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JPALS:稼働前の感想。未来日記。

日薬の、生涯学習用ポートフォリオシステムが四月から稼働するようです。

いくつかの紹介記事を読んでいて、気になることがいろいろあるのですが、とりあえず本稼働前ということで、ほんの少しだけ感想を。

  ☆

1.JPALSっていったらThe Joint Precision Approach and Landing System (JPALS)らしい。

 JPALSというと、

 GPSの位置情報から、悪天候でも離着陸がスムーズ♪とかいうもののようです。

 「略語が同じだと紛らわしい」ですよね。

 Japan Pharmaceutical Association Life Long Learning Support Systemの略なら、別の略語もありえたのではないかと。

 「Pharm.L」とか。「薬剤師SS」とか。

 「JPA3L2S」、「じゃぱさんえるつーえす」とか。

 …あ、ごめんなさい、むりでした。略すの、むり。

 Nihon Yakuzaishikai Syougai Gakusyuu Sien Sisutemuを略して、

 「薬生姜」。

 生姜だから「ヤク・ジンジャー」と読んだり。

 薬ジンジャーだから「薬神社」と書いたり。

 なんだかマジメなひとから怒られそうなので、遊びはこのくらいで。

  ☆

2.「CLレベル」の導入

 「画面イメージ」に書いてあるだけなので、実際にどうなるのかはよくわかりませんが、

 「ぷろ☆すた」ことプロフェッショナル・スタンダードの表における「難易度」が、「CLレベル」と名前を変え、そのレベルに微調整を加えて登場です。

 そう。クリニカルラダーの「ジェネラリストとして要求するレベル」と、ぷろ☆すたの「自己確認のために勉強する際のおおざっぱな難易度」とは、イコールではありません

 「一般名に対応する後発医薬品について列挙できる(PS難易度1)」のように、「国家試験合格レベルのひよっこ薬剤師だよね」、と職位認定するには、難易度が高いものもあります。管理薬剤師でも、一般名対応で数十種類の後発医薬品が存在する現状では、厳しいチャレンジだと思いますし。ロキソプロフェンナトリウムの後発品名を挙げてね、と言われても、ケンタンとロキフェンとロキソマリンとEMECと、えーと、えーと…(←不合格)。

 「ぷろ☆すた」の難易度は、職位認定の「ジェネラリストとしての能力」に、対応していません。

 「薬剤師倫理規定を概説できる」が、「ぷろ☆すた」の難易度レベル1ですけれど、これをそのまま適用するのなら、六年制で実務実習を受けた薬剤師や、その指導をしていた薬剤師を除くと「薬剤師倫理規定を概説できない薬剤師」が大半である以上、かなりの人数の薬剤師が、クリニカルラダーのレベル1すらクリアできないということになります

 一方で、「ぷろ☆すた」難易度レベル5の項目に「医師法の重要項目について説明できる」とあります。それ、「ジェネラリスト」の薬剤師にとって、そんなにムズカシイことなんでしょうか。(クリニカルラダーの難易度として「5」といえるのかどうかというお話なので、これはすでに微調整されているかもしれません)

 「医療連携」である「3.患者の利益を最大限守るために、重篤な副作用や相互作用について理解する」というカテゴリのなかで、医療スタッフとの情報交換を「ぷろ☆すた」難易度レベル2に設定しているのですが、相手の身分法上の「できること、できないこと」を知らないのに情報交換して連携って、「ジェネラリスト薬剤師」を名乗るのなら、ありえない展開でしょうし、微調整されて「CLレベル1」になることを期待。

 そんなわけで、微調整が加わる展開は、良い話なのですが。

 「薬剤師倫理規定」擬人化のブログとしては、一ヶ所だけ、どうにも納得できない部分があります。

 「薬剤師綱領を概説できる」のCLレベルが「3」で、

 「薬剤師倫理規定を概説できる」のCLレベルが「2」なんですよ。

 逆じゃないのかなー。

 薬剤師綱領って、書いてある内容は「目的」で、それと同じことを言い方を変えて書いてあるのが、薬剤師倫理規定の「前文」なんですけれど。

 単純化するなら、「目的」単品と、「目的」に「行動指針」がくっついているセットとがあって、後者のほうが「かんたん」だと言い張っているのが、このCLレベルってことで。

