【前説】
東京保険医協会さんの意見は、読めば読む程、スルメのようないい味がでてきます。
ホームページに公開されている数々のパブリックコメントの内容は特にいい味です。とても鋭いので、お時間のある方と、お時間がなくても行政・政治関連の方は、読んでみてください。全患者への明細書発行の義務化なんか無意味だとか、説明は保険者がやれとか、メタボリックシンドロームなんか全否定とか、半径4Km内に診療所が存在しない制限なんてアホかとか、当時の中医協委員にいたら素敵だったのになぁ、と思う意見の目白押し、にみえます。(注:そこまで過激なことは書いてないです。すこし盛りました。実際のところは、以下のリンク先でどうぞ)
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東京保険医協会さんの2008年要望パブコメhttp://www.hokeni.org/top/public/pdf/080125public.pdf
【内容を少し抜粋】
「後発品の使用促進」の大号令は、「医療費削減」のための一つの具体策であって、医療を良くしようという発想から出たアイデアではない。「後発品標準化」が叫ばれている今の日本の光景は異様である。先発品にもいろいろな薬があり、後発品にもいろいろな薬がある。
われわれの要求
われわれは、先発品・後発品を区別することなく、広い選択肢の中から、薬効・価格を含めて、冷静に良い薬を選択することが最も理性的な判断であると考える。すなわち、処方せんの様式によって一方を誘導することなく、06 年診療報酬改定以前の様式に戻すことを要求する。
先発品がそもそも高すぎる
医療経済の視点からは、先発品の価格引き下げが先決である
先発薬の価格設定の根拠とされる開発費・研究費の実態には批判がある(Marcia Angell,M.D. ほか)。また、先発品の特許期間終了後(先発品発売後平均20 年)においても、先発品・後発品の価格差(30%)が温存されている仕組み自体が問題である(桜井 前日医副会長)。
先発医薬品の価格引き下げ、および、特許期間終了後の価格差撤廃が先決課題である。
以上、医療の質、医療経済のいずれの視点からも、①医薬品の有効性と安全性の確保にあたっては先発品・後発品の区別なく必要な検査基準等を設定すること、②先発品の価格を引き下げること、③処方せんの様式を06 年診療報酬改定以前の様式(どちらにも誘導しない様式)に戻すこと、を要求する。
以上、私(※東京保険医協会副会長 和田知可志さん)一人で記述したが、本業のかたわら、短時間でコメントを出すことは物理的に甚だ無理がある。
時間切れのため言及できなかった部分が多数あることを申し添えておく。
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四年前の、このパブコメでは、いいことをいっぱい言ってるんですよね。
『「診療計画」という形式が、高齢者医療の実態になじまない理由』の項目など、鬼気迫るというか、「おおおっ!」と言わせる迫力があります。
「嗚呼、これらのパブコメの意見が、うまく反映されていたらなぁ…。」と考えていくと…、パブコメをとりっぱなしでろくな検討もしない中医協には、いつか、もったいないオバケが出そうな予感。
中医協で先発品の後発品並み価格への引き下げのネタがでたとき、特攻隊長・先駆け先生的に『ちゃんと議論せんかぁぁあああっ!』と、すぐに意見書を提出できる勇者は、きっと、東京保険医協会くらいでしょう。傍聴席からにらみをきかせて、医系委員に足りない勇気を補完。
ちなみに2010年は、だいぶ減りまして、以下のようなパブコメに。
http://www.hokeni.org/top/public/pdf/100109public.pdf
http://www.hokeni.org/top/public/pdf/100121public.pdf
後発品に関しては、「同一成分・同一規格のものの適応は同一に」という、まっとうな主張に絞っているようです。2010年パブコメでは、後発品の品質については述べていません。
2012年については、掲載がありませんでした。(「主なパブコメ」なので、パブコメ自体は出していても掲載していない可能性があります)
