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生徒会選挙の、よくある風景

国政選挙が終わったころ。

御薬学園でも、今年何回目かになる生徒会役員選挙が行われようとしていました。

本命候補は、紫炎七瀬(しえん ななせ)。現在の生徒会長です。

任期中、すでに三回の信任解散を行っているお騒がせ会長は、今回の選挙も信任選挙だとして、意気揚揚、選挙活動に励んでいます。

【ななせ】の選挙活動は、無限大の夢を破裂させたような公約と、その公約を実現させる可能性を含めた現実的推進案とがセットになった、分厚い資料から始まります。

数キログラムはある資料を片手で振り回しながら、【ななせ】候補は教室をめぐります。

ななせ「老朽化した第三プールに屋根、ジェット水流機構、温水化を施すことで、冬場は若者向けダイエットスパとして役立てたい。水流機構は運動選手の体力強化訓練にも効果的であるし、ゴジラ映画の撮影にも使える。一石数兆だ」

むつき「一石二鳥と経済効果数兆円とをかけた造語ですね。なお、維持費関連は資料342番をご覧ください」

ななせ「もともと老朽化していることを踏まえ、総施工費用20億円のうち60%は学校負担とし、残りの8億円を生徒会募金で賄う予定だ。そこで広告塔となるのが脳みそ筋肉、お前だ」

びしっ。と、【ななせ】候補が、指さした先には。

いつめ「えっ。お前だ、って、何が?」

むつき「『脳みそ筋肉』は、いつめさんのコードネームです」

ななせ「学園は各種国内大会への参加を自粛しているが、今年度特例として、お前を高校総体にエントリーした結果、参加した25の個人種目すべてで全国大会優勝という前代未聞の結果を残した。これを利用しない手はないだろう」

いつめ「そりゃ、会長が、赤点なんとかしてくれるっていうから行ったけど、結局、あとから記録抹消になっただろ」

むつき「いつめさんは、圧倒的な運動能力を誇りますが、中学三年生ですからね」

高校総体ですからね。失格になるのは当然です。

ななせ「ふふっ、そこが戦略だ! 騙しとおせそうだったが、私があとからリークしたのだ!」

いつめ「うわっ、チクったの、会長かよっ」

ななせ「伝説的な事実だけが、永遠に残るのだ。生ける伝説と化したお前ならば、8億の呼び水として不足なし! 喜べ!」

いつめ「な、なんか納得いかーん!」

むつき「まあまあ。赤点の件は穏便に処理しておきましたから」

いつめ「あー・・・それじゃあ、しょうがないなぁ・・・」

学園のコンピューターにハッキングして・・・という話は、内緒です。

こんな「黒い生徒会」に対抗すべく、対立候補がでるかと思いきや。

結局、立候補締め切りまでに、届け出にきた対立候補は・・・。

ひとみ「はーい。りっこうほ、しまーす!」

と、締め切り間際にやってきた、【ひとみ】さんくらい。

ひとみ「りっこうほしたら、ジュースもらえるってホント?」

なんだか、献血かなにかと混同しているようです。

そのうえ、届出用紙を書いているうちに、時間切れ。終了。

今回の選挙も、現職の圧勝でしたとさ。

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