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2011年5月

最近のノブさん。(付録:ノブさん節講座)

ノブさんが参加している検討会「医療計画の見直し等に関する検討会」の発言を拾ってみました。

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2010年12月17日 第1回 医療計画の見直し等に関する検討会

○山本委員 前回の議論のときに、二次医療圏という概念と併せて、生活医療圏をどうするかという議論があったように記憶しているのですが。二次医療圏とも少し異なり、もう少し幅広な、実際に患者が生活されている範囲を考えてというようなご意見があって。先ほど来の二次医療圏にがっちりと決め込むなというのは、そうした議論がたしかあったと思っているのですが、あの議論はどこへ行ってしまったのかお聞きしたいと思います。
 もう1つは、前回も参加させていただいておりましたけれども、薬剤に関する視点が希薄なのではないかという気がします。本検討会の目的が冒頭にありますように、地域に切れ目ない医療連携体制を作る、そのためにやるべきことをやるのだという視点に立ち、その上で基本方針を示して、それに基づいて都道府県が動いていくと、その基本方針並びに今回策定されるであろう指針の中に、薬の「く」の字や、薬局の「や」の字も出てきませんと、そこは都道府県では全くケアをしていただけないという形になります。
 今日、提示された資料は以前の資料でしたので、まだまだ状況が違っておりましたが、例えばがんを例に挙げれば、最近のがんの治療は外来で通院して薬を使う場合が多くなっていますので、その薬を一体誰が供給するのか、地域に戻って誰がケアをするのかという観点からすると、やはり薬の視点が足りないと思います。なんでもかんでも我々に何かさせろというわけではなくて、必要な項目として意識しておかないと、在宅と入院との関係の中で、入院の場合には薬剤師も医師も、それぞれ揃っているわけですが、在宅はそうではないケースもあります。薬物治療がいままでと違って、かなり重要な役割を果たすようになった。しかも、医療ニーズが多様化していて、そうした環境に合わせた体制が要るのではないかと考えます。
 例えば資料4の4疾病5事業のところもそうです。がんのところに緩和ケアが大事だということが4頁で謳われていますが、一体在宅はどうするのかという視点が全く欠けていますし、7頁の絵にも、在宅医療を支援していく中で、いまではかなり医療用麻薬を大量に使うはずですから、そうした医療用麻薬の提供体制を誰が組むのかというところも、なかなか連携体制に入ってきません。
 別の委員会のほうでは、チームを組んで医療機関の中でも地域でも、チーム医療が大事だという議論が進み、それぞれの専門性を発揮しろということが提言されているわけですので、これから進められる基本方針は医療部会がやるにしても、少なくとも指針はこの段階で進むはずですので、是非今後の議論として医療の中で薬物医療なり、薬という視点が抜けてしまうと、十分な体制が取れないのではないか。そういった意味で、先ほど来出ていた病床の数というのは、もともとの医療法の性格上しようがないと思いますし、それは大切なことだと私も思うので、そのことについては、是非検討していただきたいと思いますが、いざ地域を考えると、地域にある医療のソースというか、ヒューマンリソースをどうするのかとなれば、当然診療所もそうですし、訪問看護もそうです。その中には、薬局も薬剤師もいるわけですから、そういった統計数字なども出した上で、一体どのような体制が組めるかを考えませんと、先ほど医療機関の格差があるというお話がありましたが、まさに薬に関しては、そこら中格差だらけになってしまいます。その辺りも含めて、切れ目のない医療提供体制という観点ならば、そうしたことについてもここでは十分にご検討いただいて、指針を示していただきたいと思います。

○武藤座長 まさに保険医療提供施設機関としての、保険薬局の役割も、医療提供体制の一翼を担うということは重要なことだと思います。

  ☆

○山本委員 少し泣き言を言わせてください。皆様方にとって今の話は医政局の担当の中ですべて完了されているので、多少の濃淡はあっても、たぶん事務方の方でコントロールができると思うのですが、唯一、薬剤師という私の仕事は他の局にありますので、ついつい忘れられてしまって。医療部会のほうでもお願いしてあるのですが、今後さまざまな議論が始まるときに、当然医薬食品局なり、保険局なりと関係するわけですから、そうした部局の方々がこの場にいらっしゃるなり、あるいは情報をそちらから取るなりして、それぞれの局でもつデータも合わせてこちらに提供していただければと思っております。
 まさに地域で仕事をする上では、私どもも多少お役に立てると思っておりますので、その実態数がどこにもない状態で議論されても、いささか困ってしまいます。所管する局が違うことはよく分かっておりますが、医療は別に局間でやるものではなく全体の国民目線ですので、そのような意味では必要な情報なり何なりを是非取っていただいて、必要なときには担当局からも人が来るような体制をとっていただければありがたいと思います。

○武藤座長 事務局へのお願いということですね。確かに、現在、薬局は全国に5万3,000軒でしたでしょうか、巨大な地域医療を担う一翼を持っているというわけです。そのほか何かあればお願いいたします。

○布施委員(代理椎名参与) いま山本委員から検討会の進め方について要望がありましたが、私からもこの検討会の今後の進め方について、いくつかお願いしたいことがあります。先ほど来、出ているように、この5年間でいろいろ状況の変化があって、例えばデータなどに関してはDPCデータ、あるいはレセプト情報といった辺りの活用を、この検討会で積極的に取り入れていただきたいというのが1点目です。
 もう1つは、他の審議会や検討会の議論や成果も、状況に応じてどんどん取り込んでいただきたいということです。例えば、「がん対策推進計画」というのがありますが、これについても、いま計画の見直しの議論ががん対策推進協議会で始まっているわけです。そういったものときちんとした連携をとってもらいたい、前回は少しちぐはぐで連携がうまくいっていない点がありましたが、そういった点です。
 3番目は今のと関連する話ですが、例えば中医協の議論、やはり診療報酬制度と医療計画とのリンクといった点を、是非積極的に考えていただきたいと思うのです。以上3点をお願いいたします。

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2011年2月18日 第2回 医療計画の見直し等に関する検討会

○鈴木委員 医師に関しては厚生労働省の調査があり、医学部の定員を増加させることで対応することになっておりますし、介護は介護でいろいろな支援策がある中で、看護に関して看護協会は大学を増やしたいといったような方針ばかりで、何か別の視点で考えているような気がするのです。しかし、やはり看護師の増加を図る必要があると思います。いま非常に不景気の中で、安定した資格を持った職業に就きたいという人たちが、私どものところを見てもたくさんいるのです。介護に大卒の方が殺到するような状況の中で、いま看護師を増やすために看護学校や大学の定員を増やすといった形で、転職あるいは再就職支援も含めて人材を確保することが必要ではないかと思うのです。
 と言いますのは、集約化によって、集約される側から集約するほうに移ればいいみたいな話もあるのですが、高齢社会ではそうはいかないのです。地域で支える、在宅で支える、あるいは介護分野でも人手はますます必要になるわけです。医師は確保できても看護師が確保できなくて、病床が開けられないというところが地域にたくさんあると思います。ここで話し合うものかどうか知りませんが、いま人材確保という話が出たので、そういった視点も是非検討していただきたいと思います。

