誰かが、ネット経由で薬を買う」ことを想定して、意見を送っている様子。

 団体・会社は、「パブコメにおいては意見内容だけが大事なのではなく、意見発信者の名前が威力をもつ」とでも言いたいのか、わざわざビジネス文書にしたパブコメを送付する傾向があるような…。インターネット物販の会社がパブコメをFAXで送るというのも、アナログには力があると認めているようで、かなり違和感。

  ☆

「条件無しの賛成意見≒俺にかまうな、的な?」

 自分で調べるから、俺に意見するな、話しかけるな!という展開を求めている方が、条件なしの規制緩和賛成意見や、自己責任論の方に、多い印象。リテラシーがしっかりしている方々だと思いますし、頭も良さそうです。専門家が対峙した時に、面倒くさそうな顔をしたり、目を背けたり、イライラしたり。うん、「わかっている」が故の、アレですね。開発の最先端をやっている方が、大学教授の基礎的な講義を聴いてなきゃだめだって言われたら、けっこう大変だと思いますし。市役所の受付の方が、隣の市の受付で書類をもらう際にも、「あー、わかってるわかってる」って、言いたくなりますよね。

 そういう方って、ちゃんと「俺は困っていない人だから、かまわなくていい」という接触禁止の女王オーラ?がでてますから、専門家は、お互いのために、接触しません。平和平和。

 それで済めばいいのですが、その状態が続いた結果、『俺は60年生きてきたが、専門家に説明を受けたことはない』という年季の入った経験につながるのは、よくあることです。料理人が何を言っても、最初から、ラーメンにマヨネーズをかける人はかけるんです。串カツにソースの二度づけをする人はするんです。60年注意されなければ、それが正義。幼少のみぎりから万単位の小遣い、中高生の頃に52億円、それ以降も億単位のお小遣い…と、親からもらい続けて62年たってから誰かに変だと指摘されても、正義だから、何が変なのかわからない…とか。関わるとめんどくさいから接触したくないタイプの人が、年月をかけて、よりメンドクサクなっていくわけですね。

 そんな熟成された客に対する料理人の態度は二択。「二度と来るな」か「うけいれよう」か。たまたま、「うけいれよう」という選択をする料理人にばかり出会ってきた人が、『なんで二度づけ禁止なんじゃ! 60年生きてきて、二度づけしなかったことはない! なにが悪いんじゃ! 俺の勝手だろ!』と言いたくなる気持ちもわからなくもないですが…二度づけは、100年ものの秘伝のうなぎのたれが入った壺に使い終わった楊枝を捨てるようなものだったり、ショッカーの地獄大使が浄水場に謎の体液を入れるようなもので…って、なんか話が脱線。

 空気を読んで、昔は説明しなかった専門家も、法律で義務化されたから説明しなきゃならない。でも「説明を受ける気が最初からない」空気は健在。それまで空気を読みまくっていた専門家が、急に対応できるはずもなく、そのままスルーし続ける。問題は起きていない。それだけなら平和。

 ところが、ある日、『我々は、きちんと、説明しております!』と、どこかの団体に強気な(体験と乖離した)主張をされれば、説明などされたことのない側にしてみれば、それはもう、「なにそれ?」モード。「構って欲しくなさそうだから構わなかった」という状況が、「構わなければならないのに、義務を怠った」という状況に瞬間変身です。

 冷静な「構って欲しくない人」は、ここで、紅茶でも一杯飲んでから、「ふっ…。気にすることでもないか」くらいの余裕の笑みを浮かべておしまいなんですが、「構って欲しくないけれど、仲間はずれは嫌だ」という「ものすごくめんどうくさい方」の場合は…。

 「構わなくていい」人のはずが、「俺、かまってもらってないんですけどー!」と、『かまって欲しかったのに構ってもらえなかった人』のように振舞うわけで…、とても面倒なことになります。

 だって、「じゃあ、これからは、法律通り、きっちり構ってあげる」という展開、困るでしょ?

 本当は、構って欲しくないんだから。

 「店舗で店員に構ってもらったことが無いが商品を買っている。無人店舗では誰もいないから当然構ってもらえないが、商品を買っている。結果は同じだ。だから、無人店舗で、有人店舗で売れる全ての商品を売る制度にしろ」

 といった展開の主張をすると、「じゃあ、無人店舗という形態は問題なので、今ある無人店舗全てに店員を置いて、全て有人店舗にすれば、シンプルでいいですね」という形で帰ってきます。それが行政というもの。

 これって、みんなが不幸なんじゃ……?

  ☆

【よくあるパターンの御指摘(厚生労働省風の言い方)】

い「ネットの場合はデータが残り、定型の情報提供能力が高い」

 この指摘は、その通り。正しいと思います。
 今後は、実店舗でも「必要なデータをカードなどで入力しないと買えない」仕組みになっていきそうな予感。
 データに関しては、保険証のICカード化で解決するかも。
 定型情報を必要としている場合、事前に情報がなければ購入できるかどうかの決定判断ができないということですが、定型情報入手が「購入直前」でなければならないということもなく。下調べして定型情報が得られた薬を求めて実店舗に行って、定型ではない情報を入手するべく専門家に質問する…という流れでも良いはずなんですが。

ろ「買うほうと売るほうの身元がはっきりしていればよい」

 なりすまし防止策としては、その通り。身元をどうはっきりさせるかは議論。

は「(個人認証で)総量規制すればよい→データベース化」

 他の店舗の記録と照会できれば機能します。国家単位での、個人登録&全ての販売業の登録が、必須となりますね。IC化~。準備期間が、何年かかるか、わかりませんが…。住基ネット的な仕組みに参加しない自治体では買えなくなるということで…また別のパッチが必要になりそう…。

 「い~は」までは、個人認証と購入品目管理が同時にできるカード等が関係します。保険証の完全ICカード化次第。

に「【テレビ電話】で、薬剤師とリアルタイムでの相談をしながらなら、良いのでは」

 将来的に可能かどうかの検証のための事業を数年行ってノウハウを得たうえで、薬剤師に「テレビ電話による販売の研修」を受けさせる方式が考えられます。誰もやったことがない仕事は、急にはできません。テレビ電話の解像度向上や受信画像の保存などがクリアできるかどうか(できると思いますが)。iPad3以降に期待。もちろん、「触診しないとわからん」という相談には今のところ使えませんから、そういう相談の方は近所の店舗へGO。

