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調剤報酬。説明会に行ったら説明不足。

厚生局から、調剤報酬の説明会をするから必ずきてね、という指令が来たので、万難排して行ってみました。

現場で資料を配って読みきかせるだけの、いつもの説明会です。

「資料」は、本来、先に渡して読んできてもらうものです。そのうえで、質疑応答を受けるのが「説明」です。「一方的な服薬指導はけしからん」と日頃文句をつけてくる偉い人たちが開催する説明会には、たいてい、質疑応答の時間がありません。これってどういうことなんでしょうかね。

本一冊を読むのにかかる時間って、人によって違いますよね。一番遅い人(ようするに、先に渡しても絶対に読まない人)にあわせて、現場で本を「読み聞かせる」ことを、「集団指導」で行うのは、正直、やめてほしいのですけれどね。

  ☆

注:「集団指導」ってなーに? という方のために。

すごく好意的に見れば、「みんなが困らないように、役所が中心となって、全員に平等に情報伝達をする機会を設けて、情報格差が生じないように、円滑な運営ができるように、助けてくれる場」のことです。

普通に見れば、「自主的に調べて勉強してきたオトナにとっては全く必要のない、通達も読まなければ勉強もしない人のための、役所的な、昔ながらの、情報伝達会」のことです。

ただし、「参加しないと、厚生局の人たちの印象がすごく悪くなる」「参加しないと、個別指導のブラックリストに載る」といった都市伝説があるため、実質的に「全員強制参加」です。

会場が近い人にとっては、軽く地元の集会に行く感覚でラクチンですが、会場から二時間以上離れた場所に住んでいる人間にとっては、業務終了を待たずに出発しないと間に合わず、地元に戻るのが深夜という、なかなかハードな(ってほどでもないですけど、まあ、参加主体はおおむね主婦ですから)状況が待っています。もちろん、交通費は自腹です。いくら参加費が無料でも、このイベントのための出費総額は6000円くらいなのですけれど・・・。(交通費および代替要員の人件費等含む)

口頭講習会なんだから、講習内容の動画&話したことの文字原稿おこしをCD-ROMに入れて、資料をエクスパックで郵送(500円)するだけでいいのですけれどね。交通費払うくらいなら、そっちのほうがいいです。CD-ROMなら、薬局のスタッフみんなで鑑賞できます。文字起こし原稿があれば、演者が「ぶつぶつ呟くだけの人」であっても問題ありません。

「休憩も無しに二時間みっちり、知っている情報しかない話を聞き続ける」のは、精神的にも体力的にもへとへとになります。なによりトイレにいけないのが「健康で文化的な生活」の侵害になっていそうです。(行ってもいいんですけれど、口頭でサラリと資料に一切書いていない大事なことを言うタイプの伝達会でそれを行うと、「再放送無し、DVD化無し、動画流通無しという連続ドラマの重要な回を見逃す」くらいのダメージをくらうのですよ)

世の中には、そういった辛さよりも、「資料とか本、説明書を自分で読むほうが辛い」「人から教えてもらわなければ勉強した気にならない」といった主義の方もいます。ですから、講習会開催自体は、そういう方のためだけにしていただいて、自分で資料を読みこなすことが苦痛でない方に対しては、質疑応答だけで済ませてほしいと願います。『国の予算を地方の部局が消費するために開催する強制参加の講習会』に大勢を付き合わせるのだけは、ほんとに、勘弁してください。

まあ、集団指導のやり方についての、ほんわかトークはこれくらいにして。

  ☆

聞いていて「ふーん」と思った点は、ふたつ。

ひとつめ。「磯部管理官は、薬歴インタビューをしてから薬を取りそろえろと言っている

ふーん。

磯部っち(愛称)のアタマの中では、

処方せん受付、患者さんにはどこかで待ってもらって、順番が来たらレセコンに入力する過程で「処方入力前に」薬歴をとりだすなり画面表示なりして、一度患者さんを呼んで、薬歴用にインタビューして、患者さんにはどこかで待っていてもらって、それからレセコンに処方を入力して、薬を取りそろえて、薬歴用インタビューをもとにアセスメントプランをたてて、再度患者さんを呼んで、お話モード、お話が終わって薬をわたしたら、患者さんにはもう一度どこかで待ってもらって、お話の結果を受けて再度レセコン入力して、それから患者さんに三回目の呼び出しをかけて、ようやく会計・・・

つまり、

   入店 → カウンター 処方せん提出
 → 待合 → カウンター 薬歴インタビュー
 → 待合 → カウンター 薬説明
 → 待合 → カウンター 会計

・・・という流れがあるんでしょうね。

なるほど。

役所の申請でこんな扱いだったら、間違いなくイライラする流れですね。

でも、薬専門官僚の現場最高責任者である磯部っちが、『薬歴インタビューをしてから薬を取りそろえろ』と言ったのなら、『この流れでなきゃ認めてやらない』という国家からの明確な指針になるわけです。

