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JASDIのJASDIによるJASDIのための「専門薬剤師」認定?

This Bible is for the government of the people, by the people, and for the people.

Q.バナナは、おやつにふくまれますか?

Q.この認定資格は、医薬品情報を扱う能力の評価に含まれちゃうんですか?

  ☆

毎度おなじみ、『調剤と情報』の五月号。

巻頭のインタビューの感想を、とりとめなくテキトーに書いてみます。

  ☆

「がんや感染など各領域で専門薬剤師制度がつくられるなど、薬剤師の専門性発揮が求められている

という、主語が不明で、誰から「求められている」のかピンとこない、論文の出だしでよく見かける(※おおむね、論文執筆者本人が求めているか、執筆者本人が『世間はそうもとめているはずだ』と思い込んでいるか、回答誘導系アンケートや誰にも検証されていない論文の結果を取捨選択して『○○層は求めている』という結論に合致するようにしているか)自作自演?から始まる時点で、なんだか緊張してしまいます。

震災によって、「薬剤師は、なにもいわれなくても、今いる場所でできる最大の専門性を発揮する生き物である」ことが明らかになったので、

「薬剤師の専門性発揮が求められたとき」に大事なことは「環境への適応」であって、認定されているかどうかではない・・・という結論でいいんじゃないかと思いますが…

昨年の十月の段階では、JASDIは、そう考えなかったらしく。

『医薬品情報専門薬剤師』という民間認定資格をつくると言いだしました。

DI「専門」薬剤師。

まるで「毎月日経DIを読むことを宿命づけられた薬剤師」のようです。(たぶん違う)

インタビュー記事のJASDI会長によれば、「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師が必要」とのこと。

「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師」が、「医薬品情報専門薬剤師」の基本形?のようです。

でも、その定義が示すのは、「普通の薬剤師」です。

普通の薬剤師は、医薬品情報全体を扱っています。扱っているんですってば。

大学の先生はどうなのか怖くて訊いたことがありませんが、大学の先生をしている薬剤師さんだって、病院勤務の薬剤師さんだって、映画『おとうと』に出てきた薬剤師さんだって、自宅警護員の薬剤師さんだって、薬剤師ならだれでも、建前上は、医薬品情報全体を扱っているはずです。

『医薬品情報の一部分しか扱いたくありません!』なんていう宣言をわざわざするような薬剤師は、まあ、めったにいないかと。

「医薬品情報全体を扱う役割を担っている薬剤師(普通の薬剤師)」であって、かつ「特定の治療領域の、より詳しい知識と技能をもっている(日々頻繁に活用している)」人たちが、『専門薬剤師』なのだと、筆者は思っていたのですが…違うのかな…。

あんまり我流だと、我流ゆえに誰にも読めぬっ、的に一般性がないので、ここは専門家の力を借ります。勉強します。『専門薬剤師』の定義についての、専門家の見解は…。

薬剤師認定制度認証機構(専門家)のホームページにあった議事録によると、

  ☆

2 認証機構が認証の対象とする認定制度の種類は以下の通りである。

【1】生涯研修認定制度(略号G):薬剤師職能の向上を目的とする各種の研修(講 義、実習、遠隔研修など)を企画、実施、及び評価し、成果に対して単位を給付する制度、及び、一定水準の生涯研修の記録に基づき成果の認定を行う制度をいう。実施母体を生涯研修プロバイダーと呼ぶ。

【2】特定領域認定制度(P):薬剤師の職能を高めるために、生涯研修の中で焦点を絞って、特定の分野・領域について適切に計画された学習を修めた成果を認定する制度をいう。実施母体の組織と運営、責任体制、必要な規程類、研修・認定の制度実施条件等については、現行の「薬剤師生涯研修プロバイダー」に求められる要件と同等の要件を満たしていることを原則とする。

【3】専門薬剤師認定制度(S):特定の疾患、診療領域あるいは特定患者領域を対象に、 薬学的専門知識を生かして保健、医療(特にチーム医療)、福祉に貢献できる能力を保証し、専門薬剤師として認定を行う制度をいう。

【4】その他の薬剤師認定制度(E):特定の能力・適性を持つ薬剤師を認定する制度で、上記の各制度に該当しないものをいう。

  ☆

ということなので、

1.「特定疾患」「診療領域」「特定患者領域」を対象にしていること
2.その個人の『能力』を保証すること
・・・が、『専門薬剤師』認定の定義。

『限定された「対象」に、「能力」を発揮できる、薬剤師個人』

それが、専門薬剤師。

インタビュー記事におけるJASDIの『医薬品情報専門薬剤師』は「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師」でした。「医薬品情報専門薬剤師」が扱う対象である「医薬品情報全体」は、「特定の疾患、診療領域あるいは特定患者領域」の中に入っている…と言い張るのは、結構苦しいのでは?

