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『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第二条。

「薬剤師倫理規定の注釈」を読んでいくカテゴリ。今回は、第二条です。

第一条の「注釈」では、人権原理主義が唱えられていました。人権の範囲を定めていない話で、薬剤師は人権活動家にでもならなければいけないかのようでした。

  ☆

第二条(の注釈)

薬剤師はファーマシューティカル・ケアの目的に沿って、医療の担い手として、日常から自らを自制する心構えを持たなければならないとしている。

患者とその家族や社会の人々に対して人類愛を持って接して、薬剤師職能を最大限に発揮することを心がけねばならない。人類愛こそ医療の担い手としての薬剤師にとって最も重要な信念であらねばならない。

薬剤師の職能に反する行為と認められるときには、断固として薬剤師の良心と勇気を持ってこのような行為を阻止しなければならない。

  ☆

うわー。

トンデモなキーワードがきちゃいましたよ。

『人類愛』

『職能に反する行為を見かけたら、阻止』

ということです。

「ファーマシューティカル・ケアの目的に沿う」だけでも、わけがわからないのですが。

1. ファーマシューティカルケアを実践する目的

ファーマシューティカルケアを実践する目的は、私たちが患者にサービス(専門的技能)を提供し、そのサービスに対して患者が権限を付与するような信頼関係を薬剤師と患者の間に作ることと考える。つまり、患者に選んでもらえる薬局・薬剤師になることである。

(水野薬局さんのホームページから抜粋しました)

つまり、「注釈」が述べているのは、「患者に選んでもらえる信頼関係の構築」のために「自制しなさい(正確には、心構えだけあれば自制しなくてもいい)」と、薬剤師倫理規定第二条に書いてある・・・ということです。

薬剤師倫理規定第二条

 薬剤師は、常に自らを律し、良心と愛情をもって職能の発揮に努める。

・・・うーん。書いてないと思うんですけれどー。

ファーマシューティカル・ケアも、関係ないですよね。

「常に自らを律し」で止めていますから、

 1.薬剤師は常に自らを律する。

 2.薬剤師は良心と愛情をもって職能の発揮に努める

というふたつの項目が混在しています。

常に自らを律するのは、「心構え」という努力義務ではなく、明確な行動義務です。

そして、自律と自制は異なります。

自律:他からの支配・制約などを受けずに、
    
自分自身で立てた規範に従って行動すること

自制:自分の感情や欲望を抑えること

「人から何と言われようと、自分の道徳規範に従って、行動する」ことと、「内部外部問わずいろいろな理由があれば、行動することをやめる」こととは、全く違います。

キーワード『人類愛』も、困った言葉です。

「人類愛が大事なんですよ。一緒に人類愛を信念として活動しようじゃありませんか」と、鳩山語録的なことを「注釈」は述べているのですが・・・

薬剤師にとっての人類愛って、具体的には、何?

 薬剤師は 良心と愛情をもって職能の発揮に努める

としか、書いてありませんからねー。

「愛情」を「人類愛」にもっていくのは、トンデモさんですよ。

ましてや、それが「信念」だと言うのですから、びっくりです。

セイクリッドセブン(いわゆるパワーストーン)でも身につけていれば、実践したことになるんですかね?

もうひとつのキーワード『職能に反する行為を見かけたら、阻止』も、どうかしています。

「注釈」では曖昧にしていますが、「職能に反する【自分の】行為が認められたら、【自分が】阻止する」ことはありません。

「自分で自分の行為を阻止する」とは、言いませんよね。

「阻止する」と書いてある以上、自分以外の誰かが行っている行為を止める、という意味のはず。

阻止するにあたっての「理由・状況」に挙げられているのが「薬剤師の職能に反する行為と認められたとき」なのですけれど・・・。

薬剤師の職能って、確立しないグレーゾーン的なものが多いし、そういうもののなかから、確立していく職能もあるのですが・・・明確に「反する」というと、たとえば「診断(医師固有の職能)」ですかね? そうなると、証をしっかりみる漢方相談薬局は阻止されちゃうわけですか? なにかおかしくないですか?

 薬剤師は 良心と愛情をもって職能の発揮に努める

と書いてあるのですから、人の行為を阻止するのは、明らかに、いきすぎ。

「信念」をもとに、「断固として人の行為を阻止する」って、どこかで聞いたことがある、迷惑な人たちなんですよね。そこに愛情はあるのでしょうか。

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