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日薬代議員会議事録2011春03「組織率向上」

日薬の総会議事録要旨を読んでいく遊び。三回目。

今回は、組織率向上の話題。もう8年以上やってます。児玉会長が副会長の頃から。ずっと。

  ☆

町野代議員
 「日薬の組織率向上について、日薬としてはどのように考えているのか。それと、日本病院薬剤師会や日本学校薬剤師会等をどのように取り込んでいくつもりなのか。都道府県薬剤師会でも新定款を作ろうということになっていると思うが、こういった組織を県薬等も取り込んでいくべきなのか、その辺をどのように考えているか伺いたい」

曽布川常務理事
 「前半の部分についてお答えする。平成22年度、平成23年度は薬学部の卒業生がほとんどいなかったということを差し引いても、37.4%という日薬の組織率は大変厳しいものと感じている。日本医師会も平成22年度初めて会員数が減少したが、勤務医は増えている。都道府県薬剤師会別の組織率をみてみると、82.9%から16.9%までかなりの差がある。また、薬局薬剤師だけの加入率をみると58.1%で、勤務者は44.4%。また、医薬品関係企業勤務薬剤師は、2.2%しか加入していない。こういったことを考えていくと、組織率を上げるためには、勤務薬剤師に対していろいろと働きかけをしていく必要があると思う。特に生涯学習システムとか、あるいは広報活動との連携、今回予算案に計上した入会キット650万円、それから、薬学生ニュースと、こういったことを具体的に進めながら、組織・会員委員会で更に具体的な案を検討していきたいと考えている」

  ☆

取り込んでいく、取り込んでいく。なにやら『魔獣戦線』『スカルキラー邪鬼王』みたいな石川賢ワールド全開キメラ形態最強伝説希望☆からはじまる質疑です。そんなに合体しちゃって、いったいどんな神の軍団と戦おうというのか、ドキドキしてしまいます。

「取り込めば」、組織率が上がる、というお話のようです。

組織率。

日薬執行部は、「すくなーい」と言っています。

組織率。これを何%まで上げれば、日薬の執行部にとっての「十分」な状態になるのでしょうか。

わかりません。

わからないんです。

前年比10%の成長を目指す!といった目標が掲げられていないのに、

「とにかく成長しろ、俺の想定(今は言えない)よりも成長率が低かったら、泣かす!」

と檄を飛ばす社長がいたら、社員のやる気は落ちていく一方だと、ビジネス書に書いてありませんかね。

薬剤師会って、「組織率」の分母である「総薬剤師数」が、毎年コロコロかわる組織です。

会員数が減っても増えても、分母の「総薬剤師数」を操作すれば、組織率は簡単に上下します。操作しても、たぶん、誰も気づきません。

「あいつらは薬剤師だけれど会員になってもらわなくてもいいから勘定に入れないんだ」と、なんだか酷いことを言い始めた瞬間に、見た目の組織率は一気に向上しますし、

「六年制大学卒の薬剤師だけで新組織を作るから、今年の名簿登録者は誰も薬剤師会には入りませーん」という超展開があった場合、組織率は一気に下降します。

想定外の出来事が起こったとき、たとえば、日薬学術大会の開会式会場がゴジラか何かに襲われて一瞬で消し飛んだら、分母は4000くらい減ります。減ります…が、「それはいったい、組織率を何%減らす結果になるのか」と問われたら、ピンときません。

日本調剤の社員さんたちが200人ほど一気に抜けたときも、なんだか「ふんっ、あんたなんかいなくても、ぜんぜん困ったりなんかしないんだからっ。さびしくなんかないんだからっ」というツンデレ系なコメントが出ていたよーな覚えがありますが…。

この議論、まずは、「具体的な人数」を示してから。

会員が何人増えれば、「十分」なのか。

毎回、そこが足りません。

一年間で増加する六年制薬剤師の人数は、今後一万人くらいになっちゃうんじゃないかという国家試験問題の内容を軽く見ているのか在校生の実力を適切に見積もっているのか定かでない勝手な予測をするなら、一万人の新たな薬剤師のうち4000人くらいが入会しないと、37.4%という現状の「組織率」の維持もできないんじゃないかな、と。