【3】『専門薬剤師』の対象外で、「役割を担う」=「能力がある」と考えると、成果認定ではなく能力認定。これ、【4】『その他の薬剤師認定制度』に該当しそう。

…よーするに、「○○専門薬剤師」という名称はそぐわないってゆーか、使っちゃいけないよーな…。

なんとなく気になったので、もう少し、あれこれみてみます。

インタビューに載っていないあたりも。

  ☆

【JASDIによる「医薬品情報専門薬剤師」の定義】

以下の資質を有する薬剤師を医薬品情報専門薬剤師とする。

1.医薬品情報源の特性を理解し、その検索・調査ができ、その指導ができること。
2.医品情報を根拠に基づいて評価し、目的にあわせて加工し、提供ができること。
3.医薬品情報を活用するために必要なコミュニケーション、プレゼンテーション、ライティング能力を有すること。
4.適切な医薬品情報に基づき、医薬品開発、医薬品適正使用のための最適な判断(有効性と安全性を確保するための対策など)ができること。
5.医薬品情報に関連する教育、研究ができること。
6.医薬品情報に関連する医療制度、関連法規、専門用語について十分に理解していること。
7.医療倫理及び情報倫理(プロモーションコード、知的財産権の遵守など)を有していること。

  ☆

JASDI会長のインタビューコメントによれば、「臨床現場では、薬が関わるあらゆる背景を理解したうえで、医薬品情報を適切に収集・評価・加工・提供できる能力が求められています。そういった能力を持つ薬剤師を認定することで、医療に貢献できると考え、新しい専門薬剤師制度を立ち上げることになりました」とのこと。

でも、「薬が関わるあらゆる背景を理解」できる能力を、定義内では求めていません。

JASDI会長の言葉は、会長が本当にそう思っているのだとしたら、JASDIが定義したこと以上の能力を、会長の独断で求めているのかも。

「あらゆる」は、「盛り過ぎ」だと思います。「ちょっと大きな魚」を「世界一のデカイ魚」と言いたくなる気持ちだけ受け取っておきます。

JASDIが公表している『医薬品情報専門薬剤師』の正しい定義は、インタビュー記事における「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師」という表現よりも、なんというか、かなりアカデミック寄りです。『初心者歓迎☆』と書かれた求人に魅かれて行ってみたら『いや、初心者っていっても、せめて△■○×(なんか高度な技能を想像してください)くらいはできないと』と真顔で怒られるシーンを想像してしまいました。

「医薬品情報専門薬剤師」が、定義通りの人だと認めることが「認定」。ということは、インタビュー記事の「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師」を認定するのではない?

定義通りであるかどうかを認めるために、ある程度客観的に判定する指標が、「認定要件」。インタビュー記事の定義らしきものとは異なっていたとしても、JASDIの「正しい定義」と「認定要件」は、がっちりかみ合っているはずです。

認定要件は、定義通りの人を選別できるのでしょうか。

それとも、「定義を超越した人」「定義に満たない人」を選別するのでしょうか。

  ☆

JASDIの「医薬品情報専門薬剤師」の認定要件は、以下の通り。

1.日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた見識を備えていること

2.医薬品情報に関わる業務経験が通算5年以上であること

3.申請時において、日本医薬品情報学会の会員であり、本学会が指定する生涯教育セミナーに参加し、60単位以上(必修40単位以上を含む)を取得していること。

4.全国レベルの学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において、医薬品情報領域における学会発表が2回以上(少なくとも1回は発表者であること)および複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に医薬品情報領域の学術論文が1編以上(筆頭筆者)、もしくは、学術論文2編以上(うち1編は筆頭者とする)があること。