で、過去にこういった主張をしていたことを踏まえまして…、
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【本題】
今回は、日本経済新聞さんへの反論について、読んでみます。
日本経済新聞webサイトの記事からは消えているので、どんな内容について反論しているのかな~とあちこち見て回ったのですが、「ここからは会員専用です」みたいな記事が多くて、よくわかりません。以下のような記事だったという前提で、考えていきます。
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医療界は後発薬普及を促せ
厚労、財務両省はジェネリックの普及を医療改革の柱に位置づけている。これまでに診療報酬の調剤基本料を加算したりしてきた。今年4月からは、調剤薬局が「指導料」を得る要件として「ジェネリックの価格や在庫情報を患者へ文書で示す」などを加えた。
しかし一部の医師の意識改革の遅れもあり、決め手に欠けるのが実態だ。2009年9月の薬価調査によると、ジェネリックの市場占有率は数量ベースで20.2%。米国は70%程度、英国やドイツは60%台で推移している。 日本は12年度に30%に高めるのが目標だが、達成は危うい。財務省の試算によると、30%になれば20.2%のときより医療費を年間4800億円減らせるという。
最近、一部の診療所がジェネリックへの患者の理解を妨げるようなポスターを院内に張り出した。成分が先発薬と同じではない、効能のばらつきが大きい――などと誤解させる文言をふくんでいる。
東京の医療団体が6千部つくったという。医師の臨床経験に基づく内容だと説明しているが、ジェネリックの関連学会は正確性を欠くと指摘し、内容の変更や回収を求めている。患者の正しい理解を助け、選択肢を増やすことこそが医療界の役割であろう。
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ふむー?
これは、東京保険医協会さんじゃなくても、「おいおい」とツッコミをいれたくなる記事ですね。当事者の東京保険医協会さんとしても、黙っていられないでしょう。
事実の引用部分が多いので、そのつながりかたがポイント。
まずは、タイトルと内容の不一致。
「後発品普及を促せ」というタイトルなら、後発品普及の流れの中で「医師に相談してね」というポスターを貼っていることは、むしろ良いことですよね。なんで「悪い例」みたいに言っているのか、さっぱりわかんないですよ。
「患者の(後発品に関する)正しい理解を助け、選択肢を増やす」ことと、後発品普及とは、イコールではないし。薬価が逆転して先発品より高くなった後発品を普及しても、褒めてくれないんでしょ? 最終目的は「保険料と税金を使う医療費(特に薬剤費)の抑制」なのだから、医師が後発のことなら相談してよ!という中で「先発と同じじゃないよ」とか「効能のばらつきが大きい」とか言っても、「ジェネリックの理解の妨げ」になるかどうかはどーでもよくて、(ポスターそのものの内容的には)『後発品普及の妨げ』にはなっていないのだから、それでいいじゃん。一件落着。
「ポスターを院内に張りだした」ことに対して「後発品普及の妨げになっている!」と言うのは、筋違い。六千部ですからねー。ファッション甲子園の募集ポスターくらいの効果ですよねー。それで「妨げとなっている」ほどの効果がでているとは思えませんけど…。
後発品普及(目標30%の達成)困難については、「一部の医師の意識改革の遅れ」のみを原因とするのは間違い。統計の話ですから、「%計算方法」次第でどーにでもなるものだしね。
あとの部分は財務省や厚労省の言い分を載せているだけ。
なので、ツッコミどころは、
1.タイトルが内容とあってない。もしくは、内容がタイトルとあってない。
2.リテラシー意識が高い相手に対して「おれたちみたいに、もっと従順になれよ。ながいものにまかれろよ」という「意識改革」を求めるのは、ダメじゃん。
の二点だと思います。
思いますが…。
日本経済新聞の論説って、もともと、こんな感じの、どっちかというと、「殿様の言うことでカネが動くこと」は黒くても白的な論調が「味」なんじゃないかと…。たまーにしか「ニッケイヨクヨム」しない筆者が思うに。