『この流れじゃなきゃ認めてやんないもん☆』という国家の姿勢。

細かいことに対して、正解をひとつしか認めないという姿勢は、実に「非官僚的」な姿勢です。

官僚なら、国民の利益を考えます。いろいろな選択肢を残したり、弾力的な運用を認めたり、しっかりしたセーフティーネットを作ったり。国民は多様な生活をしているのですから、細かい部分では多様な医療があると、国民の利益になりそうだなー、と、考えるのが官僚的。細かい部分までガチガチに規制して手とり足とりやることが国民の利益につながると言ってのける傲慢さを傲慢だと全く考えないのが、非官僚的。

官僚が、非官僚的な仕事をしたらどうなるかという、いい見本です。小学校の社会科の教科書に載せてあげてください

医療を非官僚的にして、どーするんだか。

いえ、非官僚的な医療をするところがあっても、いいとは思います。それも多様性の一つですから。でも、全ての医療を非官僚的にしようと、全ての官僚が「指導」という名前で財布を握りながら「非官僚的な医療の強制」を実行するのは、やり過ぎなんじゃないかな~。

現場が「やりたくないよー」と泣きながら言っていることを強引に推進すれば、とーぜん、医療崩壊が進むってばよ。(ナルト風)

  ☆

ふたつめ。「後発品へと変更する際は【薬価】ではなく【点数】で考えていい

ふーん。

どこにそんなことが明記されているのか知りませんが、集団指導では、演者がそう言ってました。(4/14追記。日薬のQ&Aに載ってます)

よーするに、後発品であれば、

 薬価 6.5円の薬から、薬価 13.2円の薬に変更

することも、OKということですね。(どちらも1点。なんでかわからない保険薬剤師の方は、いい機会なので勉強しましょう)

 ※さっき間違えて保健薬剤師って書いちゃいました。てへっ。誤植誤植。

うーん。これ、服用方法が同一の薬の薬価を全部足したときの「剤」単位なのか、ひとつひとつの薬で数や剤とは無関係に適用される「個別」単位なのか、どっちなんですかね。

 例

 次のような処方を考えます。

  ベザテートSR100mg 2錠
   一日二回    30日分

  ベザトールSR錠100mgの後発品
  ベザテートSR錠100を、別の後発品にする場合。

  ベザテートSR錠100mgの薬価は6.3円

  ベザレックスSR錠100mgの薬価は10.8円

 どちらも、「個別」単位なら「1点」です。

  一日二回服用する薬ですから、

  「一日二回服用」という「剤」で考えると、

  ベザテートSR錠100mgは12.6円。1点。

  ベザレックスSR錠100mgは21.6円。2点。

 「個別」単位だと、べザレックスに変更することで薬部分の点数が1点高くなっても構わないわけですから、変更できます。30日分なら30点、つまり3割負担の方の会計が100円程度高くなります。「個別」単位だと、別の後発品に変更することで、全体の会計が高くなることもあるわけです。

 もし「個別」単位が正しいなら、「変更によって必ずしも安くなる必要はない」と厚生労働省が認めたことになります。それなら、同一点数になる先発品への変更(ボルタレンとか)も、OKにできるはず。

 「剤」単位だと、べザレックスに変更することで薬部分の点数が1点高くなりますから、変更できないということになります。「剤」の部分に様々な薬が並んでいる場合、「剤」単位では、全体を計算しなければ変更可能かどうかがわかりません。

 もし「剤」単位が正しいなら、レセコン入力等で計算してみるまでは、後発品Aから後発品Bへの変更が可能かどうかがわかりません。事務処理量が少し増えます。

どっちが正しいんですかね?

演者がなにを考えて話したのかは知りません。さらっと言っただけで、特に説明はしませんでしたから。でもね、説明会っていうのは、資料に載っていないようなことを口頭で話した場合、きっちり説明しないと意味がないのでは?

  ☆

質疑応答は「あとからFAXで送ってください」とのことでした。

講習会より前に質問をFAXで送ってもらっておいて、その質問に答えるのが筋でしょ。

ようするに・・・いつものことですが・・・Q&Aの準備ができていないから、講師・演者自身が「質問を受けても答をもっていない」のが問題かと。

  ☆

おまけ。

筆者が「説明」してほしかったことの一部。

 数量ベースの計算ってどういう計算式なの?

 その計算式の根拠は?

 その計算式の解を「%」でくくるのはなぜ?

 変な計算だから説明できないんじゃないの?

 その計算式を数学者に見せてみた?

 その計算式を作った人は誰?

 数量ベースで30%という目標設定をどうやって決めたのか知ってますか?

 その目標を守れなかったからといって、何か問題がありますか?

 中医協で三浦委員は「数量ベース」に対してどんな意見を述べましたか?

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