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日薬代議員会議事録その3。「実務実習費、高すぎない?」って、おいおい・・・

議事録を読むシリーズ。

今回は九州ブロック、沖縄県、江夏代議員の質問要約。

学生実務実習の、実習費についてです。

  ☆

江夏代議員
「実習費の最高額と最低額は、どの程度?」

森常務理事
「聞いている範囲では、48万円から27万円」

江夏代議員
「(38万円を要望していた)病院薬剤師会の土屋副会長のお考えは?」

土屋副会長
「独禁法があるので、組織(病院薬剤師会)が(個々の病院へ)金額を指示することはない」

江夏代議員
「あまりにも(金額の)差がありすぎないか」

児玉会長
私は日薬の会長となる前から6年制教育の担当をしていたので、本件に関しては非常に残念である。数年前から、実習費の議論は大学側、日本病院薬剤師会、日薬の三者で行ってきた。その基本的な考え方は、同じモデル・コアカリキュラムを使って、同じ期間の実習を行うのであれば、病院であれ薬局であれ同じ金額とすべきことを基本に議論してきた。日薬は一貫してそれを主張している。一方、過去において、国立病院や大学病院では少し高い金額を必要とする話があったのは事実であり、その理由は、教育内容が高度であるために相応の人件費が必要とのことからであった。しかし、どのような病院でも高い実習費が必要であるとすることは全く違う話である。我々にとっては残念としか言いようがないが、それは様々な機会において申し上げている」

  ☆

と、まあ、こんなやりとりがあったようで。

ようするに、「実習先によって実習費が大きく異なるけどいいの?」と、「どこへ行っても同じ質の実習が受けられなければならない」なんていう幻想を言い続けてきた児玉会長に対して、「児玉会長の言うとおりにどこでも同じなら、実習費の金額格差が二倍近いのはおかしいですよね?」と訊いたよーなものかと。

お友達作りは大得意だけれど、問題抽出・問題解決・システム作成・未来予測といったことが不得意な人材=児玉さんが、ずーっと六年制教育担当だったがために、現場がとても困っているんですが、自分が地方の頑張りを潰してきた悪い実績を棚上げして、『非常に残念』なんて言ってるんですよね、このお方。

この話題、ここでおしまいかと思ったら、翌日にも続きます。

  ☆

安東代議員(大分)
「昨日、沖縄の江夏代議員が実習費について質問されたが、全然わからない
(中略)
「国から補助金が出ているにもかかわらず、なんでそんなに取るのか。そして、子供たちにというよりも、保護者の立場になったときに、そんなにまで負担はできない。医療を通じて人のためにやるというのが薬剤師である。それと同じ考えであれば、もっとよく考えてほしい」

「お金がないけれども薬学を目指すという、そういう家庭が多い。そういう子に対して、大学病院の薬剤部長は、院長にも言わないで勝手に言っているだけではないのか。ボランティアでやるような気持ちで受けなければいけないのに、実習費をつり上げようとしている。6年制にしたのは我々である。日本薬剤師会が、病院薬剤師会が6年制にしましょうと言った以上は、それだけの気持ちで子供たちに接するつもりで対応しなければならない。それが我々薬剤師のやることなのかということを、言いたい」

土屋副会長
「薬剤部長が勝手に決めているということはない。最後の決定は病院長あるいは理事長がする
「文科省の指導はあるものの、各国立大学は独立法人化して、さまざまなところで独自性を示している。その中には、薬学部のある医学部病院と薬学部の無いところとの違い、あるいは近辺に薬学部があるところとそうでないところとの違い等がある」
「したがって、病院薬剤師の気持ちとしては後輩を育てるという気持ちは同じであるが、経営者の中にはそうでないということもある。我々の努力が足りないと言われればそうかもしれない」

児玉会長
「私どもは一貫してご指摘のとおり、将来を担う学生、薬剤師のためにやっているので、余り金額のことでもめたくないというのが正直なところである。長年、全体で議論してきて約27万5000円ぐらいが妥当だろうということになったので、どんなことがあろうとそういう方向で行くべきである」

  ☆

というわけでー。

まず・・・土屋副会長の回答により、

「高額の実習費をとっている病院の病院長・理事長は、後輩を育てる気がないんだ。決してそこの薬剤部長が悪いわけではない。経営者が悪いんだ」

みたいな話になっちゃってますけれど、これでいいんですかね?