5.各職域における医薬品情報に関わる教育、業務実績を証明できること

6.施設長。所属長などの推薦があること

7.上記、1~6)までの条件を満たした後、本学会が実施する認定試験に合格すること。

あるいは、「過渡的認定」(認定試験なし)で

1.日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた見識を備えていること。

2.医薬品情報に関わる業務経験が通算5 年以上であること(所属長の証明が必要)。

3.申請時において、日本医薬品情報学会の会員であり、本学会が指定する生涯教育セミナーに参加し、120単位以上(必修80単位以上を含む)を取得していることこと。

4.全国レベルの学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において、医薬品情報領域に関する学会発表が3回以上(すべてにおいて発表者もしくは、指導者であること)、複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に医薬品情報領域の学術論文が3編以上(2編は筆頭著者、もしくは指導者であること)の全てを満たしていること。

5.各職域における医薬品情報に関わる教育、業務実績を証明できること。

6.施設長、所属長等の推薦があること。

  ☆

この認定要件、かなりハードルが高いです。

まず、【要件1】により、『自ら「優れた見識を持っています」と言える薬剤師』でなければ認定されません。発展途上人間ばかりの「専門家」にとっては、ものすごく高いハードルです。(この要件、自薦ですよね?)

常に不安と危機感と自信の無さ(まだまだ知らないことがあるはずだ)の自覚を原動力にして活動している専門家。ふと「自分ってすごい!」と思った瞬間に「現状で満足した自分は、専門家として堕落してしまったのでは…?」とどんより気分になる、不思議な上昇スパイラル。「専門家(=めんどうくさい人たち)」にとっては、要件1のハードルは高すぎます。

そのうえ【要件6】。他人にも、「こいつは見識があるよ」と『こちらから依頼して』言ってもらわなければならないようです。こうなると、専門家は、ツンデレどころか、照れ照れです。恥ずかしくてひきこもりそうです。「お姉ちゃんが勝手に応募したのでオーディションに来ました」という状況でノーベル賞をもらうことには抵抗が無い「専門家」ですが、「自分から言いだして、お姉ちゃんに応募させて、オーディションに行く」ことは、まず、無理。自分で『業績を挙げたんだから、ノーベル賞をくれ』と言いに行きそうな専門家であるエジソンのことはおいとくとして。

【要件6】により、「こっそり持っていたい認定」という形には、させてもらえません。「あいつ、医薬品情報専門薬剤師の認定を受けるために、施設長の推薦を受けたらしいぜ」という話題がついてまわります。そこまでしておいて、認定試験に不合格だったりした場合、どうフォローしたものか、まわりが気遣っちゃいます。(余計な妄想)

【要件6】「施設長の推薦」って、【要件1】での「自称:高い見識を持つ薬剤師」を補完するための項目にも見えます。疑うくらいなら最初から自称させる要素を項目に入れなきゃいいのに。【要件1】って、「日本国の薬剤師である」という事実認定だけじゃ、だめなんでしょうか。

  ☆

【要件5】は、頑張って証明するだけなんでしょうけれど、医薬品情報に関する業績であるかどうかを誰が判断するのか曖昧。JASDIってことでいいんでしょうか。まさか、所属長の判断じゃ、ないですよね?

この認定では、業務の『実績』の「数」が重視されるようです

医薬品情報学会ホームページ上で確認できるQ&Aによれば、「業務経験」としての「実績」内容文書の提出は、10件分が必要とのこと。

実績に値する例示を眺めると、

『医薬品情報室の専任薬剤師として』
『厚生労働科学研究研究班への参画』
『講習会の講師』
『大学の講義』
『教科書』
『博士論文』
『国内外の安全情報の収集』
『インタビューフォーム等の作成』

…って、なんだか、「日常業務として行える人」が限られるキーワードが並びます。

これ、職域間のハードルの差が極端すぎます。同じ「医薬品情報専門薬剤師」の間で、かなりの「本当の専門」の差が生まれそう。

ふたりの「医薬品情報専門薬剤師」がいても、ひとりは「インタビューフォームづくりの専門家」で、もうひとりは「講習会慣れした専門家」。どうやって見分けるんでしょうね。(あ、こーゆーの、『特定看護師(仮称)』の認定要件に似ていますね。ひとつの認定によって全ての領域を網羅しようとしているのに、「認定を受ける人物が全ての領域の知識経験を身につけること」を認定要件から外すと、こうなります)

この「業務経験」は、「担当者に指示してやらせた」場合でもOKっぽいので、薬局長や社長や役員や教員といった「上司さん」に有利にできている感じ。したっぱの業績は偉い人の業績? →ドラマの中だけの話ですよね。