○武藤座長 いろいろな問題意識の共有ということでいいと思います。

○山本委員 先ほど課長から、医師のことはここでという話があったように聞こえたのですが

○新村指導課長 データは。

○山本委員 もちろんです。例えばチーム医療であったり、何人どこどこでというところまでの細かな数字は要らないと思うのですが、少なくとも国は指針として参酌標準なり何なりを都道府県に示すわけですから、そうであるならば、確かに医師の責任は大変重いと思っておりますし、そこが大事だと思いますが、一体どのようなスタッフがいなければいけないとか、このような規模ならばこういうものが要るなどと、およその標準のようなものをここでは示す必要があるのではないかという気がしていますそういった意味から、データは医師数を集めているというのではなくて、ほかのものもきちんと集めてここに提示していただかないと、先ほどの鈴木先生が言われたように、看護師が足りているのか足りていないのかという議論も含めて見えなくなってしまうと思うので、そこはあまりこだわらずに、是非ご提示いただければありがたいと思います。

○新村指導課長 若干言葉足らずでしたが、例えば医師・歯科医師・薬剤師調査もありますし、手元にある看護職員のデータも二次医療圏別に集計したり、解析したりすることができれば、それをお出しするということはもちろんあると思います。先ほど申し上げたのは、医療機関が不足していると思っている医師数調査がこの前行われたので、それはただ医師に限られているということを申し上げました。

  ☆

○山本委員 在宅の件ですが、とても興味深いデータが出ていて、すばらしいと思っております。一方で、県の全面的支援があったということですか。県医師会はもちろんそうですが、担当されているのが県の医療計画部ですね。そういった意味で、在宅療養支援診療所が対象になるのはやむを得ないと思うのですが、先生がおっしゃるように、今後在宅の中でどういう形を取っていくかとなると、おそらくADL区分でケアをしつつ、その中には在宅医だけではなく、歯科もいれば看護もいれば薬局もあるわけですから、そういう幅広な調査が必要なのかなと思います。
 その意味で、中央省庁以上に地方庁は縦割という傾向がありますので、調査にしても明確に国から指示を出さないと、医療計画だけの話で終わってしまうと思います。先ほど、鈴木先生が最後に少し見せてもらったとおっしゃいましたが、最後に少ししか見られないものを我々薬剤師は見ていないわけです。それでは話が進まないと思います。もし、この先在宅という新しい切り口で4疾病5事業の別の部分で計画に入るとしたら、都道府県の中できちんとしたことができるような仕組みを打ち出していただかないと難しいのかなと思います。とりわけ、先ほど死亡率を1つの指標に挙げておられましたが、介護の部分もそうかもしれませんし、もっと言えば薬剤に関わるQOLとか、あるいはそれを測るパラメータはものすごく出しにくい状態ですので、その辺りもこの先議論が要るのかなというのが1点です。
 また、PDCAでレセプトデータが使えるのではないかというご指摘があったのですが、この部分について考えると、現在のように日本中を患者が移動している環境で、レセプトデータは患者が住う地域に集まってきて、医療を提供しているのはそうではない所というと、その辺りのギャップが出たときに、東京で診療を受けて、患者のお住まいはその他の地方というときの評価の仕方が1点あるのではないかと思います。その辺りはどのようにお考えかを教えていただければと思います。

○尾形委員 2点いただきましたが、1点目については先ほど説明するときにも申し上げたように、非常に限られた資源で、私どもの大学院しか人数がいなくて、県も1人の担当者の方だけだったので、そういう意味では今回は絞りに絞ったと。本来であれば、医療と言っても在宅療養支援診療所だけではなくて、ほかの診療所でやっておられる所もたくさんあるので、そこも入れるべきだし、訪問看護ステーション、薬局、歯科診療所まで広げてやるべきだというのは全くそのとおりだと思います。これは持っていた資源の限界で、とにかくここだけ絞ってやってみたということです。これについても、最近は在宅療養支援診療所についていろいろ調査等が出ておりますが、当時としては割と新しい知見だったのかなと思っております。
 2点目ですが、レセプトデータのことです。これも2年前の報告書なので、少し知見としては古いのですが、大都市圏については、先ほどの河原先生のお話にもあったとおり、二次医療圏などが機能していない部分があるというのはそのとおりだろうと思います。一方で、かなりの医療圏、あるいは県で、過去のまだ電子化される前のレセプトデータ分析等を見ると、意外に閉じているという結果も出てきているのです。ですから、もちろん大都市部はそれなりの配慮をしなければいけない部分はあろうかと思いますが、かなりのところがわかるのではないかと思います。そういう調整をすべき部分とベースになる部分は、分けて考えたほうがいいのかなと思います。

  ☆

○山本委員 先ほどの話にこだわっているのですが、東京などを見ると、国から示された標準事項の採用率も良いし実績も良い。反面、採用率も悪いし実績も悪いということは、つまり国が出したものをみんな採用してしまったということになるのでしょうか。出した参酌標準にしても何にしても一定のものを示して、あとは地域に任せると、とりあえずみんな入れてしまおうという感じの所は、いちばん最後のパターン9なのでしょうか。そうすると、国の指針には従ったもののそれはとても悪い所という計画になりませんでしょうか。

○武藤座長 悪いというか、もう少し重み付けをしたほうがいいと。重み付けを与えるのは、それこそ各都道府県の裁量だと思いますので。

○山本委員 そういう意味で、先ほどから言われている国の示した標準を地域の実態に合わせどう拾っていくかという意味では、パターン9のような形にならないように誘導しつつ、一定の参酌標準なり数値目標を示さないと、都道府県はみんな9のような形になってしまうのではないかという気がするのです

○武藤座長 確かにそうかもしれません。

  ☆

2011年2月28日 第3回 医療計画の見直し等に関する検討会

○山本委員 いつも医薬品の話で申し訳ないのですが、お話を伺って、それぞれに大変興味深いお話しでした。しかし、薬局とか医薬品の提供体制のデータというのは、保険者レベルでもそうでしょうし、市あるいは県さらには、国も所管する部署が違うところもあって、なかなかデータや現状は調べにくいものなのでしょうか。
 千葉の例で、一部薬局のことが記載してありますが、それ以外には「薬」の部分がないのです。それでいて、この先、在宅医療は大切だという認識がある医療保険でサービスを受ける人、介護保険でサービスを受ける人それぞれに、実は医薬品は同じ薬剤師が担当しています。そういった意味で、こういう計画を策定するときも薬についてのデータは取りにくいものなのですか。それとも、全く視野になくて調べてもらえないのでしょうか。

○井上参考人 決して取りにくくはないと思います。千葉県でいうと、地域医療計画の別冊の1つとして、在宅医療関係医療機関一覧をまとめておりますが、その中の1つとして、自宅訪問に対応できる薬局もリストとしてまとめております。
 今後在宅医療を推進する上では、先ほど歯科のお話がございましたが、各薬局がそれぞれの患者の薬を自宅に届けていくことも、在宅医療を推進する上では鍵の1つで、これに対応していただける薬局を増やしていけるような施策を、いま千葉県でも取っているところでございます。

  ☆

…以上、いつものノブさん節でした。(第四回は5月23日に開催)

  ☆

【キミも、ノブさん節マスターをめざせ!】

前後につながりが無い「そういった意味で」、

主張を自らへし折って弱める「という気がするのです」「必要なのかなと思う」「要るのかなと思う」、

周知の事実を自分の記憶に集約する「あったと思うのですが」「記憶しているのですが」「話があったように聞こえたのですが」、

周知の事実をもったいぶって、かえって無視される「実は」、

相手の言ったことを全面肯定した後で話す「しかし」、

資料が出てきたとしてどうするというのかわからない「提供していただければと思う」「示していただければと思う」、

誰もそんなこと言ってないのに、わざわざ発言することで疑念を増長させる「なんでもかんでも我々に何かさせろということではなくて」、

そして、無駄に自虐的な導入である「少し泣き事を言わせてください」「いつも医薬品の話で申し訳ないのですが」。

以上の言葉を使いこなせば、キミもノブさん節マスターだ!

