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診療報酬。パブコメとか公聴会とかの歴史。

『平成20年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」に関するご意見の募集について』

という案内が出たのが、二年前の、平成二十年一月十八日。

平成二十年一月二十五日までに意見を送ること、となっています。

『募集について』本文では、こう言っています。

(前略)「現時点の骨子」を基に具体的な議論を行っていくこととしておりますが、医療の現場や患者等国民の皆様の御意見を踏まえながら、幅広く議論を進めるという観点から、今般、以下の要領により「平成20年度診療報酬に係る検討状況について(現時点の骨子)」に対する御意見を募集することといたしました。

いただいた御意見については、今後、中医協の場等で公表させていただく場合があります(個人が特定されるような情報は秘匿いたします。)。

また、御意見に個別に回答することは予定しておりませんので、その旨御了承下さい。

以上です。

実際に、どのように、「国民の皆様のご意見を踏まえながら」議論が行われたのかというと。

まず、一月二十五日に開催された、前橋市民文化会館小ホールでの「公聴会」で議論がありました。

『一月二十五日(必着)まで意見募集しているにも関わらず、一月二十五日の13:00~16:01に、公聴会を行った』ということは・・・。

電子メール提出が認められていますから、一月二十五日が終わるまでは、「(必着)」の範囲内。ということは、その時点で送られた意見は、「踏まえなかった」ということです。

ちなみに、その『公聴会』、一月十日付けで、案内が出ています。

『中央社会保険医療協議会では、平成20年度診療報酬改定に当たり、医療の現場や患者等国民の声を反映させるため、中央社会保険医療協議会委員が国民の皆様方の声を聴く機会を設定することを目的として、以下のとおり「公聴会」を開催することといたしましたのでお知らせいたします。

傍聴を希望される方は、郵送又は電子メールにより、1月17日(木)17時までに事務局へお申し込みください。(申込方法は「別紙」参照)

申込締切後、事務局より「入場整理券」を発送いたします。(申込者多数の場合には抽選とさせていただきます。)

なお、今回の「公聴会」につきましては、通常の中央社会保険医療協議会の傍聴とは異なり、当日「入場整理券」のない方は傍聴できません ので御注意ください。

また、当日の公聴会において意見発表をしていただく方を併せて募集いたします。 平成20年度診療報酬改定に関する御意見がある方は、傍聴申込の際に御意見の内容を簡潔に記載の上、事務局へお申し込みください。

意見発表をお願いする方につきましては、後日事務局より御連絡いたします。』

という案内です。

公聴会用の『意見』と、それ以外の『意見』。ふたつに、分けたということです。

公聴会用は、会場での発表を求められていますから、【わざわざ群馬県の前橋市まで出かけて行って(東京から一時間。往復4500円)】【平日の昼間に意見を述べられるような人】限定の『意見』です。

それ以外の意見のほうが、身体束縛がない分、自由で幅広い意見がでてくるのは、明らかですよね。

で、傍聴は、整理券必須。なお、前橋市民会館小ホールの収容人数は693人(傍聴者人数は300人)です。

意見発表希望者は、33名。

公聴会の議事録によると、

『その中から、意見の内容及び発言者のバランス等を考慮いたしまして、私ども公益委員のほうで選ばせていただきました10名の方に意見の発表をお願いしております』

ということです。『発言者のバランス』って、何でしょう。

傍聴・意見発表希望の応募はがきには、「氏名」「所属または職業」「住所」「電話番号」以外に、個人の『情報』はありませんから、『発言者のバランス』にあたるのは、この、どれかですよね。

名前や電話番号で「バランス」というほど突飛な思考ではないでしょう。意見発表をするためなら平日の群馬に行きますよと手を挙げた方たちですから、住所も「バランス」とは無関係。

残るは、「所属または職業」。どうも、軽い職業差別のようです。

この段階で、かなり、「仕込み」なイメージがしてきますけど、まあ、それはおいといて。

「バランスのとれた」発言者は、以下の通り。

 群馬県前橋市の内科医さん。

 千葉県千葉市の歯科医さん。

 群馬県桐生市の薬剤師さん。

 東京都の労働組合役員さん。(元看護師)