 「先に目的と行動を理解した。完璧だ。では、これから、目的を理解しよう」なんていうセリフは、どんなアホキャラでもギャグ漫画でなければ言わないわけですが、そういうことを、平気で言っちゃったことになるんですよね、これ。

 「どこをめざすのか」が先で、「じゃあ、そのために、どうするのか」が後。

 四月からの本稼働でどういった「CLレベル」が展開されるのかは謎ですが、現在公開されている画面イメージを前提にするなら、

 薬剤師綱領と薬剤師倫理規定の「CLレベル」は、改善してほしいです。ぜひ。

  ☆

【2の補完】

※ 「ぷろ☆すた」難易度レベル5にあるような「未知(未経験)の症例に対し、知識と経験と最新の医薬品情報に基づいて、具体的方策を提案できる」「医薬品適正使用の観点から、未知(未経験)の症例に対する薬物使用に関する最善の策を、知識と経験に基づいて提案できる」「相互作用と副作用の観点から、未知(未経験)の症例に対する最善の策を、知識と経験に基づいて提案できる」といった項目まで、383項目を全部含めて「CLレベル」を構築することは明らかに「ジェネラリスト」の認定としては不適切かと思いますけど、生涯学習委員会ではどんな議論をしたのでしょうか。

  ☆

3.過渡的認定でレベル5の薬剤師がいたら、その薬局はアブナイ。

 誰が言い始めて誰が賛同したのかは知りませんが、

 「15年以上、薬剤師免許をはく奪されていない人」と「薬剤師認定制度認証機構の認証した生涯学習制度の実施母体の認定を受けている人」は、いきなりレベル5なのだそうです。

 この制度を考えた人、再考しないのかなぁ…。

 こんなアホ要件で過渡的認定なんかやったとたんに、この職位認定の価値は、ほぼ、ゼロですよ。

 だって、この要件だと、「実務経験が15年ある」あるいは「日本薬剤師研修センターのシールをいっぱい集めた」というだけで、レベル4までの重要な項目を一切チェックしないままに『管理薬剤師相当のジェネラリストである』と認めることになりますよね。

 『薬剤師倫理規定を概説できる』とか、飛ばされちゃいます。

 また、各認定プロバイダの認定内容はバラバラなのですから、それらをひとまとめにして過渡的な職位認定要件にしてしまうのは大問題です。あちらはあちら。こちらはこちら。

 「日本薬剤師研修センターの認定はたいしたことないけれど、○○の認定はハイレベル。じゃあ、日本薬剤師研修センターの認定は過渡的認定要件から外そう」といった仕分けが日薬にできるはずがありません(それをやったら、日薬が研修プロバイダの優劣を公式に認定することになる)から、『薬剤師認定制度認証機構の認証した生涯学習制度』の『実施母体』の認定を全て「同じレベル」とみなす、非常におかしな認定になってしまいます。(注:例文なので、日本薬剤師研修センターの認定が本当にたいしたことないのだと錯覚しないこと。これは、「お約束」というアレです)

 「居酒屋店員レベル5」なんてものがあったとして、『居酒屋に15年以上勤めているか、様々な居酒屋組合の認定のどれかに合格していれば、過渡的に居酒屋店員レベル5にします』と言われるようなもので、居酒屋組合の中に「あきらかにゆるい認定」があったとしても、関係なく平等に扱ってしまうわけですね。

 さらに。

 薬剤師の生涯学習制度の「認定制度の認証」を行うのが薬剤師認定制度認証機構なのですが、ここで過渡的認定の条件に書かれている「制度の実施母体の認定」が、薬剤師認定制度認証機構に認証された認定である必要はなさそうなんですよね、これ。だって、実施母体は、認証された以外のいろいろな認定をしても、いいのですから。