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JASDIのJASDIによるJASDIのための「専門薬剤師」認定?

This Bible is for the government of the people, by the people, and for the people.

Q.バナナは、おやつにふくまれますか?

Q.この認定資格は、医薬品情報を扱う能力の評価に含まれちゃうんですか?

  ☆

毎度おなじみ、『調剤と情報』の五月号。

巻頭のインタビューの感想を、とりとめなくテキトーに書いてみます。

  ☆

「がんや感染など各領域で専門薬剤師制度がつくられるなど、薬剤師の専門性発揮が求められている

という、主語が不明で、誰から「求められている」のかピンとこない、論文の出だしでよく見かける(※おおむね、論文執筆者本人が求めているか、執筆者本人が『世間はそうもとめているはずだ』と思い込んでいるか、回答誘導系アンケートや誰にも検証されていない論文の結果を取捨選択して『○○層は求めている』という結論に合致するようにしているか)自作自演?から始まる時点で、なんだか緊張してしまいます。

震災によって、「薬剤師は、なにもいわれなくても、今いる場所でできる最大の専門性を発揮する生き物である」ことが明らかになったので、

「薬剤師の専門性発揮が求められたとき」に大事なことは「環境への適応」であって、認定されているかどうかではない・・・という結論でいいんじゃないかと思いますが…

昨年の十月の段階では、JASDIは、そう考えなかったらしく。

『医薬品情報専門薬剤師』という民間認定資格をつくると言いだしました。

DI「専門」薬剤師。

まるで「毎月日経DIを読むことを宿命づけられた薬剤師」のようです。(たぶん違う)

インタビュー記事のJASDI会長によれば、「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師が必要」とのこと。

「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師」が、「医薬品情報専門薬剤師」の基本形?のようです。

でも、その定義が示すのは、「普通の薬剤師」です。

普通の薬剤師は、医薬品情報全体を扱っています。扱っているんですってば。

大学の先生はどうなのか怖くて訊いたことがありませんが、大学の先生をしている薬剤師さんだって、病院勤務の薬剤師さんだって、映画『おとうと』に出てきた薬剤師さんだって、自宅警護員の薬剤師さんだって、薬剤師ならだれでも、建前上は、医薬品情報全体を扱っているはずです。

『医薬品情報の一部分しか扱いたくありません!』なんていう宣言をわざわざするような薬剤師は、まあ、めったにいないかと。

「医薬品情報全体を扱う役割を担っている薬剤師(普通の薬剤師)」であって、かつ「特定の治療領域の、より詳しい知識と技能をもっている(日々頻繁に活用している)」人たちが、『専門薬剤師』なのだと、筆者は思っていたのですが…違うのかな…。

あんまり我流だと、我流ゆえに誰にも読めぬっ、的に一般性がないので、ここは専門家の力を借ります。勉強します。『専門薬剤師』の定義についての、専門家の見解は…。

薬剤師認定制度認証機構(専門家)のホームページにあった議事録によると、

  ☆

2 認証機構が認証の対象とする認定制度の種類は以下の通りである。

【1】生涯研修認定制度(略号G):薬剤師職能の向上を目的とする各種の研修(講 義、実習、遠隔研修など)を企画、実施、及び評価し、成果に対して単位を給付する制度、及び、一定水準の生涯研修の記録に基づき成果の認定を行う制度をいう。実施母体を生涯研修プロバイダーと呼ぶ。

【2】特定領域認定制度(P):薬剤師の職能を高めるために、生涯研修の中で焦点を絞って、特定の分野・領域について適切に計画された学習を修めた成果を認定する制度をいう。実施母体の組織と運営、責任体制、必要な規程類、研修・認定の制度実施条件等については、現行の「薬剤師生涯研修プロバイダー」に求められる要件と同等の要件を満たしていることを原則とする。

【3】専門薬剤師認定制度(S):特定の疾患、診療領域あるいは特定患者領域を対象に、 薬学的専門知識を生かして保健、医療(特にチーム医療)、福祉に貢献できる能力を保証し、専門薬剤師として認定を行う制度をいう。

【4】その他の薬剤師認定制度(E):特定の能力・適性を持つ薬剤師を認定する制度で、上記の各制度に該当しないものをいう。

  ☆

ということなので、

1.「特定疾患」「診療領域」「特定患者領域」を対象にしていること
2.その個人の『能力』を保証すること
・・・が、『専門薬剤師』認定の定義。

『限定された「対象」に、「能力」を発揮できる、薬剤師個人』

それが、専門薬剤師。

インタビュー記事におけるJASDIの『医薬品情報専門薬剤師』は「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師」でした。「医薬品情報専門薬剤師」が扱う対象である「医薬品情報全体」は、「特定の疾患、診療領域あるいは特定患者領域」の中に入っている…と言い張るのは、結構苦しいのでは?

【3】『専門薬剤師』の対象外で、「役割を担う」=「能力がある」と考えると、成果認定ではなく能力認定。これ、【4】『その他の薬剤師認定制度』に該当しそう。

…よーするに、「○○専門薬剤師」という名称はそぐわないってゆーか、使っちゃいけないよーな…。

なんとなく気になったので、もう少し、あれこれみてみます。

インタビューに載っていないあたりも。

  ☆

【JASDIによる「医薬品情報専門薬剤師」の定義】

以下の資質を有する薬剤師を医薬品情報専門薬剤師とする。

1.医薬品情報源の特性を理解し、その検索・調査ができ、その指導ができること。
2.医品情報を根拠に基づいて評価し、目的にあわせて加工し、提供ができること。
3.医薬品情報を活用するために必要なコミュニケーション、プレゼンテーション、ライティング能力を有すること。
4.適切な医薬品情報に基づき、医薬品開発、医薬品適正使用のための最適な判断(有効性と安全性を確保するための対策など)ができること。
5.医薬品情報に関連する教育、研究ができること。
6.医薬品情報に関連する医療制度、関連法規、専門用語について十分に理解していること。
7.医療倫理及び情報倫理(プロモーションコード、知的財産権の遵守など)を有していること。

  ☆

JASDI会長のインタビューコメントによれば、「臨床現場では、薬が関わるあらゆる背景を理解したうえで、医薬品情報を適切に収集・評価・加工・提供できる能力が求められています。そういった能力を持つ薬剤師を認定することで、医療に貢献できると考え、新しい専門薬剤師制度を立ち上げることになりました」とのこと。

でも、「薬が関わるあらゆる背景を理解」できる能力を、定義内では求めていません。

JASDI会長の言葉は、会長が本当にそう思っているのだとしたら、JASDIが定義したこと以上の能力を、会長の独断で求めているのかも。

「あらゆる」は、「盛り過ぎ」だと思います。「ちょっと大きな魚」を「世界一のデカイ魚」と言いたくなる気持ちだけ受け取っておきます。

JASDIが公表している『医薬品情報専門薬剤師』の正しい定義は、インタビュー記事における「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師」という表現よりも、なんというか、かなりアカデミック寄りです。『初心者歓迎☆』と書かれた求人に魅かれて行ってみたら『いや、初心者っていっても、せめて△■○×(なんか高度な技能を想像してください)くらいはできないと』と真顔で怒られるシーンを想像してしまいました。

「医薬品情報専門薬剤師」が、定義通りの人だと認めることが「認定」。ということは、インタビュー記事の「医薬品情報全体を扱う役割を担う薬剤師」を認定するのではない?