 群馬県伊勢崎市の病院副院長さん。

 群馬県の自動車販売健康保険組合の方。

 日本がん患者協会の方。

 神奈川県の薬害肝炎東京訴訟の原告の方。

 前橋から車で一時間の市の病院事務員さん。

 神奈川県横浜市の保険医協会の方。

以上、十名。関東圏在住者ばかり。会場、群馬だしね。

会場の雰囲気は、日本がん患者協会の方が語っています。

「今日、これまで会議を聴かせていただきまして、初めてのこういう場だったのですけれども、第一印象として、とても雰囲気が暗いなというのでびっくりました。もっとパワフルなものかなと思いました。なぜこんなに雰囲気が暗いのかなと思ったら、後ろ向きの努力というのですか、後ろを向きながら一生懸命何か努力しているような、何か未来に展望がないというか、明るさがないのです。」

この感想が気になったのか、時間が切迫しているのに「暗くやっているつもりはない」との軽い反論が土田会長から出ていますが、まあ、実際、暗く見えたのでしょう。600人収容のホールに傍聴者が300人ですから、まあまあ埋まっているんですけれどね。

公聴会議事録では、土田会長が、『意見は聞くだけです』という話をしています。

『なお、本日の公聴会は、御意見をお聴きするというのが最大の趣旨でございます。したがいまして、今日いただいた意見につきましては、後日取りまとめた上で、それをもとに御議論いただくという場を設定しておりますので、今日は委員の皆様方には、まことに恐縮ですが、いただいた意見に対する確認及び質問のみに限定していただきまして、その意見に対する反論であるとかあるいはそれに対する自分の意見の表明であるとか、その辺はちょっと御遠慮していただきたいというふうに存じます。』

意見を聞いて、意見の内容を確認するだけなら、公聴会って必要なのかなー・・・。

なんか、タウンミーティングを思い出しますね。

・・・さて。公聴会の次は、中医協(平成20年二月八日)での議論になります。

このとき、意見募集の結果をまとめた資料が提出されます。

その内容について、事務局が一通り(読めばわかるようなことを、たぶん、読んでこないダメな委員のために)話したあとからが、問題。以下、議事録から、そのまんま転載します。

○土田会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの報告につきまして御質問、御意見などございましたら、どうぞお願いします。

○大島専門委員
 極めて概括的な話でいいのですけれども、医療関係者と医療関係者以外との間の意見の相違というのは際立ったものがあるのか、ほとんど同じようなものなのかということについてお話しいただければと思います。

○事務局(八神保険医療企画調査室長)
 そういったきちんとした分析ができているわけではありませんが、先ほど例えばデジタル加算の話を申しましたけれども、医療関係者の方の意見が集中しているところと、医療関係者以外の方が集中しているところ、ちょっと分かれましたので、同じ質問について意見が分かれているかどうか、そういうところまでは数字から見てとるのはちょっと難しいかなという感じがしております。関心が少し違うのかなと受けとめております。

○対馬委員
 デジタル管理加算のところで、医療関係者以外の方が、デジタル加算の存続については賛成ということなのですが、それは一般の国民とか患者というか、ないしはこういった業者さんなのか、そのあたりはなかなか言いにくいところなのでしょうか。

○事務局(八神保険医療企画調査室長)
 属性で見ますと、先ほど医療関係者以外は1,874件と申しました。うち会社員と書いておられる方が1,658件でございました。患者というような属性の書き方がないものですから、患者さんという方はございませんが、分かる範囲で申しますと、そういうことになっております。

○土田会長
 ほかにございますか。よろしいですか。
 御質問がないようでしたら、本件についてはこのあたりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

以上、おしまい。

「国民の皆様の御意見を踏まえながら、幅広く議論を進め」

た結果が、これです。四千の意見の出番は、これでオシマイ。

平成18年の第一回意見募集はどうだったかというと、

○禁煙指導の意見数が多いね。

○意見の数が多くても、それは考慮しない。

資料を日医総研で分析するのはやめろ

○個人情報があるから、委員であっても、原本は、見せない。(※お役人倫理)

