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一般用医薬品販売制度定着状況調査結果。その信頼性。

「一般用医薬品販売制度定着状況調査結果」のメイン調査部分を、ちょっとだけ検証?してみよう、という遊び。

平成22年6月18日に、日本薬剤師会は、同日厚生労働省から、株式会社インテージリサーチさんの提出資料である「一般用医薬品販売制度定着状況調査」の結果が公表されたことを受けて・・・、要約すると、次のようなことを言ってきました。

  ☆

「この調査結果は、新たな販売制度への対応が不十分であるという実態を示している

「特に、独立店は、新たな販売制度の遵守率が低いと指摘されている

「それは、日本薬剤師会の対応が不十分であったからである。反省した」

「早急に、改めて新制度の周知と遵守の徹底を図る」

「すべての都道府県薬剤師会から一般用医薬品の販売制度に係る担当者を一堂に集め、今回の調査結果を直接伝え、すべての会員が新たな販売制度を速やかに遵守するよう、徹底した指導を実施し、その実施状況を必ず確認する」

  ☆

日薬にしては、ものすごく速い対応です。

結果の良しあしにかかわらず、周知徹底を目指すということ自体は、良いことでしょう。

でもねー。

なんか、違うんですよ。

えーと・・・、ほんとに、調査結果(全51ページ)、読んだんですよね?

それで、

「この調査結果は、新たな販売制度への対応が不十分であるという実態を示している

「特に、独立店は、新たな販売制度の遵守率が低いと指摘されている

「それは、日本薬剤師会の対応が不十分であったからである

という結論が、でてくるんでしょうか。

とりあえず、調査結果の最初の部分を抜粋しておきます。

  ☆

I.調査概要

1.調査目的

本調査は、一般消費者としての調査員を選定し、全国の薬局及び店舗販売業(以下、「薬局・店舗販売」とする)の店舗を訪問する等により、平成21年6月1日から施行された改正薬事法が実際の販売現場において、どの程度定着しているかを確認することを目的とする。

2.調査対象等

(1)薬局・店舗販売の店舗に関する調査

① 調査対象

全国の薬局・店舗販売の店舗を調査対象とする。ただし、一般用医薬品の取扱がない薬局(調剤のみの薬局)は対象としない。なお、本調査では、一般消費者目線で調査員が店舗を確認し、店舗名称などで「薬局」を称する店舗または調剤室がある店舗を「薬局」とし、それ以外の店舗を「薬店」として調査を行った。
※調査員は、一般消費者目線で、入手できる情報をもとに調査を行うため、各都道府県に申請されている実際の店舗の許可内容とは異なることがある。

② 調査対象地域

全国47都道府県

③ 標本設計

i)都道府県別・業態別の割り当て
「平成19 年度 厚生労働省 衛生行政報告例 薬事関係 薬局数等」を基に、都道府県別・業態別に設計数を表Ⅰ-1 に示すとおり割り当てた。ただし、調査活動の中で、調査地域内において薬局または薬店の店舗数が足りないという状況が発生したため、薬局、薬店の数にばらつきが出た。最終的な標本数(実際に調査を行った店舗数)は、表Ⅰ-1 に示
すとおりである。

ii)人口規模別市区町村の割り当て
「平成17年国勢調査 都道府県・市区町村別統計表」を基にして、市区町村の人口規模別に設計数を割り当てた。実際の調査時においては、あらかじめ指定した市区町村で調査を開始することとし、薬局・薬店の数が設計数に満たない場合は、隣接の市区町村に地域を拡大し調査を行った。都道府県別・人口規模別の設計数及び標本数は、表Ⅰ-2 に示すとおりである。

  ☆

と、まあ、最初の前提から、すでに、かなり、「正確には調査できません」ということを言い訳する記述が多いんですよねー。

さらに

「一般消費者目線ですから」という、ものすごい逃げ口上が目立ちます。

「調査目的」によると、

『本調査は、一般消費者としての調査員を選定し、全国の薬局及び店舗販売業の店舗を訪問する等により平成21年6月1日から施行された改正薬事法が実際の販売現場において、どの程度定着しているかを確認することを目的とする』

ということですから、「一般消費者目線」というのは、あくまでも、「確認」という目的のための「手段」です。

「確認」が目的なのに、そのための「手段」として、改正薬事法の内容や薬局の業態などを知らない「一般消費者」の目線を用いたというのですから・・・

調査の根本の「思想」が、おかしいんじゃないかと思うんですよね。

「ちゃんとやっているかどうか」の確認を、わざわざ消費者目線で行うという理由が、全く分からないんですよ。

なんてゆーか・・・建物の建築確認を目的として、素人にチェックさせてしまうような、そんな感覚。建築確認っていったら、プロの目が必要で、だから一級建築士とか建築系の職歴が長い人とかがやってますよね。確認作業が目的なのに、素人目線・・・というだけで、その「確認」の信頼性って、ものすごく低下しているよーな気がしますよ。