ほ「近くで売ってない薬が欲しい」

 緊急を要しない販売ですから、「近くで売っていない」問題は、「流通改善」で対処可能ですね。
 【特定の契約をしなければ卸が持ってきてくれない薬】の存在を、法で否定すれば済みます。代理店による車の販売に対して、代理店の扱える品目が限られているから不便だというクレームがつくことはない(顧客は、欲しい車を買える場所へ行く)のですが、「薬は違う。どう考えても、自分から買いに行くのは超絶不便」ということでしたら、御近所の薬局でも取り寄せられるように、いわゆる販売特約店契約的な商売方法は禁止するのも手です。ダーリンにしか売らないもん、と製造業者が言う商品は、ダーリンからしか手に入りません。仙豆はカリン塔のカリン様が譲ってくれないと使えないので、悟空にボコボコにされたナッパさんが「ベジータ、仙豆をくれ!」と叫んでも、流通の問題で不可能、と。
 ただ、この意見は、とても説得力があります。
 この意見に対して、「薬剤師法第一条に基づいて、適切な医薬品が適切に入手できるように努力するのは薬剤師のつとめであるから、なんとかします」と、あちこちの薬剤師会が胸を張って宣言し、努力すれば、それで終わる話だったかもしれませんし。(←このあたりだけ、薬剤師倫理規定擬人化のブログっぽい意見)
 未だに、そちら方面での努力についての回答は、あちこちの薬剤師の会からでていないかと…。「お取り寄せします」と言えない理由の解消のために、なにか動きがありましたっけ???

へ「いままで大丈夫だったのに規制するのはおかしい」

 えーと、企業が新人を採用する際に、不当に性別による採用可否を行うことは、「いままで大丈夫」だったけれど、規制されましたとさ。ヒロポンの売買は、「いままで大丈夫」だったけれど、規制されましたとさ。一部のエロマンガをエロスなレディースコミックやエログラビアアイドル写真集やエロ小説と同じ棚に置くことは、「いままで大丈夫」だったけれど、規制されましたとさ(東京都限定)。側室をおくことは、「いままで大丈夫」だったけれど、規制されましたとさ。無免許で医業を行うことは、「いままで大丈夫」だったけれど、規制されましたとさ。ヘアがないヌード写真集を売ることは、「いままでは大丈夫」だったけれど、規制(?)されましたとさ。etcetc
 トレーディングカードゲームのカードだって、「伝説カード」「禁止カード」といった処理が当たり前に行われるわけで、小学生でも、「今まで大丈夫だったけれど、環境が変わったら大丈夫ではなくなるものもあるんだ」ということに納得しています。(そして、大丈夫ではなくなったものが、更なる環境の変化によって復活することもあるのだとも納得しています)
 別に今回が特別というわけでもなく。むしろ何も規制されていなかったことのほうがビックリ」(諸外国視点)だと思いますが、違うのかなぁ…。

と「(欲しい薬を売っている)薬局が、すぐ閉まる」

 とらのあな新宿店は夜11時までの営業だけど、自分の仕事が終わるのが遅いので困る。新宿書店二号店は夜12時まで開いていて安心。これがネットだったら24時間開いているのでもっと安心。…というエロスな話。違うかな。昔は「家族や友達や同僚や後輩が買いに行く」という選択でよかったわけですが、今はそれができない社会になってしまったということですね。
 「俺の動ける時間帯に、俺の行きたい店が開いてない」と言われても、店舗販売の営業時間ってそういうものなので、昼からしゃぶしゃぶを食べたくても夕方五時から営業の特定の店を指定していたら食べられないのが当たり前。そこで店からの直接通販の出番。ご家庭で店と同じ程度の味が楽しめます。薬もその延長線上で…というなら、「製造会社や実店舗からの直接販売」に関しては似ているのかな。とりあえず、通販をやらない飲食店が多数派である理由も、考えてみましょう~。 

ち:「薬剤師が、すぐ不在になる」

 薬剤師が不在になるのは、その店が、営業時間内をカバーできる適切な人数の薬剤師を雇っていないからです(逆に言うと、適切な人数の薬剤師を確保していないにもかかわらず、第一類医薬品を扱い、現在の営業時間を短縮しないからです)。
 現在勤務している薬剤師に長時間労働を強いるべきだという意見の方はいなかったので、薬局の開局時間と同様に、該当する店舗の経営者の問題となります。
 単純に、該当店舗の薬剤師が怠惰であるという話なら、その店舗に行かないことをお勧めします。「まずいとわかっているラーメン屋に美味しいものを食べに行く」とか「店主がパチンコに行ってしまうので不定休の店に予約をせずに行く」といったマネをしたい人なら、まずいことや、不在であることに、文句は言えないと思いますし。

り:「規制する合理的な理由がない。だから規制緩和に賛成」

 いろいろな意見を読んでいて、
『規制しない合理的な理由がない。だから規制緩和に反対』という意見が皆無なのに、『規制する合理的な理由がない。だから規制緩和に賛成』という意見は、たくさんありました。

 んーと、規制する合理的な理由って、たとえば、「規制すると法律の趣旨に合うから」「規制しないと法律の趣旨に合わないから」とかで、いいんですよね?

薬事法(目的)
第1条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする

 規制によって「保健衛生の向上を図る」というアバウトな目的なのですから、「保健衛生の向上につながる規制をかけることは合理的である」という結論自体は、問題ないですよね?

 「合理的な理由がない」と言う意見が、「規制する/しない」という点ではなくて、「この規制は、保健衛生の向上につながる規制ではない」という点について論じているなら、なんとなく、「ああ、そういう考え方も、あるかもね」とスルーしたいところです。

 医療って、「目的地にたどり着くかどうかわからない旅行に参加する」のと同じです。とても腕のいい添乗員&パイロットが心底頑張ったとしても、たどり着けないときはたどり着けないという、そんな旅行。そこで、「じゃあ添乗員もパイロットもいらないよね。いてもいなくても現地にたどり着く保障がないという点では同じなのだから、彼ら専門家が介在しなければならない合理的な理由が無いし」と言い始めちゃう。それって、要するに、「自己責任万能論」の典型的な考え方を遙かにこえた『自己無責任論』という次元に飛んでいきそうなアレですね。

 『自己無責任論』は、「自分は、死ぬまでずっと、万能に近い」という錯覚を自己催眠的に根拠なく支持する考え方を立脚点にするので、「自分の、おねしょしていた過去を完全に忘れ、おむつをつける未来を一切想像しない」「現在の自分は、決して合理的判断によって導き出される責任の『当事者』にはならないし、未来の自分も同様である」という前提が必要です。脳内でそういった前提を妄想するのは簡単なのですが、現実的には、そんな前提で語られる『合理的な理由』は、アポロガイストさん以上に、みんなの迷惑、社会の迷惑。スタードライバーさんたちがゼロ時間で自らの安全だけは保持しつつ世界を革命するような、『綺羅星☆』的発想。「ぼくは、未来の自分自身に対して責任を負わない(=無責任)!」と宣言するだけなら「ああ、そうなんだ。ふーん」とか対応しておけば済みます。でも、そんな考え方をするよう他人に強制しちゃう方向って、なんか、「ぼくひとりだけじゃさみしいから、『いっしょに孤立』しよう」とでも言われているような感覚になります。一緒に孤立って、ないんですが。