新聞社の社説って、その偏りっぷりと、著名人の言葉の引用と、とってつけたオチが、読んでいて面白いときもあるので、四コマ漫画や新聞小説と同じエンタテインメント欄のひとつ。そのようにカミングアウトさせて小学校の新聞教育で話しておく時代がやってきていると思います。
社説=エンタメですから、社説に超マジメなツッコミを入れるのは、「コボちゃんがいつまでたっても年をとらないのはけしからん」とか「徳川家康に影武者がいたなどという史実はあるのか」とか、「新聞でエロスな描写や不倫の小説を載せるな」とか、そういう抗議文書をいれるようなもの。
偏ってはいるものの、「東京保険医協会が」と実名を書けずに「東京の医療団体が」と書くようなヘタレ社説で、しかもオチで「医療界」とか書いてしまう指向性のなさですから、エンタメとしてもイマイチ。エンタメって、酷評されるよりも無視されることのほうがダメージが大きいんですよ~。無視してもいいんですよ~。
あえてツッコミをした東京保険医協会さんが、「原理主義者に理屈を説いても無駄だろなー」「エンタメに文句言うのも馬鹿馬鹿しいけどさー」くらいの前提でツッコミをいれて、日経新聞側が小さく「おわび」記事を書いてオシマイ、というのが、一番何の面白味もない落とし所のような気がしますが、では、実際に送られた文書を読んでみましょうか…。(おそるおそる)
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2012年5月7日
日本経済新聞社 論説委員長殿
東京保険医協会 会長 拝殿 清名
4月22日付け貴紙朝刊2面の社説「医療界は後発薬普及を促せ」において、当協会が会員向けに配布したジェネリックポスターを例に挙げ「東京の医療団体が6千部つくったという。医師の臨床経験に基づく内容だと説明しているが、ジェネリックの関連学会は正確性を欠くと指摘し、内容の変更や回収を求めている。患者の正しい理解を助け、選択肢を増やすことこそが医療界の役割であろう。」と記載された。
われわれ臨床医家はジェネリック医薬品を使用して経験した有効性・安全性への疑問を感じる経験もあるが、我々のポスターに対する意見を表明された日本ジェネリック医薬品学会へ4月17日付けで見解を示している。その中で、医薬品の専門家である大学病院などの薬学者、病院薬剤部の薬剤師からのジェネリック医薬品の副作用報告、先発品とジェネリック医薬品の比較試験による報告、PMDA(医薬品医療機器総合機構)への相談事例、ジェネリック医薬品品質情報検討会での検討内容など具体例を挙げており、医師の臨床経験に基づく判断であるとの指摘は当たらない。当協会の日本ジェネリック医薬品学会への返書の内容の把握や当協会への十分な取材もなく、ジェネリック関連学会の見解のみに立脚して社説を掲載したことに強く抗議するものである。
当協会のポスターは効き目が十分にあってよいものが選択できるように呼びかけているものでジェネリック使用促進に反対するものではない。よい薬剤が安いのであれば、それを保険診療で積極的に使用すべきであると日本ジェネリック医薬品学会への返書で公表している。ポスターの記述について正確性を欠くとのことであるが、専門家の指摘を考慮し、上述の見解に基づき作成したものである。厚労省が時同じくしてジェネリック医薬品に対するQ&Aを発表し、ジェネリック医薬品の有効性と安全性が「生物学的同等性試験」によって担保されているとしているのとは実態が異なる。我々は見解の中では一部の文献を参照したが、現在までにも多くの副作用報告や比較試験でのジェネリック医薬品の有効性と安全性への疑問の論文、報告が継続している。
米国FDAは日本と同じく生物学的同等性試験と溶出試験によってジェネリック医薬品の審査を行っているのは事実であるが、公認したジェネリック医薬品を先発品と同等であるか、否かのランク付け(Aコード、Bコード分類)をしている。また、ジェネリック医薬品メーカーへの相談と指導も行い、常にジェネリック医薬品の有効性と安全性への配慮を継続している。貴社の社説は当協会が上記のようにポスター作成の根拠を述べているにも関わらず、当協会の見解には触れず、1)厚労省・財務省がジェネリックの普及を医療改革の柱としている、2)欧米に比べ日本のジェネリック普及率が低いことが医師の意識改革の遅れと断じている、3)当会の見解は医師の臨床経験に基づく内容で有り、ジェネリック関連学会は正確性を欠くとの一方の主張のみを取り上げるなど、その内容には疑問を感じている。以下の事項について貴社の見解をお聞きしたい。