定義通りであるかどうかを認めるために、ある程度客観的に判定する指標が、「認定要件」。インタビュー記事の定義らしきものとは異なっていたとしても、JASDIの「正しい定義」と「認定要件」は、がっちりかみ合っているはずです。

認定要件は、定義通りの人を選別できるのでしょうか。

それとも、「定義を超越した人」「定義に満たない人」を選別するのでしょうか。

  ☆

JASDIの「医薬品情報専門薬剤師」の認定要件は、以下の通り。

1.日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた見識を備えていること

2.医薬品情報に関わる業務経験が通算5年以上であること

3.申請時において、日本医薬品情報学会の会員であり、本学会が指定する生涯教育セミナーに参加し、60単位以上(必修40単位以上を含む)を取得していること。

4.全国レベルの学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において、医薬品情報領域における学会発表が2回以上(少なくとも1回は発表者であること)および複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に医薬品情報領域の学術論文が1編以上(筆頭筆者)、もしくは、学術論文2編以上(うち1編は筆頭者とする)があること。

5.各職域における医薬品情報に関わる教育、業務実績を証明できること

6.施設長。所属長などの推薦があること

7.上記、1~6)までの条件を満たした後、本学会が実施する認定試験に合格すること。

あるいは、「過渡的認定」(認定試験なし)で

1.日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた見識を備えていること。

2.医薬品情報に関わる業務経験が通算5 年以上であること(所属長の証明が必要)。

3.申請時において、日本医薬品情報学会の会員であり、本学会が指定する生涯教育セミナーに参加し、120単位以上(必修80単位以上を含む)を取得していることこと。

4.全国レベルの学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において、医薬品情報領域に関する学会発表が3回以上(すべてにおいて発表者もしくは、指導者であること)、複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に医薬品情報領域の学術論文が3編以上(2編は筆頭著者、もしくは指導者であること)の全てを満たしていること。

5.各職域における医薬品情報に関わる教育、業務実績を証明できること。

6.施設長、所属長等の推薦があること。

  ☆

この認定要件、かなりハードルが高いです。

まず、【要件1】により、『自ら「優れた見識を持っています」と言える薬剤師』でなければ認定されません。発展途上人間ばかりの「専門家」にとっては、ものすごく高いハードルです。(この要件、自薦ですよね?)

常に不安と危機感と自信の無さ(まだまだ知らないことがあるはずだ)の自覚を原動力にして活動している専門家。ふと「自分ってすごい!」と思った瞬間に「現状で満足した自分は、専門家として堕落してしまったのでは…?」とどんより気分になる、不思議な上昇スパイラル。「専門家(=めんどうくさい人たち)」にとっては、要件1のハードルは高すぎます。

そのうえ【要件6】。他人にも、「こいつは見識があるよ」と『こちらから依頼して』言ってもらわなければならないようです。こうなると、専門家は、ツンデレどころか、照れ照れです。恥ずかしくてひきこもりそうです。「お姉ちゃんが勝手に応募したのでオーディションに来ました」という状況でノーベル賞をもらうことには抵抗が無い「専門家」ですが、「自分から言いだして、お姉ちゃんに応募させて、オーディションに行く」ことは、まず、無理。自分で『業績を挙げたんだから、ノーベル賞をくれ』と言いに行きそうな専門家であるエジソンのことはおいとくとして。

【要件6】により、「こっそり持っていたい認定」という形には、させてもらえません。「あいつ、医薬品情報専門薬剤師の認定を受けるために、施設長の推薦を受けたらしいぜ」という話題がついてまわります。そこまでしておいて、認定試験に不合格だったりした場合、どうフォローしたものか、まわりが気遣っちゃいます。(余計な妄想)

【要件6】「施設長の推薦」って、【要件1】での「自称:高い見識を持つ薬剤師」を補完するための項目にも見えます。疑うくらいなら最初から自称させる要素を項目に入れなきゃいいのに。【要件1】って、「日本国の薬剤師である」という事実認定だけじゃ、だめなんでしょうか。

  ☆

【要件5】は、頑張って証明するだけなんでしょうけれど、医薬品情報に関する業績であるかどうかを誰が判断するのか曖昧。JASDIってことでいいんでしょうか。まさか、所属長の判断じゃ、ないですよね?

この認定では、業務の『実績』の「数」が重視されるようです

医薬品情報学会ホームページ上で確認できるQ&Aによれば、「業務経験」としての「実績」内容文書の提出は、10件分が必要とのこと。

実績に値する例示を眺めると、

『医薬品情報室の専任薬剤師として』
『厚生労働科学研究研究班への参画』
『講習会の講師』
『大学の講義』
『教科書』
『博士論文』
『国内外の安全情報の収集』
『インタビューフォーム等の作成』

…って、なんだか、「日常業務として行える人」が限られるキーワードが並びます。

これ、職域間のハードルの差が極端すぎます。同じ「医薬品情報専門薬剤師」の間で、かなりの「本当の専門」の差が生まれそう。

ふたりの「医薬品情報専門薬剤師」がいても、ひとりは「インタビューフォームづくりの専門家」で、もうひとりは「講習会慣れした専門家」。どうやって見分けるんでしょうね。(あ、こーゆーの、『特定看護師(仮称)』の認定要件に似ていますね。ひとつの認定によって全ての領域を網羅しようとしているのに、「認定を受ける人物が全ての領域の知識経験を身につけること」を認定要件から外すと、こうなります)

この「業務経験」は、「担当者に指示してやらせた」場合でもOKっぽいので、薬局長や社長や役員や教員といった「上司さん」に有利にできている感じ。したっぱの業績は偉い人の業績? →ドラマの中だけの話ですよね。

「数」が重要なので、ながーく継続している活動に対する評価はありません。10年間続けている活動も「業績1」とカウントされますし、30分の講演も「業績1」です。(なんちゃって。カウントの方法は、書いてないんですけれどね)

  ☆

【要件3】は、「60単位以上」とか「120単位以上」とかいうので、ものすごくたくさんの講習を受けているという意味かと思ったら、どうも、過渡的認定においては「過去12年」の『日本医薬品情報学会学術大会』に一回参加する度に10~20単位換算になるそうです。10単位×12=120単位。なるほど。

○第3項における本学会が指定するセミナー及び研修単位
1)セミナー
必修:医薬品情報学会主催 生涯教育セミナー受講(1日) 20単位
2)学術集会及び講演会
選択:本学会の主催する年次学術集会 出席(1日) 10単位
本学会の主催するフォーラム 出席5単位
選択:本学会の指定する関連学会の年次学術集会出席2単位

※ ただし、過渡的認定においては、過去12年の日本医薬品情報学会学術大会、フォーラムの出席については、出席を証明するものの添付により、必修単位として認める。

※ 本学会の指定する関連学会とは、以下のものをいう(五十音順)。
日本医療情報学会、日本医療薬学会、日本社会薬学会、日本薬学会、日本薬剤疫学会、日本薬剤師会学術大会、日本臨床薬理学会、Drug Information Association,International Pharmaceutical Federation

関連学会に「日本薬史学会」がないのが残念なのは筆者だけでしょうけれど、医薬品の歴史は医薬品情報にはいらないという判断なのか、単に学会間の仲が悪いだけなのか…。

まあ、それはいいとして。

少なくとも、一年に一回医薬品情報学会の学術大会に「参加(発表しなくてもいいようです)」していればクリア。昔から医薬品情報学会に参加している、いわゆる「古参」様が、俄然有利。【要件2】【要件5】と絡めると、医薬品情報学会学術大会の企画を毎年やっている役員がいたら、事例にも困らない仕様です。

より広い視野で幅広く情報を扱うことを推奨しているわりに、自前の学術大会や講習会の価値は、他の学会主催のものの2倍以上の価値があるという設定です。他の学会にどんどん行っている人のほうが、より広い視野で幅広く情報を扱っているんじゃないかと…違うのかな。

JASDIの学術大会にしか出没しない人(想定研修日数2日)とJASDI以外の関連9学会全部の学術大会に出没した人(想定研修日数20日)とで、研修単位は…ほぼ同じ? あれれれ???