 医療保険の考え方もセルフメディケーションの考え方も、『相互扶助』に立脚しています。相互扶助って、「自分がガンバレル時代もあれば、ガンバレナイ時代もある」という長いスパンで考えるものなので、今が良ければそれでいいという「刹那を見る」考え方においては、「非合理的」なものだと思いますが、そこまでいくと『文化(ルール)が違う』というレベルです。
 戦略シミュレーションボードゲーム大会で「アドバンスドルール」を採用して『補給がどうの、移動コストがどうの、生産計画がどうの…』と地道な計算をやっている面々の中で、「イージールール」を勝手に採用したプレイヤーが『一瞬で補給・生産・配置・移動が完了だぜっ!』などと言い出して、「俺って合理的だぜっ! なんでみんなわかんないんだよっ!」とまで叫びだしたら、ちょっと大会の参加者としては退場していただこうかなぁ…という雰囲気が想像できるんですが。

  ☆

・・・以上、あれこれみてみました。

合言葉は、小さなパッチ。

  ☆

  ↑

以上、長い長いネタでした。一年以上前のネタですが。iPad3とか…

最初に書いたように、筆者は、「いずれは解禁されるだろうけれど、今はムリだろなぁ。ムリなものはやらんでいいよね。ちょこちょこパッチをあてていけばいいよねー」という視点です。

日本の薬事行政の基本が「薬に関して、自己責任なんてものはない」という方向で、特にここ一年で変わったわけではありませんから、まだまだしばらくは、「ご自由にどうぞ」とはいかない・・・という点をおさえて、みんながうま~く小さなパッチをあてていく展開を希望~。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「当協会院内掲示用ポスターに対する貴学会の意見に対する見解について」について

東京保険医協会さんの、日本ジェネリック医薬品学会さんに対する反論文書を抜粋して読む遊び。

東京保険医協会さんのつくったポスター

http://www.hokeni.org/top/download/pdf/2012generic_a4.pdf

日本ジェネリック医薬品学会さんの意見

http://www.ge-academy.org/img/iken120326.pdf

東京保険医協会さんの反論

http://www.hokeni.org/top/public/generic/2012/120416generic.html

  ☆

当協会院内掲示用ポスターに対する
貴学会の意見に関する見解について

2012年4月16日

 拝復、当協会が会員向けに作成し協会HPに掲載した「ジェネリック医薬品ポスター」に関して、貴重なご意見をいただき誠にありがとうございます。

  私たちはGE医薬品一般が先発品に比べ薬効が劣っていたり、副作用が多いと主張しているのでは決してありません。きちんとしたGEメーカーの医薬品はむしろ使用を促進するべきであると考えております。しかしながら現状では以下で述べますようにきちんと精度管理の出来ていないGE医薬品が報告されており、現行の後発医薬品の承認審査内容では不安を感じているのも事実です。厚労省並びにGEメーカーにおかれましては先発品と同程度に安心を得るべく、これらの状況を是正していただきたいと切に願っております。

  ☆

なるほど。

ということは、

例外的な存在であるところの、きちんと精度管理のできていないGE医薬品や、きちんとしていないGEメーカーを名指しで公表して、その製品を使わないようにすれば、一安心ですね♪

どーしても、そういった製品を使いたいという方が出た場合は、別に対応で。(処方権及び調剤権の基本を考慮すると、そういった製品で問題ないと考える医師の処方をそういった製品で問題ないと考える薬剤師のもとに持って行った場合のみ、手に入りそうです)

序文の段階で、問題は解決しました。

【ネガティブリストの公開(「ボクは、この薬や、このメーカーは、信用してないよ。他の人たちはどうなのか知らないけどね」と、地方医師会が独自の見解を示す)】だけで解決する問題ですから、

「せっかく作ったポスターは回収しないもん!」なんて、どーでもいいことを言ってる場合じゃないですよね。

まあ、ここで終わる話なんですが。

「状況を是正していただきたいと思います」と言うことですので、どう是正してほしいのかという部分も読んでみましょう。

  ☆

1 新薬(先発医薬品)と「同じ成分、同じ効能」か

 ご指摘の通り後発医薬品は、「有効成分の物質特許が切れ、その物質の基本的な情報は公的に既知の知識となっており、ゼロから検討し直す必要なく、先発医薬品と品質が同等かそれ以上であることが確認されれば良い。そのため有効性物質の化学特性、薬理効果、毒性などの基礎情報は、検討対象からは外す」となっており、生物学的同等性試験を実施していることは存じております。ただし、生物学的同等性試験は健康成人志願者を対象に行われるものであり、実際の臨床で使用される高齢者や乳幼児などの年齢要件、妊産婦、授乳婦、肝機能障害、腎機能障害などの特殊条件を考慮した試験ではないため、「臨床試験」と同等ではないと考えます

 また「法律の規定で、添加剤は有効成分への薬理作用を示さず無害でなければならないため、添加剤を変更したとしてもその効能効果はいうにおよばす副作用においても影響を及ぼすことはない」とされていますが、実際の臨床使用において薬効に疑問があったり、後発医薬品独自の副作用例を経験しており、以下にこれまでPMDAへの報告事例及び文献のいくつかをお示しします。薬学者、薬剤師の先生方の中からも後発品の有効性と安全性が生物学的同等性試験のみでは担保されないのではないかという声が聞かれます。

 生物学的同等性とはバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)が同等であるとのことであり、血中濃度測定と溶出試験で評価されています。柳川忠二東邦大学教授はin vitroの実験で球形吸着剤(具体的には先発品クレメジンと後発品のメルクジンなどとの比較)の吸着性能を比較したところ、イオン性有機化合物の吸着除去率や、糖及びペプチド・タンパク質の吸着除去率の分子プロファイルに差がみられたと報告しています(柳川忠二他 医薬品研究 36:497-505, 2005、国立医薬品食品衛生研究所HPにも記載)。