「覆面調査」であることと、「一般消費者目線」であることとは、別ですよね。なんだか、真面目に調査していない理由を、でっちあげている感が・・・。

そのうえ。

数々の、「設定条件にあわなかったので○○した」という、修正。

設計数に満たなかったから、隣接市区町村に地域を拡大とか。

それで、どの程度誤差が出るのかくらいは、教えてもらえないと・・・。

すごい田舎町が、隣の新幹線停車地域に組み込まれたら、だいぶ違った結果がでるかもしれないんですよね? それなのに、誤差は無視。

この調査が、ものすごくアバウトな調査であることが、よくわかります。

「設定条件」自体も、厚生労働省の資料をコピペしてきたものを使っていますから、お手軽感たっぷり。資料の通りかと思って調査してみたら、現在は違った・・・でも設定数は変えないで、地域を変えた・・・みたいな?

地域の固定を前提とした調査で、地域を変えて」、どーするのかと・・・。

小選挙区制の選挙で、「人口が足りないから近隣の市区町村を勝手に組み入れて、地域を変えました」なんてことを公示と同時にはじめたら、そこに作為がなかったとしても、信頼性って低下しますよね。

・・・次。

調剤室があれば薬局」で、「調剤室がなくても名称が「薬局」だったら薬局」。

とかいう定義で、

調剤室がない「薬局」を、調べたのだそうです。

いやー、「薬局」と名乗るには、調剤室が必須だと思っていたのですが。

48ページ目に、わざわざ一項目、「薬局における調剤室の有無」という項目があるんですよね。

この調査の目的、実は、「薬事法の定着の確認」ではなくて、

「消費者目線という名で、ありもしないミスをでっちあげて、難癖をつけていくこと」

なのでしょうか。

「『薬局』とした店舗で調剤室を確認できなかったのは、四国で28.1%と最も高くなっている」

という「分析」がついているのですが・・・

それって・・・

「インテージリサーチ社が雇った調査員のうち、四国の調査員だけが、著しく、調剤室を発見する能力が低い」とか、「四国だけ「薬局」の定義を間違えている調査員がいる」とか、「四国の行政が、薬店に『薬局』と冠することを認めている」とか、そういうことですよね。

・・・次。

独立店とチェーン店の定義を、この調査では、以下のようにしています。

チェーン店
『日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の正会員企業及び、スーパーマーケット22店、ホームセンター9店の直営店舗。一部地域においては、インテージリサーチ社が「明らかにチェーン展開してるよ」と考えた店舗も含む』

独立店
『上記以外の店舗』

日薬は、何を勘違いしたのか、「独立店」=「日薬会員」!みたいな反応をしています。

でも、上記定義では、そうとはいいきれません。JACDSの協力者として藤井基之氏の名前が挙がっているように、「チェーン店」のほうが薬剤師常駐率が高そうなんですが。

第一類OTCの「取り扱いの有無」を調べた問いでも、「独立店」の半数が、「取り扱っていない」という結果になっていますよね。

薬剤師がいれば、普通、第一類OTCを、取り扱うんじゃないんですか?

ここでの(この調査での)「独立店」には「薬剤師がいないから」(第一類医薬品を)取り扱えない・・・と、なんで考えないんでしょう。

いいですか、日薬の方。(読んでないとは思いますが、念のため)

この調査における「独立店」というものの定義は、薬剤師がなんとなく想像する「独立・薬局」ではありません。

大半が、「チェーンドラッグストア協会に加盟していない、規模の小さい、その地域だけで店舗展開しているような、薬剤師のいない、薬店」を意味するんですよ。

「薬剤師のいない薬店=独立店において、どうも法律を守っていないようだ」と言われて、なにか、日本薬剤師会に、責任がありますか?

そこに薬剤師がいないのに、日薬は、「なんらかの対応」ができたとでも?

そこに薬剤師がいないのに、新たな販売制度への、薬剤師の対応が不十分?

明らかに薬剤師が存在する場所では、十分に対応しているという結果がでているのでは?

