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QLife:アンケート調査の探検。

おもろーなアンケートを見つけましたので、探検してみます。

※無断転載禁止なので、リンクを張っておきます。

とりあえず、『感動をシェアしよう!』の、QLifeさんの記事を、読んできてください。

http://www.qlife.jp/square/feature/depression_hospital/story14697.html

  ☆

ひとやすみひとやすみ。

  ☆

記事の内容、納得しましたか。

「だいたいわかった(棒読み)」

はい、では、写真2をご覧ください。

拡大すると、全然文字が読めませんね。

仕方がないので、文字起こしします。

  ☆

「今回のテレビ番組(『クローズアップ現代:抗うつ薬の死角~転換迫られるうつ病治療~』NHK)についてどう思ったか?」

52 A 患者への薬に対する意識改革になる

43 B 患者と医師のコミュニケーションをはかるきっかけになる

54 C 医師の自己反省(処方の見直しなど)になる

9  D 薬剤師の自己反省になる

28 E 今後も国民へはこのような情報(医師の処方に言及する内容)を提供すべきである

45 F このような情報の提供は問題ないが、医薬品の商品名でなく一般名で情報の提供を行うべきである

36 G 冊子体なら良いがテレビという媒体が問題だ

61 H 患者と医師のコミュニケーションを妨げる原因となりそうだ

41 I 医師の処方に立ち入るような内容で大変に迷惑であり、ある種の診療妨害である

5  J 患者からの質問に答えねばならず薬剤師にとって迷惑である

80 K 患者への不安を煽るだけである

32 L 今後はこのような情報(医師の処方に言及する内容)の提供は避けるべき

41 M その他

 ※n=181(医師)の、複数回答。

  ☆

で、この結果について、QLifeの記事は、こうまとめています。

『賛否両論だが、ひとりの投票者が、賛成(A~E)と反対(H~L)の両方に票を入れているようだこれは葛藤である。』

(転載禁止だから筆者がまとめました。本当に一人の投票者が賛成と反対の両方に票を入れている傾向があるのかどうかは、QLifeの記事が書いているだけなので、検証不可能です)

  ☆

これ、葛藤なのかなー・・・というのが、今回の疑問。

単に、設問(選択肢)が悪いだけだと思うんですよね。

A 患者への薬に対する意識改革になる

 「患者への薬」に対する(医師の)意識改革なのか、
 「患者への」薬に対する意識改革(患者側が意識を改革すること)なのか

 言葉があいまい。
 本来なら、両方に当てはまらない限り、答えようがない質問。
 ところが、脳内変換してむりやりどちらかにあわせると同意できてしまいます。
 しかも、「意識改革」という言葉自体が、様々な連想を想起する曖昧な言葉。
 「ためになったね~」という程度でも意識改革だし、「明日から世俗を離れてホメオパシー治療でがんばるぞ」までいっちゃっても、意識改革だし。
 なんだかおかしいんですよね、これ。

K 患者への不安を煽るだけである

 はい、得票数ナンバーワンのわかりやすい選択肢です。
 そして、見ての通り、設問Aと対になっていません。
 設問K自体、不安を煽る「だけ」という言葉を用いて、設問Kを選んだら他の選択肢を選べなくなる状況を生み出していますが、
 まあ、「患者への不安を煽る」という設問にウルトラ脳内変換した場合でも、
 設問Kの対となるはずの設問Aは、
 「患者に安心感を与えている」とか
 「患者への不安は煽っていない」あたりのはずですし、
 設問Aをベースにするなら「意識改革にならない」となるはずです。
 どちらにしても設問Aと設問Kは対にならないので、葛藤は生じないはずです。

B 患者と医師のコミュニケーションをはかるきっかけになる

H 患者と医師のコミュニケーションを妨げる原因となりそうだ

 後半で出てくる「H.コミュニケーションを妨げる」という設問と、設問Bとが、対になっていません。
 「患者と医師のコミュニケーション推進の原因となる」といった設問ではなく、良くも悪くも「きっかけ」となればよいということなので、設問Hと設問Bとが同時に成り立ってしまいます。それって葛藤ですか?

C 医師の自己反省(処方の見直しなど)になる

D 薬剤師の自己反省になる

I 医師の処方に立ち入るような内容で大変に迷惑であり、ある種の診療妨害である

J 患者からの質問に答えねばならず薬剤師にとって迷惑である

 CDの「自己反省」とIJの「迷惑である」という設問とが、対になっていません。
 「迷惑だけれど、自己反省にはなった」という状況は、反省する側が謙虚なほど、日常的にありえますよね。
 『子供が家庭内でバットを振り回して父親が怪我をした。とても迷惑。その夜、育て方をふたりで反省した』
 とかね。
 設問CDと設問IJが同時に成り立ってしまうわけです。葛藤する必要がありません。

 更に、IJの設問が特殊です。まずIでは「ある種の」診療妨害という表現が用いられていますが、それって、なんだか、ふわふわとしたつかみどころのないモノですよね。
 「大変に迷惑」なのに「ある種の」という言葉をつけないと「診療妨害」だと言えない感覚。
 逆に、「大変に迷惑」だけど診療妨害とまで言えるかどうかはわかんないよなぁ、という場合にも、困った設問になっています。
 設問Jに関しては「質問に答えねばならず」という「迷惑」の理由限定が何故行われているのか、とても不思議です。