 政田幹夫福井大学教授は非イオン性造影剤イオパミドールの先発品、後発品において高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で品質検査を行ったところ、日本薬局方のイオパミドール類縁物質の試験項目に準じた方法での分析では両薬品間に大きな差を認めなかったが、他の条件で分析したところ、先発品に認められない複数の未知物質が検出されたと報告しました(矢野良一他 医療薬学フォーラム講演要旨集12:153,2004)。したがって先発品の承認申請には必要であるが、後発品の場合は不要とされる「毒性試験」のデータも必要だとしています。杉本功神戸薬科大学教授も、純度試験方法が異なるとそれまで検出されなかった不純物が検出されることがあると述べておられます(LIBRA No43, 2006)。

 このほかにもPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)では2007年5月より医療関係者からも後発医薬品の相談を受け付けていますが、その内容には効果への不安、有害事象の疑い、品質関連、先発医薬品との違いなど2007年度中でも163件の相談が寄せられており、医療関係者の不安を表しています。(具体的な有効性の相談はロキソプロフェンナトリウム、ロペラミド、バルプロ酸ナトリウム、グリクラジド・ボグリボースがあり、具体的な有害事象が疑われる事例は、グリベンクラミド、ロラゼパム、塩酸チクロピジン、ニトレンジピン、ベニジピン塩酸塩などでした。)直近の2010年10月から2011年3月までの報告でも前述のクレメジンなどの例等を含み、継続して事例報告が上がっております。このように少なからぬ後発品の薬効への疑問と副作用についての報告に対して、PMDAの評価は後発医薬品による可能性を否定できないとしている事例もありますが、後発品のせいではない、または単一報告のため評価できないなどとしている事例も多いことは、事例収集分析の点ではさらに踏み込んだ対応が求められると思われます。

 次に、溶出試験についてです。新潟県保健環境科学研究所では臨床使用が多いロキソプロフェンナトリウムとシメチジン、塩酸ジルチアゼムについて溶出試験を実施しています。結果はロキソプロフェンナトリウムの後発品9品目中6品目は溶け始め15分の溶出率が低いものの先発品と同等性が認められましたが、残り3品目は溶け始め15分の溶出率が45%未満と低く同等性を確保できていないと評価されました。シメチジン後発品13品目中8品目は先発品と同等でしたが、5品目では同等性を確保できていないと評価されています。塩酸ジルチアゼム後発品5品目は全て同等性が認められました(新潟県保健環境科学研究所年報 17:106-111,2002)。

 生物学的同等性試験で同等であれば医薬品の基礎情報の抜けがないという考えが、米国・欧州など世界的標準である述べられていますが、米国では「後発品と先発品は必ずしも同等ではない」との認識に基づき、FDA(食品医薬品局)が「承認医薬品と治療同等性評価」(オレンジブック)で後発品のランク付けを行っており、年間数十億円の費用を投じて後発品の治療同等性を評価しています。1974年には米国議会内に後発品の品質と価格問題に関する委員会が設置され、40年かけて後発品使用の環境が整備されてきた結果が、現在の50%以上の後発品シェアとなったと認識しております。

 従って日本でも、現在の溶出試験による生物学的同等性試験のみでなく、第三者機関においてより積極的に審査評価をすることによって、医療関係者・患者の安心納得に資することができ、結果的に後発医薬品の普及促進につながると考えます。

  ☆

ふむー。

まずは、

「添加物が違うことがある」というのは事実。

でも、それが、「添加物によって、副作用が起こっている」ことに繋がる証明は特に書いてないので、「添加物が違うから副作用が起こる」という主張のように展開して書いてあるのは言いすぎ

まずは、前半部分は『…といった類の話に納得してしまう医師がそれなりにいるように、他の要因を棚上げし、原因不明の薬効の違いが全て後発品のせいであるとの【不安】を抱く』のを、どう解消したもんですかね? と読みます。

で、「微量な添加物であっても、薬効に影響する」という主張を、とりあえず、代替補完医療的にありうることであるという前提で、認めたとして。(ここに異論をはさんでも不安の解消にならないし)

ふだん、花粉症の治療をしている医師ですから、「体に害を及ぼすとはとても思えないものが微量にある」こと自体のリスクには敏感かと思いますので、【不安】はでるでしょう。

あれ? でも、よく考えたら、先発品の中の微量の添加物に対してアレルギーを持つ方にとっては、同じ主成分を、アレルギーが起こらない添加物とともに摂取したほうがいいわけで、選択肢が増えるのは歓迎すべきなのでは? ほら、昔っから、「アムロジンとノルバスクは違うものなんだ」って言ってる方、いましたよね。そういう方は、当然、選択肢が増えることには賛成ですよね?

添加物にこだわるのなら、「大半の服用者にとっては何の問題もないとされる添加物を服用したら薬効が変わる」という方であるかどうかを、こだわる医師&こだわる薬剤師がチェックすることで、新しい知見が生まれるかもしれません。

そのうえで、処方せんのコメント欄に【添加物に○○を使っていないもの】と書けば、簡単に、添加物による副作用の疑いに対処できます。

一度は使ってみなければ、その添加物がダメなのかどうかが分からないのが「原因不明のアレルギー」ですから、どんな薬を出そうとも、その添加物について、患者さんにとって最初から「良いもの」かどうかはわからないし、もともと先発品を使っていたわけでもない、最初から後発品を服用している新規の患者さんにしてみれば、「先発と同等」へのこだわりよりも、「とりあえず使って問題なかった」という事実のほうが大事。先発品を使ったら副作用が出たけれど後発品だったら大丈夫、というケースもありうるはずなのですが、お医者さんは、通常、先発品で副作用が出ると、成分そのものを変えてしまいますから、事例として上がってくることはないでしょうし。

まあ、そんなわけで、前半部分は、「不安ならば、もっともっと、こだわろう。中途半端に、【違うから嫌】とか言ってないで、選択肢が圧倒的に増えることで、治療が変わるかもしれないと、喜べばいいのにね」という前向きな方向で解決。

製剤工夫がダメだっていう意見は、「まずい薬を美味しく」「のどに突っかかる薬を通りやすく」といった創意工夫の全否定につながります。添加物の違いは認めたうえで、それすらも治療上の武器にすると、カッコイイ♪

で、治療上の武器として使うにあたって、カンタンに使えるさわり程度の武器がなにかあるといいなー、という(せっかく研究のネタがあるのに従来型のおおざっぱな分類にしかならないであろう)ニーズが、おそらく、ここで保険医協会さんが強く言いたいであろう、後半部分。

そう、「後発品のランク付け」ですね。

FDAのオレンジブックのよーに、A群B群にわけてよ、という。

・・・ということは。

名指しはしていませんが、

「『日本版オレンジブック』を名乗るパチモンはダメダメだから、あんなものをオレンジブックだなんて呼ぶな! FDAのオレンジブックと同等なものを出してこい!!!!」

と、いう主張ですね、これ。

この項目、実は、「日本ジェネリック医薬品学会さんの【意見】への反論」には全くなっていません。

日本ジェネリック医薬品学会さんが「不安だという点の大半は解消済み。それ以外の不安だという点は、先発品でも後発品でも同じ不安がある点ですがなにか?」という意見を述べたのに対して、