それを、更に向上させるというのですから、年間に5000人以上の入会者がいて、ようやく「向上?」な雰囲気。

秘策でもなければ、解決できそうにありません。

学生さんをガッチリ洗脳するとか、学生さんをガッチリ洗脳するとか、学生さんをガッチリ洗脳するとか、学生さんを…。(←それしか思いつかなかったらしい)

で、「オール薬剤師! オール薬剤師! オール薬剤師!」と連呼する児玉会長の秘策はあるのかというと…。

  ☆

児玉会長
 「(前略) これからは
勤務薬剤師にどれだけ加入してもらうかが、組織率、会員を増やすキーワードとなる。その勤務先を見ると病院のほうが多い。(中略)賠償責任保険制度は非常に重要になってくる。(中略)日本病院薬剤師会、日本学校薬剤師会については前々から申し上げているように、薬剤師は一緒であり、一本の矢よりも三本の矢を一緒にしたほうがいいという考え方は今でも変わらない。ただ、そうはいっても両会とも長い歴史がある。簡単に一緒になるわけにはいかない。(中略)共通の課題が出てきているので、あとはタイミングが最後かなと、そんな気がしている。そういう意味では、お互いのコミュニケーション、土壌は少しずつ醸成されつつあると感じている

町野代議員
 「中央で大人の話をして仲良くしていただければ、
都道府県も同じようになるので、頑張って欲しい」

  ☆

はい、児玉会長の秘策は、存在しません

「勤務薬剤師を入会させれば組織率が上がる」と主張して、未入会の勤務薬剤師が多いという「病院薬剤師会や学校薬剤師会」との合併が勤務薬剤師の入会につながるような口ぶりなのに、合併については消極的で、少なくとも今、自分が率先して何かする気はないと宣言~。

「あとはタイミングが最後かな」という、「自分の任期中にタイミングが来るような口ぶりなのに、実際のタイミングが100年後であっても言っていることに間違いが無い」ような決め台詞が自然に出てくるあたり、ものすごく世渡り上手、プレゼン上手です。

役員になったときからずっと変わらない、グラミー賞級の先送り芸が、ここでも炸裂。

「病院薬剤師会・学校薬剤師会の会員が、日薬会員になってはならない」という規則はありませんが、「病院薬剤師会・学校薬剤師会の会員であるから、日薬会員にはならないのだ」…という論理で、会長は答弁しています。

なんで、病院薬剤師会・学校薬剤師会の会員であると、日薬会員にはならないのでしょうか。児玉会長は「両会とも長い歴史があるから」なんて、歴史のせいにしていますけれど。

「職能」団体だったら、「薬剤師はひとつ」でいいんですけれど、【現状、「職域」職能団体である日薬が、他の職域団体とひとつになる】という考え方を指して『薬剤師は一緒』と言ってきた会長のセンスには、誰かツッコミをいれて欲しいところです。

「サッカー選手の、職域別の会」があったとして、「FW会」「MF会」「DF会」などがあれば、「MF会」に入会する選手は、通常「FW会」には入会しません。それなのに、「FW会」のメンバーが、『ボクたちの会はサッカー選手全体を代表する会なんだから、みんなFW会にも入るのが当然だよね!』と爽やかに言い始めたら、どう思うんでしょう。

単純な「職域団体」だったら素直に主張できることがあります。たとえば【通販業薬剤師会】のような職域組織があったとすれば、会の倫理を基に、通販に関する様々な話に噛みついて、なんらかの主張をしていけます。その会ひとつが噛みついているだけなので、薬剤師職能全体が同じ意見でなくても問題ありません。とにかく「主張した」という事実が残る、これが大事。「多様な意見があった」という報告書と、「特に意見はなかった」という報告書では、未来が変わるくらいの違いがあるのです。たぶん。

でも、職域団体を「ひとつ」にまとめて、「職能団体の中の職域部会」=「職域団体」と化してしまうと、最終判断をくだす執行部に別の職域の船頭が多くなり、「いやいや私の職域の妨げになるから、あなたの主張は公にはさせません」と、職域団体としての主張を封じ込められてしまうんじゃないか。