記
1.「新薬(先発医薬品)と後発医薬品が同じ成分、同じ効能」と考えられた根拠を示して頂きたい。すなわち、後発医薬品の試験がどのように、医薬品として同等とされたという試験の手順、実施場所、結果などについてお示し頂きたい。
2.私たちが「日本ジェネリック医薬品学会への見解」で示したジェネリック医薬品が先発品と有効性・安全性が異なっているとした多くの報告に対してどう考えるかをお聞きしたい。また、同見解で要望した「米国FDAのオレンジブックのような後発医薬品の同等性についてのランク付け」、「第三者機関においてより積極的に審査評価をすること」、「在宅長期処方の進展を踏まえて、包装から取り出した苛酷な状況でのより長期安定性試験の実施」、「溶出試験が不要とされている注射剤や外用薬、条件によって溶出が異なる腸溶剤・徐放剤などについては追加で臨床試験を行うこと」、「生物学的同等性試験における個々の後発医薬品のデータの公表」についてどう考えるかをお聞きしたい。
3.ジェネリックの使用が促進されると一定医療費の削減効果があると我々も考える。しかし本来は、先発品と有効性・安全性が同等と確認された後発品が上市された際には、先発医薬品の価格を後発品と同等まで適正化をすることが医療費の削減により有効と考えるがその点の見解をお聞きしたい。
4.第8回日本医薬品情報学会(2005年6月12日開催)で特別講演を行った日本経済新聞社の中村雅美編集委員は“医薬品は、もの+情報+倫理”である、“医療・医薬品には単なる経済原則以上の倫理が求められる”と講演された。そして、“医薬品はもの+情報であると今まではよく言われてきたが、これに倫理をプラスしたい。もの・情報・倫理がそろって初めて医薬品は完璧なものになる”と提言されている。
2012年4月22日の貴紙社説における論調との整合性はいかがであろうか。見解をお伺いしたい。
以 上
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わーい、「倫理」が出てきましたよー♪
と、アホっぽく喜んでみましたが、ここは「薬剤師倫理規定擬人化」のブログなので、ご了承くださいませ。
さて、この「抗議」と「質問」ですが、おそらくは、いちいち回答するのが面倒なので謝罪記事を書いてwebから記事を消せばいいや♪くらいの対応になると予想します。
議事録から削除。
なかったことにしよう。
…そういうのが、いちばん、よくないですよと、幼稚園あたりでは叱られるわけですが。
まあ、何十年も生きていて、叱られなかった方々のアタマの中では、【賢い】手段なのでしょうけれど、どうなりますことやら。
どこかの大学の入試で、出題されないかなー。ダメ社説の例としては最高水準かもしれない出来ですし。
こんなヘッポコ社説、ほっとけば、「イミフ」で終了です。
それなのに。
なんでしょう。マジメすぎるのが仇になるって、こういうことなんでしょうか。
東京保険医協会さんからは、やたらといっぱい、抗議と質問が…。
これって、国会で、大臣に、「基礎知識クイズ」を出してしまう質問者のような、「それで、なにをしたいの?」と受け取られかねない、危険な賭けです。
せっかくいっぱい書いてあるので、
「回答するとしたら、こんなところでどうかな~」という、想像による模擬回答(模範ではないですよ)を書いてみます。
えーと、設定的には、『めんどくさいかんじの弁護士風回答者(「リーガル・ハイ」を観ながら笑い転げているようなタイプ)』がつくった感じで。
(真に受けないでくださいね)
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【抗議部分について】
まず、「医薬品の専門家」に含まれるものを確認します。
薬学者・薬剤師は当然「医薬品の専門家」であるという認識が示されています。
また、PMDAやGE医薬品品質情報検討会も「医薬品の専門家」であると示されています。