プロレスのチャンピオンベルトの価値で考えると、「NoAHの選手だけで2回の防衛戦を行ったベルト」と「インディーもメジャーもごった煮で各団体あわせて20回の防衛戦を行ったベルト」とを比較したときに、前者のほうが価値があると言っているようなものです。仮に小橋選手が言うなら「その通りです」と認めてしまいそうですが、他団体のエース格が特色ある戦いを挑む図式で10倍の選手権試合を行ったとなれば、「ベルトの価値をとんでもなく高めたチャンピオンだ!」という話にならないですかね(←アイアンマンヘビーメタル級王座という例があるので、いまいち自信なし)。

  ☆

【要件4】は、地獄の関門です。

複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に医薬品情報領域の学術論文が3編以上(2編は筆頭著者、もしくは指導者であること)

・・・と言われても。

学会発表程度なら三回くらいちょちょいのちょい。でも、学術雑誌に論文を載せるという段になると、フツーのDI担当者にはハードル高すぎです。(そのくらい高いほうが燃える、という見方もできるので、この要件は、案外ナイスな要件なのかもしれません)

「複数査読制のある国際的・・・」のほうは遠くて諦めモード。「全国的」のほうも、具体的にどのあたりの雑誌のことを指しているのか…という点がはっきりしないのが難点。日経DIに記事(たとえば、DIクイズ)が載ったら、論文ってことにしてもらえるんでしょうか。(さすがにそれはないか)

裏道的には、「1編は、他人の論文に協力者として載せてもらえばOK。」「他の2編は、部下に書かせた論文を指導しましたって言えばOK。」という酷いことができそうな。いえ、当然、「できそうでも酷いことはやらない」のが研究者の矜持というものですから、やるわけがないです。はい。

これ、アンケート集計を手伝ったとか、そういうことでも「協力」、助言すれば「指導」…なのでしょうか?

漫画の編集者が、ちょっとベタを塗るのを手伝って、ちょっとアイデア出しを手伝ったら、「協力者」で「指導者」と言えちゃうかもしれないね、という。

論文すべてを自力で完成させる人と、

論文仲間を募って「一つのテーマを三つにわけて、三人で論文を三つ書こうぜ! それぞれの論文の筆頭と指導と協力者をわけあうんだ」という『三人で組もう! 限定じゃんけんでお互いにあいこを出し合えば必勝だ!』的な人と。(実際、学会発表で、この手の「筆頭者だけ変えて複数の発表だと言い張る」パターンは存在するわけですが…そういうパターンの発表者を全否定するための要件だとしたら、素晴らしい意気込みです)

【要件4】、立場や環境で、だいぶ、ハードルが変わりそうです。

誰を弾いて、誰を受け入れるハードルなのか。

高さがコロコロ変わるかもしれないハードル。安定感のないハードル。そのあたりが、不安です。

  ☆

【要件2】。ちょっと複雑。

細則によると、「医薬品情報に関わる業務」の経験が5年以上あることを記載した履歴書と『所属長の証明(申請者が五年以上医薬品情報に関わる業務をしていたという証明、ですよね?)』を提出するシステムのようです。【要件2】【要件5】は、業務経験の履歴を読んだ現在の所属長が「OKです」とハンコを押すシステム。現在の所属長が、過去の職歴を読んで、「それが正しい」かどうかをどう判断するのかは不明です。探偵の出番?

【要件2】で所属長の「証明」があって、さらに、【要件6】で所属長の「推薦」も必要。所属長がとてつもないキーパーソンであることは間違いありません。

事実認定と人物評価の両方をこなす、所属長。

所属している場所における「専任場所」を決めているのも所属長。学会発表や論文作成などを行える環境を整えているのも所属長。所属長と仲が悪かったら、この認定は申請できません。たぶん。

所属長さんが判断するにあたっての、「医薬品情報に関わる業務」の定義は、JASDIの決めた『細則』に載っています。

  ☆

○第2項における業務経験の範囲

・業務経験の領域は、医療・教育・行政など複数に渡っていてもかまわないこととするが、以下で言う「従事している」とは、専任(半日)以上とする。

・病院・診療所:医薬品情報管理室等において、採用薬評価、治験薬評価、採用薬の院内安全対策などに従事していること。業務の内容の50%相当以上が医薬品情報に関係していること。

・薬局・薬事情報センター:薬局等において医薬品情報担当(医薬品情報に関する教育を含む)を行っていること。また、薬事情報センターにおいて医薬品情報業務を行っていること。

・卸:卸業において、医薬品情報業務(医薬品情報部門、市販後調査部門)に従事していること。

・製薬企業:製薬企業において、医薬品情報業務(安全情報部門、学術・お客様相談部門、医薬品情報に関する教育部門など)に従事していること。

・行政:薬事行政において、医薬品にかかわる安全対策関連業務に従事していること。

・大学:教育現場において、医薬品情報学関連教育(薬学教育コアカリキュラムC15 及びD1 の中の医薬品情報に関する教育)を担当していること。医薬品情報関連実習を担当していること。または、医薬品情報に関する卒業論文、修士論文指導をしていること。

・情報センターなど:(財)日本医薬情報センターや(財)国際医学情報センターなどの情報機関において、医薬品情報に関連する業務に従事していること。

・その他:本学会が認定する職域・団体において医薬品情報に関連する業務に従事していること。

なお、上記の業務経験を記載した履歴書と所属長の証明を提出するものとする。

  ☆

「専任(半日)以上」&「○○していること」が大事な、【医薬品情報に関わる業務】の定義。

「○○していること」という表現は、「完了形」。

『過去に始まり、今現在も、○○している』ことが、必要かどうか。

それとも、『過去の一時期、やってました。今はやってません』でも良いのかどうか。

「○○していること」の定義次第で、この認定制度は「人物の能力認定ではない」ことになります。

仮に、「今現在もなんらかの医薬品情報に関する業務をしていること」を求められたら、現在の職場ありき、現在の職位ありき。…に、なっちゃいます。職場でDI担当からはずされたら、五年後(この認定の期間は五年)に、認定申請資格を失いそうなんですが…更新のときには関係ないのかな? 申請直前に配置換えになったら、申請できない…?