それでも不安なんだから、絶対安心できるモノ持ってこい。具体的には、アメリカの医師の使っているデータ! あのデータが欲しいっ、欲しいっ!」と主張しているだけです。

日本ジェネリック医薬品学会さんの「意見」は無視して、【日本版オレンジブックをつくっている奴がFDA版のような評価をつけないから悪いんだ】と結論づけているのですが…。

制作・運営:日本版オレンジブック研究会

協力:日本ジェネリック製薬協会・薬事日報社・株式会社 じほう・中和印刷株式会社

といったあたりに要望書でも送ったらよろしいかと…(たぶん、懇切丁寧に、FDAと同じにはできない仕組みについて解説してもらえると思います)。

「日本版オレンジブック研究会」は製薬企業からのボランティアのようですから、事務所住所地の日本ジェネリック製薬協会さんとのやりとりになりそうですね。

そういうやりとりが嫌だったら…、いっそ、

本家のデータ、使えばいいんじゃないかと…。

「本家FDAのオレンジブック」に記載のあるメーカーの製造したものを販売しているメーカーの薬以外は認めん、とか。ルピンやテバのデータなら、ありそうですし。日本人にあっているかどうかは知りませんが。

それにしても、添加物レベルの「安心」を求める一方で、第三者機関が「ランク付け」するだけで「安心」とは…東京保険医協会の考える「安心」は、どのあたりなんでしょう…?

  ☆

2 ジェネリックの効能に“ばらつき”がある

 ご指摘の通り「ジェネリックが新薬と比べるとチェック項目が少ないので、製法などが少し違っている」との表現が誤解を招いたことはお詫びします。ポスターの真意は、① ジェネリックは新薬と比べると承認審査のためのチェック項目が少ない、② ジェネリック医薬品は物質特許が切れていても製剤特許や製法特許が残っているために新薬と同一の製剤や製法でない場合が多い、ということです。字数の関係もあり省略した記載でわかりにくい表現でした。問題点にあげた「効能にばらつきがある」については、上記1で例示しましたが、1で述べなかった安定性・安全性について以下にお示しいたします。

 まず安定性についてですが、後発品の安定性試験は加速試験(40度、相対湿度75%で完全包装状態のまま6ヶ月保存して、安定であれば室温で3年間安定であるとする)のみでよいとなっています。しかしながら在宅医療や高齢者医療が急増している医療現場では、PTP包装から医薬品を取り出して一包化して長期処方するケースも一般的になっており、長期安定性や、包装から取り出してより苛酷な条件での評価(先発品に求められる苛酷試験)での安定性に関するデータが後発品にも求められると考えます。

 次に生物学的同等性が不要とされたり、評価として十分でないと思われる注射剤、徐放性剤、外用剤などで先発品と後発品では治療安全域が異なる可能性が指摘されています。

 注射剤は吸収による薬剤濃度の差がないため試験を行わないとされています。しかしながら現実には、注射剤ファモチジンを先発・後発品で溶出試験をしたところ後発品7製剤中4製剤で夾雑物が有意に多かった(鳴戸郁江 医療薬学 32:523-530,2006)、強力ネオミノファーゲンCで先発品から後発品に切り替えたところ症状悪化した(古庄憲浩 新薬と臨床51:219-226,2002)との報告があります。さらに京都大皮膚科からはセファゾリンナトリウムのジェネリック医薬品に含まれる類縁物質が原因でアナフィラクシーショックを起こした症例が記載されています(日本皮膚科学会誌117:979-983,2007)。

 一方、北大病院薬剤部の井関健教授によれば、腸溶性製剤は消化管内移行によるpHの変動に伴って溶出が変化するため、試験液のpHが一定である溶出試験のみで同等性を評価することはできず、また、徐放性製剤はコーティングに用いられた添加物の種類によって薬物放出速度の違いが生じ、吸収過程に影響を与える可能性も考慮する必要があると述べています。従って、腸溶性製剤や徐放性製剤については添加剤の違いに着目して、薬剤の崩壊、溶解、吸収過程に及ぼす影響を検討し、正しく評価することが要求されるとしています。後発医薬品の評価はメーカーが公表している溶出試験や生物学的同等性試験のデータを詳細に解析することが求められますが、メーカー公表のデータのみでは先発品との同等性を正確に判断することができないこともあり、情報不足であると指摘しています。国立医薬品食品衛生研究所では独自に製剤特性の情報を公表しており、後発医薬品メーカーの製剤情報を補う評価方法としても、また第三者機関が行った試験データとしての高い信頼性を持つとしています(病院薬局協議会、学術小委員会報告、後発医薬品に関する調査研究2010から。井関教授は国立医薬品食品衛生研究所の後発品の検討会に日本病院薬剤師会からの委員として参加されています)。

 経皮吸収型β2刺激薬は、夜に貼付して明け方の適切な時間に効果を発揮し、同時に長時間効果が持続して喘息患者さんに対応するよう作られています。そのため現行品ではツロブテロールを結晶化するとともに、膏体の厚みを薄くするなどの工夫がなされています。したがってジェネリック貼付剤には「皮膚の刺激試験」、特に経時変化させて劣化させたものの安全性試験が求められ、「含量均一性に関する試験」も必要と思われます。

 点眼剤は防腐剤に塩酸ベンザルコニウムを用いるかパラペンを用いるか、またその濃度により防腐効果や安定性、刺激性が異なると報告されています。

 先発品も当然不純物を含んでいますが「臨床試験」により不純物を含んだ製品としての有効性・安全性が確認されています。後発品も溶出試験が不要とされる注射剤や外用薬、徐放剤などについては「臨床試験」を追加実施してその結果を公表することで医療関係者と患者さんの理解・安心が格段に増すことでしょう。井関教授の指摘の通り、厚労省または後発品メーカーは第三者機関を設立して後発医薬品の品質評価をすることを真剣に考えてみてはいかがでしょうか。

  ☆

包装から取り出した後の問題については、じほうから「錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック」が出ていますが、あれでは「足りない」んですかね…???(書籍の存在を「知らない」なら、そもそも「安全な後発品の選択は医師に」という主張の根幹が揺らぐので、知っているということが前提です)

「治療安全域がものすごく狭い薬品」なら、ちゃんと血中濃度測定をやればいいしー。

「PHの変動」の話をするなら「食事の内容と摂取方法」までも管理しなければダメなんじゃないのー?