 薬剤師認定制度認証機構は「制度」を認証するのであって、「制度を実施している母体」が良いとか悪いとかいう話はしていないわけで…。慶応義塾大学薬学部の実施している制度のひとつを認証しているからといって、慶応義塾大学薬学部の行う認定全てが素晴らしいと言ったりはしないし、慶応義塾大学薬学部が、認証を受けていない東京薬科大学薬学部や東京理科大学薬学部と比較してスゴイと言ったりもしないはず。

 「制度の認証」と「母体の認証」を混同しているような気がするのが、とても心配。

 うーん。

 同じ「レベル5」であっても、『いや、どうみても同じ程度の職位レベルはないっしょ』という方が参入しますよね、これ。

 なんとゆーか、

「もう既に十分に自己研鑽をつまれた方」なんて人が存在しない職能だということを、理解していないようで。そんな方がいらっしゃるのなら、そもそも「生涯学習」なんて概念は、いらないでしょ。

 学んでも学んでも、まだ学ぶことがあって、学びなおすことがあって、だから、生涯学習なんですよね? 15年で、もうOK? 認定薬剤師になったら、5~6年で、もうOK? 「十分に自己研鑽を積まれた方」になってしまいますか?

 「ポートフォリオをたくさん提出した」という「自己研鑽の証拠の絶対量」部分を重視するというのですから、過渡的認定の要件が「ポートフォリオをたくさん提出すること」だというのなら、わかります。一気に30本のポートフォリオを提出するとかね。

 「二年間のポートフォリオの提出数が12本に満たない場合はレベルダウン」「三年間のポートフォリオの提出数が18本に満たない場合はレベルダウン」といった仕組みにしているようですから、最初から三年分以上のポートフォリオを提出することで、すくなくとも初年度でのレベルダウンはありえない状況をつくらないとね。

 ポートフォリオの本数を重視している癖に、1レベルあげるのに1年間待たなければならないという仕組みが変なので、それをやめれば、「過渡的認定」などという制度そのものが不要になります。

 Facebookやブログなどで年間に100本以上の記事を書いている薬剤師あたりは、その中からテキトーに「ぷろ☆すた」の項目に合致する記事をピックアップして、urlだけ書いて日薬に提出してもよさそうですけれどね。(とはいってもポートフォリオの書式に合わせるのが意外と面倒な気が…)

 『ポートフォリオという「自己研鑽の証拠(っぽいもの)」の提出の積み重ねに大きな価値を見出す認定なら、過渡的認定においてポートフォリオの(レベル4までの累積相当の)大量提出を求めるべき。そうでないなら、過渡的認定者の価値はゼロ。積み重ねがないのだから、当然』という話ですが…。

 制度の稼働から四年たっていないのに「わたし、CLレベル5です!」なんてことを言っている人たちを見るたびに、『こんな薬剤師がリーダーの薬局は、アブナイ』と(筆者は)思うことにします。

  ☆

4.本数重視だけではジェネラリストは養成できない。

 ジェネラリストを認定するのですから、ポートフォリオの内容が偏っていてはダメだということになりますよね。

 このブログのように、「倫理関係と社会薬学ばかりで、薬理の話が全く出てこない」といった状態では、ジェネラリストとしては、ダメですよね。

 だから、そういう偏ったポートフォリオが何百本と提出されても、「はいはい、貴方がそこを趣味として頑張っているのはよくわかったから、他の『ぷろ☆すた』の項目を提出しなさい」と要求するシステムでなければ、ダメということ。

 でも、四年間で、たったの24本のポートフォリオでも良いのだそうで。それで、レベル5。

 24本のポートフォリオで、勉強の偏りを見抜けるのでしょうか。

 そのあたりの「仕組み」が欲しいところ。認定の際に試験をやるからOK♪というものではないでしょ、と。

 プロフェッショナル・スタンダード(ぷろ☆すた)を半分クリアするだけでも、100本くらいのポートフォリオが必要だと思いますけれど、そういう努力は求めないのでしょうか。