あるいは、昔あれこれと医薬品情報に関わる業務をしていて、「今はやっていなくてもよい」のなら、こんどは、「本当に申請者が医薬品情報に関わる業務をしていたのかどうかを、所属長が証明する」必要がどこにあるのかわかりません。昔は企業の医薬品情報担当者として五年以上辣腕をふるったけれど、今は退職して自宅でのんびりしている薬剤師にとっては、『所属長』なる人物が存在しませんし…。

よーするに、「今いる職場、今の担当業務に関わらず、能力を有する薬剤師を認定する」ことができない要件かなー・・・と。

  ☆

【ここまでのまとめ、プラスアルファ】

JASDIの「医薬品専門薬剤師」認定って、

1.薬剤師認定制度認証機構の「専門薬剤師」の定義とは異なる。

2.(「医薬品情報全体を扱う」わりに)個人個人の能力判定分野が異なっていても良い。

3.(「医薬品情報全体を扱う」のに、)JASDI主催講習の単位価値が飛びぬけて高い。

4.「医薬品情報に関する研究ができること」が「論文を学術雑誌に載せること」と同じ意味になっている。

…という状況っぽい。

「医薬品情報専門薬剤師」の認定要件のうち、

1.【要件1】は、「薬剤師として優れた見識を備えていること」の証明方法を細則に明記するか、「日本国の薬剤師である」という事実判定のみにしないのかな?

2.【要件6】は、必要ないんじゃないの?

3.「医薬品情報専門薬剤師」の『過渡的認定要件』は、撤廃したほうがいいんじゃないの?

  ☆

で、『認定要件は、「正しい定義」通りの人材を選出できるのか』という疑問の答えは…。

答:過渡的ではないほうの「正調」認定試験の内容はこれからつくるので、「認定試験でチェックするから大丈夫」。「今は存在しない理想的な試験が未来に存在すること」を担保にしたら、空論上は全て解決。証明終わり。

…。

「そのうち、ドラえもんが未来から来るから、あやとりばかりやっていて一切勉強をしなくても大丈夫☆」と小学四年生の野比のび太君(仮名)に言われたとき、JASDIの役員の方たちは、「そのとおり! いいこと言った!」と、手放しで肯定するのでしょうか。(いや、さすがに、しないでしょ)

存在しない認定試験のことは忘れます。

チェス盤をひっくり返して、認定される側の視点、『観客(『調剤と情報』のインタビュー記事を読んだ人や、JASDIの公表している定義を読んだ人)を納得させる認定要件かどうか』という視点で考えてみます。

「納得」。プロレスだったら、チャンピオンの勝利までの流れとフィニッシュホールドが説得力を持っている試合かどうか。関節技の女王の異名をとるチャンピオンが、何の意味もなくノーザンライトスープレックスで勝つ試合内容ではダメ。

「特定スタイルのチャンピオン」に必要なのは、「特定の立ち振る舞いと、特定のトークと、特定の試合内容」。お約束の入場、お約束の鉄板フレーズ、お約束のムーブ。そういったものが、【認定要件】。

ビールのがぶ飲みをしないストーンコールドとか、水芸を披露しないトリプルHとか、ダーってやらない猪木とか、そういうのに、観客はブーイングで「それ、キャラが違うーっ!」と示すわけです。

観客に「こういうものだ」と提示したら、観客が「こういうものだ」と言われたとおりに期待しているものを、期待している通りにやるのが大事。

『熊殺しの強豪』だと宣伝してしまったら、実際に殺した熊の毛皮くらいは羽織ってこないと、観客は納得しません。

プロレス的な喩えばかりだと微妙なので、「世界の歌姫来日!」「天才数学者!」「炸裂するハンドパワー!」「5秒に一度のサスペンス」といった謳い文句からイメージするものが、実際に見たら期待はずれだった時を想像してみましょう。

  ☆

【五年以上職場のDI関係担当を専任でしていて、日本医薬品情報学会に属し、講習会に年何回か行って、所属長との仲が悪くなくて、論文を書く薬剤師】

という【認定要件】は、

【医薬品情報源の特性を理解し、その検索・調査ができ、その指導ができ、医品情報を根拠に基づいて評価でき、目的にあわせて加工し、提供ができ、医薬品開発・医薬品適正使用のための最適な判断(有効性と安全性を確保するための対策など)ができ、教育・研究ができ、医療制度・関連法規・専門用語に詳しく、医療倫理及び情報倫理をもった、コミュニケーション・プレゼンテーション・ライティング能力を有する薬剤師】

という【定義】が示す「期待」どおりのものなのでしょうか。

『調剤と情報』のインタビュー記事では、認定要件について述べていますが、肝心の『JASDIの会員になってもらって』という点には、インタビュー内で触れていません。(認定要件の表に書いてあります。記事内に、「医薬品情報専門薬剤師」の正式な定義は、書いてありません。インタビューの発言には、「システム構築能力」「組織の運営に貢献する役割」という、定義から考えるとオーバースペックな能力や、「医薬品情報の扱いのエキスパート」という、あれ、それって普通の薬剤師のことでしょ?とツッコミがはいる新たな定義があるので、そのまま読めば誤解します。)

JASDIの示す『医薬品情報専門薬剤師』の定義には、どこにも、『医薬品情報学会の会員でなければならない』とは書いてありません。

観客は期待します。「なるほど、医薬品情報を、定義通りに扱う能力がある薬剤師なら、誰でも(医薬品情報学会に入っていなくても)、『医薬品情報専門薬剤師』になる資格があるんだ!」…と。

観客の期待を煽りに煽っておいてから、

「会員にならなきゃ、とれない認定です」「認定料は、各自ご確認ください」「古くからの会員は優遇されるシステムです」

…って、ことですよね、これ。

「AKB48のシークレットライブにご招待!」と煽って「当社の会員になっていただかないと」「会場入場料と旅費・宿泊費は別途で、各自ご用意ください」「古くからの会員様優遇です」…という、どっかでありそうな商法っぽく、なってませんか?

  ☆

素直に受け取れば、記事のタイトルにもある通り、「医療への貢献」。定義通りの薬剤師が活躍すれば、素晴らしいことです。

でも、筆者は、素直に受け取らなかったので、これを、「学会の会員増加と、学術大会参加者数の増加と、認定料収入のための認定になってしまった」と読みました。

JASDIの(会員だけが取得する)
JASDIによる(変な認定要件で行われる)
JASDIの(運営の)ための
「専門(といっていいのか疑問な)薬剤師」認定。

…そんな言葉が、浮かびました。

なんてゆーか、「はじめは『頑張っている人に勲章を授ける』程度の良いことをしようと思っていて、議論を始めてみたら、『みんながとれるように、認定の範囲を広げろ』だの、『ついでに自分たちの会が得になるようにしよう』だの、『せっかくだから専門薬剤師と名乗らせよう』だの、当初の理想からかけ離れたわけのわからないものができちゃって、いざ認定しようとしたら『試験をやったら、自分たちが認定されないかもしれない! てゆーか試験問題をつくるの、誰だよ』という空気に流されて『試験なしの過渡的処置の認定でも十分だよ!』というところまで認定の価値を落としても平気になっちゃった。なんでだろ」てなところでしょうか。

神の御子は、使徒である滅びの子(JUDAS)に裏切られ、学問の神は、弟子たちの会(JASDI)に裏切られ…そうな悪い予感。そうなりませんように。

(こーゆー流れで、社会薬学会が『社会薬学専門薬剤師』(←あほか)なんてのに着手しませんように)

  ☆

【おまけ1】

○認定の有効期間
認定の有効期間は、交付の日から5年とする。

○認定にかかわる諸費用
受験料 \10,000
認定審査料 \10,000
認定料 \20,000

  ☆

認定には、すくなくとも四万円かかります。

各種専門医や、「認定心理士」と同額程度だと考えれば安いのか、そうでもないのか、筆者はさっぱりわかりません。

更新料・更新認定基準については記載なし。

五年後に、また四万円かかるのかな…?