E 今後も国民へはこのような情報(医師の処方に言及する内容)を提供すべきである

L 今後はこのような情報(医師の処方に言及する内容)の提供は避けるべき

 対になっているような、いないような、変な設問。
 設問Eにだけある、「国民へは」って言葉、必要ですか?
 「今後もこのような情報を提供すべきである」の対は、
 「今後はこのような情報を提供すべきではない」では?
 YES・NOがはっきりした設問のはずなのに、回答数が低調という点も気になります。7割の人たちは「その他」、つまり「提供すべきでも、提供すべきでなくも、どっちでもない」?
 なんだか、おかしくないですか?
 (これは、さすがに、葛藤とは無関係かと)

F このような情報の提供は問題ないが、医薬品の商品名でなく一般名で情報の提供を行うべきである

 設問Fは、一見条件付き肯定に見えますが・・・、
 設問Eより設問Fのほうが、多くの投票を受けています。
 なんか変。
 設問を分解すると、
 1.「(今後も)このような情報を提供するべき(だから問題ない)」
 2.「(更に、加えて、)医薬品の商品名ではなく一般名で情報を提供するべきだ」

 という話なので、「1に賛同している人間(設問E投票数)」よりも「1と2両方に賛同している人間(設問F投票数)」のほうが多いというのは、とても不思議な結果だと思うのですが。
 これ、2が「条件」とも読める構造の文章なので、
 2.「医薬品の商品名ではなく一般名で情報を提供するべきである」
 1.「(2を前提としてなら、)このような情報を提供するべき(だから問題ない)」

 という前後逆転した全く別の意味に受け取れちゃうかもしれないんですよね。
 集計結果が「条件付き肯定」とくくられているように、設問作成者は、どうも後者の意味でしか考えなかったようですが、「Aは問題ないが、さらにBを行うべき(肯定)」と「Aは問題ないが、それはBを行ったときだけだ(条件付き肯定)」というふたつの意味の、どちらなんだろー?という疑問が浮かぶ設問って、ありなんでしょうか。回答時点で「条件付き肯定」なんていう言葉はなかったでしょうからねぇ・・・。

 そういえばNHKの番組ですが、商品名使っちゃだめとか、何か関係ありますか?(たぶん、ない)

G 冊子体なら良いがテレビという媒体が問題だ

 興味のある人が、自分から手を伸ばさないとダメな「冊子媒体」。
 (ブログも似てますね)
 興味がない人が、なんとなく観ることができてしまう「テレビ媒体」。
 設問G、設問Lよりも、多くの支持を得ている気がする設問です。
 この設問だけ、ズルイんですよね。
 ほら、「何が、良いのか、悪いのか」わからないでしょ。
 これ、冊子体なら何が良くて、テレビという媒体のどこが問題なのか、具体的には、わからないんです。
 テレビ番組について訊いているので、「テレビ番組が冊子だったら、何かが良い」「テレビ番組がテレビ番組であるならば、何かが問題だ」という回答となります。
 おそらく、
 前提として「この番組の内容は、不特定多数の人が知ると悪影響を及ぼす」という考え方(※回答者が実際に当該番組を視聴したのかどうかについては全く訊いていないにもかかわらず!)があって、
 「この番組の内容を冊子媒体として発表しても、不特定多数の人に影響しない
 「この番組の内容をテレビ媒体で発表すると、不特定多数(※実際は、この番組をわざわざ視聴しようという、うつ病や抗うつ薬に興味を持っている層)の人に影響する
 という考えに至った(勝手に騙されてる)回答者も、いたんじゃないかな~と、想像しますが、どうでしょう。

 さらに。
 これまでの設問は、「
今回のテレビ番組(『クローズアップ現代:抗うつ薬の死角~転換迫られるうつ病治療~』NHK)についてどう思ったか?」という枠組みの中で考えるものでしたよね。
 他の設問は、「『テレビ番組』である「番組の内容(情報提供)」について、回答者が実際に番組を観たかどうかは関係なしに、「どう思ったか」と問う設問。
 設問Gは、「『テレビ番組』である「番組の内容(情報提供)」について、回答者が実際に番組を観たかどうかは関係なしに、「内容が『テレビで放映されること』を否定しますよね? かつ、内容が『冊子に掲載されること』を、肯定しますよね」」と問う設問。
 この設問、「条件付き肯定」ではありません。『今後テレビで、このような情報を放映することの否定』という点では、設問L(否定)。そこに、『冊子に掲載されることの可否』という追加質問を加えたものです。
 『どう思ったか』の結論が決まっている状態で、更に、別の追加質問をもってきたのが、設問G。・・・な、はずなんですが・・・。「冊子に掲載されるのだって問題だ」という意見があるはずなので、「今後テレビで、このような情報が放送されること」を否定している設問Lの回答数よりも、設問Gの回答数が多いのは、変・・・。なんでだろ・・・。

  ☆

以上、なんとなく、「アンケート調査」というものに対して疑問をもっているアタマで眺めてみました。

(※n=346(薬剤師)のデータは一応読みましたが割愛。設問ひとつ追加のみ)

「観たことのない番組について、一方的な情報をもとに、変な設問ばかりのアンケートにみんなが答えた結果をまとめる」という、小学生から怒られそうな研究っていうのも、この世には存在するみたいです。

ポケモンを観たことのない人に「ペットトレーナーから愛玩動物を強奪する犯罪組織が毎回登場します」という情報だけ与えて「今後はこのような情報(愛玩動物強奪犯罪組織が存在すること)の提供は避けるべき」「子供への不安を煽るだけである」なんていう設問があるアンケートをとったら、どうなるんですかねって話でした。

  ☆

【おまけ】 しもねたちゅうい(← 一方的な情報)。

 今回の撮影についてどう思いましたか。

 「ベッドの上なら良いが、リングの上では問題だ」

 Yes or No ?

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