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『薬剤師倫理規定の注釈』の考察。第四条。

『薬剤師倫理規定の注釈』を読んでいくカテゴリ。今回は、第四条です。

第三条の注釈までで、「人類愛>>一般市民>>薬の倫理>>法律>>薬剤師」という図式が明らかになりました。

今回も、長々と、変なことが書いてありそうですよ。

  ☆

第四条(の注釈)

薬剤師はその職能として社会の人々と深い関わりあいを持つことから、生涯にわたって学習と研修に努めなければならない専門職能人である。

医療と医薬科学技術は年々進歩改良が著しい。これに伴い、薬剤師は、生涯にわたり知識と技能の習得と維持に努めなければならない。そのために(財団法人)日本薬剤師研修センターをはじめ、(社団法人)日本薬剤師会、(社団法人)日本病院薬剤師会などが薬剤師生涯研修事業として、それぞれの研修会を実施している。薬剤師はこれらの研修会に積極的に参加して、日進月歩の医療と医薬科学技術を自分のものにするように習得し、自身の技術の向上に努めなければならない。医療の担い手となる人々と協力して患者の生活の質向上のために、生涯研修は必要なものである。

また先輩の薬剤師や医療人たちの努力とその業績を理解して学び、これら先人達の献身的な努力で切り拓いてきた業績に対して、畏敬をもって正しく理解し、顕彰する謙虚さが求められる。これらの人々の業績を継承するとともに、自らの知識、技術、人格の研鑽に努めて、医療の担い手を目指す若い薬剤師たちの育成に努める。さらに将来薬剤師になることを目指す薬学生を育成することに、ボランティア精神をもって薬剤師を育成することを生きがいとして努力しなければならない。

  ☆

第三条でも用いられた、「人々(一般市民)」との「深い関わり」が全ての活動の理由づけとなる、恐ろしい脳内論理が展開されています。

「職能として人との関わりあいが深い」という話なら、他の職種だって、言えることです。

逆に訊いてみたいのですが「職能として人との関わりあいが浅い」ものって、なんですかね。この理由づけでいいなら、「職能として人との関わりあいが浅い」なら、自己研修しなくていいと主張しているとか? 変なの。

で。「生涯にわたって学習と研修に努めなければならない」≒「生涯にわたり知識と技能の習得と維持に努めなければならない」という断定の理由として、

1.社会の人々と深い関わりあいを持つこと

2.医療と医薬科学技術は年々進歩改良が著しい

という、ふたつの理由を提示されます。

どうみても、2番の理由、「科学技術の進歩」のほうが、生涯学習の理由づけとして納得できます。国家試験に「人々との深い関わりあい」関係の出題なんて、出たことありませんしね。

技術が進歩するのに伴って勉強するのは、専門職の基本。

でも、それを、「研修会参加」だのみにするのは、専門職として正しいのか、疑問。

「注釈」では、「研修会に積極的に参加して」という方向だけしか示されません。

「多くの研修会に積極的に参加した人」も、

「研修会に一度も行かずに自己研究や文献解読等を続けた人」も、

どっちも、勉強していることに変わりありませんよね。

「注釈」の記述では、まるで「最先端技術を学べる」かのように書いてありますが、実際の研修会は、そこまでのレベルではありません。予習の必要がない、具体的に何を学ぶのか前もって示されない、そんな研修会のほうが多いでしょう。

「注釈」には【医療の担い手となる人々と協力して患者の生活の質向上のために、生涯研修は必要なものである。】と書いてありますが、これ、どういう意味なんでしょうね?

もう一度読んでみてください。【医療の担い手となる人々と協力して患者の生活の質向上のために、生涯研修は必要なものである。】

・・・言い換えると、【生涯研修は必要。なぜなら、「医療の担い手となる人々と協力して患者の生活の質向上」】とか?

なんとなく、【患者の生活の質向上のために、他の医療職と協力するにあたって、生涯研修で得た知識や技能は必要でしょ?】と、言いたいのかな?

でも、薬剤師倫理規定第四条は、「他の専門職や患者との関係を抜きにした」規範なんですよね。

薬剤師倫理規定第四条

 薬剤師は、生涯にわたり高い知識と技能の水準を維持するよう積極的に研鑽するとともに、先人の業績を顕彰し、後進の育成に努める。

だれかのために学ぶのではないし、他の医療職との連携のために学ぶのでもありません。ただ、「薬剤師免許を国に返すまでは、自ら学ぶのが薬剤師である」と言っているだけです。

条文の後半部分について、「注釈」ではあれこれ述べていますが、どこまで本気なのか訊いてみたいところです。

「先輩の薬剤師や医療人たちの努力とその業績を理解して学び」

という部分までは、普通のことを言っているだけです。

「先人達の献身的な努力で切り拓いてきた業績に対して、畏敬をもって正しく理解し、顕彰する謙虚さが求められる」

「畏敬」って、先人をほぼ神格化する表現ですから「正しく」は理解できなくなりますよね。先人(ではなく、先人の業績かも…)を神様扱いしておいて、彼らを顕彰することが「謙虚(ひかえめでつつましやかなさま。自分の能力・地位などにおごることなく、素直な態度で人に接するさま)」なことだと言われても、よくわかりません。「(自分自身が神様レベルにスゴイけれど)他の神様のことも凄いと思っています」という話なら「謙虚」だなぁと思いますが・・・。

「業績を継承するとともに、自らの知識、技術、人格の研鑽に努めて、医療の担い手を目指す若い薬剤師たちの育成に努める」

という部分も、まともです。というか、薬剤師倫理規定第四条は、これしか言ってません。

ところが・・・最後に・・・

「薬剤師になることを目指す薬学生を育成することに、ボランティア精神をもって薬剤師を育成することを生きがいとして努力しなければならない」

という、超展開が待っているのです。

よくわかりませんが、ようするに、

【薬剤師の生きがいは、薬学生の育成(ボランティア)】である・・・と?

どこをどう読めば、そういう結論になるのか全く分かりませんが、こういうことを言う人が、後進を苦しめることになるんですよね。(例:アニメの製作費を格安に設定したマンガの神様)

そういうことなら、薬剤師である大学教授や学長、理事長は、ボランティア精神をもって、薬学生育成のために、超薄給でも働いてくれるんですか? と、訊いてみたくなります。

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