  ☆

【おまけ2】

※イギリスの「シニア・ファーマシスト」は病院薬剤師限定のグレード認定、つまり病院薬剤師における職位認定のよーだし、日本の「専門薬剤師」定義とは、考え方が違いますよね。イギリスの高グレード病院薬剤師についても「専門薬剤師」という訳し方になっている文章をいくつか読みましたが、これは、「病院内の各部署の専任薬剤師」と訳したらどうでしょうか。なんか、紛らわしいです。

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「もし日本薬剤師会の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」16

「もし日本薬剤師会の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

第十六話:アポ子はプロセスのニーズも満たすことにした

 日本(ひのもと)薬剤師会の事務局。

 腹ペコの帝夏アポ子は、三つのニーズについて、考えている。

 とりあえず、「知識のニーズ」について、日本薬剤師会雑誌を例にして考えてみたが、あと、二つもある。いや、海賊戦隊が探している34ものお宝に比べたら微々たるものなので、たった二つしかないと考えよう。

 ニーズによるイノベーション。

 二つ目のニーズ、「プロセスのニーズ」を満たすことを考えてみよう。

 現在行っている方法を変えてみたら、どうなるだろう、というあたり。

 たとえば、日本薬剤師会雑誌の、配布方法。

 現在、日本薬剤師会雑誌は、『会員の勤務する薬局』の住所に送られている。

 だが、よく考えてみると、これはおかしい。

 日本薬剤師会の会員は「薬局」単位で会員になるのではなく、「薬剤師」単位で会員になっているはずなのだ。

 「個人」が会員の最小単位なのに、「薬局」に機関誌を送るのはおかしい。ひとつの薬局に会員が複数いたら、何冊もの機関誌が集中する。

 いくら本が好きな人でも、観賞用・保存用・読書用・熱いラーメンを置く場所用以外の用途で使わなければならないほどのダブりには対応しきれない。いや、ほんとに、魔界水滸伝とか、同じ巻を七つも持ってたら、困るし。薄桜鬼の限定版とか移植版とかを揃えるのは苦にならないけれど、それでもまったく同じものが四つも届いたら、萎える。あ、フィギュアは別だ。土方さんが1000体くらい部屋の中にいても、困らない。

 一括で郵送するから安くなる、というわけではない。なにしろ、個々の会員番号別に管理されて、個々の会員番号に付随した「薬局の」住所に送られてくるのだ。薬局内で分配しなさいと、まとめて物資が届くわけだが、個々の会員にまともに手渡されるかどうかは不明だ。エリアマネージャーのところに数百冊が届いて、全部捨てられてしまう可能性だってある。

 個々の会員が「つまんないからゴミ箱行きね」という行動をとる場合は、内容とその会員個人のニーズの乖離があったにすぎないが、会員本人の目に全く触れることなく他人の手でゴミ箱に行くような「プロセス」は、避けておきたい。

「と、いうわけでっ!」

 本の配布方法を、「薬局へ送る」形式から「個々の自宅へ送る」形式に改める。

 会員の個人情報は、がっつり押さえておく。それが、組織の基本だ。

 組織管理、つまり人事課の人間が、社員の人間関係を知らないというのは、組織のピンチだ。ある会員の、結婚しているしていない、何人家族、子供は何人、何歳、子供が大学生なら薬学部か医学部か法学部か、本人は管理者か、学校薬剤師かetc。そういうことを把握していることが大事。

 出産入学葬式結婚といった節目に声をかける。地元と情報交換。そのうえで、薬局の状況管理も行う。老舗か、最近独立したのか、社長が交代したのかetc。昔ながらの、おせっかいなご近所づきあいが、会員管理の肝。

 緊急時・災害時には、会員の安否確認のための連絡先がほしい。薬局以外の連絡先が分からないよりは、いくつかわかっていたほうがいい。安否確認ができた会員の氏名を、日薬のホームページ(会員用)に随時掲載し、稼働できる人と薬局を把握することが、「会員管理」を担当する裏方の、大事な仕事だろう。

 配布先変更に伴う住居地等の確認作業をきっかけにして、組織会員管理を担当している部署の人と仲良く(注:強敵と書いて「とも」と読むような関係を「仲良し」という)なれば、一石二鳥。

 日薬雑誌の「プロセス」といえば、まだある。

 まず、記事に対する批判や感想などのフィードバックへの対応。

 読者からの「良く分からなかった」という感想を受けて、記事の補足などを行う。この場合の「読者」の役割を、現在は『編集委員会』が行っているが、それを廃止する。せっかくモニター制度があるのだから、モニターに感想を送ってもらうのが基本だろう。

 モニターの目があると思えば、編集委員会でも、相当真剣に記事を事前チェックするはずだ。自分のつくった雑誌を自分で批評するような難題を押し付けるのは、よくない。

 そう、編集委員会の「プロセス」を変えるのも大事だ。

 日薬雑誌は120ページから200ページくらいの間で推移する月刊誌だ。

 120ページのときの内容を見ると、そのうち、「告知欄」は厚労省のデータをコピペするだけで20ページ以上。目次・広告・毎号載せる既定のページを合わせると20ページ以上。雑誌の40%ほどは、「資料的価値はあっても、厚労省などの政府サイトで公表済み」である文章の再録か、何かの宣伝。それに依頼原稿と資料解説が20ページ、残りが会務報告とトピックス。

 この「編集」に、「編集委員会」がどのようにかかわっているのかが、現在の「プロセス」といえる。現在のプロセスの良いところを伸ばし、イマイチなところを改善するのが、「プロセスのニーズ」への対応になる。

 では、どんなプロセスなのか。

 …こればかりは、アポ子も知らない。議事録も存在しない。

 まあ、あとで幼馴染のナナミを捕まえて白状させてみよう。どうせ細かいことは覚えていないだろうから、次回からビデオカメラをまわしてもいい。

 「プロセスを、もう一度見てみる」ことから、改良型プロセスのヒントがでてきそうな予感。

 刑事ドラマで、防犯VTRをチラッと見た主人公が「そこっ! そこですっ。止めてくださいっ!」と叫ぶ、あれが大事なのだ、きっと。

 ピーターは、「プロセスのニーズ」を改善するために必要な問いを、五つ挙げている。

1.プロセス自体は完結しているか
2.問題点や欠落部分は一か所だけか
3.変革の目的は明確か
4.目的のために必要なことは明らかになっているか
5.社会に『もっとよい方法があるはず』という意識はあるか

 どんなプロセスなのかがわからなければ「完結しているかどうか」もわからない。会議の議事録がなければ、会議が会議としてまともに成り立っているのかすらわからない。

 プロセスにある複数の問題点を同時解決しようとすると、改善策のどれがはまったのかがわからない。会議の時間や場所が悪いのか資料内容が悪いのか議長の進行がダメなのか本当の有識者がいないのか…全部を同時になおすくらいなら、一度解散したほうがいいかもしれない。

 なんのために変革するのかって考えるときは、組織の定款にある『目的』を読めばいい。その目的を達成するために必要なことだと納得できるならOK。問いの3と4は、つながっている。「旅行に行く」という目的なら、必要なのは、旅行に必要な時間とお金。時間とお金をうみだすことが、変革の目的。

 ここまでは内側の話。その前に、まず「社会の空気」を確認しておけと、ピーターは言う。みんなが「今のままでいいや」と思っていたら、ウケないから、空気を読めってことらしい。

 ウケる空気が生まれるまで待っていたら百年かかる。組織は、広告代理店並みに「空気をつくる」のが大事。数年に一回、幕末ブームがくるのは、そういう空気を誰かが作っているからだ。