「数」が重要なので、ながーく継続している活動に対する評価はありません。10年間続けている活動も「業績1」とカウントされますし、30分の講演も「業績1」です。(なんちゃって。カウントの方法は、書いてないんですけれどね)

  ☆

【要件3】は、「60単位以上」とか「120単位以上」とかいうので、ものすごくたくさんの講習を受けているという意味かと思ったら、どうも、過渡的認定においては「過去12年」の『日本医薬品情報学会学術大会』に一回参加する度に10~20単位換算になるそうです。10単位×12=120単位。なるほど。

○第3項における本学会が指定するセミナー及び研修単位
1)セミナー
必修:医薬品情報学会主催 生涯教育セミナー受講(1日) 20単位
2)学術集会及び講演会
選択:本学会の主催する年次学術集会 出席(1日) 10単位
本学会の主催するフォーラム 出席5単位
選択:本学会の指定する関連学会の年次学術集会出席2単位

※ ただし、過渡的認定においては、過去12年の日本医薬品情報学会学術大会、フォーラムの出席については、出席を証明するものの添付により、必修単位として認める。

※ 本学会の指定する関連学会とは、以下のものをいう(五十音順)。
日本医療情報学会、日本医療薬学会、日本社会薬学会、日本薬学会、日本薬剤疫学会、日本薬剤師会学術大会、日本臨床薬理学会、Drug Information Association,International Pharmaceutical Federation

関連学会に「日本薬史学会」がないのが残念なのは筆者だけでしょうけれど、医薬品の歴史は医薬品情報にはいらないという判断なのか、単に学会間の仲が悪いだけなのか…。

まあ、それはいいとして。

少なくとも、一年に一回医薬品情報学会の学術大会に「参加(発表しなくてもいいようです)」していればクリア。昔から医薬品情報学会に参加している、いわゆる「古参」様が、俄然有利。【要件2】【要件5】と絡めると、医薬品情報学会学術大会の企画を毎年やっている役員がいたら、事例にも困らない仕様です。

より広い視野で幅広く情報を扱うことを推奨しているわりに、自前の学術大会や講習会の価値は、他の学会主催のものの2倍以上の価値があるという設定です。他の学会にどんどん行っている人のほうが、より広い視野で幅広く情報を扱っているんじゃないかと…違うのかな。

JASDIの学術大会にしか出没しない人(想定研修日数2日)とJASDI以外の関連9学会全部の学術大会に出没した人(想定研修日数20日)とで、研修単位は…ほぼ同じ? あれれれ???

プロレスのチャンピオンベルトの価値で考えると、「NoAHの選手だけで2回の防衛戦を行ったベルト」と「インディーもメジャーもごった煮で各団体あわせて20回の防衛戦を行ったベルト」とを比較したときに、前者のほうが価値があると言っているようなものです。仮に小橋選手が言うなら「その通りです」と認めてしまいそうですが、他団体のエース格が特色ある戦いを挑む図式で10倍の選手権試合を行ったとなれば、「ベルトの価値をとんでもなく高めたチャンピオンだ!」という話にならないですかね(←アイアンマンヘビーメタル級王座という例があるので、いまいち自信なし)。

  ☆

【要件4】は、地獄の関門です。

複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に医薬品情報領域の学術論文が3編以上(2編は筆頭著者、もしくは指導者であること)

・・・と言われても。

学会発表程度なら三回くらいちょちょいのちょい。でも、学術雑誌に論文を載せるという段になると、フツーのDI担当者にはハードル高すぎです。(そのくらい高いほうが燃える、という見方もできるので、この要件は、案外ナイスな要件なのかもしれません)

「複数査読制のある国際的・・・」のほうは遠くて諦めモード。「全国的」のほうも、具体的にどのあたりの雑誌のことを指しているのか…という点がはっきりしないのが難点。日経DIに記事(たとえば、DIクイズ)が載ったら、論文ってことにしてもらえるんでしょうか。(さすがにそれはないか)

裏道的には、「1編は、他人の論文に協力者として載せてもらえばOK。」「他の2編は、部下に書かせた論文を指導しましたって言えばOK。」という酷いことができそうな。いえ、当然、「できそうでも酷いことはやらない」のが研究者の矜持というものですから、やるわけがないです。はい。

これ、アンケート集計を手伝ったとか、そういうことでも「協力」、助言すれば「指導」…なのでしょうか?

