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社会薬学会HP:「社会薬学とは」

社会薬学会のホームページが更新され、

「社会薬学とは」

という項目が、全面的にリニューアルされました。

とりあえず引用します。

  ☆

社会薬学とは

 薬学は、人体に働きその機能の調節などを介して疾病の治癒、健康の維持をもたらす医薬品の創製、生産、適正な使用を主な目標とする総合科学である。医薬品は、物質性・生命関連性とともに社会的存在物としての性格、すなわち社会性を有している。そのため医薬品の適正な使用の確立のためには、医学、倫理学、法学、社会学、経済学などの学際的な立場からも検討する社会的な視点が欠かせない。今後は健康科学から環境にまで目を広げた医薬品をはじめとする生命と健康に関連する物質の適正使用・管理が社会的要請となると考えられる。これまでは、医薬品などのもつ社会性に研究課題として真正面から取り組む研究が不十分であったが、薬学には医薬品をはじめとする生活関連物質を人間の健康とのかかわりの中で総合的に究明し、それらを適切に社会管理することに寄与すべき役割がある。そしてその役割は、狭義の薬学領域にとどまらず学際的な協力を得る中で果たすことができる。

 薬学は、医薬品をはじめとする生命と健康に関連する物質の物質性、生命関連性、社会性の3つの要素に対応して、基礎系薬学、臨床系薬学、社会系薬学と大分類することもできる。日本の薬学は歴史的に、この記載順でその対象とする領域が広がり、総合科学として発展・深化してきた。なお、分類的には社会系薬学に含める考え方もあるが、歴史的にみても薬学のなかで当初から独自の領域を築き、国民生活に密着した課題を扱ってきた衛生系薬学を別個に分類し、薬学を基礎系薬学、臨床系薬学、衛生系薬学ならびに社会系薬学の4つに大きく分類することも可能であろう。

 このように薬学は、医薬品や関連する食品・化学製品・環境汚染物質などの生活関連物質が人々の生命と健康の保持に直接かかわることから、社会に対して大きな責任をもっている。

 社会薬学の研究対象は、医薬品がもつ社会性、医薬品を扱い(薬剤師など)また使用する(患者など)人々についての社会的課題、そして医薬品を必要な患者に届け安全に管理する制度、そして食品・化学製品・環境汚染物質など生命や健康に関連した物質についての課題など多岐にわたっている。そしてそれらの研究を通じて、人間の生命と健康の維持に寄与し社会に貢献することを目的としている。

 社会薬学は、薬学の社会適応としての学問・研究分野であり、薬学がどのように社会に応えていくかを明確にしていく役割を有しており、一層の成長・発展が求められている。

  ☆

それなりに長い文章ですが、前半は完全に「薬学」の話。

薬学を分類すると「社会系薬学」という分野が定義できると。

で、「社会系薬学」と「社会薬学」は同じものなのかどうかは、未定義。

最終的には、

【社会薬学】

 1.薬学の社会適応としての学問・研究分野

 2.薬学がどのように社会に応えていくかを明確にする役割を持つ

ということです。

正直、何を言ってるんだか、よくわかりませんでした。

薬学の社会適応って何?

薬学が社会に応えていく方法って、「これ」っていう明確にできるモノばかりじゃなさそうだけれど、グレーゾーンがありなのか、白黒つけるのか、どっち寄り?

キャッチコピーも、

『薬学はどのように社会に応えていくか 「社会薬学」はその道筋を追求します』

と、『社会に応えていく』点を強調しています。

  ☆

以前の、日本社会薬学会の「社会薬学」の定義は、

【「社会薬学」とは、薬学研究者や薬剤師が、社会問題を単に評論家やコメンテーターとしてではなく、それぞれの立場で自分の問題として捉え、自分が何をしてこなかったかを反省し、そして自分に何ができるかを考え実践していくこと】

というものでした。

誰が:薬学研究者や薬剤師が

何を:社会問題の解決を

どうする自分にできる形で実践する

という、わかりやすさ。

それが、今回のリニューアルで、「薬学の社会適応」、「薬学がどのように社会に応えていくかを明確に」、といった形になりました。

学問をする主体である「人間」が、どこかに消え、主語は『薬学』になりました

学問をする主体の制限が外れ、「薬学研究者や薬剤師」以外が主体になっても良いことになりました。

学問の結果を社会に還元する「実践」も、どこかに消えました。

「(研究によって)社会に貢献することが、目的」とのこと。

社会に貢献するために、誰かが
「『薬学』という【総合科学】は、このように社会に応えていきますよ」
と明確化するのが、『社会薬学』。

…というのが、新しい定義でしょうか。

社会に、応える。

「社会(のニーズ)に、応える」という意味?