ツロブテロールのテープ剤って、工夫しているのはいいけれど、寝ている間にはがれてしまってはー…。

防腐剤がいやなら一滴タイプの薬で出せばー?

…と、ナゲヤリに書いてますが、この項目も、ジェネリック医薬品学会の意見への反論になっていません。

「とにかく心配なんだよ!」と言っているだけです。

そんなに心配なら、東京保険医協会の医師が「これなら大丈夫!」とオススメできる後発品は存在しないことになりますね。

・・・あれれ?? そうなると、問題となっているポスターにある【ジェネリックは医師と相談して】という言葉自体が、実現不可能ですよね。だって、この「反論」に書いてあることって、「全ての後発品に関して、心配です」ということですから。相談しても、「心配だから、先発品を出します」以外の選択肢はないようですし。

そうなると、処方せんには当然、一般名は書きませんし、先発品の銘柄指定で、後発品変更不可の記載になりますよね。薬局では、それをみて、事情を聞きつつ、問題がなければ、そのとおりに調剤します。医師は心配せずに済みます。

…このポスター、「反論」によって、存在意義が全くなくなりましたけど…

ここで終わってもいいのですが、もう少し読みます。

  ☆

3 ジェネリックの効能格差は最大40%

 ご指摘の通り米国でも生物学的同等性の差として、日本と同じく+-20%の基準となっていますが、実際は平均約3.5%と言われています。それでは日本における実際の後発品の製剤間の平均値の差を示して頂けないでしょうか。すなわち個々の後発医薬品についての平均値及び個々のデータすなわち値のばらつきについて公表して頂きたいと思います。そうでないと後発品が先発品よりも当たりはずれが大きくないという安心が得られません。私たちは、たとえば解熱鎮痛剤を後発品に変更したところ効果が明らかに低下したという実臨床の経験を持つため、個々の後発医薬品のデータを公表して頂きたいと願っています。

  ☆

大学の講義かと思うほどていねいな指摘がまともすぎるので、

【ごめんなさい、ちょっと言いすぎました】

と完全に白旗を振ればよさそうな項目。

ついに逆ギレ気味に「全部の製品のデータを出せ」と、日本ジェネリック医薬品学会さんに向けて言っていますが、それは、言う相手を間違っています。まあ、そう言われたら、データを出してくるかもしれませんけれどね。「できるものならやってみろ」と言われて「やってみた」と返すのは、エレガントですし。

前の項目まで、「あれもこれも全部わかんないとわかんないんだから心配だ」と主張していたのに、生物学的同等性試験の個々のデータが出そろったからといって、それだけで納得して安心できるものなんですかね?

  ☆

4 薬局でよく効くジェネリックはもらえるのか

 医療系情報サイトm3.comの今年4月のアンケート(約2000名の医師対象)では、「一般名処方を実施している、または実施する」と回答したのは病院で20%、「実施の予定なし」が28%、診療所では「実施+予定」が32%で、「予定なし」が18%でした。また「一般名処方を推進すべき」が19%、「推進すべきでない」が42%、今次改訂によって「後発品の処方が増えた」が37%、「変わらない」が46%という結果でした。国は2006年度から積極的に後発品の使用促進を行ってきましたが、まだまだ実際の後発品の使用促進にはつながっていない実態があります。

 また、2003年に全国保険医団体連合会が開業医を対象に行った調査では、「先発品と異なる薬効を経験した」との回答が14.4%、「先発品と異なる副作用の体験」が4.5%あり、客観的データではありませんが、医師が後発薬に非同等性を感じていることが伺える結果で、上記アンケート結果の理由ではなかろうかと推察されます。

 「薬の選択は薬剤師に任せて」と言われますが、上述した処方医の意識を考慮しますと、後発薬の安全性と有効性がしっかり担保されるまでは、薬剤アレルギー、他院の処方の有無、飲み合わせ、服用方法など「処方薬の服用に関すること」は専門の薬剤師さんを信頼し、「処方薬の臨床的な効果について」は薬剤師さんは具体的には知り得ない部分も多いことに鑑み、医師が後発医薬品変更後の効果についても患者さんと話し合いながら評価をするのが妥当ではないかと思います。医師は薬の薬効のみならず最終的な治療効果(血圧を下げて心血管疾患を予防する、血糖をコントロールして透析や失明、動脈硬化症進展を予防するなど)を挙げることを目的としておりますので、有効性が高く安全であると評価したジェネリック医薬品であれば、処方の時点で積極的にジェネリック医薬品を指定して処方します。ただ残念ながらこれまで述べた理由により、一部のジェネリック医薬品に対して有効性と安全性に疑問を持っている医師が多いのも事実です。今次診療報酬改定を受けて、一般名処方を受けた薬剤師さんがジェネリック医薬品を採用するケースは多くあります。医師が院外薬局にて変更された後発医薬品をよく知らないケースも多いと思われます。従って、真に患者さんのための医療にするためには、医師と薬剤師が積極的に情報交換をする体制を整える必要性を痛感いたします。

 日本ジェネリック医薬品学会におかれましても、「よく効くジェネリック」すなわち有効性が高く安全で安定したジェネリック医薬品に関して、厚労省の求める承認基準にこだわらず、より積極的に品質評価をなさって結果を公表して頂きたいと思います。そして、万が一基準に満たない後発医薬品があれば、米国FDAが実施しているようにランク付けをなさる英断を下されるのであれば、処方医は全幅の信頼をもって「良い」ジェネリック医薬品を処方することでしょう。結果として医療経済的にも、患者さんの健康と幸福のためにも資する面が大と考えます。

 ともにより良い日本の医療を作ってまいりましょう。

敬具

  ☆

今次改訂は「サイン一つでの後発品完全不可処方」駆逐の方向ですから、これまで後発品可で出していた医師や一般名処方をする医師は「変わらない」と書くでしょうし、これまで後発品不可で出していた医師は「増えた」と書くでしょうし…アンケート自体には説得力がないような。

ただ、この項目の回答は、「国は2006年度から積極的に後発品の使用促進を行ってきましたが、まだまだ実際の後発品の使用促進にはつながっていない実態があります。」と言い切った時点で、「国の方針に対して、これまでは薬剤師が後発品に切り替えないのが悪いと主張してきましたが、本当は、医師の側が、心配だから、切り替えできない処方をしていただけです、ぶっちゃけた話」と、言っちゃったわけですね。

開業医に対する2003年の調査結果が示されていますが、10年ほどの年月は、「後発薬の安全性と有効性がしっかり担保されるまでは」と述べた期限に十分な時間だと考えて差し支えないのでしょうか。一番の問題児だった大洋薬品さんもテバ製薬になりましたしね。

