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お役人論理:内服薬処方せん記載のパブコメ

法律と、その運用細則を、どこまで頑張って守るのか・・・という【薬剤師倫理規定第三条・第五条】っぽいお話。

「内服薬処方せんの記載方法のありかた」検討会のパブコメと、それに対するお役人さんの回答は、いつものパターン。

「たくさんの意見を集約して、同じような意見は、まとめました

と、検討会の委員の仕事が増えないように頑張りました!的なことを言って、そのくせ、細かい【理由】【論理展開】は一切無視する方向で「意見」をつくりあげるのが、いつものお役人クオリティ。

「同じ意見」をまとめるのではなく「同じような意見」をまとめているということなので、「とても大事な細かい違い」に関しては、そんなのどうでもいい、という姿勢で、「感情的にぶつけてきた、最も下手な、核心をついていない質問」の中に埋没させるようです。

論客の意見を相手にするのではなく、扱いやすい意見にだけ回答するのが、いつものやり方です。その時々で、「意見が多いこと」自体を重視するときもあれば、「多くある意見のうちで一番マヌケな意見」を重視することもあるという、ディベート必勝法を用いるわけですね。

とりあえず、パブコメ回答のページに載らず検討会のページにひっそり公開された、再反論を許さない「パブコメの結果」を見ていきましょう。

1  1回量記載ではなく1日量記載に統一すべき。

 内服薬の処方せんの分量記載が統一されていないことによる誤認・情報伝達エラーを予防するため、服薬・投薬行為の最小基本単位である1回量を記載すべきとの観点から1回量を処方せん記載の基本としたところです。
 なお、注射薬については、すでに1回量を基本とした処方がなされており、内服薬の1回量記載は注射薬の記載とも合致するものです。
 さらに、海外でも内服薬処方せんについては、1回量を基本とした記載が行われており、国際的な基準に沿ったものといえます。

うーん。質問が悪い。

というか、そういう質問に「まとめた」のは、回答側ですけど

『一回量と一日量を両方記載する現行の仕組みでよいではないかのぉ』

というのが、基本線のはずです。

日薬の岩月さんも、検討会の中で、そう言っています。

それを、「そんなこと言ったら、この検討会の意味がないじゃないか。解散すればいいじゃないか!」と、声の大きな委員がブータレた、というのが、これまでの流れ。

もともと、「一日量も一回量も規格も剤形も、あれもこれも・・・全部、書きなさい」というのが日本のやり方です。

日本では、はじめから、外国よりも、もっと情報量を増やして、間違いのないように、チェックしやすいように、丁寧に書くことが求められているのです。

それを、お役人さんは、「外国にあわせよう」とか言っているわけです。

外国のほうが進んでいるかのように、誤魔化して。

「国際的な基準よりも上」の基準で運用しているものを、「基準を下げよう」と言っているわけです

なんだかなー。

日本のほうが進んでるじゃん。

あ、注射薬は、内服薬じゃないから、ここで例に出てくるのは根本的におかしい話です。

2  1回量を基本とした記載方法に統一すると、過渡期に現場が混乱するので
はないか。


 内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書においては、移行期において混乱が生じることのないように、関係者に対して標準的な記載方法を周知徹底するとともに、当分の間は、1回量及び1日量を併記することとし、移行期に留意すべき事項についても関係者に協力をお願いすることとしています。
 また、医師、歯科医師、薬剤師及び看護師における卒前・卒後の教育を実施し、新たに標準用法マスタを作成するなど、過渡期における混乱の防止に努めることとしております。
 さらに、「内服薬処方せん記載のあるべき姿」の定着状況について、2~3年のうちに中間評価を行い、具体的な対策を再検討しながら進めていく予定です。

併記って、この回答だけ読むと、「どっちかでいい」という意味のようです。「両方書け」という意味ではなくて。

【併記】 並べて記録すること。あわせて書き記すこと。

日本語の使い方として、おかしくない?

併記と言うなら、一枚の処方せんに、「一回量および一日量」の、両方を書く、ということです。

それを、「当分の間」?

疑問の答は、「3」の回答参照。

もともと、併記するようになっているのです。今現在も、ね。

現在の「標準的な記載方法」は、まさしく「併記」、両方書く、ということです。

そっちを周知させればいいだけのことでしょう。

レセコンで「併記」入力ができないのだとすると、現行のルールを徹底できるようなシステムを、レセコンメーカーがきっちり作っていなかったことが最大の問題となりますが、一回量処方記載に統一することで、問題の原因であるレセコンメーカーが、新たに統一された書式用のレセコンを販売して、儲かる構図というのは、どーなんでしょうか。「移行期」とする「当分の間」って、ようするに、レセコンメーカーの製品開発期間の確保ってことですよね。現場だけが、お金を吸い取られていくのって、おかしくないですか?

教育の実施? 「両方書け」という教育から、「こっちだけでいいよ」という教育にレベルダウン。どれだけゆとりか。

教育するなら、「医師は面倒がらずに両方書け。薬剤師は面倒がらずに疑義照会しろ」という基本の徹底が大事なんじゃないんですかね。

お役人が再検討っていうときは、ようするに、「ボクチンの異動で責任がなくなったら、好きにしていいよ」っていう意味なので、さらに改悪されそうです。

現場が混乱する様を三年もほったらかしにしてみないと、何もわからないっていう考え方のようです。お役人の再検討は、おおむね、三年とか五年とか、無意味に長い期間をかけますから、再検討うんぬんの記載は、責任逃れの常套句。

3 不均等投与の場合、標準的記載方法では、どのように記載するのか。

 例えば、製剤名プレドニン錠5mg を1日7錠、1日3回に分けて、朝4錠、昼2錠、夕1錠、7日分処方する場合には、

当分の間は、
「プレドニン錠5mg 1 日7錠(朝食後4錠 昼食後2錠 夕食後1錠)7日分」

あるべき姿は、
「プレドニン錠5mg 1回4錠 1日1回 朝食後 7日分
プレドニン錠5mg 1回2錠 1日1回 昼食後 7日分
プレドニン錠5mg 1回1錠 1日1回 夕食後 7日分 」
という記載になります。

「2」での疑問の回答が、ここに。

「当分の間」に行う「併記」は、「一日量も一回量も、両方書く」という、「併記」本来の意味でした。

・・・あれ?

