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政策コンテスト。厚労省内の優秀作

平成22年7月。厚労省内で行われた、省内政策コンテスト。

優秀作は、全部、現在(9~10月)公開中の政策コンテストにエントリーされるのかと思っていたのですが、どうも勘違いだった模様。

厚労省内の「優秀」の基準って、どのへんにあるのかな~、というヨコシマな目で、表彰作品をみてみましょう。

  ☆

政策コンテスト表彰作概要

最優秀作
 年金相談のためのワンストップ窓口の設営

雇用保険、年金、国民健康保険に関する相談の負担軽減を図るため、社会保険事務所との人事交流、社会保険労務士の採用などにより、年金のワンストップサービス(曜日限定等)相談をハローワークで実施する。

優秀作
 対医療機関等に対する指導監査部門の統合等

対医療機関の指導監査部門(社会保険、介護保険、生活保護、労災等)を統合することで、指導監査のプロ集団の創成を図り、効率的・効果的指導監査を可能にする。

優秀作
 “実際に役に立つ”社会保障制度の教育推進をめざす

若い世代に社会保障制度について理解を深めていただけるよう、厚生労働省の若手職員が、卒業年次の学生に対して社会保障制度を具体的に説明する会をモデル的に実施し、将来的に全国規模に拡大する。

優秀作
 「モデル就業規則」を厚生労働省及びすべての局ホームページでダウンロード可能にする

中小企業が簡単に就業規則を作成できるように、厚生労働省及び全ての都道府県労働局のホームページに、「モデル就業規則」を加工可能な形で掲載し、ダウンロードできるようにする。

奨励作
 企業の人事労務担当者に対するメール配信

企業に役立つ制度や施策をアピールするため、人事・労務部門の担当者に対してメールマガジンを発行し、各制度や施策が効果的に活用されるよう取り組む。

奨励作
 高校内企業説明会

 若年者の地元就職促進のため、高校で地元企業の説明会が開催できるようハローワークが支援する。

  ☆

以上。

では、ひとつひとつ、概要しかわからないなりに、ふまじめに読んでいきます。

  ☆

最優秀作
 年金相談のためのワンストップ窓口の設営

 雇用保険、年金、国民健康保険に関する相談の負担軽減を図るため、社会保険事務所との人事交流、社会保険労務士の採用などにより、年金のワンストップサービス(曜日限定等)相談をハローワークで実施する。

  ☆

どこかで、こんなこと、していたよーな・・・

えーと・・・

たしか、総務省が・・・「ワンストップ窓口推進プロジェクト」を、平成20年(2008)ごろには展開していて、その計画の中に、「年金」も含まれていたと思うんですが・・・

それを、「ハローワーク(設置官庁:厚労省、査定官庁:総務省)」にて、厚労省が主導して、やりたいという話ですかね・・・

ネタ自体はパクリですから・・・、「厚労省が、総務省の社内利権のシェアを奪っちゃおう!」というノリですかねー。今いる職員にプラスして「信頼されていない年金制度のスペシャリストである高給職員」を厚労省から出向させちゃおう、とかいう。

省庁に利権を誘導してくれる政策なんて、とっても嬉しい政策ですから、内部の人間が審査員だったら、最優秀作の栄冠も、当然かもー。(邪推)

  ☆

優秀作
 対医療機関等に対する指導監査部門の統合等

対医療機関の指導監査部門(社会保険、介護保険、生活保護、労災等)を統合することで、指導監査のプロ集団の創成を図り、効率的・効果的指導監査を可能にする。

  ☆

「対」医療機関・・・って、医療機関、悪者扱いですよ(泣)。

「対」から始まるものって、「対戦車ライフル(次元大介ver)」とか「対妖魔用特殊警察(AMP)」とか「対空竹槍(市販の、ものほしざお)」とか、おっかないものばかりですが、

「対医療機関指導監査部門(Guidance audit section to medical institution、通称Gasmi がすみ→転じて、「霞」機関)」を統合して、「プロ集団」を創成(よーするに、これまではアマチュア集団だったという流れ?)するのだということですよ。中二病的に。

悪の(笑)医療機関と戦う、正義のプロ集団の巣窟・・・。

霞機関・・・。

なんかカッコイイ気がしてきました。

霞機関、入ってみたいかも。(嘘)

医療機関の指導監査に関しては、とにかく、権限を強くしたくて仕方がないようですが・・・

システムを複雑にして、間違える確率を極限まで高めたのは厚労省側。

重箱の隅をつついて違反を探し、特に『解釈』の相違による悪質ではない違反の取り締まりに躍起になるよりも、【わかりにくいシステムを作ったのだから、システムのわかりにくさに由来する医療機関の請求ミスは厚労省側の責任】だと腹をくくってもらいたい…わけで。

指導によって「違反が生み出される」のでは、本末転倒。

奥さんが「浮気鑑査をします」と宣言し、「きれいな人に5秒以上目線をやったら浮気」「香水のにおいをつけてきたら浮気」「女性と食事をしたら浮気」「寝言で女性の名前を言ったら浮気」といった詳細かつ項目数多すぎかつ無茶な浮気チェックを行い、一項目でもチェックが入った時点で、「あなた、浮気したわね。先月のおこづかい、全額没収します!」などと言ってきたら・・・旦那さん、どう思いますかね。

