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『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第一条。

「実務実習指導の手引」の冒頭部、「薬剤師倫理規定の注釈」を考察するカテゴリ。二回目は、第一条の注釈を読んでいきます。

前文の注釈では、日本国憲法より薬剤師法第一条のほうが偉い、みたいな話をされてしまいました。「注釈」の筆者は、たぶん「友愛思想」の持ち主なのでしょう。

  ☆

第一条(の注釈)

薬剤師の職能を遂行するとき、常に心すべき任務は、健康を損なっている人の人権とその人の生命を尊重することである。

この心構えのもとに薬剤師法第一条に明記されている薬剤師の任務「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」として与えられた職能としての薬剤師の任務を果たすことを、本倫理規定の第一条に掲げている。

この薬剤師の任務については、すべての薬剤師が十分に咀嚼して理解していることである。この薬剤師の任務を重く受け止めて、薬剤師の職務を果たすことに努めることを本分とすべきである。

公衆衛生の向上と増進は、地域医療の担い手としての薬剤師には21世紀に向かって特に求められるものである。わが国は衛生薬学分野で諸外国に見られない大きな業績をあげてきた。また学校薬剤師というわが国独自の制度をもち、公衆衛生活動に薬剤師は薬学技術を発揮してきた。このような活動は公衆衛生、環境衛生分野としてこれからも一層重要なものになってくる。

  ☆

人権と生命、どっちをより尊重するの?

という問いかけに、

「どっちもだ!」と言われる感覚です。

・・・いや、それ、答になってないですし、質問も酷いです。

実のところ、前文によれば、生命保持は、「人権の最も基本的な」ものなので、注釈のように「健康を損なっている人の人権その人の生命」と併記するのはおかしいわけです。人権を守れば、生命は真っ先に守られるのですから。

第一条に明記されている「個人の尊厳の保持」は、「人権」と言いかえてしまうと、意味を見失います。ここ、ポイントです。テストにはでませんけど、薬剤師の仕事上、物事を疑ってかかる姿勢のあるなしはとても大事です。ぽやや~んと流し読みしないで、常にツッコミの機会をうかがいましょう。教育者は、一生懸命ツッコミどころをつくってくれますから。

で、「この心構え」で、薬剤師法第一条を行うことが、薬剤師倫理規定第一条ですよ、と、注釈ではつながるようです。

「この」心構えの「この」って、注釈で、その前に書いてあること、「常に心すべき任務(=人権尊重)がある」ってことですよね。

「前文の注釈」では、「実践されない倫理には意味がない」と書いてありましたので、「人権を常に意識していること」の実践が必要になります。

さあ、困りました。人権って、一口に言われても、なにをしたものやら。

人KENまもる君、人KENあゆみちゃんという、その道のプロにでも訊けばわかるのでしょうか。

「注釈」に従うと、とても難しくなります。「難しくなる」というより、何を言っているのか曖昧になると言ったほうがいいでしょうか。

だだっ広い「人権」の世界の中の、『個人の尊厳の尊重』と『生命の尊重』のふたつだけを対象にして明記しているのが、薬剤師倫理規定第一条です。他のことはとりあえず無視してOK。

更に続いて。

「この」薬剤師の任務について、全ての薬剤師が咀嚼して理解しているという言い切りが始まるのですが・・・現場の薬剤師は、「注釈」に書いてあるような理解はしていないと思いますよ。(注釈の解釈が変なんだもん☆)

任務を重く受け止めるのが正義なら、本分が忙しくて学生実習の学生にかまってあげられなくても、クレーム受付しないでほしいですね。勉強(本分?)が忙しくて部活動に出席しなかったら文句を言われた・・・みたいな話ですよね、これ。

公衆衛生の向上と増進の話はついていけないのでパス。

21世紀に向かって」求められるもの=「公衆衛生の向上と増進」という認識ですが、西暦2001年から西暦2100年までの100年間が21世紀ですから、もう10年ほど経過しています。ここは、いったん「総括」して、新しい注釈を入れる必要が・・・あるんだかないんだか・・・。いつまでも古い注釈を改定もせずに「指導の手引」に使っているのは、違和感があります。『薬剤師会って、実は倫理のことは棚上げしたいんじゃないの?』みたいな。

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