「個々の後発品の安全性と有効性がしっかり担保される」ことを考えるなら、先発品が市場に出てから「安全性と有効性がしっかり担保される」までの期間程度、様子伺いしていけばよいということになりそうです。

東京保険医協会さんは、データも臨床経験も大事だという主張ですから、先発品を発売日にいきなり処方するようなマネは絶対にしないかと思います。これだけ慎重な姿勢なら、プラザキサもブルーレターがでるまでは心配で処方しなかったと推察できますので、医療安全上は良いことかもしれませんね。

で、いつまで待てばいいの? という部分が、曖昧なのですが…。

そこは、言いだしっぺとして、なんらかの基準を出したほうが良さそうです。「オレが心配じゃなくなるまで」という基準は、自分の医院の中でしか通用しませんし。

基準のような雰囲気で「ランク付け」を求めていますが、その先にある「処方医は全幅の信頼をもって「良い」ジェネリック医薬品を処方することでしょう」という結論は、ちょっと、違うよーな。

「一般名処方にしない理由」として「ダメ後発品にされたら嫌だ」という感情があるのだという主張だとしたら、東京保険医協会の主張するようなランク付けが為された瞬間に、一般名処方であろうが先発品名の後発品ok処方であろうが、必ず、薬剤師側は、「ランク付けで同等とされた後発品」での調剤を行うと思うんですが。

つまり、東京保険医協会の側が「安心な特定の後発品を処方するぜ!」と言う以前に、「どんな形で処方されても、東京保険医協会が安心の根拠としている製品の中から後発品をだしますから、別に特定の後発品銘柄を指定しなくても薬局で相談してくれれば何の問題もないですね」という…えーと…まあ、そういうことです。

医療経済的にも、フリーアクセスで患者さんが訪れた薬局に在庫がある品目で、かつ、ランク付けで安全だとされている品目を選べたほうが、無駄な在庫を置かずに済みますから、ともにより良い日本の医療をつくれそうです。

(注:日本の制度において、ランク付けができるなら、の話ですが)

  ☆

【結論】

1.「【良く効く後発品】も【効き目が悪い後発品】も、そもそも先発品と同等ではないなら製造中止」である(つまり、日本の制度では、ランク付け以前に、同等でない製品は存在できないか別の先発品扱いになるので、本来は後発品のランク付けはできないのでは?という、前もって釘をさすような話)、との日本ジェネリック医薬品学会さんの言い分への反論がありません。『日本の制度で、ランク付けの評価ができる制度(=同等でなくても後発品として販売できる制度)になっている』という前提がないと、英断も何もありません。

2.反論中で、「ご指摘の通り「ジェネリックが新薬と比べるとチェック項目が少ないので、製法などが少し違っている」との表現が誤解を招いたことはお詫びします。」と、誤解を招くポスターであることを認めています。

 なので、

『誤解をまねく可能性があるので、早急な現在のポスターの回収または内容の変更の検討をしてね』

 という日本ジェネリック医薬品学会の意見に対して

なお、当協会としてはポスターの回収や訂正の必要はないと考えています。

 と、反論の前段に書いて、

『誤解を招くのは承知しているけれど、回収も内容変更の検討もしない』

 と宣言してしまうのは、ここまで厳格厳密徹底的に「医療安全」を唱えた立場としては、まずいんじゃないのかな~…。

  ☆

【おまけ】

 おもいっきりぶっちゃけて書くなら、

「患者さんに向けて、『医師だけが知っている、安くて安全な後発品があるよ』と告げているポスターを貼っているのに、『医師だけが使える、安全な後発品の客観的で根拠のあるリスト』は存在しないという時点で、権威と肩書きで期待させた分、悪質な詐欺じゃん」

 と、超真面目な人に言われてもおかしくないものなので、

 日本ジェネリック医薬品学会さんの意見は、かなり親身になって心配してくれているものだと受け取ったほうが…ね。

「『当社だけが知っている、パチンコ必勝法があります』『億万長者だけが知っている投資法を紹介します』という宣伝をするけれど実際はそんなものは存在しない」とか、そういうレベルの話。

  ☆

4/19追記

【参考までに】

群馬県保険医協会さんの主張(2009.9)

http://gunma-hoken-i.com/news/715.html

京都府保険医協会さんの考え

http://www.healthnet.jp/?p=2186

日本ジェネリック医薬品協議会さんによる反論

(1997 FIPバンクーバー宣言)

http://www.ge-da.com/doc/120322Noteofprotest.pdf

山本信夫東京都薬剤師会会長が2011年に寄稿した記事

http://di.towayakuhin.co.jp/medical/pdf/tcp20.pdf

国立医薬品食品衛生研究所、ジェネリック医薬品品質情報検討会

(求めるデータはここに?)

http://www.nihs.go.jp/drug/ecqaged.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

パブコメ結果と送った意見:登録販売者の資質の向上に関する外部研修ガイドライン(案)(薬局開設者並びに店舗販売業者及び配置販売業者が委託して行う外部研修について)

「登録販売者の資質の向上に関する外部研修ガイドライン(案)(薬局開設者並びに店舗販売業者及び配置販売業者が委託して行う外部研修について)」のパブコメ結果がでました。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495110311&Mode=2

筆者も三つほど意見を出していたので、置いておきます。

パブコメの「集計結果」が、いかに「作文」であるかがわかるかと思います。

  ☆

【意見1】

 外部研修の対象者は、「店舗管理業務を行っている登録販売者」のみとすべき。外部研修の受講対象者の項を、「一般用医薬品販売業者の下で店舗管理に従事する登録販売者を、外部研修の受講対象者とすること」にする変更を求めます。

理由: 薬剤師と比較した場合、「開設者は、調剤・販売等に従事するすべての薬剤師に外部集合研修を年○時間以上受講させなければならない」という義務がありません。薬局に勤務するパート薬剤師・派遣薬剤師がいても、薬局が「外部研修」に彼らを参加させる義務がありません。最新の知見を知らなければならないという点においては、登録販売者と比較して、より多くの権限を持ち、幅広い知識を蓄えているとみなされ、薬局薬店の管理業務を行ってもいる薬剤師こそがまず範となるべきですが、その薬剤師に対して、現状「すべての従事者が参加する必要はない」としている以上、登録販売者に対しても、現状「すべての従事者が参加する必要はない」とするのが妥当だと考えます。(同時に、非受講対象者が自主的に参加することを制限しないのも大事)

