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『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第十条。

『薬剤師倫理規定の注釈』を読んでいくカテゴリ。今回は、第十条です。

第九条の注釈は、『公共の福祉に関する「正当な理由」については無視し、あくまでも、人権保護は守らねばならない』というプロ市民みたいな言い分でした。

第十条、最後の条文の「注釈」は、資本主義社会への警鐘っぽいです。

  ☆

第十条(の注釈)

薬剤師は、職業的品位に反する手段で顧客を引きとめたり、不当な高利を得たりするなどの営業活動は慎まなければならない。

医薬品を販売する場合、患者の健康状態を利用して不当な利益を得ることを目的とした、職業的道徳に反する行為や協定に関与してはならない。

薬剤師として、患者および地域の人々からの信頼と尊敬を得るように努めなければならない。

特に覚せい剤や麻薬などの取り扱いや、社会的に影響の大きい医薬品の不当販売などに関わることがあってはならない。

  ☆

中途半端に具体的な、なにか「事例」があったことを匂わせる文章が並んでいます。

平成9年に薬剤師倫理規定が制定されて、平成13年にこの「注釈」が書かれるまでに、それだけ、薬剤師倫理規定第十条が守られてこなかったということなのでしょうか。

それとも・・・あれ? よく見ていくと、この話、他の条文の「注釈」で、みませんでしたか?

ほら、第三条の注釈、そのまんまですよ。

ネタ切れ?

  ☆

薬剤師倫理規定第十条

薬剤師は、その職務遂行にあたって、品位と信用を損なう行為、信義にもとる行為及び医薬品の誤用を招き乱用を助長する行為をしない。

・・・薬剤師倫理規定第十条は、「なにをしてはいけないのか」を示しています。

従って、【薬剤師として、患者および地域の人々からの信頼と尊敬を得るように努めなければならない。】という「注釈」は、第七条と混同しています。

「すでに培っている『信用』を損なう行為」を、「していけない」のです。

これから信用を得ていこう、みたいな話は、第十条とは関係ありません

さらに、【職業的道徳に反する行為や協定に関与してはならない】という言葉が、変。

「職業的道徳」が書いてあるのは「薬剤師倫理規定」ですよね。

「職業的道徳」が書いてある「規定」の中に、「職業的道徳を守る」という「職業的道徳」が書いてあるというのです。じゃあ、「職業的道徳」は、どこからどこまでを示すのでしょうか?みたいな。

患者の健康状態を利用して不当な利益を得ることを目的と】することが「職業的道徳に反する行為」の例になっていますから、これが薬剤師倫理規定のどこに反しているのかを考えると・・・・・・あれ? ないですよね。

他の条文では、「利益」については述べられていません。その行為に対する対価が正しいとか不当とか、そういったことについては考えずに、話が進んでいます。

では、薬剤師倫理規定第十条で述べているのが、利益に関する「職業的道徳」かというと・・・第十条にも、お金の話は、でていませんよね。

ポジティブ化すると、薬剤師倫理規定第十条には、

1.品位と信用、信義を保持する

2.医薬品の誤用、濫用を防ぐ

という二点しか書いてありません。

「注釈」の中のヒトが、ものすごく拡大解釈をして、話を変なほうへ広げているわけです。

で。

【特に覚せい剤や麻薬などの取り扱いや、社会的に影響の大きい医薬品の不当販売などに関わることがあってはならない。】なのだそうです。

ここで「注釈」が言う「不当」って、法律上の話(取締法があるから、みたいな・・・)に読めるんですが・・・「注釈」は「薬剤師にとっての倫理は法令以前のもの」というスタンス(前文の注釈)なんですから・・・、法令を前提とした「不当」という定義をして、それに関わることがあってはならないと言うのではなくて、「それが倫理上不当である」ことを証明・説明しないといけないのでは?

【特に

 「覚せい剤や麻薬などの取り扱い」や、

 「社会的に影響の大きい医薬品の不当販売」などに

 関わることがあってはならない。】

と、書いてある(「」は筆者がつけましたけど・・・)ので、

「どうして覚せい剤や麻薬などの取り扱いに関わってはいけないの?」(笑)

「どうして社会的に影響の大きい医薬品の不当販売に関わってはいけないの?」

という問いに対して、『自明である』と答えるのでは、「注釈」になっていないのでは?

いや、だって、麻薬の取り扱いって、薬剤師の職能だし。

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