嫉妬深い悪妻とは離婚できても、厚労省とは離婚できませんから、厚労省が「かわいらしいオクタマ」になってくれないことには、旦那の不幸は止まりません。

  ☆

優秀作
 “実際に役に立つ”社会保障制度の教育推進をめざす

若い世代に社会保障制度について理解を深めていただけるよう、厚生労働省の若手職員が、卒業年次の学生に対して社会保障制度を具体的に説明する会をモデル的に実施し、将来的に全国規模に拡大する。

  ☆

現状、

「実際に役に立っていない社会制度」(厚労省が悪い)と言いたいのか、

「実際に役に立っていない社会制度の教育」(文科省が悪い)と言いたいのか、

どっちなんですかね。

どっちにしても、お役人さん批判でしかありませんが、厚労省的には、「文科省が悪い」と読んだのでしょう。そのうえで、文科省利権に手を出そうというわけです。

文科省利権を奪う!という旗印のもと、やろうとしていることは、厚労省若手職員の、日本全国どさまわり出張

社会保障制度についての理解を深めるだけの「教育」なら、地方のお役人さんたちに任せれば済む話です。

それを、わざわざ「厚労省の若手職員が」という限定をつけたら、どうなるか。

現地(たとえば、市役所)に社会保障のスペシャリスト(たとえば、社会保険労務士さんなど)が存在しても、「厚労省の若手職員以外が行うことは認めない」のですから…。

日本全国うまいものめぐりの旅ですよ。

「卒業年次」が、どの世代なのか、ピンときませんが、義務教育期間でいうなら、中学三年生です。「モデル的に」やっている間は100校くらいかもしれませんが、全国規模で行えば、10000校以上あるのですが・・・。

一日3校をめぐったとして、年間260日間、12~13人の若手職員が諸国漫遊の旅を続けるという計算になります。

仕事としては、プロゴルファー並みに移動と仕事の繰り返しになりますから、あちこち行けるのはいいけれど、ある意味「死のロード」ともいえるかもしれません。

全国の厚労省職員は5万人っていいますから、そのなかに「旅行が好きで好きでたまらなくて、中学生に講義をするのも大得意」という才能が12人ほど埋もれていた場合、若手じゃなくてもいいから、がんばってもらうといいかもしれませんねー。

(むしろ、こういう仕事を50代の大ベテランに割り振って、早期退職を防ごう!という展開を希望。警察OBと組ませて、『熱海の厚労省:温泉町の社会保障の危機を救え』という二時間ドラマっぽい活動も期待)

まあ、実際は、専任じゃなくて、一日一校ペースで、年間5日間程度、1800人くらいの若手が旅行に行くんでしょうけれどね…。(ものすごく無駄)

  ☆

優秀作
 「モデル就業規則」を厚生労働省及びすべての局ホームページでダウンロード可能にする

中小企業が簡単に就業規則を作成できるように、厚生労働省及び全ての都道府県労働局のホームページに、「モデル就業規則」を加工可能な形で掲載し、ダウンロードできるようにする。

  ☆

お金がかからない、良い案です。

でも、なんで今までやってなかったの?という疑問も・・・。

厚労省にとっては、省益にならない、ダメ企画かもしれませんね。

  ☆

奨励作
 企業の人事労務担当者に対するメール配信

企業に役立つ制度や施策をアピールするため、人事・労務部門の担当者に対してメールマガジンを発行し、各制度や施策が効果的に活用されるよう取り組む。

  ☆

このメールマガジンがあることを広報するのにかかるお金のほうが大きくなりそうな予感。

「すでに全企業の人事・労務部門の担当者がリストアップされていて、メールを送るだけ」というわけでもなさそうですし・・・。

「希望するすべての企業に」メルマガを送らないと不公平で、「希望しているかどうかを知る」ためには調査が必要で、毎年毎年新規の企業が誕生し、毎年毎年人事・労務部門の担当者がかわるのですから、目標を絞ったメールマガジン配布は、かなり厳しい気がします。

・・・で、結局、これがどーなったかというと

  ☆

報道関係者各位   平成22年10月4日

メールマガジン「厚労省人事労務マガジン」 10月6日から配信開始

~企業の担当者に役立つ人事労務関係の情報をお知らせします~

 厚生労働省では、企業の経営者や実務担当者などに対して、人事労務管理上で役立つ情報を提供することを目的に、メールマガジン「厚労省人事労務マガジン」を制作・発信していくこととしました。10月6日(水)に第1号を創刊します。

 本メルマガには、法律改正、制度や助成金の利用案内、労務管理に必要な情報、雇用情勢など、企業の担当者の役に立つ人事労務関係の話題を毎号掲載します。
 今後は、原則として毎月第1水曜日に定期的に配信する他、企業での人事・労務管理上で知っておきたいトピックスをまとめたものを随時配信していきます。

