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日経DI。web700人調査のおもしろ基準。

日経DI7月号。web調査。

回答者は、「日経webサイトの会員IDを持っていて」「日経DIオンラインが1週間だけ行ったアンケートに答えることのできた薬剤師」、679人。

前提条件から、すでに、「ネットであれこれチェックできる時間を持っている、日経DI大好きっ子」な感じで、かなり特殊なカテゴリと化していますから、そのカテゴリ内でのお話として考えます。このアンケート結果が「薬剤師全体の話」だと勘違いするような薬剤師は…いないといいなぁ。

さて。

示されているデータを、ナナメ下からみていきます。ちょびっとずつ「無回答」があるなかで、年収に関してだけは無回答ゼロとか、各項目に男女区別が示されていない(回答者のうち女性が86.7%という記述のみ)とか、そういう、集計データを全部出さないトコロが気になりますが・・・。

まずは、「週当たり労働時間」。

常勤さんに、24人ほど、20時間台以下の勤務時間という方が。週に5日勤務だったら、一日4時間ほどになります。それを常勤さんと呼ぶのかどうかという議論からはじめないとダメでしょうか。常勤さんの定義って、なに?(自己申告のみ?)

残業のあるなしについては、文章内で「パート薬剤師の過半数はしていない」「常勤薬剤師の『残業なし』はわずか13.6%」と書いてあります。あるなしだけでは時間がわかりませんから、こういう質問は、「何時間残業しているのか」と訊かないとね。「勤務時間を設定できるはずのパートさんの半分程度が残業をしている」という結果も、なんだか変。

ここで注目したいのは、「13.6%」という数値=「わずか」だと判断している点です。

記事中では、回答者のうちの女性の割合86.7%のうちの「既婚・子供あり」の割合78.1%、つまり回答者全体の67.7%(86.7×78.1÷100)周辺の数値のことを指して「ほとんど」と判断しています。

常勤の週当たり労働時間で40時間働いている人の割合78.8%も「ほとんど」と表現しています。とりあえず、67.7%以上は、「ほとんど」と判断するようです。

この基準なら、「30.9%のパートさんが『特に不満はない』と答えた」としても、「ほとんどのパートさんは不満がある」と言えそうですよね。薬科大学の薬剤師国家試験合格者数を宣伝するとき、使えそうです。「ほとんどの生徒が国家試験新卒一発合格!」といえるかどうかは、経営者にっては大事かもしれませんし。第92回薬剤師国試の新卒合格率が67.06%(全国下から三番目)だった京都大学の場合は、少しサバを読めば大丈夫。

※なお、この基準では、総合合格率で「ほとんどが合格」と言えない私立薬学部は、第一薬科大学(34.69%)だけになります。

  ☆

つづいて、「不満の内容」、ですが・・・。

さきほどの、「67.7%以上は、ほとんど」という基準で書くと、

『ほとんどのパートさんは、常勤薬剤師に対してアドバイス・意見を言い出しにくいとは思っていない』

『ほとんどのパートさんは、会議や勉強会、研修会が勤務時間外に開催されて出席しにくいとは思っていない』

『ほとんどのパートさんは、常勤薬剤師の調剤・薬歴作成・服薬指導に関するスキルが低いとは思っていない』

『ほとんどのパートさんは、勤務時間内に他の薬剤師や上司と話す時間がとりにくいとは思っていない』

『ほとんどのパートさんは、急な休日の取得を認めてもらいにくいとは思っていない』

『ほとんどのパートさんは、サービス残業を求められていない』

『ほとんどのパートさんは、鑑査や投薬・疑義照会など責任のある業務をさせてもらえている』

ということになるのですが、

『ほとんどのパートさんは、不満がある』

ということにもなっています。

これ、『旦那さんに不満がありますか?』というアンケートと、似た空気を感じます。

特に不満とは思っていなくても、「みんな、これは不満ですよね」という選択肢が用意されてしまうと、そこに少しでも該当した場合に「あ、これって、不満なんだ」と考えて、素直に投票してしまう・・・という、図。