日本経済新聞が「ジェネリックの関連学会」と記載した学会は、「日本ジェネリック医薬品学会」を示しますが、東京保険医協会が抗議文中において「ジェネリック関連学会」と記載したものが同じ学会を示すとするならば、「日本ジェネリック医薬品学会」の構成員もまた、「医薬品の専門家」で構成されています。
一方の専門家のみの主張に立脚するということを抗議されていますが、つまり、複数存在する「医薬品の専門家」のうち、どの専門家の見解を採用するのかという「選択」の結果得られた情報をもとに持論を展開することへの批判でしょうか。だとすると、「専門家の指摘」において作成されたポスターに、日本ジェネリック医薬品学会という専門家の指摘も考慮されましたことと思いますが、更なる指摘を受けている事実をどう考えればよいのでしょうか。
東京保険医協会による「日本ジェネリック医薬品学会への「反論」」中にも、指摘を受け入れ、『表現が誤解を招いた』点についてお詫びの言葉が示されていますので、作成の経緯・根拠はどうあれ、少なくとも配布されたポスターに「誤解させる文言を含んでいる」こと自体は、両者の見解が一致しているものと考えます。
また、事実として「正確性を欠くと指摘し、内容の変更と回収を求めた」学会があったことを論説内で述べましたが、「正確性を欠くと指摘」したのは日本経済新聞ではありません。更に、「成分が先発薬と同じではない、効能のばらつきが大きい」という主張を掲載していることから、一方の主張のみを掲載していないことは明確です。
米国FDAのランク付けに関しては、【「同等ではない」にもかかわらずジェネリックを名乗る医薬品が日本国内において存在していても良い。それを容認する】という前提が必要です。この前提は、どの程度スタンダードなものなのでしょうか。
では、ここまでの話を前置きにして、東京保険医協会が指摘された三点の「内容の疑問点」について、疑問への回答を順におこないます。
1)厚労省・財務省がジェネリックの普及を医療改革の柱としている
この点に関しては診療報酬改定における資料に明記されています。
また、東京保険医協会による2008年パブコメにおいて、「後発品標準化が叫ばれている今の日本」と、ジェネリック普及が日本国によって推進されているとの認識も示されています。
2)欧米に比べ日本のジェネリック普及率が低いことが医師の意識改革の遅れと断じている
この点に関しては、誤解を招いたことについてお詫びいたします。
論説前段における「一部の医師」とは、「ジェネリックについての知識が全くないうえに研究文献も読まず、後発品扱いの医療用医薬品を先発品だと思いこんでいるような医師」や「ジェネリックについての知識が非常に偏っていて、『全てのジェネリックが危険である』と公言してしまうような医師」を示した言葉ですが、そのような医師が多数いるはずもなく、従って、対欧米でのジェネリック普及率の低さを一部医師の意識改革の遅れのせいであると断じるのは不適切です。
論説後段の東京保険医協会とは無関係な記述ですが、【一部の医師】の例示と取られかねず、大きな誤解を招く文章であったことを、重ねてお詫びいたします。
なお、制度や定義が異なるにもかかわらず、欧米と日本の「ジェネリックの普及率」の数字自体の比較を行い、それをもって「低い」と述べているのは厚労省です。
3)当会の見解は医師の臨床経験に基づく内容で有り、ジェネリック関連学会は正確性を欠くとの一方の主張のみを取り上げる
この点に関しては、該当ポスター内にて、医師の臨床経験に基づく内容だと説明している記載はありませんので、前後関係に不備があったことをお詫びします。
最初に配布されたポスター内には「医師の臨床経験に基づく内容」であるかどうかは示されず、日本ジェネリック医薬品学会の見解への返書内において、医師の臨床経験に基づくと同時に、医薬品の専門家の見解も考慮して作成された経緯が示されたという順序ですので、ポスターのみで「医師の臨床経験に基づく内容」であると説明しているとの表現は不適切です。
なお、日本語の表記上、「医師の臨床経験のみに基づく内容」と「医師の臨床経験に基づく内容」とは区別して用いられます。東京保険医協会の抗議文にも、専門家の見解を考慮するとともに医師の臨床経験に基づいて作成された内容であると明記されていますので、説明された内容については不備はないと考えます。