漫画の編集者が、ちょっとベタを塗るのを手伝って、ちょっとアイデア出しを手伝ったら、「協力者」で「指導者」と言えちゃうかもしれないね、という。

論文すべてを自力で完成させる人と、

論文仲間を募って「一つのテーマを三つにわけて、三人で論文を三つ書こうぜ! それぞれの論文の筆頭と指導と協力者をわけあうんだ」という『三人で組もう! 限定じゃんけんでお互いにあいこを出し合えば必勝だ!』的な人と。(実際、学会発表で、この手の「筆頭者だけ変えて複数の発表だと言い張る」パターンは存在するわけですが…そういうパターンの発表者を全否定するための要件だとしたら、素晴らしい意気込みです)

【要件4】、立場や環境で、だいぶ、ハードルが変わりそうです。

誰を弾いて、誰を受け入れるハードルなのか。

高さがコロコロ変わるかもしれないハードル。安定感のないハードル。そのあたりが、不安です。

  ☆

【要件2】。ちょっと複雑。

細則によると、「医薬品情報に関わる業務」の経験が5年以上あることを記載した履歴書と『所属長の証明(申請者が五年以上医薬品情報に関わる業務をしていたという証明、ですよね?)』を提出するシステムのようです。【要件2】【要件5】は、業務経験の履歴を読んだ現在の所属長が「OKです」とハンコを押すシステム。現在の所属長が、過去の職歴を読んで、「それが正しい」かどうかをどう判断するのかは不明です。探偵の出番?

【要件2】で所属長の「証明」があって、さらに、【要件6】で所属長の「推薦」も必要。所属長がとてつもないキーパーソンであることは間違いありません。

事実認定と人物評価の両方をこなす、所属長。

所属している場所における「専任場所」を決めているのも所属長。学会発表や論文作成などを行える環境を整えているのも所属長。所属長と仲が悪かったら、この認定は申請できません。たぶん。

所属長さんが判断するにあたっての、「医薬品情報に関わる業務」の定義は、JASDIの決めた『細則』に載っています。

  ☆

○第2項における業務経験の範囲

・業務経験の領域は、医療・教育・行政など複数に渡っていてもかまわないこととするが、以下で言う「従事している」とは、専任(半日)以上とする。

・病院・診療所:医薬品情報管理室等において、採用薬評価、治験薬評価、採用薬の院内安全対策などに従事していること。業務の内容の50%相当以上が医薬品情報に関係していること。

・薬局・薬事情報センター:薬局等において医薬品情報担当(医薬品情報に関する教育を含む)を行っていること。また、薬事情報センターにおいて医薬品情報業務を行っていること。

・卸:卸業において、医薬品情報業務(医薬品情報部門、市販後調査部門)に従事していること。

・製薬企業:製薬企業において、医薬品情報業務(安全情報部門、学術・お客様相談部門、医薬品情報に関する教育部門など)に従事していること。

・行政:薬事行政において、医薬品にかかわる安全対策関連業務に従事していること。

・大学:教育現場において、医薬品情報学関連教育(薬学教育コアカリキュラムC15 及びD1 の中の医薬品情報に関する教育)を担当していること。医薬品情報関連実習を担当していること。または、医薬品情報に関する卒業論文、修士論文指導をしていること。

・情報センターなど:(財)日本医薬情報センターや(財)国際医学情報センターなどの情報機関において、医薬品情報に関連する業務に従事していること。

・その他:本学会が認定する職域・団体において医薬品情報に関連する業務に従事していること。

なお、上記の業務経験を記載した履歴書と所属長の証明を提出するものとする。

  ☆

「専任(半日)以上」&「○○していること」が大事な、【医薬品情報に関わる業務】の定義。

「○○していること」という表現は、「完了形」。

『過去に始まり、今現在も、○○している』ことが、必要かどうか。

それとも、『過去の一時期、やってました。今はやってません』でも良いのかどうか。

「○○していること」の定義次第で、この認定制度は「人物の能力認定ではない」ことになります。

仮に、「今現在もなんらかの医薬品情報に関する業務をしていること」を求められたら、現在の職場ありき、現在の職位ありき。…に、なっちゃいます。職場でDI担当からはずされたら、五年後(この認定の期間は五年)に、認定申請資格を失いそうなんですが…更新のときには関係ないのかな? 申請直前に配置換えになったら、申請できない…?