  ☆

5.「レベル6以降でスペシャリスト」というマヌケ設定。

 「専門的に掘り下げる」ことは、ジェネラリストとしてのレベルが著しく低くても、できるんです。

 大学教授はジェネラリストでしょうか。

 【「ジェネラリストとしては全く使い物にならないけど、ものすごくスペシャリストである」という存在は、ジェネラリストとしての「職位」上は、管理薬剤師相当の職務を任せるわけにはいかない】ということを明確にしなければ、この認定は無意味です。

 「ジェネラリストを土台にしてスペシャリストを目指す」のは、「レベル5」までのどの段階でもできるわけで、それは決して「レベル5より上の存在」ではありえないのです。

 「レベル6以降でスペシャリスト」は、「ジェネラリスト養成・認定」とはどういうことなのか、全くわかっていない人の考え方です。

 『ラダー』をイメージし過ぎです。

 「情報量が少ない地域」から、レベルが上がるごとに「情報量の多い地域」に引っ越していく過程を想像してみればいいのに。

 情報量が少ない地域では、それほど多くの問題解決処理を要求されないけれど、情報量の多い地域では、多くの問題解決処理が要求され、それを処理できる能力がなければ生きていけない。

 でも、それぞれの土地の地下に眠っている「専門的」な資源は同じなので、どの土地にいても、地下に掘り進むことはできる。

 『はしご』でなければならないというのなら、各段から「横」にのびる板が、専門。

 はしごの段の上に向って伸びていく専門なんて、ないんですよ。

  ☆

6.「管理薬剤師」がゴールになっている不思議

 レベル5だと、管理薬剤師相当なのだそうです。

 でもね、「管理薬剤師」 だと、もう、そのジェネラリストレベルは、全員一定になってしまうのでしょうか。

 「ジェネラリストレベルが、もっともっと高い管理薬剤師」というのも、存在できるはずなのですが。

 「レベル5以上レベル9までは管理薬剤師相当」でも、いいじゃないですか。

 管理薬剤師レベルのスタートラインにたったら、急に、「ここより上はスペシャリストを目指せ」という考え方って、なんだかおかしい気がするんですよね。

 たとえば、「日本薬剤師会の考え方としては、独立してジェネラリスト開設者になるような薬剤師(児玉会長がインタビューで話しているような「理想的薬剤師」ですよ♪)は、CLレベル8くらいは欲しいよね」といった姿勢だって、示せると思うんですよ。

 なにしろ、経営や地域貢献や政治など、「ジェネラリスト薬剤師」として身につけておかなければならないことが、たくさんあるのですから。

 もちろん、経営のプロフェッショナルという言葉の通り、ジェネラリスト薬剤師としてはCLレベル1であっても、経営という専門性においてものすごくスペシャリストである開設者という存在も、ありですよね。

 「プロフェッショナル・スタンダード」だけでは、「ジェネラリスト」を表現しきれないのではないですか? という話です。

  ☆

と、まあ、いろいろ妄想してみましたが、実際の稼働時にはあれこれと手直しが入っているものと思います。

今回の未来日記で書いた問題点etcが、当たっていないことを祈ります。

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コメント

誰だよ。今ネットでも話題だって聞いたからついついググっちゃったじゃん。

投稿: あやの | 2012年1月14日 (土) 13:59

自分で「今、ネットでも話題の!」といった面白いことを言えるほどの度胸がありませんので、どなたかが脳内で話題にしているか、なにか別のメジャーなネタをgoogleさまがなにかの勘違いで検索してしまったかのどちらかかと思います。ごめんなさい。

投稿: おばか柊 | 2012年1月18日 (水) 13:38

なるほど内容は、わかりましたが
あなたは、あほ以上ですね。
レベルを作成している人たちが、15年以上の
人ですよ。
日本でのいろんな免許は、既得権というものが、あって、あなたもご存知のように登録販売士も試験を取らなくてもよかった人が、いましたよね。相当あなたは、あほやね。
この制度が嫌なら、日本を出たら!!!!
まさにあほにつける薬は、ないね

投稿: 馬鹿に薬は、ない? | 2014年9月 8日 (月) 00:50

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