しかし、文中において「理解を妨げる」との表現を用いた点については、厚労省の主張する「理解」を前提としており、不適切ですのでお詫びします。「理解に一石を投じる」「理解の補足となる」等の表現が、より相応しいかと思います。
☆
はい、一休み。
企業のクレーム担当者さんとか弁護士さんって、こんな感じで文章をつくっているのかなと妄想すると、なんだか辛いんですが、なんでこんな、屁理屈で反論しやすい抗議内容なんでしょ。もったいない。
普通に抗議すれば、推定100%、東京保険医協会側の勝ちなんですが。
抗議文をもっとシンプルにして、「数点、論説内容に誤解があるので、訂正を求めます」として、「また、今後の、より国民にわかりやすい説明の検討のために、以下のご質問にお答えくださいますようお願いします」とつなげたら…。
…
…
とりあえず、後半部分への模擬回答も書いてみます。
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【質問部分について】
質問1.「新薬(先発医薬品)と後発医薬品が同じ成分、同じ効能」と考えられた根拠を示して頂きたい。すなわち、後発医薬品の試験がどのように、医薬品として同等とされたという試験の手順、実施場所、結果などについてお示し頂きたい。
試験内容について示すことはできません。各メーカーにお問い合わせください。そもそもそれらの項目は公開されているのでしょうか。たとえば、溶出試験の実施場所においては、各都道府県のジェネリック医薬品使用促進協議会などが、「原則として薬事法施行規則第12条に規定する県内の試験検査機関」のように定めていますが、個々の試験の実施場所については公表されているのでしょうか。
「新薬(先発医薬品)と後発医薬品が同じ成分、同じ効能」と考えた根拠としては、医薬品の専門家である薬剤師がそう言っていたから、ということでよろしいでしょうか。一般的な例示としては、後発品に関する出版・講演、後発品に関する雑誌記事などのインタビュー・寄稿をされている方々がそのように述べております。講演者の例としては増原慶壮さんを挙げておきます。(なお、ここでは薬剤師としましたが、医師においても同様の講演は医師会主催で行われています)
医薬品の専門家ではない新聞社論説委員の立場では、「医薬品の専門家の見解」の真偽について明確な判断を下せませんので、見解の異なる専門家同士での議論の結果として「新薬(先発医薬品)と後発医薬品が同じ成分、同じ効能」ではないという結論がでましたら、お知らせください。
なお、「同じ成分・同じ効能」という言葉ですが、医薬品添付文書における「有効成分」ならびに「効能又は効果」を指していると考えてよろしいでしょうか。その場合、「有効成分」については同じになります。「効能又は効果」については、適用の問題になりますので、同じとはなりません。逆に、適用が全く同じであれば、同じ効能であるといえるでしょう。東京保険医協会が2010年のパブコメで指摘しているように、厚労省の努力不足であると考えます。
【参考】→ 後発品は先発品と同一であるとするのであれば、後発品のある先発品の一部に後発品にない適応を認めることは「先発品と後発品が同等」とする厚労省の説明を根底から覆すことにほかなりません。先発品において認めている適応を全て後発品でも適応とする努力をすべきなのは厚労省です。多忙な診療の中で後発品使用を推進している医療機関に、「先発品と異なる後発品があることを全て認識してその場合は先発品の後発品への変更不可を処方せんに記載させる」までの対応を求めることは現実的ではありません。またこれではますます後発品の使用は抑制されるでしょう。
厚労省では積極的に後発品の使用促進を図っていますが、これでは安心して後発品を使えません。ましてや、後発品が先発品より適応が少ないものに薬局で変更され適応外になったものまで医療機関から減点するという方法には納得できません。このような事例について、医療機関からの相殺(減点)は速やかに中止してください。