という「議論」でした。

「全部読んでみる」「シンクタンクに分析させる」という松原委員の意見をぶったぎり、議論の発展を封じるお役人さんの図です。

平成18年の議論では、けっこういいこと言っている委員がいるのですが、それを封じようとする声の大きな人たちもいるわけです。

「いいこと」の例。

○石井委員 このまとめを見ますと、一応中医協の論点がそのまま出ているという感じなので、それはそれでいいのですけれども、パブリックコメントというのは、やはり中医協の議論では出されない角度からの論点というものがあれば、これは我々として特に聞かなければいけない。国民的なコメントが大体中医協で出てくる論点であるなら、中医協としては、お互い自信を持って国民を代表してここで議論しているのだということで大変結構なことだと思うのです。けれども、ここで論点が出ないような角度からの意見があったら、それはぜひ事務局の方も、そういった点を意識的に取り上げていただきたいと思います

「封じようとする」人の例。

○堀江室長 まさに今回やっていただいて、では、これで次回についてはというように話をそらすつもりもない前提で申し上げますと、中心的な論点以外のものにももう少しよく目を光らせるような編集方針でいくようにすべきだというところは十分承りまして、先にそらすつもりはございませんけれども、次回はそのように編集していきたいというふうにも考えております

と答えた次回の資料に追加されたのは「意見者の属性」と「緊急課題と位置付けた、中医協の議論に出ていた論点」のふたつ。中医協では論点にならなかった項目を「意識的に取り上げた」編集をおこなうはずでは? なんかずれてない? (堀江室長から八神室長にバトンタッチしている影響もあるかもしれませんが)

この堀江室長の発言なんて、ほんとに、読んでいて「ええーっ?!」です。お役人的には、「素晴らしい答弁だ!」ということになるのでしょうけれどね

注釈をつけると

○まさに今回やっていただいて(※と、相手を持ち上げておいて)、では、これで次回についてはというように話をそらすつもりもない前提で申し上げますと(※と、話をそらす)、中心的な論点以外のものにももう少し(※とくに基準は作らないので、発言者の心の中で気持ちだけ)よく目を光らせるような編集方針(※方針だから誰かがやるのであって、自分は無関係)でいくようにすべき(※すべきだと「言われた」だけで、自分がそうすべきだとは全く思っていませんが)だというところは十分承りまして(※話だけは聞いたことにして)、先にそらすつもりはございませんけれども(※大事なことなので二回言って印象付け)、次回はそのように編集していきたいというふうにも(※というふうにも。編集したくないなというふうにも。今晩のおかずは何かなというふうにも。)考えております(※が、二秒後には忘れます)

・・・くらいの、無責任発言です。

この発言に続くのが、この発言。

○土田会長 そういうことでよろしいですか。
             〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○土田会長 どうもありがとうございました。それでは、次の議題に進ませていただきます。

・・・・・・・・・異議なし、って言った人、議場から出ていってほしいものです。

できる/できないを確約させて、言質をとるのが、こういうときの基本でしょうに。

まあ、それでも、平成18年には、新しく始めたことに対して、前向きに、なにかしようという熱があったわけですが。

第二回、平成20年。

意見を集めるだけ集めておいて、この程度の「議論(と呼んでいいのか疑問ですが・・・)」です。

で、過去の歴史を踏まえて、今年、平成22年の話になります。

今年は、パブリックコメントを始めてから、三回目になります。

『平成22年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」に関するご意見の募集について』本文では、こう言っています。

「現時点の骨子」を基に具体的な議論を行っていくこととしておりますが、医療の現場や患者等国民の皆様の御意見を踏まえながら、幅広く議論を進めるという観点から、今般、以下の要領により「平成22年度診療報酬に係る検討状況について(現時点の骨子)」に対する御意見を募集することといたしました。

いただいた御意見については、今後、中医協の場等で公表させていただく場合があります(個人が特定されるような情報は秘匿いたします。)。

また、御意見に個別に回答することは予定しておりませんので、その旨御了承下さい。

うわー。これまでと、全くおんなじ文章です。

不安です。とても不安です。

お役人さん側のスタンスは、全然変わっていないようです

中医協のメンバーがそれなりに違うので、今度こそは、まともに議論してくれるものと信じます。「市場実勢価格の調査方法公開要望」みたいなコメントを無視するような、形式だけのパブコメは、もういい加減卒業!ということで。

なお、今年の公聴会は一月二十二日。場所は福島県文化センター大ホールです。

前回の傍聴人数を踏まえて、今回は「当日傍聴可能!」ですし、収容人数も前回の倍以上の1500人ということです。会場がガラガラだと悲しいので、お近くの方は、気軽に行ってみてください☆

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