これ、「現行制度の徹底」ってことじゃん。

それができないって誰かさんが言うから、変えるんじゃなかったっけ?

できるなら、徹底しなさいよ。今すぐ。

4 薬名を一般名で記載した場合も、分量は製剤量を記載すべき。

 例として、製剤名「セレニカR顆粒40%」(原薬はバルプロ酸ナトリウム)という薬を製剤量で1 日1250mg 処方する場合を考えます。
 「バルプロ酸ナトリウム」という一般名を記載し、分量を製剤量で1250mg と記載すると、原薬量で1 日1250mg×0.4=500mg 処方を意図していたにもかかわらず、その2.5 倍量を処方するリスクがあります。

(図)セレニカR顆粒40% 1250mg
バルプロ酸ナトリウム + 添加物
《原薬量 500mg》
《製剤量 1250mg》

(注釈)
 セレニカR顆粒40%1250mg は、原薬(バルプロ酸ナトリウム)を500mg(40%)含む製剤である。
 したがって、標準的記載方法では製剤名を記載した場合、分量は製剤量を記載し、一般名を記載した場合には、分量は原薬量を記載することとしています。
 製剤名を記載したにもかかわらず、分量を原薬量で記載したり、一般名と製剤量を同時に記載することは、処方時や調剤時の過誤の原因となる恐れがあるため、標準的記載方法を徹底することとしています。


んー。

g=製剤量

mg=原薬量

が原則で、念のため「製剤量」とか「原薬量」とか書いておく、というのが、ルール。

これも、今までどおり。

ルールを破っているほうが悪いのですが、「そのルールについていけない人がいるから」という理由で、「より守るのが簡単なルール」へと変更するというのです。厚生労働省は。

【校則を守れない学生がいるから、その人たちでも守れるように、校則を変えます】という、ダメな生徒会並みのセンスです。

5 標準的記載方法に沿った処方せん記載とするためには、処方オーダリング
システム等の改修に費用がかかるのではないか。

 標準的記載方法に沿った処方せん記載については、義務化することはせず、医療機関ごとの処方オーダリングシステムの更新のタイミングに合わせた導入を働きかけることとしています。
 また、標準用法マスターを整備する等、システムの切り替えが円滑に進むよう、医療システムベンダーとも協力していくこととしています。

義務化しないのなら、やるな。

むしろ、現行のルールを義務化しろ。

現行の処方せん記載ルールすら守れない人が、義務化しない記載方法を守るわけがないでしょう。スルーですよ、こんなの。

ルールを守っている人たちが、損をする・・・これ、どーなんですか?

6 教育機関や現場の医療関係者に対し、統一した教育を実施すべき。

 医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の養成機関においては、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を実施し、内服薬処方せんの標準的な記載方法をもとに国家試験等へ積極的に出題することとしています。
 また、医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の臨床研修等の卒後の教育においても、上記養成機関における対応等を踏まえ、医師卒後臨床研修ガイドライン等に内服薬処方せんの標準的な記載方法を明記し、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を実施することとしています。

だからさー。

「統一した教育」を実施すべきなのは、「現行のルール」なんじゃないの?

で、「過渡期」とか言っている間は、「現行のルール」を徹底させるんでしょ?

じゃあ、それでいいじゃん。

振り上げた拳を納められないからとか、そーゆーの、もう、やめたほうがいいってば。

7 処方せんを手書きで記載する場合、負担がかかり対応が困難であるため、記載方法の義務化に反対である。

 内服薬の処方せんの標準的記載方法については、内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会において医療安全の観点からとりまとめた指針であり、義務化を行うものではありません。
 標準的記載方法に基づいた処方への移行状況や、処方せんに関する医療事故等の状況について、2~3年のうちに中間評価を行い、遅くとも5年後に、対策について再検討することとしています。

こういう意見の持ち主が、現行のルールを守ってくれれば、問題はおきないんですが。

機械を使ったオーダリングだって、レセコンメーカーが手抜きしているからか「現行のルール」どおりに記載できません。

現状、手書きで記入する項目が多いからという理由で「現行ルール」を守っていない人たちが、記入する項目が減るのに対して「これもできない。もっと減らせ」と駄々をこねているわけです。どこまで項目を減らせば、できるようになるのでしょう。

「ルールを守らない」人が権限上上位者であるから、下請け側は「粛々とルールに合うように疑義照会などで正している」という構図です。

で、ここでも、お役人は「これは指針です」「義務化ではありません」と言います

繰り返しますが、それなら、現行ルールのままでいいじゃん。

声の大きな人の面子をつぶさないために、何の意味もない提案を「義務じゃないですから」と言いながら出してくるのって、困るんですよね。

ほら、真面目な人が、何も考えずに、その「指針」を守ろうとするから

で、『義務じゃない』って言っているのに、何も考えないけど真面目な人が、「義務だ」と勝手に勘違いして、話を進めようとするから。

もうちょっと、「何も考えないけど真面目な人」のことも考えて、提案してほしい、今日この頃です。

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