・・・次。

  ☆

(8)第1類医薬品販売における対応状況

②第1類医薬品購入時の説明

第1類調査を行った店舗(1949 件)のうち、「購入前に文書を用いて詳細な説明があった」のは、50.5%となっている。また、「購入前に文書を渡されたが詳細な説明はなかった」、「購入前に口頭のみでの説明があった」、「購入前には説明自体がなかった」は、それぞれ、7.1%、22.5%、19.8%となっている(図Ⅱ-16)。

(業態別)
第1類調査を行った店舗で、「購入前に文書を用いて詳細な説明があった」のは、薬局で46.5%、薬店で55.4%となっている。

(経営形態別)
第1類調査を行った店舗で、「購入前に文書を用いて詳細な説明があった」のは、独立店で33.9%、チェーン店で62.0%となっている。

(ブロック別)
第1類医薬品で調査をした店舗で、「購入前に文書を用いて詳細な説明があった」のは、東海北陸が58.0%と最も高くなっている。

※本調査において「購入時の説明があった」とは、購入前(代金支払前)に情報提供があったものとした。

※「購入前に説明がなかった」には、代金支払時(購入時)又は支払後(購入後)に、文書を用いた説明又は口頭の説明があった場合が含まれる。

※調査員は、調査方法として、購入しようとする際に情報提供を要しない旨の意志表明はしないものとした。

  ☆

調査結果報告書の36ページ目をそのまんま引用しましたが・・・。

調査員が「購入しようとする際に情報提供を必要としない旨の意思表明はしない」ということはわかりましたけれど、じゃあ、たとえば、

「購入しようとする気があるのかどうかの意思表明」

とか

「情報提供を必要とする旨の意思表明」

とかは、

するんですか? しないんですか?

そこ、大事だと思うんですけれど。

だって、買うかどうかわからないときに、詳細な説明って、求められてもいないのなら、しないでしょ。

「おなかの薬でガスター10とかいうのを買いたいんです」と言われれば、「とかいうの」といったキーワードに反応して、「薬について良く知らないようだから、まずはいろいろ聞いてから、支払いの時に、より詳しく解説しよう」という流れもありえますし、「おなかが痛いんです」とだけ言われれば、購入を決めるにあたって、いろいろな薬の選択肢を示すことになりますから、支払い前に多くの情報提供が必要になります。

DEMとかで、「同じ言葉で質問してください」というマヌケな制約がどうして存在するのか? ・・・を、説明できる人(筆者にはできません)なら、「同じ商品を同じセリフで買い求めようとしていない」調査では、調査員の資質次第で、結果が大幅に変わってくるのだと、説明できるのではないでしょうか。

よーするに、調査員という名の、結果を左右する因子自体に、大きなバイアスがかかっていませんか? ということ。

ウチの調査員は、こう思ったようです』という話を集計した結果が、今回の調査結果。

この調査ひとつ、ハウマッチ? (そういうとこばかり気にするのは、お行儀がよくないですね。ごめんなさい)

  ☆

この調査結果をもとにして、

「この調査結果は、新たな販売制度への(薬剤師の)対応が不十分であるという実態を示している

「特に、独立店(注:日薬の考える「独立」「薬局」です!)は、新たな販売制度の遵守率が低いと指摘されている

「それは、日本薬剤師会の(会員や、非会員の薬剤師への)対応が不十分であったからである

という結論は、出るんですか?(二度目なのでわかりやすくしてみました)

  ☆

この調査結果じゃ・・・

「この調査結果は、新たな販売制度の確認という目的を果たすための適切な手段を用いていないので、評価に値しない

「仮に調査結果をそのまま受け入れるとしても、第一類医薬品を取り扱う店舗における陳列状況の徹底率が最悪でも95.7%と非常に高い率であることなどから、薬剤師が存在する場所では十分に対応しているという実態が証明されている

「特に、薬剤師が存在しない(第一類の取り扱いがない)『独立店』は、新たな販売制度の遵守率が低いと指摘されている。」

解説の掲示に関しては経過措置中であるため、今回の調査の目的である『どのていど定着しているかの確認』はできない(定着していても、まだ掲示していないケースがあってよい)」

「調査結果上、日薬が問題視するのは、『第一類OTC購入前に何の説明もなかった』という調査結果(36ページあたり)である。説明の有無と名札着用とに相関があるとも(ないとも)とれる調査結果であるため、説明の徹底と名札着用に関しては、念のため、再度周知徹底を行うものである」

・・・くらいの、強気で対応しても、いいんじゃないですかねー。

なんか、あっさり論破できそうな、エビデンスというには弱すぎる資料ですし。

厚労省の発表資料だからって、萎縮しすぎなんじゃないかと思うんですが。

平日の昼間に日薬に召集される、各地方の担当者さんが、かわいそうでなりません。

なにか無茶苦茶なことを言われるかもしれませんが、うまく受け流して、とりあえず、東京スカイツリー見物&静岡のガンダム見物でもして、楽しんでいってくださいませ。

 ※6/23 誤字とか、ちょっと修正シマシタ

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コメント

毎回、楽しく、為になる話をありがとうございます。元気になって、日々の業務が充実します。益々のご活躍を祈念いたします。

投稿: mm | 2010年6月29日 (火) 14:04

コメントありがとうございます。

「元気+業務充実=誰かが幸せ」の方程式ですね。

※筆者は、おすすめリンクの「鮠乃薬品」さんから元気をもらっています。

投稿: おばか柊 | 2010年6月29日 (火) 15:01

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