« 『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第六条。 | トップページ | 『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第八条。 »

『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第七条。

『薬剤師倫理規定の注釈』を読んでいくカテゴリ。今回は、第七条です。

第六条の「注釈」では、『最重要の業務と最重要の技能』が定義され、『情報提供にあたっては医師の協力が必須』だと述べられていました。

第七条の「注釈」は、短めです。

  ☆

第七条(の注釈)

昭和60年の医療法改正以来、医療は地域医療をもとにして行われることになった。

薬剤師は面分業の中で「かかりつけ薬局」として、地域の人々に役立つような地域医療の向上に、薬剤師の職能を発揮して貢献することが求められている。

薬剤師は地域医療を推進するために率先して地域の人々の要望に応え、人々の健康のために行動して、地域の人々から信頼されるように努めなければならない。

  ☆

これだけでは・・・注釈として・・・説明が足りないと思いますけど・・・。

昭和60年の医療法改正で何が変わったかというと、医療の地域偏在防止を目的とした「都道府県医療計画制度」の導入でしょう。

でも、それを一言で「医療は地域医療をもとにして行われることになった」と片付けるのは、飛躍しすぎでは?

現在でも、医療はその財源を国家が担当し、お金の配分を決めています。根っこを国が押さえているのに「地域医療をもとにして」というのは、国家が財源を委譲しなくても地方分権ができると呟くようなもの。

「注釈」に書いてある【薬剤師は面分業の中で「かかりつけ薬局」として、地域の人々に役立つような地域医療の向上に、薬剤師の職能を発揮して貢献することが求められている。】という部分は、冒頭部分が変なので解釈に苦しみます。たぶん、【面分業の中で「かかりつけ薬局」として】という部分が、いらない子。また、【地域の人々に役立つような地域医療の向上】っていう表現は、【地域の人々に役立たないような地域医療の向上】がありうるという指摘なのでしょうか?

もともとの条文自体もシンプルです。

薬剤師倫理規定第七条

薬剤師は、地域医療向上のための施策について、常に率先してその推進に努める。

ほら、シンプルですよね。

「注釈」では【薬剤師は地域医療を推進するために率先して地域の人々の要望に応え、人々の健康のために行動して、地域の人々から信頼されるように努めなければならない。】とまとめていますが・・・。

これ、あさっての方向にまとめています。

「地域医療向上のための施策」を「推進する」んですよ。目的は、「地域医療の向上」です。

「地域医療」を「推進するために」「要望に応え」っていう注釈では、目的が「地域医療を推進すること」になっていますよね。向上ではなく、推進。どこへ向かってもOK?

で、「地域医療の推進」のために、率先して「地域の人々の要望に応え」、さらに「人々の健康のために」「行動して」・・・って、ここでも、また、「一般市民」最優先思想のお出ましですよ。

財源がなければ、あれもこれもはできないのですから、いかにやりくりするかを含めて、できる範囲内での最善をめざすのが、「地域医療の向上のための施策」。それを横で見ているだけではなく、誰かに押し付けたままにせず、薬剤師も率先して参加して、当事者意識・責任感などをもちなさいという「倫理」ですよね。

「一般市民」の溢れる要望全てに応えれば、それが必ず地域医療の向上になるかのような妄想を、学生に叩き込んでどうするんですかね? 借金してでも今をよくしよう!という考え方を勧めている条文ではないですよ、これ。

「人々の健康のために」という「行動する」理由が書いてありますが、薬剤師倫理規定第一条ですね、ここ。

なにか行動したからといって、【地域の人から信頼される】かどうかは別問題。薬剤師倫理規定第十条とのコンボでのみ有効です。

要望に応え健康のために行動しても、「注釈」の思想では、すべては「地域医療推進のため」。第一条の注釈で「公衆衛生」、第二条の注釈で「人類愛」とか言っていたのに、いつのまにか「地域医療推進のため」に働くのだという、ご近所視点に。

これまでの暴走っぷりから、「地域」=「地球」くらいのことを言ってくるかと思っていたのですが、肩透かしされた気分です。

|

« 『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第六条。 | トップページ | 『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第八条。 »

医療」カテゴリの記事

第七条」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/539089/47730388

この記事へのトラックバック一覧です: 『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第七条。:

« 『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第六条。 | トップページ | 『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第八条。 »