 配信希望者は、厚生労働省ホームページ(※1)から登録が可能です。

 第1号の主な内容を以下に抄録しました(別添)。今後とも内容の充実を図ってまいります。

 なお、このほど厚生労働省で配信しているメールマガジンの情報を集約したページ(※2)を厚生労働省ホームページ内に設けました。ホームページのバナーからリンクをたどることができます。

  ☆

・・・ということになりました。よーするに、広報は、報道各社にまかせることにしたよーです。よかったよかった。(でも、どうやって普及させるのかは謎・・・)

これは楽しみです。なにがって、何号まで続くのかとか、読者は何人くらいなのかとか、そういうあたりが。

とりあえず登録して、送ってもらうことにしました。

麻生内閣メールマガジンなみの内容だといいなぁ・・・。(松本純びいき)

  ☆

奨励作
 高校内企業説明会

 若年者の地元就職促進のため、高校で地元企業の説明会が開催できるようハローワークが支援する。

  ☆

ハローワークって、出張相談会、やってます。

それじゃ足りなくて、企業を集めて、高校で、地元企業の企業説明会をやってほしいということのようです。

それ、高校がやればいいじゃん・・・

地元対策なら地方行政が協力してやればいいわけだし・・・

国が予算を使ってすること・・・?

  ☆

【職業安定法】
第二十六条  公共職業安定所は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(以下「学校」という。)の学生若しくは生徒又は学校を卒業した者(政令で定める者を除く。以下「学生生徒等」という。)の職業紹介については、学校と協力して、学生生徒等に対し、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等を提供し、職業指導を行い、及び公共職業安定所間の連絡により、学生生徒等に対して紹介することが適当と認められるできる限り多くの求人を開拓し、各学生生徒等の能力に適合した職業にあつせんするよう努めなければならない。
○2  公共職業安定所は、学校が学生又は生徒に対して行う職業指導に協力しなければならない。
○3  公共職業安定所は、学生生徒等に対する職業指導を効果的かつ効率的に行うことができるよう、学校その他の関係者と協力して、職業を体験する機会の付与その他の職業の選択についての学生又は生徒の関心と理解を深めるために必要な措置を講ずるものとする。
第二十七条  公共職業安定所長は、学生生徒等の職業紹介を円滑に行うために必要があると認めるときは、学校の長の同意を得て、又は学校の長の要請により、その学校の長に、公共職業安定所の業務の一部を分担させることができる
○2  前項の規定により公共職業安定所長が学校の長に分担させることができる業務は、次に掲げる事項に限られるものとする。
 求人の申込みを受理し、かつ、その受理した求人の申込みを公共職業安定所に連絡すること。
 求職の申込みを受理すること。
 求職者を求人者に紹介すること。
 職業指導を行うこと。
 就職後の指導を行うこと。
 公共職業能力開発施設(職業能力開発総合大学校を含む。)への入所のあつせんを行うこと。
○3  第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長(以下「業務分担学校長」という。)は、第五条の五本文及び第五条の六第一項本文の規定にかかわらず、学校の教育課程に適切でない職業に関する求人又は求職の申込みを受理しないことができる。
○4  業務分担学校長は、公共職業安定所長と協議して、その学校の職員の中から職業安定担当者を選任し、その者に第二項各号の業務を担当させ、及び公共職業安定所との連絡を行わせることができる。
○5  公共職業安定所長は、業務分担学校長に対して、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等の提供その他業務分担学校長の行う第二項各号の業務の執行についての援助を与えるとともに、特に必要があると認めるときは、業務分担学校長に対して、経済上の援助を与えることができる
○6  業務分担学校長は、その業務の執行に関し、厚生労働大臣が文部科学大臣と協議して定める基準に従わなければならない。
○7  公共職業安定所長は、業務分担学校長が、法令又は前項の基準に違反したときは、当該業務分担学校長の行う第二項各号の業務を停止させることができる。
○8  前各項の規定は、学校の長が第三十三条の二の規定に基づいて無料の職業紹介事業を行う場合には適用しない。
第二十八条  公共職業安定所と学校との間における連絡、援助又は協力に関する方法その他学生生徒等の職業紹介に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

  ☆

厚生労働省令を変えるか、ハローワーク関係の運用権限を地方に渡しちゃえば、地方&学校が、ほっといてもやってくれそうな企画ですが・・・。

厚労省の省益にとってはマイナス。ハローワーク関係の出向ポストがなくなっちゃうから。

これ、「ハローワーク出張所の厚労省出向者を維持しつつ、高校で企業説明会をする分、ハローワークの予算を増やし、出向者数を増やす」アイデアですから、奨励作になるのも、なんとなく、頷けます。

  ☆

政策コンテストは二次選考までありましたから、今回の優秀作などは、それをかいくぐって評価されてきた企画です。ハローワーク関連の政策がふたつ残っているところをみると、厚労省は、自分の庭をひろげつつ、総務省の領域を荒らし・・・じゃなくて、総務省と横のつながりを作って、よりよい政策を行いたいと宣言しているのかもしれません。

(・・・そのわりには、コンテスト結果が復活予算案に反映されてない気が・・・)

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