…そんな疑念を、それぞれが感じ取ったから、これだけ多くの職域団体ができたわけで。

日薬自らが「一部の職域団体を兼ねた職能団体」である…という点を認識できないと、この話は進まないと思いまーす。

  ☆

【おまけ:基準薬局制度の見直し】

北海道ブロック有澤代議員の、【基準薬局制度の見直し】の質疑をまとめてみます。

  ☆

有澤代議員
 「基準薬局制度自体を、今後見直すという理解でよろしいのか」

東洋常務理事
 「今、見直す方向で薬局薬剤師部会幹事会で検討している」

有澤代議員
 「県薬の事業計画に入れるので、具体的にどの程度の期間で見直すのか教えて欲しい」

東洋常務理事
 「以前から、今期は二回、部会幹事会で話し合った。薬剤師の将来ビジョン・組織会員委員会とも連動しながら進める。将来ビジョンは半年から一年で結論が出る」

児玉会長
 「基準薬局は、風邪薬の一気飲み事件からモデル薬局としてはじまり、処方せん受付可能な薬局に衣替えをして、マイナーチェンジで現在に至る。今後は、【さらなるマイナーチェンジ】、【将来ビジョンと絡めた新たなモデル薬局】、【店舗の能力を個々に示す】のどれかだろう。来年度中に決める」

  ☆

見直す期間は、最も早くても、一年後から。今の執行部の解散後。でも、方針は、今の執行部が決めてしまうそうです。辞めるけど、再生可能エネルギー法案は通すとか言っているどこかの偉い人みたいなことにはなりませんように。

『基準薬局』制度。

会長は「衣替え」「マイナーチェンジ」だと言っていますが、当初の方針はどこへやら。

今では「この能力を備えていない薬局は薬局にあらず」と、日薬自らが「職域」の定義を狭めていくための制度になっています。

改定の度に会員が減る制度。兵士の使い方が下手な指揮官は、兵士全員に特殊部隊となることを要求します。兵站を担当したり楽団を担当したりしている兵士の大事さがわからない指揮官は、全体が見えていない指揮官である疑いが濃厚。

さらなるマイナーチェンジ】は、今よりもっと狭い条件を満たす薬局にしか存在価値を認めない方向に向かいそう。国語も算数も理科もできる子を「基準児童」と呼んでいたのが、さらにマイナーチェンジすることで、社会もできる子でないと仲間に入れてあげなーい、と宣言するように。「涼宮ハルヒの憂鬱」って書ける子の入れる部活【SOx団】が、入団規定に「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者」を加えた段階でフルモデルチェンジだってことに気づかずに「マイナーチェンジ」だと言い張り、「次の見直しでは、同級生の靴下を全部集めたソックスハンターであること、という項目を、マイナーチェンジで入れましょう!」とまで飛躍して叫ぶ勢い。

一旦ゼロに戻して【将来ビジョン】と絡めてみたくても、【将来ビジョン】が存在しなければ進展しません。会長が言うには「将来ビジョンは、来年三月までに示す」とのことですから、児玉会長は改選→無役で、執行部にいないかもしれません。逆に、まさかの三期目もあり?

店舗の能力を個々に示す】のって、どうやるつもりなのか、気になります。都道府県が薬局機能情報提供システムを稼働中。すでに公表されていること以外に、「薬局の能力ってやつは、スカウターでは測定できない部分もあるんだぜ!」と啖呵を切って、何か示すのでしょうか。「生まれも育ちも葛飾柴又、人呼んで薬局のトラちゃん」といった地縁から、「フランチャイズとM&Aで、育てに育てた200店舗、携帯の圏外表示はございません、いつでもどこでも薬歴完備」といったネットワーク、「うちの社長は偉い人、県薬会長、日薬役員、講演会で大忙し。スターに会いたきゃうちへ来な」といった著名人ネタまで、都道府県の公表データではわからない『薬局の能力』は、いろいろありそうです。

まあ、会長の「来年度中に決める」発言も、このままだとうやむやになりそうな状勢ですが、「倫理委員会はつくらない=倫理規定の見直しをしない」うえに「将来ビジョンの策定は当分先」ということで、「基準薬局制度の見直し」が実際に行われるのは、10年後くらいじゃないかと…。

※ちなみに。児玉会長の週末の特別講演の演題は、『国民から期待される薬局の姿』です。将来ビジョン提示も基準薬局制度の見直し内容提示もなしで、組織の長として、どうしてそういう【答】が出せるのか、理解不可能です…。

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