質問2.私たちが「日本ジェネリック医薬品学会への見解」で示したジェネリック医薬品が先発品と有効性・安全性が異なっているとした多くの報告に対してどう考えるかをお聞きしたい。また、同見解で要望した「米国FDAのオレンジブックのような後発医薬品の同等性についてのランク付け」、「第三者機関においてより積極的に審査評価をすること」、「在宅長期処方の進展を踏まえて、包装から取り出した苛酷な状況でのより長期安定性試験の実施」、「溶出試験が不要とされている注射剤や外用薬、条件によって溶出が異なる腸溶剤・徐放剤などについては追加で臨床試験を行うこと」、「生物学的同等性試験における個々の後発医薬品のデータの公表」についてどう考えるかをお聞きしたい。
前段に関しては、「そういった報告があるのは当然である」と考えます。
そういった報告のあった特定の製剤が危険であるということでしたら、即時、それらの排除に動いていただければと希望します。
東京保険医協会の主張するように「良い後発品」も存在するという前提で考えるならば、「特定のジェネリック医薬品が先発品と有効性・安全性が異なっている」という表記になるかと思います。この質問において「ジェネリック医薬品が」といった形で一般化されている意図がわかりませんので、できれば再質問をお願いします。
また、「多くの報告」とありますが、これらの報告は、通常の先発品における副作用事例報告などと比較して、どの程度「多い」のでしょうか。さらに、「ジェネリック医薬品が先発品と有効性・安全性が異なっていない」とした報告事例については東京保険医協会の見解では詳しく述べられていませんが、そちらの報告に対して、東京保険医協会がどう考えるのかをお聞きしたいところです。
後段に関しては、すべて、そのように行われてもよろしいかと思います。
専門家の納得が得られるまで安全性を追求することは、良いことです。
特に強く賛成もしませんが、反対もしません。
これらの要望を総合すると、
A.国家機関による「同等性のない同一成分医薬品の認可」
B.同等性がないとされた医薬品も含めた第三者機関による再審査
C.長期安定性試験・臨床試験の実施と、各種データの公表
となります。
正直なところどれほどの金額が必要なのか見当もつきませんが、それらの金額を医療費(健康保険料)に載せてもなお必要なことであると専門家が認識しているのであれば、実施しても良いのではないかと、新聞社論説委員の立場では、そう考えます。
3.ジェネリックの使用が促進されると一定医療費の削減効果があると我々も考える。しかし本来は、先発品と有効性・安全性が同等と確認された後発品が上市された際には、先発医薬品の価格を後発品と同等まで適正化をすることが医療費の削減により有効と考えるがその点の見解をお聞きしたい。
おおむねその通りであると考えます。
「発売時薬価の計算方法」や「改定ごとの引き下げ」などに大きな変更が必要ではないかと想像しますが、いわゆる口腔崩壊錠問題も含めて、ご検討願えれば幸いです。
4.第8回日本医薬品情報学会(2005年6月12日開催)で特別講演を行った日本経済新聞社の中村雅美編集委員は“医薬品は、もの+情報+倫理”である、“医療・医薬品には単なる経済原則以上の倫理が求められる”と講演された。そして、“医薬品はもの+情報であると今まではよく言われてきたが、これに倫理をプラスしたい。もの・情報・倫理がそろって初めて医薬品は完璧なものになる”と提言されている。
2012年4月22日の貴紙社説における論調との整合性はいかがであろうか。見解をお伺いしたい。
中村編集委員の発言内の「倫理」が何を示すのかは明らかではありませんが、医薬品における「もの・情報・倫理」は「薬剤」「薬剤に関する情報」「薬剤を扱う全ての者の倫理」と解することができます。
社説においては、後発品という薬剤について、その情報として両論を掲載しましたが、現在の厚労省の主張を基本とした視点であり、不適切であった点については先にお詫びした通りです。
倫理については、どのような問題がありますでしょうか。
ご質問に対する回答は以上です。
東京保険医協会が「当協会のポスターは効き目が十分にあってよいものが選択できるように呼びかけているものでジェネリック使用促進に反対するものではない」とする点については、やや疑問が残りますので、今回の質問状に倣い、以下に疑問点をひとつだけ挙げておきます。
