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「行列のできる審議会 中医協の真実」:へっぽこレビュー

ロハス・メディカルさん発行の、ここ2年程の中医協をかいつまんでまとめた本、「行列のできる審議会 中医協の真実」の感想です。

  ☆

内容は、キャラが立っている委員の発言エピソード集。大半、ロハス・メディカルさんのホームページの過去記事で閲覧可能な範囲です。前半が日医の藤原さん、後半ががんセンターの嘉山さんのターン。

薬剤師委員的には、ノブさんからのび太さんまで。ウルシバタさん時代は書いてなかったので、ちょっと残念。

薬剤師委員の話は二三か所に点在するのみ。

来週のサザエさん的に言うと、

「ノブさん、後発品関係でプンスカ」

「ノブさん、DPC調査しろ→忘れる」

「のび太さん、謎の紙を当日渡される」

「のび太さん、診療側の天岩戸に巻き込まれて、真っ先に逃げ出す」

の、四本です。んがんっん。

病棟薬剤師強化議論のエピソードも書いてあるのに、まったく印象に残らなかったのか、なんの発言も取り上げられていません。

発言が取り上げられているノブさんに対して、のび太さんは、まあ、存在感の全くないモブ扱い。「通行人A」あるいは「背景」ってかんじ。セリフもないし。

まあ、薬剤師委員は、もともと発言してないし、口を開いても喧嘩しないし、ネタにしても読者の興味がわかないキャラだし、扱われていないのは、仕方がないのでしょうかね。

「診療側」委員の紹介をしていくコーナーでも、「医師」「看護師」は紹介されても、「歯科医師」「薬剤師」は紹介されていませんし。(看護師さんは中医協ではオブザーバーで、委員ではないのですが…)

  ☆

アマゾンの書籍紹介では『公表されている「改ざん」後の議事録を読んでも絶対にわからない事実…』というアオリ文句だったので、よほどのことが書いてあるのかなと、薬剤師関連では次のような内容を想像していましたが…

【空想目次 薬剤師編】

 「中医協を制する組織は、泣きを見ずに済む」

 「調剤報酬改定説明会の日の一年前には、
  改定内容の大筋は決まっているのに、
  薬剤師の大半は何の準備もしない不思議」

 「これまでの中医協委員のキャラクター・芸風紹介」

 「座っているだけで何も発言しなかった委員の
  様子を隠し撮りしてみました」

 「お役人さん、あんたの説明は0点だ」

 「傍聴席の暗闘!
  厚労省派エセ報道記者との365日戦争」

 「コの字型会議の限界!
  おまえら膝を突き合わせて議論しろ」

 「ニコニコ動画で議事を公開せよ!
  事業仕分け並みのコメントをもらってこい」

こういった挑戦的なネタは書いてありませんでした。

改ざんされた議事録を読んでも絶対わからない…っていうと、公益委員が連れションしながら議事進行の日程を話していたこととか?

うーん…。一応、看板に偽りなし?

ちょっと変な方向で期待した筆者が悪い。

297ページ、「厚労省は必要なのか」という勇ましいタイトルの項目で、結局、「厚労省は必要である」とも「厚労省は必要ない」とも結論を述べていないのも、ちょっとがっかり。

勝村委員の明細書事件は、あっさり書いてオシマイでした。本の最初に「再診料が一点上がると140億円」という話を書いているのですから、ここでも、「勝村委員の明細書無料発行企画が通ることによって、医療機関が被る持ち出しの損害は○○億円」といった数字を出して、中医協が扱っているお金の軽さを演出してほしかったところ。

  ☆

全体的には、どうなのか、よくわからないというのが、正直な感想。

中医協のことを全く知らない人向けとは、とても思えませんし、ある程度知っている人にとっては、「ああ、あの事件」という反応だと思うし…。

普段のロハス・メディカルさんでのブログ記事と、同じ調子なので、本にまとまると、時系列不明、議題不明、誰がどういう役回りなのかが不明…と、ドキュメントとして読みにくいのが、弱点でしょうか。

もう少し、工夫があれば…。

たとえば、推理小説でよくある、『登場人物紹介』とか『人物相関図』。

各事例における複雑な関係を、まず視覚的にわかりやすくしてから解説していれば、だいぶ違った印象になったと思います。

  ☆

話の中には、中医協を傍聴している記者さんたちの話が結構出てきます。こっちは、正真正銘、議事録を読んでも絶対わからない部分。

朝早くからコミケの入場待ちのように並んで、

整理券もらって喜んで、

聞いても良く分からない会議を聞いて、

帰社してから現地で配布された資料を見て、

ほぼ厚労省の資料をまる写しして

なんとなく記事にする…のが、仕事!といわれても…。

正直、インターネット中継があれば、いらない子…。

厚労省職員に対してキャーキャー言ってる脳味噌アイスクリームの話もでてきますし、あらかじめ会議中座を予告されたうえで「早く立ち上げれ」とカメラ撮りを待ち構える話も出てきますが…。

ほんと、いらない…。

あとがきによれば、「メディアが変わらなければいけない」「権力の嘘をきちんと伝える必要がある」ということですが、

とりあえず、

中医協の議事録が、委員の発言そのままの形で厚労省ホームページに掲載されれば

嘘が見破れないようなメディアはいらないということでOK?

  ☆

あとがきで気になったのは、

私は、この本を読んでくださった一人でも多くの方が中医協の傍聴に来てほしいと願う」という部分。

それは、傍聴の整理券配布待ちの行列に付き合えってこと?

議事を聞いてほしいと?

でも、傍聴席は、埋まるんですよね、現状でも。

今詰めかけている記者全員を排除しないと、行っても、あいてる席、ないですよね?

中医協を傍聴しようとする御用記者たちの様子を見に来てほしい」という訴えなら、なんとなくわかるのですが…。

傍聴のしすぎで、「傍聴ありき」でないと情報公開ができないという考えに至っていないか、心配です。

  ☆

情報公開っていっても、とりあえずは、

1.「資料の公開を早くする」

2.「会議の様子をインターネット中継する」

3.「議事録の改ざんをしない」

という三点さえ実現すればいいってことなんですが。

4.「会議中の審議会の委員の方へ、ツイッターで、励ましの手紙を送ろう」

というのも実現してくださると、政策ブレーンからの指示が飛ぶ分、より集合知的なディベートができるかもしれませんね。

  ☆

以上、へっぽこ感想でした。

とりあえず、中医協を含む、各種審議会の委員は、全員、買うことをお勧めします。

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