そこに「ニーズ」があろうがなかろうが、薬剤師や研究者が『この社会的問題を考えるんじゃーっ!』と必死になれば、それだけで、「社会薬学」なんだと思っていたのですが。「攻めの学問」だと思っていたのですが。

どうも、「社会の要請が無ければ取り組まない」ともとれる、「守りの学問」のイメージです。

温故知新と言いますので、社会薬学会ホームページにある、設立当初の宣言も引用してみます。

  ☆

社会薬学研究会への御案内

 1982年の春を迎え,医療をめぐる問題や矛盾が指摘されるに至りましたが,とりわけ医薬品をめぐっては数多くの社会的諸問題が山積され,私たちに解決を迫っています
 たとえば,安全で有効な医薬品を開発するための経済的・社会的・倫理的諸問題,薬価を含めた医薬品供給システムのあり方の問題,医薬品の副作用による被害者の救済に伴う諸問題などであります.
 これら諸問題解決のためには,まず議論の材料となる科学的なデータが関係者に提供されねばなりません.しかるに従来の学界では,こうした医薬品をめぐる社会的な問題に対し,これを研究課題として正面から取組む努力に欠ける傾向がありました。問題の内容が国民の生命と健康に直結するだけに,国民にとってまさに不幸な状態と言わねばなりません.
 しかしながらごく最近,何人かの研究者・技術者個々・あるいは共同の努力によって,こうした状態を脱却し,医薬品さらには広く生体に作用する物質をめぐる社会的な諸問題を科学的に解明しようとする動きが出はじめました.
 私たちは,こうした学問分野を「社会薬学」と名づけ
,その確立を志向する流れを本格的なものとするため,有志を募って「社会薬学研究会」を設立することにしました.
 つきましては,薬学のみならず,医学・保健学・社会学・経済学・法学などの分野で「くすりの社会性」に関心をおもちの方々が幅広くこの研究会に参加されることを期待しております.

  発起人一同
  1982年3月2日

  ☆

「私たちに解決を迫っています」…って。

なんとカッコイイ、フレーズか。

旅立つ少年が、『ワクワクする世界が、俺を待っている!』と叫ぶ感覚。

この道を行けばどうなるものか。 危ぶむなかれ、 危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足がみちとなり、 その一足が道となる。 迷わず行けよ行けばわかるさ

未知は道になる。

社会に応えるだけじゃなく、社会に、様々な道(選択肢)を示す気概。

ワクワクドキドキする学問って、そういうものじゃないのかな?

  ☆

当初の定義は、「社会的な諸問題を(研究者・技術者が)科学的に解明していく学問分野」=「社会薬学」。

最近までの定義は、「薬学研究者や薬剤師が、社会問題を単に評論家やコメンテーターとしてではなく、それぞれの立場で自分の問題として捉え、自分が何をしてこなかったかを反省し、そして自分に何ができるかを考え実践していくこと」=「社会薬学」。

今後の定義は、「薬学の社会適応としての学問・研究分野であり、薬学がどのように社会に応えていくかを明確にしていく役割を有しているもの」=「社会薬学」。

と、まあ、こんな変遷になりそうです。

「解明」「実践」で、なんでもありだったこれまでのマッドサイエンティスト的な空気が、「社会適応」だなんて、まるで、これまでの薬学は社会に適応していなかったかの如くに「良い子」を気どるなんて…。

天馬博士ばっかりだと危ないから、お茶の水博士も加わってバランスをとってねという方向にシフトしたかと思ったら、お茶の水博士以外はいらないと言い始めた…ような、変な感覚。

  ☆

何度読んでも、よくわからない点が、ひとつ。

新しい「社会薬学とは」の文章中に、「これまでは、医薬品などのもつ社会性に研究課題として真正面から取り組む研究が不十分であったが」という言葉が、明記されていること。

30年前に、「従来の学界では,こうした医薬品をめぐる社会的な問題に対し,これを研究課題として正面から取組む努力に欠ける傾向がありました。」、と述べて、「医薬品などのもつ社会的な問題に対して真正面から取り組んで」きたはずの社会薬学研究会→社会薬学会の活動は、なんだったのでしょうか。

これまでの30年の実績を、自ら、全否定?

30年たっても、まだ、『真正面から取り組む研究』が不十分だという話になっちゃうんですが…。

どれだけやれば、十分なんでしょう…?

『研究会としての発足当時は、医薬品などのもつ社会性に真正面から取り組む研究が不十分であると考えられていた。しかし、この30年間の多様な研究者の努力によって、社会性に真正面から取り組む研究が蓄積され、社会に影響を与えてきた』

…という文章を出すには、まだまだ、未熟な学問領域ということなのでしょうか…。

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