パートさんですから、会議などに『出席しにくい』のは当たり前。

新人の常勤さんがいれば、その新人常勤さんの『スキルが低い』のは当たり前。

薬局全体が忙しければ、『勤務時間内に話す時間がとりにくい』のは当たり前。

当たり前なことは、不満でもなんでもないはずなのですが…。

今まで当たり前だと思っていたことが、「不満」と言えることなのだと示されたら、それ、回答に反映されますよね。

  ☆

A「私の旦那様、サイコー☆」

B「うちの旦那なんか、休日ごろ寝してるだけなのよ。不満だわ」

C「うちの旦那なんか、年収400万円しかないのよ。不満だわ」

D「うちの旦那なんか、休日出勤ばかりなのよ。不満だわ」

A「えっ、休日に家で休んでても、出勤してても、「不満」なの? 年収400万円あっても「不満」なの? じゃあ、私の旦那様、不満だって言わなきゃダメなの?」

  ☆

不満の次は、悩み。

「悩み」の回答の上位二つは、不思議な回答が並んでいます。

『薬歴作成・服薬指導について勉強する機会や時間がない』42.5%

『新薬に関する情報など最新情報が手に入らない』29.2%

・・・これ、日経DI的には、「悩み」のようです。

本人が簡単に解決できることを、悩みといわれてもねぇ…。

このアンケートに回答している方たちは、インターネット経由で日経DIオンラインのサイトを見ている方たち。

「とりあえず、ググれ。そして、ネット書店で5000円以上の値段の本を買え」

・・・と、心の中の妖精さんが呟かないんでしょうか。

日経DIなんか読んでいる暇があるのなら、「薬歴作成・服薬指導について勉強」する機会も時間も、あるでしょ。(←筆者も日経DIや議事録なんか読んでいる暇があったら他の勉強しろとツッコミはいりそうな予感)

「最新情報」は、そこらじゅうに転がってますが、「手に入らない」って、どういうことなんでしょうか。厚生労働省のホームページとか、FDAのホームページとか、製薬協のホームページ(開発中の新薬情報)とか、無料で情報が手に入る場所は、たくさんあるのですが…。

「手に入らない」じゃなくて、「手に入れようとしていない」ってことですよね。なにしろ、このアンケートの回答者は、会員登録が必要な日経DIオンラインへの(面倒な)会員登録を行っている方たちなのですから。

日経DIオンラインをいつも見ている方たちが、「最新情報が手に入らない」と言っているのですから、「日経DIオンラインでは、最新情報を提供していない」ということかもしれません。(※筆者は会員登録していないので、実際どうなのかは知りません。「ほとんど」の基準でいえば、「ほとんどの回答者は最新情報を手に入れている」ともとれますし)

  ☆

本人が行動すれば解決できること(交渉相手が存在しない問題)って、「悩み」の選択肢に入るものなのでしょうか?

本当の「悩みトップ」は『非常勤なのに責任のある業務を任され荷が重い(17.6%)』だと、思うのですが。

交渉相手として「上司」なり「経営者」なりが存在していて、彼ら彼女らが当事者間での問題解決が不可能だと思っているから「悩み」になる、という構図。

とりあえず、24時間対応の薬局にパートで勤めて、休日深夜応対用の携帯電話を持てと言われたら、まさしく「非常勤なのに責任のある業務を任され荷が重い」状態なので、悩んじゃいそうですけれど…。

なお、

薬歴作成・服薬指導について勉強する機会や時間がない

といった項目がなぜ存在するのかというと、

日経BP社が、それらについて勉強するための本を売っているからです。

ここは、快くだまされてあげて、本を買ってあげるのが、良い選択かもしれません。

 (※7/21ちょっと修正。国試と書こうとして国師と書く間違いが多い今日この頃。)

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