あるいは、昔あれこれと医薬品情報に関わる業務をしていて、「今はやっていなくてもよい」のなら、こんどは、「本当に申請者が医薬品情報に関わる業務をしていたのかどうかを、所属長が証明する」必要がどこにあるのかわかりません。昔は企業の医薬品情報担当者として五年以上辣腕をふるったけれど、今は退職して自宅でのんびりしている薬剤師にとっては、『所属長』なる人物が存在しませんし…。

よーするに、「今いる職場、今の担当業務に関わらず、能力を有する薬剤師を認定する」ことができない要件かなー・・・と。

  ☆

【ここまでのまとめ、プラスアルファ】

JASDIの「医薬品専門薬剤師」認定って、

1.薬剤師認定制度認証機構の「専門薬剤師」の定義とは異なる。

2.(「医薬品情報全体を扱う」わりに)個人個人の能力判定分野が異なっていても良い。

3.(「医薬品情報全体を扱う」のに、)JASDI主催講習の単位価値が飛びぬけて高い。

4.「医薬品情報に関する研究ができること」が「論文を学術雑誌に載せること」と同じ意味になっている。

…という状況っぽい。

「医薬品情報専門薬剤師」の認定要件のうち、

1.【要件1】は、「薬剤師として優れた見識を備えていること」の証明方法を細則に明記するか、「日本国の薬剤師である」という事実判定のみにしないのかな?

2.【要件6】は、必要ないんじゃないの?

3.「医薬品情報専門薬剤師」の『過渡的認定要件』は、撤廃したほうがいいんじゃないの?

  ☆

で、『認定要件は、「正しい定義」通りの人材を選出できるのか』という疑問の答えは…。

答:過渡的ではないほうの「正調」認定試験の内容はこれからつくるので、「認定試験でチェックするから大丈夫」。「今は存在しない理想的な試験が未来に存在すること」を担保にしたら、空論上は全て解決。証明終わり。

…。

「そのうち、ドラえもんが未来から来るから、あやとりばかりやっていて一切勉強をしなくても大丈夫☆」と小学四年生の野比のび太君(仮名)に言われたとき、JASDIの役員の方たちは、「そのとおり! いいこと言った!」と、手放しで肯定するのでしょうか。(いや、さすがに、しないでしょ)

存在しない認定試験のことは忘れます。

チェス盤をひっくり返して、認定される側の視点、『観客(『調剤と情報』のインタビュー記事を読んだ人や、JASDIの公表している定義を読んだ人)を納得させる認定要件かどうか』という視点で考えてみます。

「納得」。プロレスだったら、チャンピオンの勝利までの流れとフィニッシュホールドが説得力を持っている試合かどうか。関節技の女王の異名をとるチャンピオンが、何の意味もなくノーザンライトスープレックスで勝つ試合内容ではダメ。

「特定スタイルのチャンピオン」に必要なのは、「特定の立ち振る舞いと、特定のトークと、特定の試合内容」。お約束の入場、お約束の鉄板フレーズ、お約束のムーブ。そういったものが、【認定要件】。

ビールのがぶ飲みをしないストーンコールドとか、水芸を披露しないトリプルHとか、ダーってやらない猪木とか、そういうのに、観客はブーイングで「それ、キャラが違うーっ!」と示すわけです。

観客に「こういうものだ」と提示したら、観客が「こういうものだ」と言われたとおりに期待しているものを、期待している通りにやるのが大事。

『熊殺しの強豪』だと宣伝してしまったら、実際に殺した熊の毛皮くらいは羽織ってこないと、観客は納得しません。

プロレス的な喩えばかりだと微妙なので、「世界の歌姫来日!」「天才数学者!」「炸裂するハンドパワー!」「5秒に一度のサスペンス」といった謳い文句からイメージするものが、実際に見たら期待はずれだった時を想像してみましょう。

  ☆

【五年以上職場のDI関係担当を専任でしていて、日本医薬品情報学会に属し、講習会に年何回か行って、所属長との仲が悪くなくて、論文を書く薬剤師】

という【認定要件】は、

【医薬品情報源の特性を理解し、その検索・調査ができ、その指導ができ、医品情報を根拠に基づいて評価でき、目的にあわせて加工し、提供ができ、医薬品開発・医薬品適正使用のための最適な判断(有効性と安全性を確保するための対策など)ができ、教育・研究ができ、医療制度・関連法規・専門用語に詳しく、医療倫理及び情報倫理をもった、コミュニケーション・プレゼンテーション・ライティング能力を有する薬剤師】