 組織は、会員を踊らせてなんぼ。

 踊っている間、会員は間違いなく楽しいし、組織に所属していてよかったと思うし、結束も増す。それが組織が社会的影響力を増すことにつながる。

 会員を放置したまま踊らせないような組織は傾く。会員限定イベントをやらず、会員限定特典もないようなファンクラブでは、踊れない。

 BGMなしで『ハレ晴れユカイ』を100回踊れと指示されたら泣く。

「そうか! プロセスはBGMだったんだ!」

 変な旋律がまじっていたり、急にテンポがかわったりすると踊りにくい。

 もっと踊りやすいBGMを。

 そんなことを考える、腹ぺこのアポ子の頭の中で再現されていたのは…。

 フレディ・マーキュリーのダンスだった。

  ☆

つづく

  ☆

今回の言葉

『そのプロセスをもう一度みてみよう』

 宇宙刑事ギャバンが コンバットスーツを蒸着するタイムは、わずか0.05秒にすぎない。では蒸着プロセスをもう一度見てみよう。『蒸着!』「リョウカイ・コンバットスーツ・テンソウシマス」烈の要請を受けたギラン円盤は特殊軽合金グラニュウムを電送する。グラニュウムは烈の体温に反応して、形状記憶作用で強化服形態をとるのだ。「宇宙! 刑事! ギャバン!」決めポーズ。

 「リョウカイ、コンバットスーツ、デンソウシマス」の三言を0.05秒。宇宙テクノロジーってすごい。…と感心する前に、プロセスをもう一度みることによって、ツッコミどころや改善点を探りたいところ。でも、まあ、「けれんみ」 は大切にしたい。

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薬学実務実習生のなく頃に(2周目)

新しい年度が始まりました。

魔女べあとりーちぇ♪主催の宴、

「薬学生実務実習」も、

二回目のゲームが始まります。

世間から隔離された場所で行われる、大量「倫理観」殺人の謎。

その真相は…?

みたいな。

(注:今回は「うみねこのく頃に」のパクリです。地の文はwikipedia)

  ☆

回想:【最初のゲーム】
episode01:Legend of The golden eggs

(第一の晩・六人の生贄)
 調剤室の中で表情を失った6人の死体が発見される。完全に表情を失ってピッキングマシーンと化した死体と、不自然な笑い顔で固定された死体。現場の鍵は指導薬剤師のポケットにあったため、脱出することが不可能だった。調剤室のガラス扉には『君たちは十分な戦力だ!』と書かれていた。

(第二の晩・寄り添う二人)
 ドアチェーンのかかった休憩室の、待合室からは見えない位置で、男女二人の死体が見つかった。セクハラあるいはパワハラかもしれない。

(第四の晩・頭)
 地下の薬品倉庫からホルマリン臭がするので、調べに行くと、初日に薬品補充の手伝いに行ったきり行方不明だった一人が死体で発見された。在庫帳簿の数字は、めちゃくちゃな計算で彩られていた。
(第五の晩・胸)
 高度な薬知識と品格で「犯人」の制圧を試みた者は、返り討ちに遭い、胸に深々と日経DIを刺された死体で発見された。
 残った者たちが、「犯人」の手から逃れるべく薬局内で一番安全だと思われる図書室で籠城学習をしていると、指導薬剤師から「偽造処方箋を気付かずに調剤した者がいる」と告げられる。偽造処方箋の調剤の【責任者】は誰かで論争となり集団内に不和が生まれる。
(第六の晩・腹)
(第七の晩・膝)
(第八の晩・足)
 何らかの理由で使用不能だった電話が鳴り、その受話器から聞こえてきた謎の声が「疑義照会」だと気付いた四人が急いで電話のある部屋に向かったが、そこは一面薬歴の海と化しており、「腹を割って話したい」「膝をついて側で話したい」「足を使って在宅をやりたい」と語っていた三人の実習生が、SOAP形式の薬歴を書きかけた姿で死体になっていた。
 指導薬剤師に「とにかくすぐに疑義照会すれば何が起きても医師のせい」と言われたから、資料なしで疑義照会したと、電話の主は言った。
(第九の晩・魔女復活)
 指導薬剤師からの処方箋を拾った者が待合室に出向き、そこで指導薬剤師と決闘するも、経済理論によって敗北。眉間に保険点数算定要件表を撃ち込まれた形で死ぬ。
(第十の晩・黄金郷)

 後日、現場にやってきた薬学部教授により検証が行われ、実習生のノートの切れ端がいくつか発見されるが、死体は見つからず行方不明である。このような凄惨な現場状況から、最後まで生き残っていた実習生も含めて18人全員の倫理的生存は絶望的だと見られている。

 はたして、この惨劇は、黄金の卵を育て上げる魔女による「魔法」なのか、それともニンゲンによる犯行として説明できるのか…。

  ☆

こんな悲劇的な一周目。

そして、二周目へ。

  ☆

episode2:Turn of The golden eggs

(第一の晩・六人の生贄)
 立入厳禁とされた「開かずの休憩室」で、6名がテーブルについた状態で殺害されているのが発見された。死後テーブルに座らされ腹部を縦に損壊された上、その中にランチョンセミナーの高級弁当10人前を詰められるという快楽殺人。テーブル上には、研修シール三枚と指導薬剤師からの手紙が置かれていた。一本しかない休憩室の鍵が前日から実習生のひとりに託されていたことが分かり、現場は密室であったことが判明する。

(第二の晩・寄り添う二人)
 施錠された部屋で、1名が殺害されているのが発見された。背後から惨殺されたと見られ、その背中には薬品名付き試供品のボールペンが五百本も突き立てられていた。また、その時間行動を共にしていた1名も行方不明になった。

(第七の晩・膝)
(第八の晩・足首)
 行方不明だった実習生が、血塗れで裏口に倒れているのが発見される。「他の実習生にやられた」というが、様子がおかしい。その実習生は二名を指名して『企業の懇親会に参加しなかったら内定取り消すぞ』という残虐な指令で倫理的に殺害するが、三名の実習生に撃退される。二名の死体はとりあえず別室に安置されることになるが、その後、遺体は部屋から消失し、中庭にて、暴虐な人事担当者に膝を折った死体と、足首を刺されて会社につなぎとめられた死体が発見される。

(第四の晩・頭)
(第五の晩・胸)
(第六の晩・腹)
 殺人事件に超常現象(職能組織の思考)が絡んでいる可能性を否定できなくなった三人は、「魔除けの鏡」を手に入れようとするが、指導薬剤師(魔女)とその従者たち(勤務薬剤師)が現れる。一名が従者の指導放棄によりハートを抉られて死亡。残された二名は「魔除けの鏡」を得たものの、抵抗も空しく殺害されてしまう。

(第十の晩・黄金郷)
 碑文に沿って13人を倫理的に殺す儀式により復活した「黄金の卵を育てる魔女」が、その復活を祝う方々の指導薬剤師を招いて魔女の宴を開く。黄金郷への扉が開かれ、二名が宴の生贄(実習薬局への就職)に。
 残った二名は、実習薬局にいる限りは倫理的な死しかないことを悟り、勤務薬剤師たちを撃退しつつ逃げるが、途中で足を折ってしまう。追いつかれるまでの刹那に、薬剤師倫理規定こそが黄金にも勝る真の宝だと悟るが、壮絶な最期を遂げる。

  ☆

…うーん…あんまりおもしろくならなかったです。ごめんなさい。

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