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診療報酬。パブコメの価値は公聴会アンケート以下?

公聴会アンケートは、ひとりひとりの意見をそのまま掲載して、非常に重視されましたが。

二月五日に発表された「診療報酬改定のパブリックコメント」は、いつもながらの「勝手な切り貼り」でつくられた、お粗末な代物でした。

公聴会会場限定の「閉じた」アンケート結果はきっちり(国民にも、中医協委員にも)見せるのに、パブコメという「開かれた」意見の結果は意図的に集約して、全容を見せる努力をしないというのですから、明らかに、「公聴会参加者のほうが、パブコメ発信者よりも優遇されている」ようです。

「公聴会でアンケートをとります。その結果は、パブコメよりも重視されます」というアナウンスがあれば、公聴会の傍聴席も、かなり埋まったんじゃないですかね。

では、診療報酬改定のパブコメをみていきましょう。

受付件数、2938件。述べ意見4623件

述べ意見のうち、1037件が「歯科医療の充実」。

900件ほどが、「再診料の値上げ・診療所なみに病院の再診料をひきあげる」。

「小児妊産婦新生児」に174件。

「外来管理加算の五分要件の廃止」に273件。

「質が高く効率的な急性期入院医療等の推進について」に272件。

「入院医療の充実」に389件。

「医師の業務の減少させる取り組み」に147件。

こういった『人気の意見上位七つ』だけで、七割以上。

意見の送付者は、「医療関係者」が94.7%。意見の件数から逆算すると、「歯科医療の充実」に1000件入っている段階で、少なくとも歯科医が20%以上。再診料や入院について意見を言うのは基本的にお医者さんですから、少なくとも50%はお医者さん。薬剤師に関係しそうな「調剤報酬について(66件)」と「後発医薬品の使用促進について(178件)」を足すと244件ですから、薬剤師は5%程でしょうか。

薬剤師、ほんとに意見を言わないですね。

でも、似たり寄ったりの意見はたくさんでなくても、小粒でもピリリと辛い意見がでているかもしれません。

パブコメ結果にでてくる意見が、意見者の書いた文章からは遠く離れたものになることは以前にも書きましたが、それを踏まえたうえで、今回発表された「結果」の文章をみていきます。

読み進みますと、まずは「Ⅱ-3 医療安全対策の推進について」に、薬剤師関連の意見が出ています。

『病院における医療安全対策の重要項目である感染対策において、感染制御専門薬剤師等の認定を受けた病院薬剤師は、その専門的な知識を駆使して感染制御チームにおいて重要な役割を担っている。また抗生剤の適正使用の指導・管理等にも積極的に関与しており、次期診療報酬改定において、医療安全対策の推進のため、感染制御に精通した薬剤師の人員配置(チーム医療)による評価を強く希望する』

とのこと。

次期というと、今回改定の次の改定の話ですから

今期からやれと意見すればいいのに

と思いますけれどね。次期でいいのなら、中医協の三浦さん&お役人さんに根回しすればいいだけのこと。感染制御専門薬剤師は現時点で全国合わせて200人くらいいますけど、まだ評価対象にするには二年早いという意見なんでしょうか? そういった奥ゆかしい気持ちだとしても、「今回の改定案に対する意見」を出すのがパブコメのルールです。「内容の修正」か「書いていないけれど今回検討してほしいこと」を意見として提出するのでなければ、他の意見の邪魔になるだけですね。

「指定した本、あるいは好きな本の、読書感想文を提出しなさい」という宿題に対して、感想は一切書かずに「来年は、こんな本が読みたいです」と書いてくる生徒。・・・そういうことです、この意見は。

で。ひとつだけならともかくとして。

全く同じ『次期診療報酬改定において』『チーム医療の評価』を求めている意見が、「Ⅲ-1 質が高く効率的な急性期入院医療等の推進について」に、載っているのですが・・・。

なんか、組織的なにおいがしますね

公聴会のアンケートのように、提出者の所属を明確にしてほしいものです。

公聴会でも、誰か(少し具体的に言うと、宮城県の病院に勤務している薬剤師の男性)が、「次期」って言ってましたよね、たしか。

組織を挙げて、募集していない意見を述べているとしたら、せっかくいい意見を言っていても、「ルール破りをするような品格のない人たちには、チームに入ってほしくないです」とか、言われちゃうかもしれません。

さらに読み進めます。

続いての意見は・・・、『Ⅲ-6 介護関係者を含めた他職種間の連携の評価について』にあります。

『介護老人保健施設には薬剤師の設置義務がないため、調剤業務が最優先され、サービス担当者会議や臨床活動が出られない状況にある。他業種との連携が取れない。そのため必要な服薬されるべき薬剤が、看護婦の進言で減量されたり、薬による副作用がでていても長期に気づかれなかったりしている』

ということですが。

えーと。主な主張は、ようするに・・・書いてないので想像するに・・・『介護老人施設に、薬剤師の設置を義務づけてほしい』ということでしょうか。そうなることで、他職種との連携がよくなり、薬の管理が改善する、というような。

「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」によると、

『2 薬剤師 薬剤師の員数については、入所者の数を300で除した数以上が標準であること。』

という具合で、医師のように常勤にする基準は書いていません。

「平成19年 介護サービス施設・事業所調査結果の概況 (1) 職種別常勤換算従事者数」では、『薬剤師』という項目自体がありません

現状では、調剤関連はアウトソーシングしている施設もあるわけですが・・・、この問題、設置を義務化すれば解決するのか、介護老人保健施設の施設長さんがマトモだったら起こり得ない問題なのか、そのあたり、議論してほしいものです。

次。『Ⅳ-1 後発医薬品の使用促進について』は、興味がないのでほったらかしにします。そんなに後発化したいのなら、「国策で先発品を薬価から削除」すれば、保険を使った調剤は不可能になりますから、一気に後発化が進むんですけれどね。どうせ、国内で保険上使える薬を決めているのは国なんですから。

Ⅲ-7 調剤報酬について』への意見は、筆者も提出しましたので、別の記事で。

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