という【定義】が示す「期待」どおりのものなのでしょうか。

『調剤と情報』のインタビュー記事では、認定要件について述べていますが、肝心の『JASDIの会員になってもらって』という点には、インタビュー内で触れていません。(認定要件の表に書いてあります。記事内に、「医薬品情報専門薬剤師」の正式な定義は、書いてありません。インタビューの発言には、「システム構築能力」「組織の運営に貢献する役割」という、定義から考えるとオーバースペックな能力や、「医薬品情報の扱いのエキスパート」という、あれ、それって普通の薬剤師のことでしょ?とツッコミがはいる新たな定義があるので、そのまま読めば誤解します。)

JASDIの示す『医薬品情報専門薬剤師』の定義には、どこにも、『医薬品情報学会の会員でなければならない』とは書いてありません。

観客は期待します。「なるほど、医薬品情報を、定義通りに扱う能力がある薬剤師なら、誰でも(医薬品情報学会に入っていなくても)、『医薬品情報専門薬剤師』になる資格があるんだ!」…と。

観客の期待を煽りに煽っておいてから、

「会員にならなきゃ、とれない認定です」「認定料は、各自ご確認ください」「古くからの会員は優遇されるシステムです」

…って、ことですよね、これ。

「AKB48のシークレットライブにご招待!」と煽って「当社の会員になっていただかないと」「会場入場料と旅費・宿泊費は別途で、各自ご用意ください」「古くからの会員様優遇です」…という、どっかでありそうな商法っぽく、なってませんか?

  ☆

素直に受け取れば、記事のタイトルにもある通り、「医療への貢献」。定義通りの薬剤師が活躍すれば、素晴らしいことです。

でも、筆者は、素直に受け取らなかったので、これを、「学会の会員増加と、学術大会参加者数の増加と、認定料収入のための認定になってしまった」と読みました。

JASDIの(会員だけが取得する)
JASDIによる(変な認定要件で行われる)
JASDIの(運営の)ための
「専門(といっていいのか疑問な)薬剤師」認定。

…そんな言葉が、浮かびました。

なんてゆーか、「はじめは『頑張っている人に勲章を授ける』程度の良いことをしようと思っていて、議論を始めてみたら、『みんながとれるように、認定の範囲を広げろ』だの、『ついでに自分たちの会が得になるようにしよう』だの、『せっかくだから専門薬剤師と名乗らせよう』だの、当初の理想からかけ離れたわけのわからないものができちゃって、いざ認定しようとしたら『試験をやったら、自分たちが認定されないかもしれない! てゆーか試験問題をつくるの、誰だよ』という空気に流されて『試験なしの過渡的処置の認定でも十分だよ!』というところまで認定の価値を落としても平気になっちゃった。なんでだろ」てなところでしょうか。

神の御子は、使徒である滅びの子(JUDAS)に裏切られ、学問の神は、弟子たちの会(JASDI)に裏切られ…そうな悪い予感。そうなりませんように。

(こーゆー流れで、社会薬学会が『社会薬学専門薬剤師』(←あほか)なんてのに着手しませんように)

  ☆

【おまけ1】

○認定の有効期間
認定の有効期間は、交付の日から5年とする。

○認定にかかわる諸費用
受験料 \10,000
認定審査料 \10,000
認定料 \20,000

  ☆

認定には、すくなくとも四万円かかります。

各種専門医や、「認定心理士」と同額程度だと考えれば安いのか、そうでもないのか、筆者はさっぱりわかりません。

更新料・更新認定基準については記載なし。

五年後に、また四万円かかるのかな…?

  ☆

【おまけ2】

※イギリスの「シニア・ファーマシスト」は病院薬剤師限定のグレード認定、つまり病院薬剤師における職位認定のよーだし、日本の「専門薬剤師」定義とは、考え方が違いますよね。イギリスの高グレード病院薬剤師についても「専門薬剤師」という訳し方になっている文章をいくつか読みましたが、これは、「病院内の各部署の専任薬剤師」と訳したらどうでしょうか。なんか、紛らわしいです。

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