1)ポスターの「ここが問題4」にあげられた「薬局における変更に対する不信感」について、東京都薬剤師会や保険薬局協会などとの間で、不信感払拭のための協議を行ったことはありますでしょうか。また、後発品の銘柄指定処方を求めている場合は該当医薬品に変更不可の印がつけられ、一般名記載の処方にはならないと聞きましたが、その場合でも、薬局では勝手に粗悪な後発品に変更されてしまうのでしょうか。わざわざ粗悪なことがわかっている医薬品を在庫するようなリスクを冒す理由としては、どのようなことが考えられるでしょうか。
「医師に相談することもできますよ」、という意見には賛同するところですが、「薬局で相談したら良くないかもしれないよ」、という意見を含めることで、後発品使用促進の機会を奪う内容になっています。これは「ジェネリック使用促進に反対するものではない」との主張とかみあわないのではないか、という疑問です。
☆
以上、勝手に想像しながら屁理屈を書いてごめんなさい。
日本経済新聞社がまともに返事したら、きっと、もっとエレガントな回答になりますよね。
ドラマだったら、ここから逆転劇が始まります。
このへたっぴな模擬回答を読んで「論旨が甘いわっ!」「ツッコミが下手じゃわい!」と笑い飛ばせるくらいの余裕があれば、エレガントな回答なんて想定内ですから、いい感じの議論になると思います。先発品薬価の問題など、パブコメにおんなじこと書いて提出している筆者としては、どんどんやってほしいですし。(注:基本的に、日本の薬価は、一部を市場にあわせつつも、理不尽に決められます。以下参考:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000020dkf-att/2r98520000020dnv.pdf)
さて、書いていて、質問1の「なんで同一だと思うの?」という部分については、暗い気持ちになりました。
なにしろ、一部の…とは言えない範囲の薬屋さんが、溶出試験のグラフなんかをみせながら「同じ成分で同じ効果です♪ そして、安いですっ! てへぺろっ♪」という感じで説明しちゃってる姿を想像できてしまったので。(注1:そーゆーことすると、余分にお金がもらえる制度だったんです。歩合制の営業かいな。)(注2:てへぺろっ♪ は余計)
政府の広報やら後発メーカーのCMやらで連呼されていたから…というだけじゃないわけで、専門家の言葉を信用して変更したケースだっていっぱいありますよね。
薬局側の研究不足、広報内容不足、説明表現不足に、医師からの信用不足。あきれるほどに足が足りないです。こーゆーのは、ディスコミュニケーション解消が一番なんですけれど、コミュ障っぽい筆者にはどーしたらいいものかさっぱりですので、ファーマシューティカル・コミュニケーション学会員の方々に頑張っていただくしかないのかな~と思う次第。
反省したうえで、せっかくの機会ですから、「てへぺろ」脱却…じゃない、信頼関係構築のために、東京保険医協会さんが納得のいくような【後発医薬品説明ガイドライン】づくりなどを、同じ地域のよしみで、東京都薬剤師会が一緒になってやるといいのにな…と願います。(でも、都薬の会長はノブさんだから、その意味では、話し合いになるかなぁ…そっちのほうが不安という罠)
☆
【まとめ】←まとまってませんが。
過度の一般化は、よくない。
一部のダメなものをダメだと言っているならば、それを明確化して区別しよう。
一部のダメなものを例示しても全体がダメだという結論にはならないよね。
☆
【おまけ:ポスター関連の話の落とし所(希望的観測)】
1.誤解されると認めたので、ポスターの内容を変え、
趣旨通りの意見が伝わるようにする。
(薬局側も協力して、新しいポスターを掲示する)
あるいは、ポスターを回収する。
あるいは、「質の良い後発品リスト」を公表する。
2.専門家協議会などを設置して意見交換。
(特に、「処方の書き方」と、「薬局での説明」について)
→都道府県のGE使用促進協議会が本来はその役割を
果たしますが、東京都には設置されていませんので。
そのうえで、質の悪い後発品リストを作成して公開。
【調剤権】については…まあ、わかってもらえる範囲内で。
3.「日本の制度をどうするのか」にかかわる部分は
中医協委員を含めて議論。
4.日経新聞は、訂正記事を載せるか、
超エレガントな回答を書くか、無視するか。
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