【意見2】

 遠隔講座・通信講座の制限の撤廃を求めます。『研修は、講義(集合研修)を基本とすること。・遠隔講座・通信講座による研修を行う場合は、講義(集合研修)と組み合わせて行うこと。また、遠隔講座・通信講座による研修を行う場合には、その時間数が講義(集合研修)の時間数を超えないこと』という文言を、「研修は、講義(集合研修)を基本とする。遠隔講座、通信講座による研修を行ってもよい」へと変更することを求めます。

理由:集合研修の実施機関・実施体制の文言通りならば、頻繁に集合研修を行える機関は多くないはずです。それらの機関が毎年12時間×勤務登録販売者数ぶんの集合研修を開催するとなれば、一回の受講者数を増やす方向に向かい、会場や日程が偏ることが予想されます。勤務登録販売者の働き方は多様ですから、「住居地から遠方の会場」「一か月に数回の開催」といった要素があることで、「特定の日、ある薬局の登録販売者が全員、集合研修に参加しなければ、要件を満たせない」という事態が生まれます。遠隔・通信講座の併用案は、その改善案として出されていると考えます。「研修の実施体制」「研修の内容」の項目を読む限り、集合研修とは、「演者が一方的に話す内容を特定の場所で特定の時間に聴くことのみに価値を見出す」ものですから、これは動画によるeラーニングで十分対応できます。【研修の実施機関は、研修の実施方法及び実績等の情報を原則すべて公開すること等により研修の透明性を十分確保すること】という文言がありますから、研修内容を動画配信することは、実施体制の趣旨に合致します。つまり、遠隔・通信講座の時間数が12時間全てであっても、実施機関が透明性を確保して、認証を行えば済む話です(インターネット認証が行えない程度の実施機関が研修の客観性を確保できるのでしょうか?)。案の文言の「組み合わせて行うこと」「時間数が講義(集合研修)の時間数を超えないこと」といった制限は、制限を行わなければならない論理的な理由に乏しいのです。「ガイドライン策定者の「フィーリング」で決められたもの、あるいは集合研修実施機関の権益確保のため」の項目であるとの疑いが拭えません。受講者の住居地や勤務地への配慮に欠けた制限でもあります。項目の撤廃を求めます。

【意見3】

 受講の一連の行為を「勤務(出張・社員研修・休日時間外出勤等)」であると明確に位置づける文言(例:「外部研修の受講は勤務時間とみなす。一般用医薬品販売業者等は、労働基準法に基づき、適切な報酬を支払うものとする」)の追加を求めます。

理由:この研修ガイドライン案は、登録販売者個人ではなく、登録販売者が従事する業者への義務です。一般用医薬品販売業者等が義務を怠った場合、法律上、薬事法(第5条第2号、第26条第2項第2号、第30条第2項第1号)により店舗の許可・更新ができなくなる可能性がありますが、義務によって生じる、開設者等が命じた登録販売者の「労働」の扱いについては記載がありません。「案」の文言のままでは、一般用医薬品販売業者等が外部研修への参加を求めた場合の「労働の機会の損失」「休日の損失」等を補填する方法に触れていませんから、「労働基準法」第32条(労働時間)、同34条(休憩)、同35条(休日)、同36条(時間外・休日労働)、同37条(割増賃金)、同39条(年次有給休暇)等による適切な待遇や、交通費等の支給が保障されない可能性があります。

  ☆

【ガイドライン案 抜粋】

1. 目的・概要 登録販売者に対する一定水準の研修を確保し、登録販売者の質の向上を図るため、薬局開設者並びに店舗販売業者及び配置販売業者(以下「一般用医薬品販売業者等」)が実施しなければならない従事者に対する研修のうち、登録販売者に対して外部研修実施機関に委託して行う研修(以下「外部研修」)に関する事項についてガイドラインとして定めるもの。

2. 研修の受講対象者、時間数等について 一般用医薬品販売業者等は、以下の事項に基づき、当該業者で従事する登録販売者に外部研修を受講させること。

(1)外部研修の受講対象者

・一般用医薬品販売業者等は、当該業者の下で一般用医薬品の販売に従事するすべての登録販売者を外部研修の受講対象者とすること。

(2)外部研修の時間数

・研修は、受講対象者に対し、毎年、少なくとも12時間以上、定期的かつ継続的に受講させること。

(3)外部研修の実施内容等 ・販売業者等は、外部研修の実施内容等が、3.を満たすものであることをあらかじめ確認すること。

(4)外部研修の修了認定の確認等

・一般用医薬品販売業者等は、受講対象者が外部研修を受けたことを修了証等で確認し、適切にその旨を記録・保存すること。

3. 外部研修の実施内容等について 外部研修の実施機関、実施内容等については、以下の事項を満たしていること。

(1)研修の実施機関

・研修の実施機関は、登録販売者の質の向上のための研修の専門性・客観性・公正性を確保することができるものであり、かつ、登録販売者の職能に応じた、相当の研修実績を有すること。

(2)研修の実施体制

・研修の実施機関は、教育、学術等の関係者及び消費者等の参画を求め、研修の実施体制の客観性を確保すること。

・研修の実施機関は、研修等の企画

・運営、形式、内容、時間数、修了証交付等に関する実施規則を定めること。

・研修の講師は、実施する研修に関する専門的な技術・知識を有するものであること。

・研修の実施機関は、研修の実施方法及び実績等の情報を原則すべて公表すること等により研修の透明性を十分確保すること

・研修の実施機関は、実施する研修の概要を自治体に届け出ること。また、自治体の求めに応じて、研修の実施方法、実績等の情報を開示すること。

(3)研修の形式 ・研修は、講義(集合研修)を基本とすること。

・遠隔講座・通信講座による研修を行う場合は、講義(集合研修)と組み合わせて行うこと。また、遠隔講座・通信講座による研修を行う場合には、その時間数が講義(集合研修)の時間数を超えないこと

(4)研修の内容 ・研修の実施機関は、次の①から⑦に係る事項について研修内容に含めること。また、研修のために必要な教材を用意すること。

① 医薬品に共通する特性と基本的な知識 ② 人体の働きと医薬品 ③ 主な一般用医薬品とその作用 ④ 薬事に関する法規と制度 ⑤ 一般用医薬品の適正使用と安全対策 ⑥ リスク区分等の変更があった医薬品 ⑦ その他登録販売者として求められる理念、倫理、関連法規等

(5)研修の実施頻度 ・研修は、毎年、定期的かつ継続的に行われていること。

(6)研修の修了認定及び修了証交付 ・研修の実施機関は、研修参加者に対し、研修の修了に当たり、研修内容の習得を確認する試験その他の方法により研修修了の認定を適切に行い、修了証の交付を行うこと。また、研修参加者の氏名、研修内容等を適切に記録・保存すること

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »