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薬剤師国家試験出題基準:その5「出題項目グレーゾーン」

薬剤師国家試験の出題基準パブコメを眺めていくシリーズ、最終回。

今回は、「ご意見の概要と考え方」から。要約します。

1.「各分野間での小項目の重複はできるだけ回避し、小項目の整理をするべき」

2.「小項目の例示として『その他の疾患』とされているものは【基本的な知識】とはいえない」

3.「○○は、出題内容がこの小項目に限定されかねないため不適当」

4.「全体的に例示が少なく、きわめて雑で不親切な基準と思われ、『基準』という言葉の意味をなしていない部分が多々見受けられる」

といった意見。

小項目をまとめろ、小項目の例示に書けないマイナーなものは外せ、あちこちに同じ言葉を例示として出さないと限定される、たくさん例示を入れないのでは基準として使えない…等。

その元凶とも言えるのが、

京都薬科大学が提出した意見にある、このあたり。

  ☆

意見(2)
<該当箇所>(2)出題項目

<意見内容>「出題項目は、あくまでも出題に際し、準拠すべき基準であって、
出題が全てこの範囲に拘束されるものではない。」とあるが、あくまでも出題基準に沿った形で出題されるべきある。この表現は削除すべきと考える。

<理由>この文の意味するところが分からない。医療・薬学の進歩に伴い明らかとなった様々な事項が小項目の範疇に入れることができるかどうかの判断が難しいことが予想されるという意味で書かれているのか?
 極論を言えば何を出しても許されるととられかねない。

  ☆

ちゃぶ台をひっくり返すような話ですが…。

「基準」以外の問題も出していいというのだから、実質的に、「基準」であることを放棄しているんですよね、この基準。

「基準であることを自ら放棄した基準」って、守らなきゃならないんですかね。

「テストの範囲は教科書54ページから124ページまで」と決めておいて「それ以外からも出題されることもあります」と言われたら、さあ、どうしましょう。

この文章が「生きている(有効)」のか「死んでいる(無効)」のかで、だいぶ、状況が変わります。

有効なら、「例示されたものは確実に範囲に入っていて、他のことは出題担当者次第」。

無効なら、「例示されたものしか出題しない」。

厚労省がほとんどの意見に「例示されていなくても、問題作成の参考にさせていただきます」と答えるだけで済んでいるのは、「有効」だという前提があるからです。

ところが…京都薬科大学の意見に対して、厚労省は、こう答えています。

『原案のままといたしますが、出題に際しては教科書等に根拠を求めるなど、受験者に混乱がないよう留意することが必要と考えます』

この回答が、さらなる混乱のもと。

「教科書等」って、さらにグレーゾーンが増えています。

極論しても、どんな問題でもOKとはいきません」ということを示すために、「教科書等」と言ってみたはいいけれど、「教科書等」って、やっぱり、「極論したら、どんな問題でもOK」だと言っているようなものです。「等」だから、たとえば、『マンガ「医龍」に登場した薬で…』という出典かもしれません。

ひとつひとつの問題に根拠出典を明記するとは思えませんし…。

どうする気なのでしょうか。

1.『教科書等にあることなら、基準に載ってなくても出題します』

2.『基準に載っていても、出題されるとは限りません』

3.『基準に載ったら、他の領域では出題できません』

4.『「教科書等」が何を示すのかは例示しません

ということ・・・?

『出題範囲は、「定義されない【どこか】に出典のあること」と「基準に書いてあること」。ただし、「基準の小項目の例示に書いてあることは、その小項目の存在する領域以外の領域では、小項目の例示に書いていないなら、出題してはならない」』

・・・という基準ですかね、これ。

もっと単純化すると、「基準に載ったら、領域確定。基準に載らなければ、全領域OK」。

これは、たしかに、

「全体的に例示が少なく、きわめて雑で不親切な基準と思われ、『基準』という言葉の意味をなしていない部分が多々見受けられる」

という表現が似合う「基準」です。

この文言を残すなら、細かいところは何を出題してもいいのですから、「小項目以下は、教科書等に載ってるから、いらないんじゃないの?」という話になり、それなら薬剤師国家試験出題基準改定部会の議論なんかいらないね、という話にもなり。

文言を削って、「出題基準に載っていないことは出題しない」と決めたなら、小項目や例示を充実させる系のパブコメが重要になります。出題基準改定部会の委員さんの仕事は圧倒的に増え、数回の会合で決まるようなイージーなことにはならなかったでしょう。

基準は少なくとも四年ごとに改定するのだから、新規技術や新規概念が出てきた時点から周知されるまでの数年のラグがあってもいいじゃん。これまで存在しなかったネタを、すぐに使おうとしたって、ろくなことにならないですよ。それに、学者しか知らないような新規ネタは、「基本的な知識」じゃないですよね。

ふむー。

この【「出題基準を無効化する」文言を削除しない】という厚労省の意見を、「有効な出題基準を作るべく集まった有識者」である「国家試験出題基準改定部会」が支持した、ということですよね。

偉い人たちの考えることは、ほんと、わかんないや・・・。

(※10/20追記:10/13、出題基準が「一部訂正」となっていたので、ざっと見たところ…実務領域のレイアウトが一行分ずれているくらいしか変化がわかりませんでした。こんなことでは、茂木先生の脳トレについていけないですね…)

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