いや、筆者が東京医科歯科大学歯学部病院の院長だったら、ちょっと体育館の裏に呼び出しますが、みんな大人なので、そんなことはしないんでしょう。

  ☆

んでもって・・・児玉会長の答弁は、よーするに、

「あまり金額のことでもめたくないなぁ」という気持ちで議論をしてきた結果として今があるということを、理解していないってことですね。

「もめたくない」ってなんですか。

あのね、「ボランティア」でいいんだったら、今すぐ実習費を全額付き返して、「カリキュラム通りになんか絶対やらない。こんなカリキュラム通りにやって嬉しがるような薬剤師じゃあ、四年制卒と何も変わらないからね。そのかわり、私と貴方(実習生)で協議した結果として行う実習にかかる実費は、その都度私が明細を出して、最終的に貴方が全額支払うということでいいよね?」と宣言したいくらいですよ。

「ボランティア」じゃないんだから。

安東代議員が言っているように、「ボランティアでやるような気持ち」なだけです。

お金、必要ですよ。

だって、大学の授業のアウトソーシングなんだから。

実習先が、適切だと思う金額を「大学に」要求するのは、当然ですよ。

日薬の姿勢は、おかしいんです。

なにか弱みでも握られているんですかね?

  ☆

アウトソーシングで、いくら支払ってほしいかという話ですが。

たとえば。

徳島文理大の授業料が前期56万円、後期56万円。年間合計112万円。

夏休みと春休みが1か月半ずつ、冬休みが二週間あるとして、残り8か月半。

おおざっぱに36週と考えて、そのうち11週×2が実務実習。残り14週。

授業があるかどうかは別として、大学に通っているのは14週です。

単純割すれば、一週間31000円くらいとして、まず、病院と薬局が341000円、大学が434000円をとります。

徳島文理大は、授業料以外にも、「実習・図書費」として年間25万円、「施設費」として年間50万円を徴収しています。

これらも、同様に配分できます。なにしろ、病院・薬局では実習を行っていますし、実習を行っている間は、実習先の施設を使用し、大学の施設は一切使用しないのですから。

ということで、病院と薬局は、更に23万円とって、大学が残りをとります。

「病院と薬局が57万円ずつ受け取れば、ちょうどいい」。

・・・そういうことなんですが。

実習費48万円を要求している病院は、正しい・・・というか、ちょっと優しいくらいだと思います。

  ☆

「ひとりあたり57万円ほどもらって、効率よくするために2~3人くらいの人数を一度に受け入れて、高価な教材や資材の利用、高名な指導者の招聘、周辺薬局との連携なども含め、潤沢な予算によって生まれた指導時間をつかって、じっくり取り組みたい」(注:徳島文理大は私立大学の中では学費が低めなほうですから、たとえば第一薬科だったらほぼ倍の金額になります。「もともとの授業料が高いところには高く請求し、もともとの授業料が低いところには低く請求する。その総額を主催者がまとめて、実習先に配分する」というのも、ひとつの手かもしれません。実習費が全て同額だったら、もともとの授業料が高い大学が異常に儲かるだけです。関東ならエリア制だから導入しやすいですね)

・・・という、高級ホテル的な準備を考えていたのに、児玉会長は、だいぶ昔のカプセルホテル的な(最近のカプセルホテルは結構良い感じ)準備しかできないような予算でいいと考えていて、しかもそれは「どんなことがあろうと」変えない決意のようです。

実習費を一律にするという発想が、ワケワカンナイ。

安東代議員は「実習費高い」という主張ですが、だいぶ昔のカプセルホテルでいいのでしょうか。

  ☆

筆者は、安東代議員とは正反対に、「もっと実習費、とってもいいじゃん」派なので、安東代議員が安くしてもいいと考える理由ふたつについて、考えてみます。

まず、「国から補助金が出ているなら、高くする必要はない」という話。

その補助金とやらが、実習先に入ってこないのですから、高くしてもいいはずです。Q.E.D.

次に、「保護者の立場では負担できない」という話。

大学への保護者の年間納入額は同じなのですから、大学が「適切にアウトソーシング」して分配すれば、余分な授業料はかかりません。実習先の手取りが増え、大学の手取りが減るだけです。

ただ、金額自体が大きいと、「何に使っているのかわからないのに高いのは嫌」という話になるのもわかります。

ですから、きちんと、使用明細を書いて、学生(&保護者)に提出すればいいんですよ。

これこれこういうことをするのに、これだけの金額がかかりました。なにかご質問はありますか? と、実習の決算書を提出するんです。(できれば予算書もあると、もっといいですね。決算書は、指導薬剤師が作ると面倒~かもしれないので、予算書・決算書づくりの実習という名目で実習生自らに作らせれば問題なし)

それを見ても保護者が負担できないというのなら、あとは大学の問題でしょ。今お金がないヒトのための、奨学金制度っていうものもあるのですから。

それでもまだ、保護者の立場で負担できないっていう主張なら、まずは、大学間の授業料格差に対して、安東代議員は文句を言うべきなのでは? なんて、思った次第。

「実習費を安くしろ。更に、実習費を一律の金額にしろ」という意見は、「質を低くしろ」と言っているのと変わらないんですけどねー。

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